【法律事務所】相談受付の整理をClaude Code/Codexで自動化する方法
この記事の内容
法律相談の受付は、相談フォームの入力内容、電話で聞き取ったメモ、メールでのやり取りがバラバラの形で届くところから始まります。そのままでは、相談者が何に困っているのか、いつ何が起きたのか、初回面談までに何を確認すべきかが一目で分かりません。とくに初回相談の準備 — 断片的な情報を事件類型・時系列・確認事項に並べ替える作業は、受付担当やパラリーガルの経験に依存しやすく、人によって出来上がりの粒度が大きく変わります。AIは法的判断や受任可否を決めるものではありませんが、届いた相談情報を読みやすい形に整え、面談で確認すべき事項の候補を先に出す下準備として使えます。
相談1件あたりの受付整理(あけぼの法律事務所のモデル事例)
本記事では、AI鬼管理 が支援を想定する あけぼの法律事務所(神奈川県横浜市・一般民事中心・弁護士3名/事務局2名) をモデル事例に、Claude Code/Codex で相談受付の整理を「事件類型の仮分類+時系列の並べ替え+面談前の確認事項リスト」まで下準備する手順を解説します。相談の一次整理をベテラン事務局の三宅さん1人が担い、1件あたり約20分かかっていた事務所が、入所2年目の事務局でも一次整理の下書きを起こせるようになり、担当弁護士が面談準備に使える時間を増やした流れです。
この記事を最後まで読むと、
- 相談受付で事務局・パラリーガルが抱えている負荷(断片情報の整理・事件類型の見当付け・面談準備)が分かる
- Claude Code/Codexで下準備できる3項目(事件類型の仮分類/時系列の並べ替え/確認事項リスト)が理解できる
- 5ステップでの試行〜運用の進め方が分かる
- 相談メモを事件類型/時系列/確認事項に整える具体的な型が分かる
- 受任前の利益相反・受任可否チェックの下準備をAIに任せる範囲が分かる(判断は弁護士)
01 PROBLEM 相談受付の現場で起きていること 断片情報・類型の見当・面談準備のトリレンマ
問題1: 相談情報が断片のまま届く。あけぼの法律事務所では、相談者からの情報が「フォームの自由記述」「電話の聞き取りメモ」「追送のメール」とバラバラの形で届いていました。相談者は思い出した順に話すため、出来事の前後関係が入り混じり、「結局いつ何が起きて、今どういう状態なのか」を読み解くだけでひと手間かかります。
問題2: 事件類型の見当付けが特定の人に集中する。相談内容が相続・離婚・債務整理・労働問題・契約トラブルのどれに当たりそうか、どの弁護士の担当が合いそうかという一次仕分けは、あけぼの法律事務所では実質、勤続の長い三宅さん1人の判断に頼っていました。若手事務局は類型の見当がつかず、結局三宅さんの手が空くのを待つことになり、ボトルネックが生まれます。
問題3: 面談準備が毎回ゼロからになる。初回面談で確認すべき事項 — 当事者の関係、時期、金額、すでにある資料、希望する解決の方向 — を相談ごとに一から洗い出していると、準備に時間がかかります。準備が薄いまま面談に入ると、その場で資料の不足が判明し、相談者に再度の来所や追送をお願いすることになり、解決までが間延びします。
02 WHAT Claude Code/Codexで何を整理するか 法的判断ではなく、受付情報の整理と確認事項の候補出し
📚 用語解説
事件類型:法律事務所で相談・案件を分類するときの大きな種類分け。相続、離婚・男女問題、債務整理、労働問題、交通事故、契約トラブルなど。どの類型かによって、面談で確認すべき事項や必要書類、担当に適した弁護士が変わるため、受付段階での見当付けが準備の起点になる。最終的な見立ては弁護士が行う。
整理1: 事件類型の仮分類。フォームの記述や電話メモから、相談がどの事件類型に当たりそうかをAIが候補として示します。「相続の可能性が高い/一部に債務整理の論点を含む」のように、断定ではなく候補と根拠を並べる形にしておくと、弁護士・事務局が確認しやすくなります。
整理2: 時系列の並べ替え。相談者が話した順序ではなく、出来事を起きた順に並べ直します。「いつ・誰が・何をしたか」を時系列にすると、論点や緊急度(消滅時効や提出期限が絡む可能性など)の見落としに気づきやすくなります。時効や期限そのものの判断は弁護士が行います。
整理3: 面談前の確認事項リスト。面談で相談者に確認すべき事項、持参してもらうと良い資料の候補を一覧化します。「相手方の氏名・連絡先」「契約書や通帳など手元の資料」「希望する解決の方向」など、この一覧が事前にあるだけで、初回面談の密度が上がり、再来所の回数が減ります。
| 入力情報 | AIが整理すること | 人(弁護士・事務局)が確認・判断すること |
|---|---|---|
| 相談フォーム | 事件類型の候補・要点の抜き出し | 法的な見立て、担当弁護士の割り当て |
| 電話メモ | 時系列の並べ替え・確認事項の候補 | 聞き漏らしの補足、緊急度の最終判断 |
| 追送メール/資料 | 資料の種類と不足候補の一覧 | 証拠としての扱い、追加で必要な資料 |
| 過去の類似相談 | 確認事項テンプレの当てはめ候補 | 今回固有の事情、受任可否の判断 |
AIの役割は、届いた相談情報を読みやすく整え、確認事項の候補を出すところまで。法律相談への回答、事件の見立て、受任の可否は、必ず弁護士が行います。この線引きを最初に事務所内で共有しておくと、安心してAIを下準備に使えます。
03 HOW 具体的な進め方 5ステップ 小さく試し、弁護士の確認で外れた点をルールへ戻す
相談受付整理AI化の5ステップ
相続・離婚・債務整理など、相談件数が多く確認事項が定型化しやすい類型から始める
「相続なら相続人の範囲・遺言の有無・遺産の種類を必ず確認」など、三宅さんの頭の中の手順を文章化する
事件類型の候補・時系列・確認事項リストを、確定ではなく弁護士確認用のドラフトとして出す
弁護士が直した点・AIが外した類型の理由をCLAUDE.mdへ戻し、一次整理の精度を上げる
一次整理の下書きを若手が起こし、弁護士は確認と判断に回る。うまくいった類型から横展開する
5ステップで最も大切なのは、STEP 4の「弁護士の確認で外れた点とその理由を残すこと」です。AIが「相続」と仮分類した相談を弁護士が「これは遺留分の論点が中心で、進め方が違う」と修正した場合、その理由を残さないと次回も同じ当てはめが出ます。逆に、その判断をCLAUDE.mdへ戻していけば、AIの一次整理は少しずつあけぼの法律事務所の見方に近づきます。
04 RESULT 導入後の変化と数値効果(あけぼの法律事務所の事例) 受付整理20分→7分、一次整理の属人化を解消
- フォーム・電話メモ・メールを見比べながら、三宅さんが手作業で相談内容を整理(1件約20分)
- 事件類型の見当付けが三宅さん1人に集中し、若手は確認待ちで手が止まる
- 面談で確認すべき事項を毎回ゼロから洗い出し、準備に時間がかかる
- 準備が薄いまま面談に入り、その場で資料不足が判明して再来所をお願いすることがあった
- AIが相談情報を事件類型の候補・時系列・確認事項リストに整理、一次整理は約7分に
- 事件類型の候補と根拠が先に出るため、若手事務局も一次整理の下書きを起こせる
- 面談前の確認事項リストが定型化され、面談準備の抜けが減った
- 事前に資料の不足候補が見えるため、面談前に持参依頼でき、再来所が減った
05 PITFALL よくある落とし穴3つ 法的判断・守秘・断定の扱いを誤らない
事件の見立て、法律相談への回答、受任の可否は弁護士の専権です。AIは相談情報の整理と確認事項の候補出しまで。法的判断を任せると、誤った見立てがそのまま相談者に伝わるおそれがあり、弁護士法や弁護士職務基本規程の観点からも不適切です。
相談内容には、相談者本人や相手方の極めて機微な情報が含まれます。試行段階では氏名・住所・固有名詞を匿名化したメモを使い、事務所の情報管理ルール(取り扱える範囲・保存先・アクセス権限)の範囲内で運用してください。守秘義務は弁護士・事務局の最優先事項です。
AIが出す事件類型はあくまで候補です。「相続」と出ても、実際には遺留分・遺言無効・債務整理が絡む複合的な相談であることは珍しくありません。仮分類を鵜呑みにせず、弁護士・事務局が根拠とあわせて確認し、最終的な見立ては弁護士が行います。
06 STRUCTURE 相談メモを「事件類型/時系列/確認事項」に整える型 断片情報を一目で読める3層に並べ替える
AIの一次整理の精度を上げる近道は、あけぼの法律事務所が使っている「相談メモを3層に整える型」をCLAUDE.mdに書いておくことです。届いた断片情報を、(1)事件類型、(2)時系列、(3)確認事項の3層に並べ替えると、誰が見ても相談の全体像をつかめるようになります。
層1: 事件類型 — 候補と根拠をセットで
「相談がどの類型に当たりそうか」を、断定ではなく候補で示し、判断材料になった記述を必ず添えます。例:「事件類型(候補): 相続。根拠: 『父が先月亡くなった』『兄弟で遺産分割の話がまとまらない』との記述。補足: 『父名義の借入がある』との記述から、債務整理の論点を含む可能性。」のように、候補・根拠・補足を並べると、担当弁護士の割り当てや見立てがしやすくなります。
層2: 時系列 — 起きた順に並べ直す
相談者は思い出した順に話すため、メモは時間が前後しがちです。これを「2024年3月: 父が入院 → 2024年5月: 父が遺言を作成(と相談者は記憶) → 2025年4月: 父が死去 → 現在: 兄弟間で分割協議が難航」のように起きた順へ並べ直します。時系列にすると、時効や提出期限が関係しそうな箇所(あくまで確認が必要な箇所)に気づきやすくなります。期限・時効そのものの判断は弁護士が行います。
層3: 確認事項 — 面談で埋める空欄として
現時点で分からないこと、面談で相談者に確認すべきことを「空欄リスト」として残します。例:「相続人の範囲(他に兄弟姉妹はいるか)」「遺言書の有無と形式(自筆/公正証書)」「遺産の種類(不動産・預貯金・借入)」「相手方となる兄弟の連絡先」。この空欄が面談のチェックリストになり、聞き漏らしと再来所を減らします。
| 3層 | AIが下書きすること | 弁護士・事務局が確認すること |
|---|---|---|
| 事件類型 | 候補・根拠・補足の抜き出し | 最終的な見立て、担当の割り当て |
| 時系列 | 出来事を起きた順に整列 | 期限・時効が絡む箇所の判断、抜けの補足 |
| 確認事項 | 面談で埋める空欄リストの候補 | 今回固有の確認事項、優先順位 |
上の事件類型・時系列・確認事項の型を、類型ごとの例文付きでCLAUDE.mdに書いておくと、AIが相談メモを一目で読める3層の下書きに整えてくれます。類型が違えば確認事項も変わるので、類型ごとに型を用意するのがコツです。
07 CONFLICT 受任前の利益相反・受任可否チェックの下準備 判断は弁護士、突合と材料集めはAIで前倒し
相談を受任に進める前には、利益相反のチェックや受任可否の検討が欠かせません。これらの判断は弁護士が行うものですが、判断材料を集めて突き合わせる下準備はAIで前倒しできます。あけぼの法律事務所が下準備としてAIに任せている範囲を紹介します。
下準備1: 関係者名の洗い出しと既存案件との突合候補
相談メモから、相談者・相手方・関係者の名前を漏れなく洗い出します。そのうえで、事務所の利益相反チェック簿や既存案件リストと突き合わせ、「同名または関連しそうな当事者がいないか」の確認候補を出します。実際に利益相反に当たるかどうかの判断は、必ず弁護士が行います。
下準備2: 受任可否の検討に必要な材料の整理
受任の可否を弁護士が検討するために必要な材料 — 相談の緊急度、すでに他の弁護士が関与していないか、紛争の相手方、対応可能な分野かどうか — を、相談メモから抜き出して一覧にします。AIは「検討に必要そうな材料が揃っているか/不足しているか」を示すまでで、受任するかどうかの結論は弁護士が判断します。
下準備3: 相談者への一次連絡文の下書き
面談日程の調整や、面談時に持参してほしい資料の案内など、相談者への一次連絡文の下書きをAIが作ります。「初回面談では◯◯と△△の資料をお持ちください」のように、層3で整理した確認事項を案内文に落とし込むと、面談前の準備が相談者と揃います。送信前には事務局・弁護士が内容を確認します。
AIができるのは、関係者名の洗い出し・既存案件との突合候補・検討材料の整理までです。利益相反に当たるか、受任すべきかの判断は、弁護士法・弁護士職務基本規程に基づき弁護士が行います。AIの突合結果はあくまで「人が確認するための候補リスト」として扱ってください。
関係者名の洗い出し方、突合先(利益相反チェック簿の項目)、受任検討に必要な材料の一覧を、CLAUDE.mdに手順として書いておくと、AIが相談ごとに同じ品質で下準備の下書きを作ります。判断ステップは必ず弁護士が行う、と手順内に明記しておくのが安全です。
08 RELATED 関連記事: 法律事務所の自動化事例10選(全業務マップ) 相談受付以外の9業務も含めた事例集
本記事は法律事務所の自動化事例10選のうち、事例1「相談受付整理」を深掘りした内容です。事件記録整理・証拠資料分類・期日管理・依頼者報告など他の業務もあわせてご覧ください。→ 法律事務所の自動化事例10選(全業務マップ)
09 ABOUT AI鬼管理について - 相談受付整理の伴走サービス 属人化した受付整理を、弁護士の確認中心の運用へ
本記事を発信している AI鬼管理 は、法律事務所のAI業務効率化をClaude Code/Codexで設計から伴走するサービスです。相談受付整理は、一次整理の属人化を解くことで、初回面談の質と若手育成、そして弁護士が判断に使える時間に効く打ち手です。
属人化した相談受付整理、いっしょに軽くしませんか?
本記事のあけぼの法律事務所の例は、一般民事中心・月60件・一次整理が特定の事務局に集中というモデルケースです。貴所の取扱分野や受付体制によって、最適な進め方は変わります。まずは今の相談受付の流れをうかがって、貴所に合った設計をご提案します。法的判断は弁護士が行う前提で、下準備の部分だけを安全に軽くする設計です。
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よくある質問
Q. AIに相談への回答や事件の見立てまでさせてよいですか?
A. いいえ。法律相談への回答、事件の見立て、受任の可否は弁護士が行うべきものです。AIは相談情報の整理(事件類型の候補・時系列・確認事項)と下準備までにとどめ、判断は必ず弁護士が行う設計にしてください。
Q. 守秘義務や個人情報の扱いが心配です。どう運用すればよいですか?
A. 試行段階では氏名・住所・固有名詞を匿名化したメモを使い、事務所の情報管理ルール(取り扱える範囲・保存先・アクセス権限)の範囲内で運用してください。どのデータをどこで扱うかを最初に決めておくことが重要です。
Q. 相談フォームがなく、電話メモだけでも使えますか?
A. 使えます。電話で聞き取ったメモを入力すれば、時系列の並べ替えや確認事項の洗い出しができます。聞き取り時に日付や金額をメモしておくと、整理の精度が上がります。
Q. 事件類型はどのくらい登録すれば始められますか?
A. まずは扱いの多い1〜2類型(例: 相続・債務整理)から始めるのが現実的です。類型ごとの確認事項テンプレを用意し、運用しながら対応類型を増やしていきます。
Q. 料金やプランを教えてください
A. 料金やサポートプランは AI鬼管理のサービスページをご覧ください。貴所向けの個別ご提案は本記事末尾のNEXT STEPからお問い合わせください。
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