Claude Code・Codex の
セキュリティ完全ガイド
「結局のところ、社内で使って大丈夫なの?」
営業面談で頻繁にいただくご質問に、ITに詳しくない方でも分かるようお答えします。
結論:適切な設定なら、法人導入はまったく問題ありません
営業面談で必ず話題に上がる「セキュリティの不安」に対するAI鬼管理の基本スタンス。
面談やお問い合わせで、ほぼ毎回いただくのが「うちで Claude Code や Codex を使って大丈夫なんでしょうか?」というご質問です。
結論からお伝えします。正しい契約形態を選び、社内の使い方ルールを整えるだけで、上場企業様や医療系のお客様でも安全に導入していただけています。
このページでは、専門用語を使わずに、その「正しい契約」と「社内ルール」がどういうものなのかを順を追ってご説明します。
CONTENTS
このページは前半=中小企業向け/後半=大企業・規制業種向けの2部構成です。ご自身に当てはまるほうだけお読みいただければ大丈夫です。
中小企業の方へ
情シス部門がなくてもOK/ここまでで導入できます(約10分)
大企業・規制業種の方へ
上場企業/金融/医療など、稟議・監査で細かく問われる場合はこちら
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どちらの方にも役立つ内容です
最初におさえていただきたい考え方
「使うか/使わないか」ではなく「どう正しく使うか」が議論のスタートです。
機密性の高いデータを扱う現場でも、契約形態と社内ルールを整えることで多くの場合は導入可能です。逆に、ここを整えずに全社員が自由に使うと、どんなに安全性の高いツールを選んでも事故が起きます。
基本の流れは「社員のPC →(AIベンダー)→ 応答が返る」だけです。真ん中の「DLP(情報漏洩防止ソフト)」は、機密データを大量に扱う大企業・規制業種向けの任意の構成で、中小企業では必須ではありません。
【中小企業の方へ】やることは、この3つだけです
情シス部門がなくても大丈夫。社員10〜100名くらいの会社なら、ここだけ読めば導入できます。
セキュリティの話は、調べ始めるとやたら難しい言葉が出てきて手が止まります。ですが実際のところ、中小企業がやるべきことは3つしかありません。まずここだけ押さえていただければ、今日から安全に使い始められます。
ステップ1:会社の名義で契約する(これで9割終わります)
いちばん多いご心配が「入力した情報がAIの勉強材料に使われるのでは」というものです。これは会社向けのプラン(Claude なら Team 以上)で契約するだけで解決します。設定をいじる必要もありません。
逆に言うと、社員が自分の個人アカウントで使っている状態が、いちばん危ないということです。個人向けプランは、初期設定のままだと入力内容が勉強材料に使われます。
会社の契約 = 勉強材料に使われない。個人の契約 = 使われる。
Claude も ChatGPT も Gemini も、いま各社がこの同じルールになっています。「どのAIが安全か」ではなく「どの契約で使っているか」だけの問題です。
ステップ2:使う人を決める(最初は少人数で構いません)
全社員に配る必要はありません。むしろいきなり全員に配ると、使われないまま費用だけかかるという失敗が非常に多いです。
最初は経営者ご自身、または担当を1〜数名決めるところから始めてください。効果が数字で見えてから広げるほうが、社内の反発も起きません。人数の増やし方は、このあとの第4章で4パターンご紹介します。
注意点がひとつだけ。1つのアカウントを複数人で使い回すことは、各社の規約で認められていません。「1契約を部署で共有」はできない、とお考えください。
ステップ3:入れてはいけない情報を、紙1枚にまとめる
立派な規程は要りません。A4で1枚、箇条書きで十分です。次の5つを社内に配るだけで、事故のほとんどは防げます。
① パスワード・クレジットカード番号・マイナンバーは入力しない
漏れたときの実害が大きいものは、そもそも渡さないのが確実です。
② お客様の名簿は、そのまま貼り付けない
どうしても必要なときは、会社名や氏名を「A社」「担当者X」に置き換えてから渡します。
③ フォルダを丸ごと渡さない
中に何が入っているか把握していないフォルダを渡すと、意図しないファイルまで読まれます。必要なファイルだけを指定してください。
④ 個人のアカウントで業務に使わない
会社が配ったアカウントだけを使う。これを明文化しておかないと、必ず自腹で使う人が出ます。
⑤ 外部から届いた文章を、そのままAIに渡さない
メールやWebページの中に、AIへの指示文が仕込まれている場合があります。中身を一度自分の目で見てから渡してください。
この3つが済めば、中小企業の導入としては十分です。ここから先の章では、上場企業・金融・医療など、規制の厳しい業種で求められる細かい設定(履歴を残さない設定、監査ログ、各種認証など)もご説明していますが、該当しない会社が無理に読む必要はありません。
正直に申し上げると、セキュリティを完璧にしてから始めようとして、1年経っても始まっていない会社を何社も見てきました。上の3つを済ませたら、まずは小さく使い始めてください。運用しながら整えていくほうが、結果的に早く安全になります。
結局どのプランなら「勉強材料に使われない」のか(他社AIもまとめて比較)
Claude・ChatGPT・Gemini・GitHub Copilot の4つを横並びで。答えはどれも同じ形をしています。
「AIに入れた情報が勉強材料に使われて、他社に出てしまうのでは?」——これが一番多いご質問です。結論は、法人向けのプランを選べば使われません。しかもこれは Claude だけの話ではなく、主要なAIサービスがほぼ同じルールになっています。ここだけ覚えて帰っていただければ大丈夫です。
まず、これだけ覚えれば大丈夫です
各社のルールは、いまきれいに同じ形になっています。
個人向けプラン(ひとりで契約するもの)= 初期設定のまま使うと、入力内容が勉強材料に使われます。
法人向けプラン(会社で契約するもの)= 使われません。
つまり「AIが危ないかどうか」ではなく、「どの契約で使っているか」だけで決まります。
ここで注意していただきたいのが、「設定でオフにできる」と「最初からオフになっている」はまったく違うという点です。個人向けプランは前者、つまり自分でオフにしない限りオンのままです。「特に何も触っていないから大丈夫だろう」という思い込みが、いちばん危ない状態です。
主要4サービスの比較(2026年7月時点)
| サービス | 個人向けプラン | 法人向けプラン | ひとこと補足 |
|---|---|---|---|
| Claude / Claude Code (Anthropic) | Free・Pro・Max 既定で使われる(設定でオフに可) | Team・Enterprise・API 使われない | 2025年8月の規約改定で個人向けの扱いが変わりました。以前の記事や社内資料が古いままになっていないかご注意ください。 |
| ChatGPT / Codex (OpenAI) | Free・Go・Plus・Pro 既定で使われる(設定でオフに可) | Business・Enterprise・Edu・API 使われない | Codex は ChatGPT のプランに紐づきます。個人の Plus で Codex を使うと、個人プランの扱いになります。 |
| Gemini (Google) | 個人アカウント 既定で使われる(設定でオフに可) | Google Workspace (Business・Enterprise) 使われない | Workspace は管理者側で学習利用がオフに固定されており、社員が勝手に変更できません。統制という意味では分かりやすい仕組みです。 |
| GitHub Copilot (GitHub / Microsoft) | Free・Pro・Pro+ 既定で使われる(設定でオフに可) | Business・Enterprise 使われない | 2026年4月24日から個人向けの扱いが変わりました。個人で契約したまま業務で使っている方は要確認です。 |
読み方のコツ:表の左側(個人向け)はすべて「既定で使われる」、右側(法人向け)はすべて「使われない」で揃っています。サービスごとに覚える必要はなく、「会社の契約かどうか」だけを見ればよいということです。
なぜ「設定でオフにする」ではダメなのか
「個人プランでも、社員全員に設定をオフにしてもらえばいいのでは?」というご質問をよくいただきます。理屈の上ではその通りですが、実務では次の3つの理由からお勧めしていません。
1設定を忘れる人が必ず出る
入社した人、機種変更した人、アカウントを作り直した人。全員がずっと正しい設定でいることを、会社は確認できません。一人でも漏れれば、その人の入力は勉強材料になります。
2「オフにしている」と証明できない
取引先やお客様から「御社はAIに情報を入れていませんか」と聞かれたとき、個人プランでは証明する手段がありません。法人プランなら契約書と管理画面で示せます。
3退職時にデータを回収できない
個人のアカウントは会社のものではないため、退職しても会話履歴は本人のアカウントに残ります。法人プランなら管理者がアカウントごと停止・移管できます。
「Team プランなら学習に使われません」——お客様にはこう即答して問題ありません。ただしひとつだけ落とし穴があります。会社が法人プランを契約していても、社員が自分の個人アカウントでこっそり使っていたら意味がないという点です。会社として配らないと、社員は自腹の個人契約で使い始めます。これは次の章でご説明する「誰に持たせるか」の話に直結します。
※ 法人プランでも、管理者が「製品改善に協力する」設定に自分から同意した場合は例外です(Anthropic の Development Partner Program、OpenAI API のデータ共有設定など)。導入時に管理画面で現在の状態を一度ご確認ください。
社員がいる会社は「誰に持たせるか」で決まる(導入パターン4つ)
稟議で本当に止まるのは、安全性の議論ではなく「何人分いるのか」です。規模別の型をご紹介します。
ご相談をいただくと、セキュリティの話は5分で終わることがほとんどです。そのあと必ず出てくるのが「で、うちは誰に持たせればいいんですか」という質問です。ここに正解の型が4つあります。全社員に配るのが正解、ではありません。
大前提:アカウントの使い回しはできません
最初にお伝えしておくべき点です。1つのアカウントを複数人で共有して使うことは、各社の利用規約で認められていません。「1契約を部署で回して使う」という運用は、規約違反であると同時に、誰が何を入力したのか分からなくなるため監査の観点でも避けるべきです。使う人の数だけ契約が必要になる、という前提で設計してください。
シャドーITとは、会社が把握していないところで社員が勝手に使っているツールのことです。
AIの場合、これが特に起こりやすくなります。会社が配らなければ、やる気のある社員ほど自腹で個人契約して使い始めるからです。そして個人契約は、前章のとおり初期設定では入力内容が勉強材料に使われます。
つまり「危ないから配らない」という判断が、いちばん危ない状態を作ります。配らないのであれば、使用禁止を明文化してセットで伝える必要があります。
導入パターン4つ(自社に近いものを選んでください)
| パターン | 持たせる人 | 向いている会社 | 良い点 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| ① トップだけ | 社長・役員など1〜2名 | まず自分で試したい。効果が読めていない段階の会社 | 費用が最小。決裁者自身が価値を体感するので、その後の展開が速い | 経営者の時間が空かないと止まる。属人化して社内に広がらない |
| ② 窓口集約 | 情シス・DX担当など数名(社員は依頼する側) | 社員数10〜100名程度。現場にITが得意な人が少ない会社 | 入力内容を担当者が管理するので事故が起きにくい。ルールも守られやすい | 担当者に依頼が集中して詰まる。現場は「自分でやった感」が薄い |
| ③ 部門長まで | 各部署のリーダー層 | 部署ごとに業務が違い、現場判断で使いたい会社 | 現場の課題に直結した使い方が生まれる。横展開の起点になる | 部署ごとに使い方がバラバラになる。ルールの周知が一段難しくなる |
| ④ 全社配布 | 原則として全社員 | すでに使い方が固まっており、全社で標準ツールにする段階の会社 | 効果が最大。業務のやり方そのものを変えられる | 教育と統制の負荷が最大。管理機能(ログイン統合・監査ログ)が実質必須になる |
迷ったら①か②から始めてください。いきなり④に行って失敗するケースの原因は、ほぼ例外なく「使い方が固まっていないまま配った」ことです。①→②→③→④と段階を上げていくのが、最も失敗しにくい進め方です。
段階ごとに必要になる「守りの設定」
配る人数が増えるほど、必要な管理機能も増えます。人数と守りの設定はセットで考えてください。
| 段階 | 契約の目安 | 最低限そろえたいもの |
|---|---|---|
| ① トップだけ ② 窓口集約 | 法人向けプラン(Team 相当) | 入力してよい情報・ダメな情報のルールを1枚にまとめる/機密ファイルを読ませない設定 |
| ③ 部門長まで | 法人向けプラン(Team 相当)+ 管理者の設置 | 上記に加えて、社内ログイン統合(SSO)/利用者の追加・削除の手順化/四半期ごとの棚卸し |
| ④ 全社配布 | Enterprise 相当 | 上記に加えて、監査ログ/全社員への一括設定強制/情報漏洩防止ソフト(DLP)/定期教育 |
SSO(社内ログイン統合):社員が普段使っている会社のIDでそのままログインできる仕組み。退職者のIDを止めれば、AIツールも自動的に使えなくなるのが最大の利点です。
監査ログ:「いつ・誰が・何をしたか」の記録。何かあったときに調べられる、防犯カメラのようなものです。
DLP(情報漏洩防止ソフト):社員が機密情報を送ろうとした瞬間に自動で止めてくれる見張り役のソフトです。
弊社のお客様で最も多いのは②の窓口集約からのスタートです。現場の方に「AIを使ってください」とお願いしても最初は動きません。まず担当者が数件やってみせて、効果が数字で見えてから広げる。この順番だと社内の反発がほとんど起きません。
利用OKケース/利用NGケースの判断指針
営業面談で「これは使っていいの?」と聞かれた時の、AI鬼管理の判断軸。
ここからが、経営者の方に最も役立つパートです。「うちの業務だと、どこまで使っていいんですか?」というご質問への直接的なお答えです。
判断軸はシンプルで、「何のデータを」「どんなプランで」「どういう社内ルールで」使うかの3点だけ。下に具体例を並べました。
OKケース・NGケースの具体例
OK使ってOKなケース
- 社内の一般的なドキュメントや公開済みの仕様書を要約・整理してもらう
- 開発・テスト環境での試作・調査・コードレビューに使う
- 社員研修・学習目的での利用(個人プランの範囲内でも可)
- ZDR + 必要な法的契約(後述)を結んだうえで、機微な情報を最小限のスコープに絞って扱う
- Bedrock 等で要件を満たすリージョンを選択+PrivateLink 等で公共インターネットを通さない私的接続を構成して業務利用
NGこのまま使うのは危険なケース
- パスワード・APIキー・サーバーログイン情報を、そのまま指示文に貼り付ける
- 個人情報・カード番号・診療情報・未公表の財務データを、無料/個人プランで扱う
- 使い方のルールを決めずに、全社員に自由に使わせる
- 本番データベースに繋がる環境で、エージェントに勝手にコマンド実行させる
- 社外秘のM&A情報・人事評価・係争関連を、個人アカウントの ChatGPT/claude.ai で扱う
NGケースで「必要な法的契約」と書いたのは、この2つの契約書のことです。情シス・法務の方に伝えるときに役立ちます。
BAA(ビジネス・アソシエイト契約):医療情報を扱うときに、米国 HIPAA 法で結ぶ契約。日本の医療系プロジェクトでも参考にされます。
DPA(データ処理契約):個人情報の取扱いについて結ぶ契約。GDPR 対応で必要。
Anthropic・OpenAI とも対応制度自体は用意されていますが、対象サービス・契約形態・用途・審査条件によって締結可否が変わります。締結可能な場合があるため、案件ごとに対象サービスと契約条件を必ず確認する必要があります。AI鬼管理が間に入って手続きをご支援します。
判断マトリクス(7つの観点)
AI鬼管理がお客様の社内導入の可否を判断するときに、実際に使っている表です。気になる軸からご覧ください。
▼ 7軸の判断マトリクス
| 判断軸 | OK と判断できる条件 | 危険 / NG と判断する条件 |
|---|---|---|
| データの種類 | 社内一般・公開情報・OSS | 個人情報・診療情報・未公表財務 |
| 使う環境 | 開発/テスト/学習用途 | 本番・止まると業務が止まる領域 |
| 渡すファイル範囲 | 対象ファイルだけを限定 | フォルダ丸ごと無制限に渡す |
| 契約・規制対応 | ZDR+BAA/DPAを必要に応じ締結 | 何も契約せず機微情報を扱う |
| ネットワーク | 要件を満たすリージョン選択+PrivateLink等で私的接続 | 公開Wi-Fiから直接利用/制御なし |
| 社内ガバナンス | ルール/監視/教育が整っている | 全社員に丸投げで運用ルールなし |
| プロンプトの書き方 | 機密を貼らないルールが浸透 | 機密を貼ってもOKの状態 |
業務を自動化するとき、個人情報はどう扱えばよいのか
自動化で必ずぶつかる「この情報をAIに渡してよいのか」問題。原則をご説明したうえで、士業・医療・人材などの具体例でご紹介します。
業務の自動化を進めようとすると、どの会社でも必ず「この情報をAIに渡してよいのか」という壁にぶつかります。前章までの「入れてよい情報/ダメな情報」の話と、実際に自動化したい業務は、たいてい正面からぶつかります。
たとえば社労士事務所や税理士事務所、クリニックのように顧客情報を扱うことが仕事そのものという場合、「名前を伏せてください」と言われても仕事になりません。ここでは、そうした場合にどう考えればよいのかを、原則と具体例に分けてご説明します。
原則:AIに「作業させる」のではなく「道具を作らせる」
多くの方は、AIの使い方を「データを渡して、処理してもらう」ものだと考えています。この使い方だと、当然ながら中身を見せることになります。
ですが、業務の自動化で本当に効くのは逆のやり方です。AIには「その作業をこなす道具(プログラム)」を作らせ、実際のデータはその道具に自分のパソコンで処理させる——この形なら、顧客情報がAI側に渡ることは一度もありません。
実データが動くのは3番目だけで、そこにAIは関与しません。AI会社への通信も発生しません。
たとえば給与ソフトから出したExcelを自動処理したいとき、AIが知る必要があるのは「A列に氏名、B列に部署、C列に残業時間が入っている」という形の情報だけです。
氏名が本物である必要はありません。「山田太郎」というダミーを1行渡せば、AIは道具を作れます。ここが直感に反するところですが、実務ではほぼ常に成立します。
これが「AIに聞く」と「自動化する」の違いです。毎回AIに相談するのは自動化ではありません。一度道具を作ってしまえば、翌月からはAIを使わずに動きます。速いだけでなく、情報漏洩の経路が最初から存在しない形になります。
例:業種別に見た「何を渡し、何を作らせるか」
この原則を、実際にご相談の多い業種にあてはめた例です。士業に限らず、顧客情報や従業員情報を扱う業務であれば同じ考え方が使えます。いずれの例も顧客の実データはAIに渡していません。
| 業種 | 自動化したい業務 | AIに渡すもの(実データではない) | 作らせる道具 |
|---|---|---|---|
| 社会保険労務士 | 勤怠集計・36協定の超過チェック | 勤怠CSVの列構成と、氏名をダミーにした1行 | 月末に勤怠ファイルを読み込み、残業45時間超の人を一覧化するプログラム |
| 税理士・会計事務所 | 仕訳の自動分類・試算表の異常検知 | 勘定科目の一覧と、摘要欄の書き方のパターン(金額・取引先は架空でよい) | 摘要から科目を自動判定し、前月比で異常な数字に印を付ける仕組み |
| 医療機関・クリニック | 予約管理、レセプト提出前の形式チェック | 入力項目の名前と、必須・任意のルール(患者情報は渡さない) | 記入漏れ・形式不備を提出前に洗い出すチェックツール |
| 人材紹介・派遣 | 求人票の作成、条件でのマッチング整理 | 求人票のフォーマットと、条件項目の定義 | 求人票の下書き生成と、条件に合う候補を絞り込む仕組み |
| 不動産 | 重要事項説明書・契約書の不備チェック | 自社の雛形と、確認すべき項目のリスト | 作成済み書類の記載漏れを指摘するチェックリスト自動照合 |
| 士業共通 | 顧問先への月次レポート作成 | レポートの構成と、数字の入る場所の定義 | 手元の集計データを差し込んで体裁を整えるレポート生成ツール |
この表を見ていただくと分かるとおり、繰り返しの事務作業は、ほぼすべてこの形で自動化できます。士業の業務は定型作業の比率が高いので、実は相性が良い領域です。「顧客情報を扱うから無理」と諦めていた事務所ほど、削減できる時間が大きく残っています。
それでも中身を見せる必要がある業務は、3つの方法で対応する
一方で、中身を読むこと自体が目的の作業もあります。労務相談への回答文を作る、就業規則を読んでリスクを指摘させる、面談記録を要約する、といった業務です。この場合は次の3つで対応します。
1固有名詞を置き換えて渡す
「株式会社〇〇の田中さん」を「A社の従業員X」に置き換えます。相談内容の判断に、実名はほぼ必要ありません。置き換え作業自体も、前述の「道具」で自動化できます。
2法人プランを契約し、顧問先の同意を得ておく
法人プランなら学習に使われず、データの取扱いについての契約(DPA)も結べます。そのうえで顧問先との契約書に「業務にAIサービスを利用する」旨を記載しておくのが安全です。
3渡さない情報を、最初から決めておく
とくにマイナンバーは渡さないと決めてください。番号法は個人情報保護法より取扱いが厳しく、設定を安全にしたから大丈夫、という性質のものではありません。
顧客から預かった個人情報をAIサービスに送ることは、学習に使われるかどうかとは別に、「外部への委託」に当たると整理されるのが一般的です。
つまり「学習に使われないから問題ない」だけでは説明が足りません。顧問先から「うちの従業員データをAIに入れていますか」と聞かれたときに、きちんと説明できる状態——契約と社内ルールで整理しておくこと——が必要になります。
ここまでご説明した「道具を作らせる」方式が有効なのは、そもそも渡していないので、この論点自体が発生しないからです。
※ 本セクションは実務上の整理をご紹介するもので、法的助言ではありません。委託・再委託の該当性や顧問先への説明方法については、必ず所属会・顧問弁護士等にご確認ください。
実際の漏洩は「AI」ではなく、作ったものの置き場所から起きている
2026年に実際に起きた2件の事故から。ここを見落とすと、AIをいくら安全に使っても意味がありません。
ここまでは「AIの会社にデータが渡るのか」というお話でした。ですが実際に世の中で起きている情報漏洩は、ほとんどがまったく別の場所から起きています。ここを知らないまま「AIは危ない/安全だ」と議論しても、肝心の穴が空いたままになります。
2026年に実際に起きた2件
いずれも、日本で広く使われているサービスを提供している企業で起きた事故です。
| 事案 | 何が起きたか | 影響 |
|---|---|---|
| マネーフォワード (2026年5月公表) | 開発に使っている GitHub の認証情報が漏れ、第三者に不正アクセスされてリポジトリ(プログラムの保管庫)がコピーされた。本来の手順から外れて、個人情報を含むファイルが保管庫の中に置かれていた。 | サービスのプログラムのほか、個人情報が流出した可能性。単独では個人を特定できないデータを含めると約6万2,900人分にのぼると公表された。 |
| CAMPFIRE (2026年4月公表) | システム管理用の GitHub アカウントに不正アクセスされ、そこを足がかりに顧客情報を保管しているデータベースへ侵入された形跡が確認された。 | 最大22万5,846件の個人情報が漏洩した可能性。うち口座情報を含むものが8万2,465件。 |
誤解のないように補足します。この2件はAIが原因ではありません。AIを使っていたから起きた事故ではなく、開発の現場で以前から起こり得た事故です。ここで申し上げたいのは「AIが危ない」ではなく、本当に守るべき場所はAIの外側にもあるということです。
なぜAI導入とセットで考える必要があるのか
「開発の話でしょう」と思われるかもしれません。ですが、AIを導入するとこの種のリスクは確実に増えます。理由はシンプルで、作れる量が一気に増えるからです。
1作るものが増える
これまで外注していた小さなツールを社内で作れるようになります。プログラムの保管庫も、パスワードの類も、置き場所が一気に増えます。増えた分だけ管理漏れが起きます。
2作る人が増える
これまで開発に関わらなかった部署の方が作り始めます。悪意はなくても、「この情報を保管庫に置いてはいけない」という作法を知らない人が触ることになります。
3速度が上がる
数日かかっていた作業が数時間で終わります。便利な反面、確認の工程が省かれやすくなります。上の2件も、原因は高度な攻撃ではなく手順から外れた運用でした。
プログラムを保管・共有しておく倉庫のことです。GitHub は、その倉庫を貸してくれる世界標準のサービスだとお考えください。
便利なのですが、倉庫の鍵(認証情報)を1本盗まれると、中身がまとめて持ち出されます。しかも「本来入れてはいけない書類」(顧客名簿やパスワードを書いたファイル)がうっかり入っていると、それも一緒に出ていきます。上の2件はどちらもこの形でした。
最低限やっておく5つのこと
専門知識がなくても、次の5つは指示として出せます。情シスや開発担当の方にそのままお渡しください。
① GitHub などの開発サービスに、二段階認証を必須にしているか?
今回の2件はいずれも認証情報の突破が入口でした。パスワードだけの状態を全社からなくすのが最優先です。
② パスワードや接続キーを、プログラムの中に直接書いていないか?
専用の保管サービス(AWS Secrets Manager、Google Secret Manager など)に預けるのが原則。倉庫が盗まれても鍵は盗まれない状態にします。
③ 個人情報を含むファイルを、保管庫に置いていないか?
マネーフォワードの事案は、本来の手順から外れて個人情報入りのファイルが置かれていたことが原因でした。定期的に中身を点検してください。
④ 誰がどの保管庫に入れるのか、棚卸ししているか?
退職者・業務委託の方のアカウントが残っていないか。四半期に一度の確認を仕組みにしてください。
⑤ AIが書いたプログラムも、人がレビューしているか?
AIは指示どおりに動きますが、「この情報を外に出してはいけない」という自社の事情までは分かりません。公開範囲と権限は人が必ず確認してください。
「Claude Code は安全ですか」と聞かれたら、私は「AI本体より、作ったものの置き場所のほうが穴になりやすいです」とお答えしています。前の章までの契約の話が守りの半分、この章が残り半分です。両方そろって初めて、安心して使える状態になります。
ここから先は、上場企業・金融・医療など「規制の厳しい業種」向けの詳細です。
履歴を残さない設定(ZDR)、監査ログ、国際認証、法規制への対応など、情シス部門や監査対応が必要な会社のための内容になります。中小企業の方は、ここまでの内容で導入して問題ありません。稟議で細かく問われたときに、必要な箇所だけお読みください。
Claude Code(Anthropic)のセキュリティ
Claude を提供する Anthropic 社の安全対策を、用語の意味と一緒にやさしく解説。
Claude Code を作っているのは Anthropic(アンソロピック)という米国の会社で、元 OpenAI のメンバーが「安全性を最優先する AI」を掲げて2021年に設立した会社です。
データの扱い方や認証取得については AI 業界の中でも特に丁寧に設計されています。順番にひとつずつ見ていきましょう。
① 入力したコードや指示は、AI の勉強材料に使われる?
結論:法人プラン(API・Claude for Work)では、原則・デフォルトで学習に使われません。業務で扱うソースコードや社外秘のドキュメントを Claude Code に渡しても、デフォルト設定では Anthropic 社の AI 学習材料に流用されません。
ただし例外として、組織管理者が「Development Partner Program」等に明示的に opt-in(参加同意)した場合は、当該データが製品改善に利用される可能性があります。導入時には、自社の管理コンソール設定を確認することが大切です。
一方、個人向けの claude.ai(Free/Pro/Max)は2025年8月の規約改定以降、初期設定のままだと入力内容が学習に使われます(「Privacy Settings → Model Improvement」を自分でオフにする=オプトアウトが必要)。法人利用ではビジネス向けプランを選び、管理コンソールで opt-in 状況を確認することをお勧めします。
② ZDR(履歴を残さない設定)とは何か
ここで 「ZDR(ゼットディーアール)」という言葉が出てきます。お客様からも「ZDR って結局なに?」とよく聞かれるので、まず用語をご説明します。
「ベンダーのサーバー側に、送信したデータを原則として保持しない設定」のことです。
通常は、いつ・誰が・何を送ったかを30日ほどログとして保管します(不正利用がないかチェックするため)。ZDR を有効にすると、この30日ログを基本的に残さない運用に切り替わります。
ただし完全無保存ではない点と、Anthropic と OpenAI で仕組み・例外条件が異なる点にご注意ください。
・Anthropic の ZDR:ポリシー違反対応や法令要請の場合、関連データを最大2年まで保持し得ると公式説明されています。
・OpenAI の ZDR:API Platform の対象エンドポイントごとの保持制御で、Application State など別体系の例外条件があります。
また、Claude Code はお手元のPC側にセッションの会話履歴(transcript)を一定期間ローカル保存する設定があるため、こちらは別途取扱いの設計が必要です。
「サーバー側にできるだけ残されたくない」という上場企業や金融・医療系のお客様向けに用意された、一段高い守りの設定だとお考えください。
※ ZDR ON でも、法令・ポリシー違反対応で例外的に保持されるケースあり。Claude Code はローカルPC側のtranscript保存は別管理が必要。
Claude for Enterprise(法人向け上位プラン)の契約か、API キー(プログラム連携用の利用権)経由の利用で、Anthropic のアカウント担当に依頼すれば組織単位でオンにできます。有効化した記録はすべて監査ログに残るため、後から「いつ有効化したか」を証明できます。
ただし注意点として、ZDR をオンにすると、サーバー側で履歴保存が必要な一部の機能は使えなくなります(Web版のClaude Code、リモートセッション、フィードバック送信など)。「履歴を残さない」ことと「履歴で動く機能」は両立できないので、ここはトレードオフです。
▼ ZDR の対象と対象外(早見表)
| 区分 | ZDR の効き方 | 備考 |
|---|---|---|
| Claude Code 本体(ターミナルから使う) | Anthropic 側には原則保持されない | 法令・ポリシー違反時は最大2年保持の例外あり/ローカルPC側のtranscriptは別途取扱い設計が必要 |
| claude.ai(ブラウザのチャット画面) | 対象外 | 標準の保持ポリシー・組織設定に従う(個人プランは設定で変動、法人組織は組織側の保持設定・削除・エクスポート仕様に依存) |
| Claude Code on the Web(ブラウザ版) | 機能自体が使えない | 履歴必須のため |
| Anthropic への /feedback 送信 | 機能自体が使えない | 送信内容を残す前提のため |
| Bedrock / Vertex AI 経由 | AWS/Googleの規約に従う | Anthropic の ZDR は適用されない |
| MCP(外部ツール連携)経由のデータ | 対象外 | 連携先の規約を別途確認 |
③ Amazon・Google のクラウド経由で使う方法
「データを日本国内に置きたい」「会社のネットワーク内で完結させたい」というご要望には、Amazon や Google のクラウド経由で Claude を使う方法が効きます。
どちらも大手クラウドが提供する「企業向けAIサービス基盤」です。Bedrock は Amazon Web Services(AWS)、Vertex AI は Google Cloud の中にあります。Anthropic の Claude は、この Bedrock・Vertex AI 経由でも利用できます。
嬉しい点はデータを置くリージョンを指定できることですが、選択肢はサービス側の提供状況に依存します。AWS Bedrockでは東京リージョンなど日本国内を選択可能なケースがありますが、Google Cloud Vertex AI 上の Claudeは提供地域が限定(公式表ではアジア太平洋は Singapore/Taiwan 等の掲載)で、必ずしも日本リージョンが選べるとは限りません。
「日本国内のデータセンターから出してはいけない」要件がある場合、契約検討時にどのリージョンが対象かを必ず公式ページで最新確認してください。
④ 暗号化と社内ログイン連携
通信はTLS(インターネットの標準的な暗号化方式。銀行のサイトや Amazon と同じ仕組み)で守られています。途中で盗み見られる心配はありません。
Claude for Enterprise では、社員のアカウント管理を会社のメインのID基盤(Microsoft Entra ID/Okta/Google Workspace 等)と連携できます。退職者のアカウントを自動で停止する、部署ごとに権限を変える、誰がいつ使ったかを記録する——といった企業ガバナンスの基本機能が一通りそろっています。
3つとも社内のID・アカウント管理に関する用語です。経営者の方が覚える必要はありません(情シスご担当の方にだけ伝えれば大丈夫です)。
SSO(シングルサインオン):いつもの会社のIDで Claude にもログインできる仕組み。
SCIM(スキム):入社・退職時に自動でアカウントを追加・停止する仕組み。
RBAC(ロールベース・アクセス制御):「営業部はこれ、経理部はあれ」と権限を分ける仕組み。
⑤ 国際的なセキュリティ認証の取得状況
Anthropic は、世界の大企業が「このベンダーは信頼できる」と判断するための国際認証をひと通り取得しています。社内の情シスや法務に「このAI、認証取れてる?」と聞かれた時の回答にもなる一覧です。
▼ Anthropic が取得している主な認証(2026年5月時点)
| 認証 / 規制 | 取得状況 | 何のため? |
|---|---|---|
| SOC 2 Type II | 取得済 | 「ベンダーの内部管理がちゃんとしている」ことの米国基準の証明(最も一般的な企業向け認証) |
| ISO/IEC 27001 | 取得済 | 情報セキュリティの国際標準。ISMS と呼ばれる管理体制の認証 |
| ISO/IEC 42001 | 取得済 | AIマネジメントシステムの新しい国際標準(AI 専用の認証) |
| HIPAA(ヒッパ) | BAA 締結対応 | 米国の医療情報保護法。日本の病院・医療系SaaSも参考にする規制 |
| GDPR(ジーディーピーアール) | 対応 | EUの個人情報保護規制。EU住民のデータを扱う場合に必要 |
これらの認証は、「Anthropic 社内のインフラがしっかり管理されている」ことを国際機関が証明しているもの、と捉えてください。
ただし大事なポイントがあって、これだけで安心はできません。「ベンダー側の安全性」と「自社の使い方」は別物です。報告される多くの AI 関連インシデントは、ベンダー側の脆弱性ではなく、導入企業側の運用ミス(機密の貼り付け/権限設計不備/社員教育不足)が原因で起きています。認証はあくまでスタートライン、ということだけ覚えてください。
この3層が揃って初めて「安全な AI 導入」が成立します
⑥ Claude Code ならではの安全装置
Claude Code は、AI が勝手にコマンドを実行したり、ファイルを書き換えたりできるツールです。「便利」と「危険」が同居しているため、Anthropic は普通のチャット型AIにはない6つの安全装置を組み込んでいます。
1標準設定では承認なしに動かない
標準設定では、危険な操作や未許可の操作に対して「実行していいですか?」と確認が出ます(Auto/Accept Edits 等のモード設定、許可済みルール、管理ポリシーで挙動は変わります)。
2書き換えられる場所が決まっている
起動したフォルダとその配下だけが書き換え対象。親フォルダや他フォルダへの書き込みは原則できません(読み取りは可能なので、機密ファイルは permissions.deny 設定で明示除外を推奨)。
3サンドボックスで境界を設定
/sandbox で起動すると、あらかじめ定義した境界の中だけで動作するモードに入れます(完全遮断ではなく、許可した範囲を超える操作は都度承認が必要になる仕組み)。
4危険なコマンドは標準で遮断
インターネットから何かをダウンロードしてくる系のコマンドは、デフォルトでブロックされています。
5外部から取り込んだ文章は別枠で処理
Webから取得したコンテンツに悪意ある指示が紛れていても、本体の指示と切り分けて処理します。
6パスワード・鍵はOSの保護機能で管理
APIキー等は macOSは Keychain、Linux/Windows はユーザー領域のファイルに保存され、OSのアクセス権で他ユーザーから保護されます(運用上は端末暗号化・ロックの徹底を推奨)。
Codex(OpenAI)のセキュリティ
ChatGPT を提供する OpenAI 社の「Codex」も、同等の安全対策が取られています。
OpenAI の「Codex(コーデックス)」は、ChatGPT を作っている会社のコーディングエージェントです。Claude Code とよく似た働きをします。
ただ、ここで一つ落とし穴があります。「Codex」という名前は 2021年〜2023年に提供されていた古いサービス名と同じなんです。「Codex はもう終わったと聞いた」とおっしゃるお客様がいらっしゃいますが、古い Codex は確かに終わりましたが、現在の Codex は別物として現役で提供されています。ここを最初にクリアにしておきます。
① 「いまの Codex」と「昔の Codex」の違い
昔の Codex(2021〜2023):プログラマー向けのコード補完専用の AI モデル。code-davinci-002 などの名前で API 提供されていました。これは廃止されています。
いまの Codex(2025〜):ChatGPT を支える最新モデル(GPT-5 系)を使った「コーディングエージェント」。あなたの代わりにコードを書いたり、ターミナルでコマンドを実行したりできます。Claude Code と同じカテゴリの製品です。
提供プランは ChatGPT Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu(旧称「Team」は現在「Business」に名称変更)に含まれ、別途 API キー経由でも利用できます。Free/Go プランへの提供は期間限定扱いです。最新の提供状況は OpenAI 公式ヘルプ「Using Codex with your ChatGPT plan」をご確認ください。
② データの取扱い
OpenAI も Anthropic と同様に、ビジネス向けプラン(API/ChatGPT Business/Enterprise/Edu)では、原則・デフォルトで入力データを学習に使いません。
ただし例外として、API では組織オーナーが「データ共有」設定に明示的に opt-in した場合に共有対象となることがあります。導入時には組織設定の確認が必要です。
一方、ChatGPT の Free・Go・Plus・Pro など個人向けプランは、設定によって学習に使われる可能性があります。業務利用では必ずビジネス向けプランをお選びください。
③ ZDR(履歴を残さない設定)
OpenAI でも ZDR を組織単位・プロジェクト単位で有効化できます。ただしAnthropic の ZDR とは仕組みが異なる点に注意が必要です。
OpenAI の ZDR は API Platform(OpenAI Platform 経由のAPI利用)の組織・プロジェクト単位のデータ保持制御で、対象エンドポイントを限定して有効化されます。一部の Application State(状態保持が必要な機能)には例外があり、Codex/ChatGPT のすべての機能に一律で同じ効果が得られるわけではありません。導入時には対象機能と例外条件を必ず確認してください。
④ コンプライアンス認証
OpenAI が公開している主要な認証は SOC 2 Type II、ISO/IEC 27001/27017/27018/27701 等です。HIPAA・BAA 締結や FedRAMP、PCI DSS 等の対応は対象サービス・契約・利用環境ごとに異なるため、自社のユースケースに該当するかは個別に OpenAI Trust Portal および契約内容で確認する必要があります。AI鬼管理導入支援では、ここの確認作業もご一緒に行います。
⑤ Claude Code と Codex、どっちがいい?
「Claude Code と Codex、どっちが安全ですか?」とよく聞かれるのですが、認証取得状況はほぼ同等です。どちらかが劇的に優れているわけではありません。
選び方は「自社のクラウドが AWS なら Bedrock 経由で Claude」「普段から ChatGPT を使っているチームなら Codex」のように、既存の社内環境やお気に入りのツールに合わせて選ぶのが現実的です。AI鬼管理では、お客様の状況に応じて両方を併用するご支援も多くしています。
プラン別比較表(一目で分かる管理機能の差)
社内稟議・情シス確認用。学習利用/ZDR/管理機能/SSO/監査ログの有無を、プランごとに整理。
学習利用:入力した内容がAIの勉強材料に使われること。「原則なし」なら業務で使って問題ありません。
ZDR:AI会社のサーバー側に履歴を残さない上級設定。上場企業・金融・医療向けの一段高い守りです。
SSO / SCIM:会社のIDでそのままログインでき、入退社に合わせて利用者を自動で追加・削除できる仕組み。退職者のアカウント消し忘れを防げます。
監査ログ:いつ・誰が・何をしたかの記録。何かあったときに調べられる防犯カメラのようなものです。
※ この4つがすべて「○」なのが Enterprise 相当。ただし、学習利用だけを心配しているのであれば Team 相当で解決します。
「結局うちはどのプランを選べばいいの?」というご質問は本当に多いので、一目で見比べられる比較表を用意しました。業務利用なら、行が下にあるプランほど安全装置が揃います。
「Free / 個人プラン」は業務利用に向きません。「Enterprise」相当が、機密データを扱う現場の事実上の標準です。
Claude(Anthropic)のプラン比較
claude.ai の個人プランから、API・法人プランまでを横並びで比較します。
| プラン | 学習利用 | ZDR | 管理機能 | SSO/SCIM | 監査ログ |
|---|---|---|---|---|---|
| claude.ai Free | 既定でオン(設定でオフに可) | × | × | × | × |
| claude.ai Pro / Max | 既定でオン(設定でオフに可) | × | × | × | × |
| Claude for Work(Team) | 原則なし | × | △ 基本管理 | △ SSO可/SCIM不可 | × / 利用分析・データエクスポートは別 |
| Claude for Enterprise | 原則なし | ○ 申請で可 | ○ フル | ○ SSO・SCIM両方 | ○ Audit logs |
| Anthropic API(pay-as-you-go) | 原則なし | ○ 申請で可 | ○ API レベル | × | △ アプリ側で実装 |
| Bedrock / Vertex AI 経由 | 原則なし | 各クラウドの設定に従う | 各クラウドの IAM | 各クラウドの基盤 | 各クラウドのログ |
Codex / ChatGPT(OpenAI)のプラン比較
ChatGPT の個人プランから、API・法人プランまでを横並びで比較します。
| プラン | 学習利用 | ZDR | 管理機能 | SSO/SCIM | 監査ログ |
|---|---|---|---|---|---|
| ChatGPT Free / Go | 既定でオン(設定でオフに可) | × | × | × | × |
| ChatGPT Plus / Pro | 既定でオン(設定でオフに可) | × | × | × | × |
| ChatGPT Business(旧 Team) | 原則なし | × | △ 基本管理 | △ SSO のみ | △ 管理画面の確認範囲のみ(Compliance Platform は Enterprise/Edu) |
| ChatGPT Enterprise / Edu | 原則なし | △ API Platform 利用時のみ/ChatGPT・Codex 機能は対象・例外を別途確認 | ○ フル | ○ | ○ Compliance API |
| OpenAI API(Platform) | 原則なし | ○ 組織・案件単位で申請 | ○ API レベル | × | △ Organization Audit Logs API |
※ いずれの法人プランも「管理者・組織オーナーの明示 opt-in」によって学習利用される例外がある点にご注意ください(Anthropic の Development Partner Program、OpenAI API のデータ共有設定など)。導入時には管理コンソールで現在の設定を必ず確認してください。
導入前チェックリスト(社内稟議・情シス確認用)
11項目を上から順に確認すれば、最低限の安全装置はそろいます。情シス・法務との合意形成にもご活用ください。
「何を確認すれば導入してOKと言えるのか分からない」というご相談がよくあります。AI鬼管理が伴走するお客様には、導入前にこのチェックリストを情シス・法務と一緒に埋めていただくことをお願いしています。
そのままコピーして社内資料・稟議書にお使いいただけます。
① 法人プランで契約しているか?
個人向け(Free / Pro 等)を業務利用していないか確認。Claude for Work / Enterprise、ChatGPT Business / Enterprise が法人プランの目安。
② 学習利用の opt-in が無効になっているか?
管理コンソールで「Development Partner Program」(Anthropic)「データ共有設定」(OpenAI API)等の明示同意がオフになっているか確認。
③ ZDR の申請を済ませているか?(機密データを扱う場合)
Anthropic:Claude for Enterprise またはAPI キー経由で申請。OpenAI:API の組織・案件単位で申請。申請しないと有効化されない。
④ ローカルPC側の履歴(transcript)の扱いを決めているか?
Claude Code はお手元のPC側にも会話履歴が一定期間残る設定がある。保存期間・削除タイミング・端末暗号化を社内ルール化。
⑤ MCP・外部ツール連携の有無を把握しているか?
連携先(Slack、Google Drive、社内DB 等)には別途の規約と権限管理が必要。各連携先の取扱いを個別に確認。
⑥ DLP(情報漏洩防止ソフト)を導入しているか?
機密データを扱う環境では強く推奨。ベンダー認証だけでは社内からの誤送信は防げない。
⑦ 監査ログの保存期間・保管場所を決めているか?
ベンダー側ログ(30日〜)に加え、社内のSIEMへ取り込んで長期保管する設計が必要な場合あり(ISO 27001 / Pマーク審査対応)。
⑧ 本番環境では「最小権限」設定になっているか?
開発環境とは別に、本番では許可されたコマンドのみ実行可・外部APIアクセス制限を強制(Managed Settings / Enterprise Policy)。
⑨ BAA / DPA 等の必要な契約を確認したか?
医療系は BAA、EU 個人情報は DPA。対象サービス・契約条件により締結可否が変わるため、案件ごとに事前確認。
⑩ 社内利用ルールを文書化したか?
「機密の貼り付け禁止」「フォルダ丸ごと渡さない」「外部由来文章はそのまま渡さない」等を明文化。
⑪ 全社員(管理者・現場・経営)に教育を実施したか?
事故の多くは「ルールを知らない/忘れた」から起きる。定期教育・新入社員研修への組み込みを推奨。
このチェックリストに「すべて○」が付くまでは、機密データを扱う本番投入は控えるのが安全です。AI鬼管理では、お客様と一緒にこのチェックリストを埋めるところから伴走を開始します。
MCP・外部ツール連携の注意点(事故が起きやすい領域)
Claude Code・Codex を Slack / Google Drive / 社内DB 等と連携する場合は、別途のリスクが生まれます。
事故が起きやすい領域の一つが「外部連携の入口」です。連携した瞬間に、連携先(Slack や Drive 等)のデータが AI 側に流れ得るので、連携先ごとに「何のデータが、どう渡るか」を確認する必要があります。
MCP(Model Context Protocol)とは
MCP は、AI エージェントが外部のサービス(Slack、Google Drive、社内データベース等)と連携するための共通仕様です。Anthropic が提唱し、多くのツールが対応を始めています。
便利な反面、連携した瞬間に「連携先のデータも AI が見られるようになる」ため、本体(Claude Code・Codex)の安全設定だけでなく、連携先の規約・権限設計も必須です。
連携時に必ず確認すべき4点
1連携先のデータ取扱い規約
Slack・Google Drive・Notion 等、それぞれが「データをどう保管するか」「学習利用するか」を別途定めています。連携先の規約は AI ベンダーの規約とは別物です。
2OAuth 権限は最小限に
「読み取り専用」「特定チャンネル/フォルダのみ」など、必要最小限の権限スコープで連携。「全権限」を渡さないこと。
3連携先のアクセスログも監査対象に
AI ベンダーの監査ログだけでは不十分。連携先(Slack 等)のアクセスログも社内 SIEM で監視。
4連携先の規約変更を定期確認
連携先の規約は予告なく変わることがあります。半年〜年次で再確認するルーチンを設定。
日本企業向けの規制観点(法務・情シス確認用)
日本国内の法令・ガイドラインに照らした検討ポイント。最終判断は必ず自社の法務・情シスでご確認ください。
海外のベンダー認証(SOC 2 / ISO 27001 等)は重要ですが、日本の法令・業界ガイドラインに照らした確認も別途必要です。
以下は、日本企業の導入で頻繁に議論になる規制観点を整理したものです。最終判断は必ず自社の法務・情シスでご確認ください。AI鬼管理は知識面のサポートはできますが、法的判断は行えません。
| 観点 | 主な要件 | 導入時の確認ポイント |
|---|---|---|
| 個人情報保護法(個情法) | 利用目的の特定・通知、第三者提供の制限、委託先管理など | AI ベンダーへの提供を「委託」と整理できるか/委託先監督義務を果たす契約(DPA等)が結べるか |
| 委託先管理 | 個人データを預ける第三者の選定・契約・監督が自社の義務として残る | AI ベンダーの認証取得状況・契約条件を 社内基準に照らして審査し、定期見直しの仕組みを持つ |
| FISC 安全対策基準(金融機関) | 銀行・証券・保険等が遵守する情報セキュリティ基準 | データレジデンシ(日本国内保管)/監査ログ/アクセス制御等をFISC 項目に照らしてマッピング |
| 医療情報システム安全管理ガイドライン(医療機関・関連事業者) | 通称「3省2ガイドライン」。医療情報の取扱いに関する厚労省・経産省・総務省の基準 | BAA に加え、3省2ガイドラインの最新版に照らした審査が必要(クラウド利用時の取扱い) |
| 業界個別の規制 | 電気通信事業法、金融商品取引法、薬機法など | 業界固有の規制がある場合は、その規制の所管部門と相談 |
この表は「論点の整理」を目的としており、法的助言ではありません。各規制への適合判断は、必ず自社の法務部門・外部法律事務所・所管官庁等にご確認ください。AI鬼管理は技術側のご支援を担当し、法務判断は専門家との連携をお勧めしています。
よくあるご質問(FAQ)
面談・お問い合わせで頻繁にいただくご質問への回答。クリックで開きます。
📖 このFAQに出てくる専門用語の早見表(クリックで開きます)
.env など機密ファイルが誤って GitHub にアップされるのを防ぐ。入力したコードや質問内容は、AI の学習に使われてしまいますか?
法人プラン(API・Claude for Work・ChatGPT Business/Enterprise/Edu)では、原則・デフォルトで学習に使われません。
ただし例外として、組織管理者・組織オーナーが明示的に opt-in した場合は学習対象になる可能性があります(Anthropic の Development Partner Program 参加、OpenAI API のデータ共有設定の有効化など)。導入時には管理コンソールで opt-in 状況を確認してください。
一方、個人向けの claude.ai(Free/Pro/Max)や ChatGPT(Free/Go/Plus/Pro 等)は、設定によって学習に使われる可能性があるため、法人利用ではビジネス向けプランをお選びください。
ZDR(履歴を残さない設定)とは何ですか?簡単に教えてください。
ひとことで言うと「ベンダーのサーバー側に、送信したデータを原則として残さない設定」のことです。
有効化の方法は Anthropic と OpenAI で異なります。Anthropicは会社単位、OpenAIは会社単位・案件単位で、それぞれ申請ベースで有効化できます。OpenAI 側は「どの機能で ZDR を使うか」を細かく指定する必要があり、ChatGPT や Codex のすべての機能に一律に効くわけではない点に注意してください。
また完全に残らないわけではないのもポイントです。法令対応やポリシー違反の調査など、限られた例外条件下では一時的に保持されます。さらに、Claude Code はお手元のPC側にも会話履歴が一定期間残る設定があり、こちらも別途整理が必要です。AI鬼管理ではこれらの手続き全体をご支援できます。
送ったコードを、Anthropic や OpenAI の社員に見られることはありますか?
通常運用では、ベンダー社員のアクセスは厳格に制限されています。ZDR を有効にすると、保持されるデータ自体が大きく減るため、通常運用でベンダー社員が保持データを閲覧するリスクをさらに下げられます。
ただし「絶対に見られない」とは言えません。法令対応・ポリシー違反対応・処理中の取り扱いなど、限られた例外条件下では関係者のアクセスが発生し得ます。日常の業務利用で見られるご心配はほぼありませんが、契約検討時には各社の最新の取扱い規定を確認してください。
Claude Code を使うと、パソコン内のファイルはどこまで送信されますか?
送信されるのは、あなたが明示的に「これを見て」と渡したファイルと、作業中にClaude Codeが読み込んだファイルです。パソコン内のファイルが勝手にすべて送られることはありません。
ただし注意点が2つあります。
① 書き込みは起動したフォルダの中だけに制限されますが、読み取りは外のフォルダも可能です(システムの共通ファイルを参照する必要があるため)。
② フォルダを丸ごと「これ全部見て」と渡してしまうと、その中の .env(パスワードが書かれた設定ファイル)まで一緒に送られる可能性があります。
対策は2段構え:①渡すファイルは必要なものだけに絞る、②設定ファイル(permissions.deny)で機密フォルダや機密ファイルを「見せない」と明示する。AI鬼管理ではこの設定と社内ルール作りを導入支援に含めています。
そもそも「.env ファイル」って何ですか?パスワードを書いておけば安全と聞きました。
まず「.env」が何かをご説明します。
「.env(ドット・イー・エヌ・ブイ)」とは、エンジニアがよく使う設定ファイルの一種です。プログラム本体には書きたくない「パスワード」「APIキー」「データベース接続情報」などの機密情報をまとめて書いておく専用ファイルとして使われます。
たとえば「DATABASE_PASSWORD=ひみつ123」のような形で値を書いておき、プログラム側はこのファイルから値を読み込んで使います。「機密はソースコード本体に書かない」という業界の最低限の作法として広く使われています。
では .env に書いておけば安全か?というご質問ですが、これだけでは不十分です。Claude Code はフォルダ内のファイルを読む機能があるため、フォルダ丸ごと渡すと .env まで一緒に読まれる可能性があるためです。
対策は3段階で整理してください:
① 最低限:「.gitignore」というファイルに .env を書いて、GitHub(コード共有サービス)などに誤ってアップロードされないようにする。
② Claude Code 対策:Claude Code の設定ファイル(permissions.deny)で .env を「絶対に見せない」と明示する。
③ 本格運用:機密情報そのものを 「機密専用の貸金庫サービス」(AWS Secrets Manager・Google Secret Manager・1Password 等)に置き、必要なときだけアプリから取り出す形にする。.env には機密の本体を書かず、「金庫の場所」だけを書く運用に切り替える。
金融・医療など機密度が高い領域では ③ が必須、それ以外でも ① + ② は最低ラインとお考えください。AI鬼管理では、お客様の規模・業種に合わせた段階導入をご支援します。
パスワードやアカウント情報を Claude Code にどう伝えればいいですか?
原則はシンプルに2つです:① プロンプトに直接書かない、② Claude Code から見える場所に置かない。
具体的な伝え方を、推奨順で3パターンご紹介します。
① 機密専用の貸金庫サービスを使う(最推奨)
機密情報を「シークレット管理サービス」と呼ばれる専用の貸金庫に預けておく方法です。AWS Secrets Manager・Google Secret Manager・Azure Key Vault・1Password などが代表例で、いずれも「機密だけを安全に保管する専用のクラウドサービス」です。コードからは「金庫の何番から取り出して」と書くだけで、適切な IAM 権限・ログ抑制・コマンド制限を前提に、秘密値を直接見せずに済む運用にできます(Secret 取得権限のあるコマンドを Claude Code が実行できる場合は、その実行ログから値が漏れる可能性があるため、権限とログ設計はセットで検討してください)。
② OS の機密管理機能を使う
macOS には「Keychain(キーチェーン)」、Windows には「資格情報マネージャー」という、OS 標準のパスワード保管庫があります(普段ブラウザがパスワードを覚えておいてくれるのと同じ仕組み)。ここに保管しておけば、ファイルとして Claude Code から読み取られることはありません。
③ 環境変数で渡す(小規模向けの簡易対応)
「環境変数」とは、OS が裏側で覚えておく設定値のことです。たとえば「DATABASE_PASSWORD」という名前で値を登録しておき、コードからはその名前だけを参照します。Claude Code には「DATABASE_PASSWORD という環境変数を使って」と名前だけ伝える運用です。
ただし注意点があります。これは「プロンプトへの直書きを避けるための簡易策」であって、完全な分離ではありません。Claude Code はコマンド実行権限を持つため、環境変数を読むコマンド(echo $DATABASE_PASSWORD 等)を実行されたり、ログ出力に値が紛れたりすると、結果的に値が見えてしまう可能性があります。高機密の情報は、必ず ① の Secrets Manager 等を使い、環境変数を選ぶ場合も「実行可能なコマンドの制限」「ログ出力の確認」を併せて設定してください。
絶対にやってはいけないこと:
・プロンプトに「APIキーは sk-xxxxx です」と直接書いて渡す
・フォルダ全体を Claude Code に渡して、その中の .env まで一緒に読ませる
・画面共有で本番のパスワードを表示しながら作業する
AI鬼管理の導入支援では、この「機密情報の渡し方」の設計と、社内ルールの文書化までセットでご支援します。「うちの開発者はいま .env に直書きしているんだけど、どう変えればいい?」という現状からのご相談も多くいただいています。
個人情報やお客様データを誤ってプロンプトに含めてしまったら、どうなりますか?
含めた瞬間に、ベンダー側のサーバーには一度送られてしまいます。ZDR を有効にしていても「送信されない」わけではなく、「送信したあとサーバーに保存されない」という違いがあります(送信そのものは止められません)。
これを未然に防ぐには、DLP(社員が機密情報を AI に送ろうとした瞬間、自動でブロックしてくれる見張り役のソフト)を社内に入れる方法が推奨されます。これで送信前の段階で機密データを止められます。AI鬼管理ではDLP の選定・導入と、社内の利用ルール作りまでご支援しています。
「プロンプトインジェクション攻撃」が怖いと聞きました。実際どうなんですか?
実際にある攻撃ですが、わかりやすく言うと「AI が読み込む文章の中に、攻撃者が罠の命令を仕込んでおく」手口です。たとえば、外部の Web ページや、他人から送られてきた資料の中に「秘密情報を全部教えて」といった指示がこっそり混ざっているケースが典型例です。
Claude Code・Codex とも、ベンダー側で対策が組み込まれています(実行前の確認、危険なコマンドの自動遮断、外部から取り込んだ文章は別枠で扱う、など)。これで危険度はかなり下げられますが、完全に防げる保証はありません。
そのため、社内では「外から取り込んだ文章は、そのまま AI に貼り付けない」というルールを徹底することが大切です。
Claude Code と Codex、セキュリティ面で見るとどちらが上ですか?
認証取得状況や仕組みはほぼ同等で、「片方が明確に上」という関係ではありません。
選び方の現実解は、自社の既存環境との相性です。会社のシステム基盤が AWS なら Claude、普段から ChatGPT を使っているチームなら Codex、というように既存環境に合わせるのが定石です。AI鬼管理ではお客様ごとに両方を併用するご支援も多くあります。
医療系・金融系・公共系で使えますか?
結論:条件を整えれば、いずれの業界でも使えます。
医療系:患者情報を扱うために「BAA」という契約をベンダーと結びます(米国の医療情報保護法HIPAAに基づく契約。日本の医療系プロジェクトでも参考にされます)。
EUの個人情報を扱う場合:「DPA」という別の契約が必要です(EUのGDPR対応で必須)。
どちらも案件ごとに締結できるかが変わるため、事前確認が必須です。
金融業界:日本の金融機関では「データを必ず日本国内のサーバーに置く」と決まっているケースがあります。AWS Bedrock 経由で Claude を使う場合は、東京リージョン(日本国内のデータセンター)が選べるケースがあります。ただし Google Cloud(Vertex AI)経由で Claude を使う場合は、日本リージョンが選べるとは限らないため、契約検討時に最新の提供状況を公式で確認します。詳細は個別にご相談ください。
社内ネットワークの中だけで使うことはできますか?
厳密にいうと、AI 本体の処理はベンダー側のクラウド上で行われるため、社内ネットワーク内だけで完結させることはできません。ただし、通信経路を「インターネットを通さない自社専用回線」にすることで、限りなく社内に閉じた構成にできます。
Claude の場合:AWS Bedrock や Google Cloud Vertex AI の専用接続サービス(PrivateLink、Private Service Connect)を使うと、自社のクラウド領域からインターネットを経由せず直接 AI サービスに通信できます。
Codex(OpenAI)の場合:OpenAI のサーバーに接続するため、社内に「プロキシサーバー(社員PCと外部の間に立つ検問所)」を置いて、誰がどこに通信したかを社内で全部記録・監査する構成が一般的です。
監査対応で「誰が何をしたか」のログを取れますか?
はい。Claude for Enterprise / ChatGPT Enterprise とも、管理コンソールおよび Compliance API 経由で、製品・プランに応じた監査ログを取得できます。具体的にはユーザー認証、管理操作、利用状況などの証跡が対象で、CSV ダウンロードや社内のログ監視基盤(SIEM)への自動連携にも対応しています。
ただし取得できるログ項目の範囲は、製品・プラン・契約・利用機能によって異なります(プロンプト本文や全操作内容まで一律で取れるわけではありません)。これらは ISO 27001 やプライバシーマーク審査における証跡の一部として活用できますが、審査の充足は、ログ項目・保存期間・改ざん防止・運用手順・アクセス管理まで含めた全体設計次第です。ベンダー側のログだけで監査要件を満たすわけではない点にご留意ください。
うちは情報漏洩防止ソフトやログ監視を導入していません。それでも使って大丈夫ですか?
機密データを扱わなければ問題ありません。一方、お客様情報・財務情報・社外秘の資料などを扱うのであれば、DLP(情報漏洩を見張るソフト)の導入を強くお勧めします。
理由はシンプルで、ベンダーの認証はベンダー側の安全性を守るもの、社員の誤送信は別の層(社内側の対策=DLP)で守る必要があるからです。両方そろって初めて安全になります。AI鬼管理では、お客様の社内環境に合わせて DLP 製品の選定から導入までご支援します。
開発環境と本番環境で、設定は分けるべきですか?
分けるべきです。考え方はシンプルで、開発環境は「動かしやすさ」を優先(自動承認を多めに)、本番環境は「権限を最小限」(外への通信を制限/許可されたコマンドだけ実行可)が定石です。
これらの設定は、IT管理者が全社員に対して一括で強制適用できます(Claude Code は「Managed Settings」、Codex は「Enterprise Policy」という機能で実現します)。AI鬼管理の伴走支援の中で、お客様と一緒に設計します。
うちは ISO 27001 認証を取得しています。それなら追加で対策は要らないですよね?
残念ながら、まだ足りません。安全な AI 導入には3つの層がすべて必要です。
① ベンダーの認証=ベンダー側のインフラが安全か
② 自社の認証=組織として管理体制が整っているか
③ 日々の運用ルール=社員一人ひとりの使い方が安全か
それぞれ「守る範囲」が違います。AI関連の事故の多くは、認証の有無ではなく、日々の運用ルールが整っていないことから起きています。3層が揃って初めて、安全な導入と言えます。
結局のところ、何から始めればいいですか?
順番は ① 法人プラン(ビジネス向け)を契約 → ② 機微情報を扱うなら ZDR を申請 → ③ 社内利用ルールを文書化 → ④ 情報漏洩防止ソフト(DLP)・ログ監視(SIEM)等を整備 → ⑤ 社員教育、です。
とはいえ「自社だけで進めるのは不安」というお声を多くいただきます。AI鬼管理では①〜⑤すべてを週次MTG+チャットで3〜6ヶ月伴走する形でご支援しています。まずは 無料の業務効率化診断からお気軽にご相談ください。
AI鬼管理のサポート範囲
セキュリティ設計から運用ルール整備・社員教育まで、伴走型でご支援します。
ここまで読んでいただくと「正しく使うためにやることが多そう」と感じられるかもしれません。おっしゃる通りで、安全な AI 導入は「ツール契約」だけでは終わりません。
AI鬼管理は、Claude Code・Codex の「導入そのもの」だけでなく、「安全に使い続けられる組織を作る」ところまでを、週次MTG+チャットで3〜6ヶ月伴走してご支援します。
セキュリティ設計
社内利用ルールの策定、許容範囲の線引き、リージョン/契約形態の選定までを一緒に決めます。
導入ガイドライン
プロンプトの書き方、機密判定、誤送信防止ルールを具体的な文書に落とし込みます。
DLP/SIEM 連携
既存スタックに合わせた DLP 製品の選定、監査ログのSIEM取込まで設計します。
社員教育
経営/情シス/現場の3層に分けた研修プログラムを提供します。
運用伴走
週次MTG+チャットで、3〜6ヶ月の伴走を通じて自走可能な状態にします。
料金体系の詳細は料金プランページをご参照ください。ヒアリング・初回ご相談は無料です。
本記事の根拠(公式情報源と最終確認日)
本ページの内容は以下の公式ドキュメントに基づいています。仕様は変わり得るため、契約検討時には必ず最新版をご確認ください。
- Google Workspace セキュリティhttps://workspace.google.com/learn-more/security/security-whitepaper/
- GitHub Copilot のデータ利用ポリシー更新https://github.blog/news-insights/company-news/updates-to-github-copilot-interaction-data-usage-policy/
- マネーフォワード『GitHub』への不正アクセス(2026年5月1日公表)https://corp.moneyforward.com/news/info/20260501-mf-press-1/
- CAMPFIRE 情報漏えい可能性の範囲について(2026年4月27日公表)https://campfire.co.jp/press/2026/04/27/campfire/
- Anthropic Trust Centerhttps://trust.anthropic.com/
- Claude Code Securityhttps://code.claude.com/docs/en/security
- Claude Code Zero Data Retentionhttps://code.claude.com/docs/en/zero-data-retention
- Anthropic Data Usage / Retentionhttps://privacy.claude.com/
- Claude Data Residency(Bedrock / Vertex AI)https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/data-residency
- OpenAI Trust Portalhttps://trust.openai.com/
- OpenAI Enterprise Privacyhttps://openai.com/enterprise-privacy/
- OpenAI API Data Controlshttps://developers.openai.com/api/docs/guides/your-data
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