【製造業】不良報告書作成をClaude Code/Codexで自動化する方法
この記事の内容
製造業の不良報告書は、不良が出た直後の慌ただしい現場で、現象のメモ、不良品やキズの写真、測定値、4M(人・設備・材料・方法)の変化点、とりあえず止めた暫定処置が、チャット・写真フォルダ・口頭・付箋にバラバラに残るところから始まります。とくに不良内容と写真と原因候補を1枚にまとめ、報告書のドラフトに起こす初動は手間がかかり、客先への一次連絡や社内展開が遅れる原因になりがちです。AIは不良の原因を断定したり、是正処置の合否を決めたりするものではありませんが、散らばった情報の集約、写真と現象の紐づけ、考えられる原因候補(仮説)の列挙、報告書ドラフトのたたき台づくりを先に行う補助として使えます。
不良発生から報告書ドラフトを起こすまでの初動時間 (大栄精密工業のモデル事例)
本記事では、AI鬼管理 が支援を想定する 大栄精密工業 (愛知県刈谷市・自動車向け金属プレスと切削加工・取引先からの品質要求が厳しい一次〜二次サプライヤー) をモデル事例に、Claude Code/Codex で不良報告書を「情報集約+原因候補の整理+報告書ドラフト」まで半自動化する手順を解説します。不良が出るたびに報告書づくりを品質保証課の真田さん1人が抱え、1件あたり60分を初動の整理に費やしていた会社が、若手の野口さんもドラフトを起こせるようになり、客先への一次報告の遅れを減らした流れです。
この記事を最後まで読むと、
- 不良報告書づくりで品質担当が抱えている負荷(情報の寄せ集め・写真の紐づけ・ドラフト起こし)が分かる
- Claude Code/Codexで整理できる3項目(情報の集約/原因候補の整理/報告書ドラフト)が理解できる
- 5ステップでのPoC〜運用の進め方が分かる
- 不良内容・写真・原因候補・暫定対応を整理する報告書ドラフトの型が分かる
- 報告書から再発防止と是正処置へつなげ、同じ不良を繰り返さない展開の仕方が分かる
01 PROBLEM 不良報告書づくりの現場で起きていること 寄せ集め・写真紐づけ・ドラフト起こしのトリレンマ
問題1: 不良情報の寄せ集めがベテラン品質担当に集中する。不良が出た直後、現場からの第一報、測定値、止めた処置、何が変わったか(4M変化点)を集めて回り、報告書の形に整理する作業は、大栄精密工業では実質、品質保証課の真田さん(勤続14年)1人に集中していました。若手の野口さんは、どの情報を・どの粒度で集め、何を原因候補として書き出すかの勘所がつかめず、結局は真田さんの確認待ちになり、真田さんがボトルネックになります。
問題2: 写真と現象・ロットの紐づけが抜けて後から追えない。不良品やキズの写真は撮ってあっても、「どのロット・どの設備・どの工程で・どんな現象だったか」が紐づいていないと、客先からの問い合わせや社内の振り返りのときに、写真と事実をたどれません。大栄精密工業でも、不良が重なった日に急いで残した記録ほど、写真とロット情報の紐づけが抜けていました。
問題3: 報告書ドラフトの初動が遅れ、客先への一次報告が後ろ倒しになる。客先の多くは「まず一次報告を早く」と求めますが、情報の寄せ集めと様式へのまとめに時間がかかると、原因究明に入る前の「とりあえずの報告書ドラフト」を起こすだけで小一時間が消えます。初動が遅れると、客先の不安が増し、選別や出荷停止の判断も後手に回りがちでした。
02 WHAT Claude Code/Codexで何を整理するか 原因の断定ではなく、情報集約と原因候補の整理を任せる
📚 用語解説
不良報告書:不良(不適合)が発生したときに、現象・発生状況・対象ロット・暫定処置・原因・再発防止策などをまとめて記録し、社内や客先に報告するための書類。客先のクレーム対応や是正処置(CAPA)、品質監査の証跡になる。どの情報を・どの粒度で集め、原因候補をどう書き出すかが担当者の経験に依存しやすく、初動の集約とドラフト起こしが属人化の主因になりやすい工程。
処理1: 不良情報の集約。チャットの第一報、測定値、写真フォルダ、口頭メモ、生産記録から、不良の現象・発生日時・対象ロット/品番・発生工程/設備・数量・暫定処置を、AIが報告書ドラフトの1枚に集約します。「現場の第一報」「測定結果」「止めた処置」とバラバラだった情報を、不良案件を軸に並べ直すイメージです。
処理2: 原因候補(仮説)の整理。集めた事実とよくある不良モードをもとに、AIが「考えられる原因の候補」を4M(人・設備・材料・方法)の観点で仮説として列挙します。これは原因の断定ではなく、品質担当が原因究明で確認していくための「あたりを付ける材料」です。真因の特定と確定は、現場と設備を知る品質担当・技術が行います。
処理3: 報告書ドラフトの下書き。集約した情報と原因候補を、客先フォーマットや社内様式の項目に沿って報告書ドラフトの文面に起こします。一次報告に必要な「現象・対象範囲・暫定処置・今後の調査予定」までを先に文章化しておくと、客先への一次連絡と社内展開の初動がぐっと速くなります。
| 入力情報 | AIが整理すること | 人(品質担当・技術)が判断すること |
|---|---|---|
| 現場の第一報(チャット/口頭メモ) | 現象・発生状況・対象ロットの集約、抜け項目の指摘 | 事実関係の確定、対象範囲の拡大要否 |
| 不良品・キズの写真 | 写真と現象・工程・ロットの紐づけ候補、分類の下書き | 不良モードの確定、流出/工程内の切り分け |
| 測定値・生産記録・4M変化点 | 原因候補(仮説)の列挙、変化点との関連づけ候補 | 真因の特定、再現確認、是正処置の決定 |
| 暫定処置のメモ | 暫定処置の記載整理、未実施・確認待ちの抽出 | 選別・出荷停止・客先連絡の判断 |
AIの役割は、不良情報の集約・原因候補(仮説)の整理・報告書ドラフトの下書きまで。真因の特定、是正処置の決定、選別や出荷可否、客先への正式回答は必ず品質責任者・専門職が判断します。この線引きを最初に決めておくと、現場が安心してAIを使えますし、品質責任の所在も明確になります。
03 HOW 具体的な進め方 5ステップ 小さくPoCし、外した原因候補の理由をルールへ戻す
不良報告書AI化の5ステップ
客先提出用・社内是正処置用・工程内不良の記録用など、様式と必要項目が違う種類を先に分けて対象を1つ選ぶ
「この品番のバリならまず金型の摩耗と材料ロットを疑う」など、真田さんの頭の中の初動の見方を文章化する
情報集約・原因候補・報告書ドラフトを、確定報告ではなく確認用ドラフトとして出す
品質担当が直した箇所と「外した原因候補の理由」をCLAUDE.mdへ戻し、原因候補と初動の精度を上げる
ドラフト起こしを若手に任せ、ベテランは原因究明と是正に回る。うまくいった種類から横展開する
5ステップで最も大切なのは、STEP 4の「外した原因候補の理由」を残すことです。AIが原因候補(仮説)として挙げた項目を品質担当が「今回は関係ない」と外した場合、「なぜ関係なかったのか(再現しなかった/別ロットでは出ていない/設備の点検記録上ありえない)」を残さないと、次回も同じ候補が出ます。逆に、その理由をCLAUDE.mdへ戻せば、AIの原因候補は少しずつ大栄精密工業の不良傾向に近づき、本当に疑うべき候補だけが残るようになります。
04 RESULT 導入後の変化と数値効果(大栄精密工業の事例) 報告書ドラフト 60分→20分、初動の属人化を解消
- チャットの第一報・測定値・写真フォルダ・口頭メモを真田さんが集めて回り、手作業で報告書ドラフトに整理(1件約60分)
- 不良品の写真とロット・工程・現象の紐づけが手作業で、繁忙日は紐づけ漏れが発生
- 客先様式へのまとめに時間がかかり、一次報告が後ろ倒しになって客先の不安が増した
- 若手の野口さんはドラフトを起こせず、不良報告が真田さん1人に集中して初動が遅れていた
- AIがチャット・測定値・写真・メモを不良案件単位に集約し、報告書ドラフトの初動は約20分に
- 写真と現象・工程・ロットの紐づけ候補をAIが提示し、紐づけ漏れが減少
- 原因候補(仮説)と暫定処置を含む一次報告ドラフトが先にでき、客先への一次報告が早まった
- 若手の野口さんがドラフトを起こし、真田さんは原因究明と是正に専念。初動の遅れが減った
05 PITFALL よくある落とし穴3つ 断定・流用・暫定処置の扱いを誤らない
真因の特定、是正処置の決定、選別・出荷可否、客先への正式回答は、現場と設備を知る品質責任者・技術が判断します。AIは原因候補(仮説)の整理と報告書ドラフトまで。原因の断定を任せると、確証のない原因が報告書に乗り、誤った対策や客先の信頼低下につながります。
ロットや設備、材料ロット、季節が違えば、同じ現象でも原因は変わります。似た過去案件は「参考」として使い、今回の事実(測定値・写真・4M変化点)はあらためて確認してください。AIが似た原因候補を提示しても、真因の確定は今回の再現確認と事実で判断します。
その場の選別や設備停止などの暫定処置と、再発を防ぐ恒久対策は別物です。報告書では「暫定処置(済/未)」と「恒久対策(予定/検証中)」を分けて書き、暫定処置だけで対応を終わらせない歯止めを、必ず人が確認します。
06 FORMAT 不良内容・写真・原因候補・暫定対応を整理する型 同じ型で残すと集約とドラフト起こしが効く
AIの集約とドラフト起こしの精度を上げるには、不良情報を「同じ型」で残すことが効きます。型が揃っていれば、AIは不良案件単位の集約も、原因候補の整理も、報告書ドラフトの下書きも安定して作れます。大栄精密工業が使っている、不良報告の4つの記録の型を紹介します。
型1: 不良内容は「現象・発生工程・設備・ロット・数量・流出有無」を分けて書く
「現象: 切削面のバリ / 発生工程: 切削 / 設備: MC-3号機 / 対象品番: ◯◯ / 対象ロット: ◯◯ / 不良数: 5個 / 検出: 出荷前検査 / 流出: なし(工程内で検出)」のように、不良を要素に分けて書くと、AIが工程別・設備別・現象別に集約し、報告書ドラフトの「不良の内容」欄を安定して埋められます。「流出有無」を必ず項目にすると、客先連絡の要否を見落としにくくなります。
型2: 写真は「ファイル名にロット番号と現象を入れて」記録と紐づける
「lot◯◯_切削バリ_MC3_01.jpg」のように、写真のファイル名にロット番号・現象・設備を入れておくと、AIが写真と不良記録を自動で紐づけ、報告書ドラフトに「該当写真」として差し込めます。良品との比較写真や、限度見本との対比があれば、客先への説明と原因究明の両方で効きます。
型3: 原因候補は「4M(人・設備・材料・方法)」の観点で仮説として並べる
「考えられる原因(仮説): 【設備】刃具の摩耗 / 【材料】材料ロット切替の影響 / 【方法】切削条件の変更 / 【人】段取り替え後の初物確認漏れ」のように、原因候補を4Mの観点で仮説として並べると、AIが事実情報から関連しそうな候補を整理し、品質担当が原因究明であたりを付けやすくなります。あくまで仮説であり、真因の特定は人が再現確認のうえ行うことを欄に明記しておきます。
型4: 暫定対応は「処置・実施状況(済/未)・確認者」をセットで残す
「暫定処置: 当該ロット全数選別(済・確認者◯◯) / MC-3号機の刃具交換(済) / 同一材料ロットの他品番への展開確認(未・確認待ち)」のように、暫定処置を実施状況と確認者つきで残すと、AIが「未実施・確認待ち」の項目を報告書ドラフトの先頭に確認候補として出せます。暫定処置の取りこぼしを防ぎ、一次報告の信頼性が上がります。
| 報告書の項目 | AIに集約・下書きさせること | 人が判断・確定すること(AIに任せない) |
|---|---|---|
| 不良の内容 | 現象・工程・設備・ロット・数量・流出有無の集約 | 事実関係の確定、対象範囲の拡大要否 |
| 原因候補 | 4Mの観点での仮説の列挙、変化点との関連づけ候補 | 真因の特定、再現確認、対策の妥当性 |
| 暫定対応 | 処置・実施状況・確認者の整理、未実施項目の抽出 | 選別・出荷停止・客先連絡の判断 |
上の4つの型に加えて、品番ごとによく出る不良モード、まず疑う4Mの観点、客先ごとの報告書様式をCLAUDE.mdに書いておくと、AIが品番に応じて原因候補の整理と報告書ドラフトを出すようになります。品番や客先が違えば不良の出方も様式も違うので、品番・客先ごとに分けて登録するのがコツです。
07 CAPA 再発防止と是正処置への展開 報告書を「出して終わり」にせず、是正処置へつなぐ
不良報告書の価値は、一次報告を出すことだけではありません。本当に効くのは、報告書をきっかけになぜ起きたか(真因)を究明し、再発を防ぐ恒久対策へつなぎ、似た工程へ水平展開するところまでです。ここでもAIは、整理と下書き、抜け漏れの洗い出しを担い、判断は人が行います。大栄精密工業がAIに作らせている、是正処置への展開の型を紹介します。
📚 用語解説
是正処置(CAPA):発生した不良の原因を取り除き、再発を防ぐための処置のこと。その場しのぎの暫定処置と違い、なぜなぜ分析などで真因を特定し、工程・設備・手順・チェック方法を恒久的に見直すところまでを含む。客先や品質監査では、是正処置が適切に取られ、効果が検証されたかが問われる。
展開1: なぜなぜ分析の「問いの下書き」をAIに作らせる
AIに、不良の現象から「なぜ?」を掘り下げる問いの下書き(なぜなぜ分析のたたき台)を作らせます。「なぜバリが出たか→なぜ刃具が摩耗していたか→なぜ交換時期を過ぎていたか」のように、問いの連なりを下書きとして用意しておくと、品質担当が分析会で議論を始めやすくなります。どこで「なぜ」を止め、何を真因と確定するかは、現場と設備を知る品質担当・技術が判断します。AIの問いは、議論の起点にする”たたき台”であって、真因の結論ではありません。
展開2: 暫定処置と恒久対策を分けて「対策の抜け」を洗い出す
AIに、報告書から「暫定処置(済/未)」と「恒久対策(予定/検証中/完了)」を分けて一覧化させ、「暫定処置で止まっていて、恒久対策が未設定の不良」を抜けとして洗い出させます。これがあると、その場の選別だけで終わって再発する事態を減らせます。ただし恒久対策の内容と実施可否の決定は、品質責任者・技術が行います。
展開3: 似た工程・品番への「水平展開の候補」を提示させる
AIに、確定した不良の原因と対策をもとに、「同じ設備・同じ材料ロット・同じ加工条件を使う、ほかの品番や工程」を水平展開の候補として提示させます。「MC-3号機の刃具管理を見直すなら、同型のMC-1・MC-2も対象では」のような気づきを下書きにできます。実際にどこまで展開するかの判断は、影響範囲を把握する品質責任者・技術が行います。
なぜなぜ分析の問いの作り方、暫定処置と恒久対策の区分、水平展開で見る観点(設備・材料・条件)をCLAUDE.mdに書いておくと、AIが不良案件ごとに同じ型で展開の下書きを作ります。再発防止の議論が担当者によらず安定し、「報告書を出して終わり」から「是正まで回す」運用に近づきます。
08 RELATED 関連記事: 製造業の自動化事例10選(全業務マップ) 不良報告書以外の9業務も含めた事例集
本記事は製造業の自動化事例10選のうち、事例5「不良報告書作成」を深掘りした内容です。品質検査記録の整理・作業標準書の更新・見積作成・設備点検記録など、他の業務もあわせてご覧ください。→ 製造業の自動化事例10選(全業務マップ)
09 ABOUT AI鬼管理について - 不良報告書作成の伴走サービス 属人化した不良報告書の初動を、原因究明中心の運用へ
本記事を発信している AI鬼管理 は、製造業のAI業務自動化をClaude Code/Codexで設計から伴走するサービスです。不良報告書作成は、情報集約とドラフト起こしの属人化を解くことで、客先への一次報告のスピードと、原因究明にかける時間の確保に効く打ち手です。
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本記事の大栄精密工業の例は、自動車向けプレス・切削加工・不良報告の初動が1人集中というモデルケースです。貴社の品番数や客先の様式、品質体制によって、最適な進め方は変わります。まずは今の不良報告書の作り方をうかがって、貴社に合った設計をご提案します。
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よくある質問
Q. AIに不良の原因まで特定させてもよいですか?
A. おすすめしません。AIは情報の集約・原因候補(仮説)の整理・報告書ドラフトの下書きまでにし、真因の特定・是正処置の決定・出荷可否・客先への正式回答は品質責任者や技術が判断する設計が現実的です。AIが挙げるのはあくまで仮説で、確定は人が再現確認のうえ行います。
Q. 客先ごとに報告書のフォーマットが違っても使えますか?
A. 使えます。客先ごとの様式や必要項目をCLAUDE.mdに登録しておけば、集約した情報を客先様式に沿った報告書ドラフトに起こせます。最終的な提出可否と文面の確認は、品質担当が行う前提にしてください。
Q. 写真やチャットの第一報だけでも整理できますか?
A. できます。写真のファイル名にロット番号や現象を入れ、第一報に発生工程や設備を添えておくと、写真と記録の紐づけや報告書ドラフトの精度が上がります。読み取り結果は確認候補として品質担当が確認する前提にしてください。
Q. 過去の不良報告書はどのくらい用意すべきですか?
A. 最初は品番や報告書の種類ごとに5〜10件あれば十分です。現象の書き方や原因候補の区分、暫定処置の記載のばらつきを整理するところから始めます。
Q. 料金やプランを教えてください
A. 料金やサポートプランは AI鬼管理のサービスページをご覧ください。貴社向けの個別ご提案は本記事末尾のNEXT STEPからお問い合わせください。
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