【EC・小売】問い合わせ対応をClaude Code/Codexで自動化する方法
この記事の内容
ECの問い合わせ対応は、配送はいつ届くのか、在庫はあるのか、返品はできるのか、領収書はもらえるのか — 似た質問を1日に何十件も受け、そのつど注文番号や購入日、配送状況を調べてから返信を書きます。とくに一次返信(最初に顧客へ返す「受け付けました/確認します」のメール)は、内容は定型なのに顧客ごとに状況が違うため、新人ほど時間がかかり、ベテランの手が空くのを待つ行列ができがちです。AIは返品の可否や返金額そのものを決めるものではありませんが、問い合わせの仕分け、確認すべき項目の洗い出し、一次返信メールの下書きを先に作る補助として使えます。
配送・返品など定型問い合わせ1件あたりの一次返信案づくり (クルミ暮らしマーケットのモデル事例)
本記事では、AI鬼管理 が支援を想定する クルミ暮らしマーケット (長野県松本市・キッチン/生活雑貨のEC・自社EC+モール3店舗運営) をモデル事例に、Claude Code/Codex で問い合わせ対応を「仕分け+確認事項+一次返信の下書き」まで半自動化する手順を解説します。CSリーダーの茅野(かやの)さん1人に問い合わせ判断が集中し、一次返信づくりに1件18分かかっていた店舗が、新人CSの矢吹(やぶき)さんも一次返信を起こせるようになり、繁忙期の初回返信の遅れを減らした流れです。
この記事を最後まで読むと、
- 問い合わせ対応でCS担当が抱えている負荷(仕分け・注文情報の確認・返信文づくり)が分かる
- Claude Code/Codexで自動化できる3項目(仕分け/確認事項の洗い出し/一次返信の下書き)が理解できる
- 5ステップでのPoC〜運用の進め方が分かる
- 配送・返品・在庫確認メールの一次返信の型が分かる
- 繁忙期とモール横断の問い合わせを1つの受信箱に集約する考え方が分かる
01 PROBLEM 問い合わせ対応の現場で起きていること 仕分け・情報確認・返信文づくりのトリレンマ
問題1: 急ぎの問い合わせが受信箱に埋もれる。クルミ暮らしマーケットでは、配送遅延の問い合わせと「届いた商品が割れていた」というクレームが、通常の在庫確認メールと同じ受信箱に受信順で並びます。温度感の高い問い合わせを先に拾う仕組みがなく、気づいたときには「返信が遅い」という二次クレームになっていました。
問題2: 返信を書く前の調べ物で時間が消える。「私の注文、いつ届きますか」の一通に返すだけでも、注文番号を探し、出荷済みかを確認し、配送会社の追跡番号を調べる。この前さばきに数分かかり、1日80件あれば調べ物だけで午前中が終わります。
問題3: 返品相談の判断が茅野さん1人に集中する。購入日が返品期限内か、開封済みか、初期不良か顧客都合か — 返品可否は店舗規約と個別事情の確認が要るため、新人の矢吹さんは自分で返せず、結局リーダーの茅野さんの確認待ちになり、茅野さんがボトルネックになっていました。
02 WHAT Claude Code/Codexで何を自動化するか 可否判断ではなく、仕分けと確認事項の洗い出しを自動化
📚 用語解説
一次返信:問い合わせを受けて最初に顧客へ返すメールのこと。「お問い合わせありがとうございます。◯◯を確認のうえ、本日中に改めてご連絡します」のように、受け付けたことと次の動きを伝える返信。内容は定型に近いが、注文番号・状況の確認が必要で、ここで時間がかかったり抜けが出たりすると往復が増える工程。
処理1: 問い合わせの仕分けと温度感の検知。メールやフォームの本文から、配送/在庫/返品交換/商品仕様/領収書/クレームのどれに当たるかをAIが分類し、「至急」と思われる強い言葉(届かない・壊れていた・解約など)を含むものを先頭に並べます。
処理2: 返信前に確認すべき項目の洗い出し。分類した問い合わせごとに、「この返信を書く前に何を見ればよいか」をAIが一覧化します。配送なら注文番号・出荷日・追跡番号、返品なら購入日・商品状態・写真の有無、というように、CS担当が管理画面で確認すべき項目を先にチェックリスト化します。
処理3: 一次返信メールの下書き。過去の良い返信例と店舗のルールを参照し、断定や過度な約束を避けた一次返信案を作ります。「返金します」と言い切るのではなく「確認のうえご連絡します」と、確認中であることを明確にした文面を下書きします。
| 問い合わせの種類 | AIが整理すること | 人(CS担当)が確認・判断すること |
|---|---|---|
| 配送 | 注文番号・出荷状況・追跡番号の確認項目と案内文の候補 | 遅延理由、どこまで案内してよいか |
| 在庫 | 対象SKU・入荷予定・代替品の確認項目と返信候補 | 確約しない表現か、再入荷の見込み |
| 返品交換 | 購入日・商品状態・規約該当箇所・写真有無の確認項目 | 返品可否、例外対応、最終的な可否判断 |
| 商品仕様 | 説明文・スペックとの照合候補 | 実物・メーカー情報との一致、回答の正確性 |
AIの役割は仕分け・確認事項の洗い出し・一次返信の下書きまで。返品可否、返金額、補償の範囲、クレームへの謝罪内容は必ずCS担当が確認します。この線引きを最初に決めておくと、現場が安心してAIを使えます。
03 HOW 具体的な進め方 5ステップ 小さくPoCし、直した返信の理由を返信ルールへ戻す
問い合わせ対応AI化の5ステップ
配送・在庫・返品交換・仕様・領収書・クレームなど、返信の型が違う種類を先に分けて対象を1つ選ぶ
「返品は到着後7日以内・未開封のみ」「断定や返金の即答はしない」など、茅野さんの頭の中のルールを文章化する
分類・確認事項・一次返信を、確定回答ではなく確認用ドラフトとして出す
CS担当が直した文面と「なぜ直したか」をCLAUDE.mdへ戻し、一次返信案の精度を上げる
一次返信づくりを新人に任せ、リーダーは可否判断と難しい返信に回る。うまくいった種類から横展開する
5ステップで最も大切なのは、STEP 4の「なぜ直したか」を残すことです。AIが出した一次返信案をCS担当が直した場合、「どこをなぜ直したか」を残さないと、次回も同じ直しが発生します。逆に、その理由をCLAUDE.mdへ戻せば、AIの一次返信案は少しずつクルミ暮らしマーケットの言葉づかいとルールに近づきます。
04 RESULT 導入後の変化と数値効果(クルミ暮らしマーケットの事例) 一次返信づくり18分→6分、初回返信の遅れを解消
- 配送・在庫・返品・クレームが同じ受信箱に受信順で並び、急ぎが埋もれていた
- 一通ごとに注文番号・出荷状況・在庫を管理画面で調べてから返信を書いていた(1件約18分)
- モール3店舗の問い合わせを店舗ごとに別画面で確認し、見落としが起きていた
- 返品相談は茅野さんの確認待ちになり、繁忙期は初回返信が半日遅れることもあった
- AIが配送/返品/クレーム等に仕分けし、温度感の高いものを先頭に並べるようになった
- AIが確認事項を先に出し、一次返信案を下書きして、一次返信づくりは約6分に
- モール横断の問い合わせを1つの受信箱に集約し、店舗をまたいだ見落としが減った
- 新人の矢吹さんが一次返信を起こし、茅野さんは可否判断に専念。初回返信の遅れが減った
05 PITFALL よくある落とし穴3つ 可否・約束・感情の扱いを誤らない
返品交換の可否、返金額、補償は、店舗規約と購入日・商品状態・個別事情を知るCS担当が確認して判断します。AIは確認事項の洗い出しと一次返信の下書きまで。可否の即答を任せると、規約と違う約束がそのまま顧客に届きます。
「返金します」「明日必ず届きます」といった言い切りは、確認前に入れないようにします。AIの一次返信案は「確認のうえご連絡します」を基本にし、確定内容はCS担当が確認してから別途伝えます。
温度感の高い問い合わせは、謝意の伝え方や確認中であることの示し方を人が最終調整します。AIの下書きは便利ですが、顧客の感情に触れる返信ほど、そのまま送らず人の言葉で整えることが大切です。
06 TEMPLATES 配送・返品・在庫確認メールの一次返信の型 種類ごとに確認項目と言い回しが変わる
AIの一次返信案の精度を上げるには、問い合わせの種類ごとに「確認すべき項目」と「一次返信の型」をCLAUDE.mdに書いておくことが効きます。クルミ暮らしマーケットで使っている、よくある3種類の一次返信の型を紹介します。共通するのは、確定回答を即答せず、確認中であることと次の連絡時期を必ず伝える点です。
配送(いつ届くか/届かない)の一次返信
返品交換(返品したい/イメージ違い/初期不良)の一次返信
在庫(在庫はあるか/再入荷はいつか)の一次返信
上の種類別の確認項目と一次返信の型をCLAUDE.mdに例文付きで書いておくと、AIが問い合わせの種類に応じて確認事項と一次返信案を出すようになります。種類が違う問い合わせに同じ型を当てると的外れになるので、種類を分けて登録するのがコツです。なお、ここで作るのはあくまで一次返信案。返品可否やクレームへの最終的な返信は、必ずCS担当が確認してから送ります。
07 CONSOLIDATE 繁忙期とモール横断の問い合わせを1つの受信箱に集約する 窓口が分かれるほど見落としと返信遅れが増える
ECの問い合わせ対応がつらくなる典型が、セール期の急増と、モールごとに窓口が分かれることです。クルミ暮らしマーケットも、自社ECのメール・問い合わせフォーム・モール3店舗のメッセージが別々の画面に届き、繁忙期は「どの窓口に何時間前の未返信があるか」を誰も把握できていませんでした。AIに任せる前に、まず問い合わせを1か所に集めて見える化することが、対応の抜けを防ぐ土台になります。
考え方1: 窓口を物理的に統合せず「集約ビュー」を作る
モールの規約上、返信は各モールの管理画面から行う必要がある場合があります。その場合でも、各窓口の問い合わせ本文をコピーまたは転送で1つの作業用受信箱に集め、AIで「店舗・種類・温度感・受信からの経過時間」を付けた一覧にします。返信は元の窓口から行い、把握と一次返信案づくりだけを集約ビューで一元化する、という分け方です。
考え方2: 繁忙期は「経過時間」で並べ替えて取りこぼしを防ぐ
セール期は件数が一気に増えるため、受信順に処理すると古い未返信が後ろに埋もれます。AIの一覧に「受信からの経過時間」を出し、一定時間を超えた未返信を先頭に上げる並べ替えにすると、「半日放置」を機械的に拾えます。温度感の高いクレームは経過時間に関わらず最優先にします。
考え方3: モール別の禁止事項をCLAUDE.mdに分けて持つ
モールによって、外部サイトへの誘導可否や連絡先の案内ルールが異なります。AIに一次返信案を作らせるときに、店舗ごとの禁止事項をCLAUDE.mdに分けて書いておくと、モールの規約に反する案内(自社サイトへの誘導など)が一次返信案に混ざるのを防げます。
| 窓口 | 集約ビューで見えるようにすること | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社ECメール | 種類・温度感・経過時間 | 個人情報の取り扱い |
| 自社問い合わせフォーム | 注文番号の有無・未返信時間 | フォーム項目とメールの突合 |
| モールA/B/C | 店舗別の未返信・規約上の制約 | モールごとの禁止事項の違い |
まずは全窓口の問い合わせを1つの作業ビューに集めて、未返信と温度感を把握できる状態を作るのが先です。AIの一次返信案づくりはその上に乗せ、実際の返信は各モールの規約に沿って元の窓口から行います。集約は便利ですが、モールの規約と顧客の個人情報の扱いは必ず社内ルールに沿って確認してください。
08 RELATED 関連記事: EC・小売の自動化事例10選(全業務マップ) 問い合わせ以外の9業務も含めた事例集
本記事はEC・小売の自動化事例10選のうち、事例3「問い合わせ対応」を深掘りした内容です。商品登録・レビュー返信・在庫発注・返品交換対応など他の業務もあわせてご覧ください。→ EC・小売の自動化事例10選(全業務マップ)
09 ABOUT AI鬼管理について - 問い合わせ対応の伴走サービス 属人化した一次返信を、確認中心の運用へ
本記事を発信している AI鬼管理 は、EC・小売のAI業務自動化をClaude Code/Codexで設計から伴走するサービスです。問い合わせ対応は、一次返信の属人化を解くことで、初回返信のスピードと新人育成、レビュー評価に効く打ち手です。
属人化した一次返信、いっしょに軽くしませんか?
本記事のクルミ暮らしマーケットの例は、自社EC+モール3店舗・1日約80件・CS2名というモデルケースです。貴店の問い合わせの種類構成や窓口の数、運営しているモールによって、最適な進め方は変わります。まずは今の問い合わせ対応の流れをうかがって、貴店に合った設計をご提案します。
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よくある質問
Q. AIで顧客に自動返信してよいですか?
A. まずはCS担当が確認する前の一次返信の下書き運用がおすすめです。特に返品・返金・クレームに関わる内容は、可否や謝罪範囲を人が確認してから送る設計が現実的です。
Q. 返品の可否までAIに判断させられますか?
A. 判断はおすすめしません。AIは購入日・商品状態・規約該当箇所などの確認事項を整理し、一次返信を下書きするところまで。可否はCS担当が店舗規約と個別事情を確認して判断します。
Q. 複数モールの問い合わせもまとめられますか?
A. まとめられます。各窓口の問い合わせを1つの作業ビューに集め、店舗・種類・温度感・経過時間を付けて一覧化できます。ただし返信は各モールの規約に沿って元の窓口から行います。
Q. クレーム対応にも使えますか?
A. 温度感の検知や一次返信案の作成には使えます。ただし、謝罪の範囲や補償の判断、感情に触れる最終文面はCS担当が整えます。
Q. 過去メールを学習させるだけで十分ですか?
A. 過去メールに加えて、店舗規約・配送ルール・モール別の禁止表現を整理しておく必要があります。良い返信例と「やってはいけない約束」の両方を渡すほど、一次返信案の精度が上がります。
Q. 料金やプランを教えてください
A. 料金やサポートプランは AI鬼管理のサービスページをご覧ください。貴店向けの個別ご提案は本記事末尾のNEXT STEPからお問い合わせください。
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