造船・船舶修繕業向けClaude Codeセミナー|船舶設計・船級協会検査はどこまで自動化できるか
弊社GENAIでは、造船・船舶修繕業の方向けに Claude Code・Codex の無料オンラインセミナー(60分)を開催しています。本記事では、船舶設計や船級協会対応、受注見積といった業務がどこまで自動化できるかを、セミナーの内容とあわせて解説します。
造船・船舶修繕業では、船級協会向けの検査記録や設計書類など、正確性が求められる書類作成に多くの時間が割かれています。工場長や設計エンジニアの方は、こうした書類仕事の積み重ねによって本来の業務に集中しづらい状況が生まれています。
本記事では、Claude CodeとCodexがどのような仕組みで書類作成を支援するのか、できることとできないこと、そして導入時に注意すべきポイントまでを順を追って解説します。
参加無料・60分・オンライン(Google Meet)・1社1枠
01 AI_DIFF ChatGPTと船舶設計を代行するAIの違い Claude CodeとCodex、それぞれ何者で、非エンジニアの工場長でも使えるのかを整理します
ChatGPTやGeminiのような生成AIは、質問すると答えてくれる「対話するAI」です。使ったことがある方も多いと思います。
「船級協会の検査項目を教えて」「基本設計の進め方のコツは」といった質問には、丁寧に答えてくれます。ただし、実際の検査記録作成や設計図の作成そのものまではやってくれません。
一方、Claude CodeやCodexは、指示した作業を最後まで自分で実行してくれる「仕事をやり切るAI」です。設計データを読み込んで基本設計案を作る、検査記録のドラフトを作る、といった一連の作業を任せられます。
たとえば「今月の船級協会検査記録をまとめて」と頼んだ場合、ChatGPTは一般的な記録の書き方を説明してくれますが、実際に検査データを開いて集計まではしてくれません。
Claude Codeは、その検査データのファイルを実際に開いて中身を読み込み、記録の下書きをその場で作ってくれます。「説明する」のではなく「やってくれる」のが最大の違いです。
1-1. Claude Codeとは
Claude Codeは、Anthropic社が開発した、ターミナルやエディタの画面から指示を出して動かすAIツールです。設計図や検査記録などの実際のファイルを読み込ませ、対話しながら集計やドラフト作成を進められます。
📚 用語解説
Claude Code:Anthropic社が開発した、ファイルを読み込んで作業を代行してくれるAIツールです。パソコンの画面から日本語で指示を出して使います。
もともとはソフトウェア開発者向けのツールとして作られましたが、「ファイルを読み込んで作業する」という性質そのものは、プログラミングに限らず、船級協会検査の集計や見積書作成にもそのまま応用できます。
1-2. Codexとは
Codexは、OpenAI社が開発した、Claude Codeと似た位置づけのAIツールです。こちらもファイルを読み込ませて作業を任せる使い方が中心で、造船・船舶修繕業での活用事例はClaude Codeのほうが蓄積が進んでいます。
ChatGPTを開発しているOpenAI社の技術がベースになっているため、ChatGPTに慣れている方には、操作の雰囲気が近く感じられるかもしれません。基本的な考え方はClaude Codeと共通しています。
📚 用語解説
Codex:OpenAI社が開発した、Claude Codeと同じく作業を代行してくれるAIツールです。仕組みは似ていますが、開発元と細かな使い勝手が異なります。
「そもそもどこの会社が作っているのか」という疑問もよく聞きます。Claude CodeはAnthropic社、CodexはOpenAI社がそれぞれ開発しており、どちらも造船業向けに特化したツールではなく、汎用のAIツールを業務に応用する形で使います。
| Claude Code | Codex | |
|---|---|---|
| 開発元 | Anthropic | OpenAI |
| できること | ファイル読み込み・集計・書類ドラフト作成 | ファイル読み込み・集計・書類ドラフト作成 |
| 造船業での活用事例 | 蓄積が進んでいる | 蓄積は少なめ |
| 非エンジニアの利用 | 日本語の指示文で操作可能 | 日本語の指示文で操作可能 |
| 土台となる技術 | Anthropic独自のAIモデル | ChatGPTと同じOpenAIのAIモデル |
| セミナーでの扱い | 実演の中心として詳しく紹介 | 冒頭で違いを簡単に紹介 |
どちらも専門的なプログラミング知識がなくても、日本語で「この検査記録を集計して」のように話しかけるだけで使えます。難しい操作を覚える必要はありません。
画面自体は黒い背景に文字が並ぶ、いわゆる「エンジニアっぽい」見た目をしています。ただし操作は日本語のチャットとほぼ同じで、ボタン操作を覚える必要はなく、話しかける言葉の中身のほうが重要です。
Claude CodeもCodexも、専門知識よりも「何を渡して、何を作ってほしいか」を言葉にする力のほうが重要です。セミナーでは実際の画面を動かしながら、この感覚をお見せしています。
1-3. 造船・船舶修繕業では、具体的に何に使えるのか
「仕事をやり切るAI」と言われても、まだ抽象的に感じるかもしれません。造船・船舶修繕業の現場で言えば、次のような業務が代表的な使いどころです。
- 受注データ整理・見積書ドラフトの作成
- 基本設計・詳細設計のドラフト生成
- 船級協会(日本海事協会/Lloyd's/ABS)の検査記録・チェックリスト作成
- 施工管理・船台運用の工程表作成
- 船舶修繕/ドックの修繕計画・部品発注リスト作成
この先の章では、これらの業務ひとつひとつについて「何を渡すと、何が出てくるか」を具体的に見ていきます。
逆に、船級協会検査員との折衝や、溶接品質の最終判定のように、状況ごとの機微な判断が求められる業務は、これからも人が担う部分として残ります。AIが代われるのは「作業」であって「判断」ではない、という線引きが基本です。
この線引きを最初に理解しておくと、「AIに何でも任せられる」という過度な期待も、「結局は使えない」という過小評価も、どちらも避けやすくなります。
| 向いている業務 | 向いていない業務 |
|---|---|
| 数字の集計・書類のドラフト作成 | 船級協会検査員との折衝 |
| 過去の様式を踏まえた書式変換 | 溶接品質の最終判定 |
| 繰り返しの多い定型業務 | そのつど状況が変わる交渉ごと |
| 複数資料の突合・横断作業 | 職人・取引先との人間関係の構築 |
| データに基づく傾向の把握 | 現場の空気を読んだその場の判断 |
02 DESIGN 受注・見積と船舶設計が、Claude Codeでこう変わる 造船・船舶修繕業でもっとも時間とお金が動く工程を、入力と出力で見ます
造船・船舶修繕業でもっとも時間とお金が動くのが、受注・見積から基本設計・詳細設計に至る工程です。新燃料船やLNG船のように設計難度が高い案件ほど、この工程の負担が重くなります。
精度が求められる一方、案件が重なるほど設計エンジニアの負担は膨らみます。専任の設計チームを厚く置けない中小造船所ほど、この負担が工場長や代表にのしかかりやすくなります。
受注・見積ドラフト
海運会社/官公庁からの引合いデータを読み込ませると、見積書や基本仕様交渉資料のドラフトが出てきます。
基本設計・詳細設計
過去設計データとIMO規制・船級協会要件を渡すと、基本設計案のドラフトが出てきます。
船級協会検査チェックリスト
前回検査記録と船級協会別の検査項目を読み込ませると、チェックリストと再検査対応書類のドラフトが出てきます。
船台工程表・シフト管理
受注案件リストと船台の稼働予定を渡すと、工程表と造船工/溶接工のシフト表ドラフトが出てきます。
2-1. 受注・見積のドラフト作成
海運会社や官公庁からの引合いメール、過去の見積データをClaude Codeに読み込ませると、基本仕様交渉資料や見積書のドラフトが出てきます。ゼロから条件を整理し直す必要がなくなります。
これまで営業部長や工場長が個別に対応していた引合い整理のうち、条件を書き出す部分だけを、AIが下書きとして先に用意しておくイメージです。
もちろん、見積金額の最終判断と提示は、これまで通り工場長や営業責任者が行います。
受注見積のドラフトは、その後の基本設計・工程表作成すべての土台になります。ここを最初に整えることが、以降の工程全体の時間短縮につながります。
| 引合いの種類 | 整理する情報の例 |
|---|---|
| 海運会社からの新造船引合い | 船種・積載能力・納期・予算感 |
| 官公庁からの入札案件 | 仕様書・審査基準・提出書式 |
| 漁業関係者からの修繕引合い | 船齢・損傷状況・希望納期 |
| コンペ案件 | 競合状況・差別化ポイントの整理 |
2-2. 基本設計・詳細設計のドラフト生成
過去の設計データとIMO規制、船級協会要件をClaude Codeに読み込ませると、基本設計案のドラフトが出てきます。LNG/メタノール/アンモニア燃料船のような新燃料船でも、過去データを土台に構造配置の初期案を作らせられます。
📚 用語解説
IMO2050:国際海事機関(IMO)が定めた、2050年ごろまでに海運の温室効果ガス排出を実質ゼロに近づける目標です。新燃料船の設計要件に直結します。
設計エンジニアがゼロから基本設計を組み立てる代わりに、AIが作った初期案をベースに詳細設計と最終判断に専念できるようになります。
📚 用語解説
船体構造計算:船体にかかる荷重や強度を計算し、安全性を確認する設計作業です。船級協会の承認を得るために必須の工程です。
CAD設計図(AutoShip/ShipConstructor)のデータと組み合わせれば、既存の設計図面をベースにした変更設計のドラフトも作らせやすくなります。
📚 用語解説
CAD設計図(AutoShip/ShipConstructor):造船業界で使われる船舶専用の設計ソフトです。船体構造図や艤装図の作成に使われます。
| 業務 | 何を渡すか | 何が出てくるか |
|---|---|---|
| 受注・見積ドラフト | 引合いメール・過去の見積データ | 基本仕様交渉資料・見積書ドラフト |
| 基本設計ドラフト | 過去設計データ・IMO規制・船級協会要件 | 基本設計案・構造配置の初期試算 |
| 詳細設計の変更対応 | 既存CAD図面・変更要望 | 変更箇所を反映した設計図ドラフト |
| 船級協会承認資料 | 基本設計データ・船級協会要件 | 承認申請用の設計資料ドラフト |
| コンペ提案書 | 過去提案・技術根拠資料 | 新燃料船提案の技術根拠ドラフト |
たとえば「この過去設計データとIMO規制から、メタノール燃料船の基本設計案を作って」と渡すと、構造配置の初期案がその場で出てきます。
続けて「この案と船級協会要件を突き合わせて」と渡せば、要件との整合性チェック結果が返ってきます。これを土台に、設計エンジニアが詳細設計を詰めます。
毎回イチから条件を説明し直す必要はなく、一度使った指示文をメモしておけば、次の案件でもほぼそのまま使い回せます。
2-3. コンペ対応と技術根拠資料
海運会社の入札でアンモニア対応の技術根拠を求められるような場面でも、過去の提案書や設計データを土台に、技術根拠資料のドラフトを作らせられます。最終的な提案内容の判断は、営業部長や設計責任者が行います。
技術根拠の整理に時間がかかるほど、コンペの回答期限に間に合わなくなるリスクが高まります。ドラフト作成の時間短縮は、そのまま受注機会の確保につながります。
Claude Codeが担うのは基本設計案と技術根拠資料の下書きまでです。最終的な構造計算の精査と船級協会対応は、設計エンジニアが行います。
2-4. 新造船だけでなく、多様な船種への対応
造船・船舶修繕業が扱う船種は、内航船の老朽化更新、漁船建造/修繕、洋上風力支援船(SOV/CTV)の新規需要など多岐にわたります。船種ごとに設計要件も参照する規制も異なります。
過去に手がけた船種の設計データをカテゴリ別に整理させておくと、似た船種の引合いが来たときに、過去データを土台にした初期案作成が早くなります。
洋上風力支援船のように需要が急に伸びている船種では、社内に設計経験が少ないことも珍しくありません。過去の類似船型データと最新の規制要件を横断して読み込ませることで、経験の浅い分野でも初期案の土台を早く用意できます。
03 SURVEY 船級協会検査・施工管理・船舶修繕も、同じように変わる 船級協会の検査記録、船台の工程管理、船舶修繕/ドックの計画を具体的に見ます
受注・設計以外にも、造船・船舶修繕業には建造段階を通じて負担の大きい業務があります。船級協会対応、施工管理、船舶修繕/ドック運用、溶接品質の管理などです。
いずれも「毎回・毎工程・毎案件」発生する業務という共通点があり、Claude Codeの「型」が効きやすい領域でもあります。ひとつずつ、何を渡すと何が出てくるかを見ていきます。
3-1. 船級協会(NK/Lloyd's等)の検査記録と再検査対応
船級協会別の検査項目データベースと前回検査記録を読み込ませ、項目ごとに確認事項を拾わせ、チェックリストと再検査対応書類のドラフトを作らせる、という使い方がAIと相性の良い領域です。
📚 用語解説
船級協会:日本海事協会(NK)、Lloyd's、ABSなど、船舶の構造・設備が安全基準を満たしているかを審査・登録する第三者機関です。建造段階で複数回の検査があります。
船級協会の検査は、船体構造・機関・電気設備・安全設備など複数の分野にまたがり、分野ごとに参照する図面や仕様書が異なります。集計だけでも横断作業が必要になります。
| 検査分野 | 主な確認内容 | 主な参照資料 |
|---|---|---|
| 船体構造 | 溶接部の品質、板厚、構造強度 | 構造図、溶接記録 |
| 機関 | 主機・補機の据付、配管系統 | 機関図、据付記録 |
| 電気設備 | 配線・電源系統の安全性 | 電気図面、試験記録 |
| 安全設備 | SOLAS/MARPOL関連の設備要件 | 設備仕様書、認証書 |
📚 用語解説
SOLAS/MARPOL:SOLASは船舶の安全に関する国際条約、MARPOLは海洋汚染防止に関する国際条約です。どちらも新造船・修繕船の検査基準の土台になります。
最終的な検査結果の確認と船級協会への提出は、工場長や品質管理責任者の仕事のまま残ります。「この検査記録から、今回不足している項目を拾って」と渡せば、分野ごとの一覧表が返ってきます。
4分野すべてを一度に集計しようとせず、まずは資料が揃っている分野から着手するのが現実的な進め方です。
3-2. 溶接品質のログ管理と技能伝承
溶接条件(電流/速度/パス温度)のログを蓄積し、欠陥が疑われる箇所の画像と突き合わせて、異常が起きやすい条件のパターンを整理します。溶接の最終判定は、これまで通り熟練の造船工/溶接工が行います。
船体溶接の品質検査は職人技に頼る部分が大きく、新人への技能伝承に時間がかかりやすい領域です。条件ログと検査結果を紐づけて蓄積しておくと、若手が学ぶ際の教材としても使えます。
過去半年分の溶接条件ログを渡して「欠陥が出やすかった条件の傾向を整理して」と指示すれば、傾向をまとめた一覧が出てくるため、新人教育で重点的に扱うべきポイントが見えやすくなります。
3-3. 施工管理・船台運用の工程表作成
受注案件リストと船台の稼働予定を読み込ませると、案件横断の工程表と、造船工/溶接工のシフト表のドラフトが出てきます。工程の最終調整は現場を見ている工場長が行います。
同時に複数案件が船台に乗る時期は、進捗写真の記録やシフト調整が煩雑になりがちです。写真データと工程表を突き合わせておくと、遅れの兆候にも早く気づけます。
3-4. 船舶修繕/ドックの計画と部品発注
定期修繕計画のデータと過去の部品発注履歴を渡すと、次回修繕の計画案と部品発注リストのドラフトが出てきます。緊急修繕対応でも、過去の類似修繕記録を土台に初期対応案を作らせられます。
ドックの稼働状況は複数の修繕案件が重なりやすく、稼働管理表を手作業で更新していると更新漏れが起きがちです。稼働予定と部品在庫を突き合わせておくだけでも、判断のスピードは変わります。
| 業務 | 従来の目安 | AI活用後の目安 |
|---|---|---|
| 受注・見積書作成 | 案件あたり相応の時間 | 下書き作成の時間を圧縮できた例あり |
| 船級協会検査記録作成 | 1検査あたり4〜8時間 | 型ができれば1〜2時間程度に圧縮できた例あり |
| 基本設計リードタイム | 案件により12〜18ヶ月 | 初期案作成の部分だけ大きく短縮できた例あり |
| 工程表・シフト表の更新 | 手作業での都度更新 | 案件データからの自動ドラフト作成 |
| 溶接条件ログの整理 | 紙・個人メモでの管理 | デジタル蓄積と傾向の自動集計 |
| 修繕計画・部品発注リスト | 過去記録を手作業で確認 | 類似修繕記録からの自動ドラフト作成 |
3-5. 採用・経営・行政対応の書類仕事
現場の業務だけでなく、造船工/溶接工/技術者の採用書類、月次経営レポート、国交省への各種報告書といった経営・行政まわりの書類も、繁忙期には代表や工場長の時間を奪います。
月次の実績データを渡せば、経営レポートのドラフトが出てきます。国交省報告のように様式が決まっている書類も、過去の提出データを土台にすれば作成の手間を減らせます。
| 業務 | 何を渡すか | 何が出てくるか |
|---|---|---|
| 月次経営レポート | 月次実績データ | 経営レポートのドラフト |
| 国交省報告書 | 法定報告に必要なデータ | 報告書のドラフト |
| 採用書類 | 応募者データ・過去の求人票 | 求人票・選考書類のドラフト |
採用は特に、造船工/溶接工の人材確保が難しい業界だからこそ、求人票や説明資料の作成にかける時間を減らし、面談や職場見学といった人にしかできない工程に時間を回す狙いがあります。
3-6. 工場長と設計エンジニア、それぞれの負担
工場長には、造船工/溶接工の配置や船台の稼働調整という、毎日の判断業務があります。稼働予定や部品在庫を一覧化しておくだけでも、判断のスピードは変わります。
背景には船舶安全法・船舶法における設備要件もあり、船種や規模によって求められる検査項目が変わります。見落とすと建造や修繕が止まりかねない、地味だが重要な確認項目です。
| 役割 | 日々の悩み | Claude Codeの使いどころ |
|---|---|---|
| 工場長/造船代表 | 造船工の配置・船台稼働の判断が属人化 | 稼働予定・発注状況の一覧化、判断材料の整理 |
| 設計エンジニア | 新燃料船の設計経験が浅く時間がかかる | 過去設計データを土台にした基本設計案の作成 |
| 品質管理責任者 | 船級協会検査記録の作成が繁忙期に集中 | 検査項目DBと前回記録を連携した集計 |
| 営業部長 | 海運会社からの技術根拠要求への対応が遅れる | 過去提案を土台にした技術根拠資料の作成 |
工場長がClaude Codeを使う場面は、事務所のパソコンの前とは限りません。船台の合間にスマートフォンで造船工の稼働状況を確認したり、移動中に翌週の部品発注リストを見直したりする使い方もできます。
事務所に戻ってからまとめて作業する必要がなくなること自体が、残業削減につながる場面も少なくありません。
船級協会検査記録の集計や基本設計のドラフト作成は、セミナーで実際の画面を動かしながらお見せしています。
AIが担うのはドラフト作成と集計の下準備までです。船級協会への提出・安全に関する判断は、これまで通り工場長や有資格者が行います。
04 MECHANISM なぜAIが船級協会検査記録まで作れるのか Claude Codeの仕組みを、専門用語を使わずに説明します
「AIが書類仕事を代わりにやってくれる」と聞くと、仕組みが気になる方も多いと思います。専門用語を使わずに、3つのポイントで説明します。
難しい技術の話ではありません。パソコンが得意な人が、たまたまその得意分野を書類仕事に向けている、というくらいのイメージで読み進めていただければ十分です。
ここまで見てきた基本設計や船級協会検査の例も、すべてこの3つの特徴の組み合わせで成り立っています。仕組みが分かると、自社のどの業務に応用できそうかもイメージしやすくなります。
📚 用語解説
AIエージェント:指示を受けて、複数の作業を自律的に実行し続けるタイプのAIの総称です。Claude CodeやCodexは、このAIエージェントの一種です。
4-1. ファイルを直接読み書きできる
Claude Codeは、設計図面のCADデータや検査記録のExcel、工事台帳といった実際のファイルを、パソコンの中でそのまま開いて中身を読み込めます。読んだ内容をもとに、新しい書類を作ったり、既存の書類を書き換えたりできます。
たとえるなら、資料を渡せば黙々と目を通し、指示通りに整理したり文書を作ったりしてくれる事務員のような存在です。
従来の生成AIとの違いも、まさにここにあります。「集計方法を教えてくれる」のではなく「実際に集計してくれる」——この一歩の差が、書類仕事の時間を大きく左右します。
4-2. 手順を覚えて繰り返せる
一度「この形式で集計して」と教えたやり方は、次回以降も同じ手順で再現できます。毎回イチから指示を考える必要はなく、「型」として使い回せます。
船級協会検査記録の集計や工程表の作成のように、毎回やることがほぼ決まっている業務ほど、この「型」の効果が出やすくなります。二度目以降は指示の言葉数も減り、確認するだけで済むようになります。
逆に言えば、毎回内容が大きく変わる業務では「型」の恩恵が小さくなります。まずは繰り返しの多い業務から試すのが、効果を実感しやすい進め方です。
最初から完璧な型を作ろうとせず、使いながら少しずつ調整していくほうが、結果的に早く定着します。1つの業務で型ができたら、似た業務にも応用できます。
4-3. 複数の資料を横断できる
設計データ・検査記録・工事台帳など、別々の場所に保存されている資料を、同時に開いて見比べることができます。船級協会検査の集計はこの「横断」がまさに効いてくる作業で、複数分野の記録を別々に突き合わせる手間を、まとめて引き受けられます。
基本設計でも同じことが言えます。過去設計データ・IMO規制・船級協会要件という、性質の異なる3種類の資料を横断して、初期案作成と要件突合を一度に進められます。
Claude Codeが担うのは、資料を読み込んでドラフトを作る作業までです。数字の最終確認や、提出・送信の判断は、これまで通り人が行います。
| 特徴 | 何ができるか | 造船・船舶修繕業での具体例 |
|---|---|---|
| ファイルの直接読み書き | 設計図面や検査記録を開いて、集計やドラフト作成ができる | 過去設計データから基本設計案を作成 |
| 手順を覚えて繰り返す | 一度教えたやり方を「型」として次回も使える | 毎回の検査記録集計を同じ手順で処理 |
| 複数資料の横断 | 設計データ・検査記録・工事台帳などをまとめて参照できる | 船級協会検査を分野横断で一括集計 |
| 対話しながら進められる | 一度で完璧を求めず、やり取りしながら調整できる | 見積書ドラフトの表現を対話で修正 |
ただし、Claude Codeが自分で判断できないこともあります。どこまで任せて、どこから人が確認するか。次の章で、つまずきやすいポイントとあわせて具体的に説明します。
05 PITFALLS 造船所への導入でつまずきやすいポイントと、現実的な対処 セキュリティ・社内定着・ツール選定でよくあるつまずきを整理します
Claude Codeを造船・船舶修繕業の現場に導入する際、多くの会社が最初につまずくのはセキュリティ面の線引きです。
ここまで紹介してきた便利さの裏側で、実際に導入するとなると出てくる現実的な悩みを、順番に整理していきます。
5-1. セキュリティと情報の取り扱い範囲
permission mode(操作許可の範囲)を適切に設定し、どのデータをAIに渡すか、どこまでの操作を許可するかを事前に線引きしておく必要があります。
📚 用語解説
permission mode:AIにどこまでの操作(読み取り・下書き作成・送信など)を許可するかを制御する設定です。範囲を絞って始め、慣れてから広げる使い方が一般的です。
まず読み取り専用の範囲で運用を始め、慣れてきた段階で許可する操作を広げていく進め方であれば、情報システム担当が不在の造船所でも無理なく運用できます。
設計図面や海運会社の機密情報など、機微な情報を扱う場合ほど、この設計を丁寧に行うことが導入の前提になります。何を渡して、何を渡さないかを、あらかじめ決めておくということです。
| 段階 | 許可する操作 | 目安の期間 | 関わる担当者 |
|---|---|---|---|
| 導入初期 | 読み取り・集計・下書き作成のみ | 最初の1〜2ヶ月 | 品質管理担当・情報システム担当 |
| 慣れてきた段階 | 社内フォーマットへの自動保存を追加 | 3〜6ヶ月目以降 | 業務担当者本人 |
| 定着後 | 業務ごとに必要な操作範囲を個別に調整 | 運用が安定してから | 各業務の責任者 |
5-2. 社内での定着
最初から全業務をAI化しようとせず、船級協会検査記録の集計や工程表作成など、負担の大きい一部の業務から試し、効果を実感してから範囲を広げていくほうが定着しやすくなります。
「便利そうだから」と全社に一斉導入するよりも、まず一人か二人が使いこなせるようになってから、周りに広げていくほうが、結果的に定着のスピードは早くなります。
5-3. ツール選定で押さえておきたいこと
Claude CodeとCodex、どちらが自社に合うかは、実際に画面を見ながら判断するのが早いです。まず自社が最初に試したい業務を決めてから、その業務での使いやすさを比較する順番がおすすめです。
月額料金や課金プランの違いも選定時のポイントですが、機能一覧を比較するよりも、自社の業務で実際に動かしてみたほうが、判断材料としては早く確実です。
「どちらのツールが優れているか」ではなく「自社のどの業務に使いたいか」を先に決めることが、ツール選定で遠回りしないコツです。
| 観点 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| セキュリティ | どのデータをどこまで渡すか、操作許可の範囲 |
| 社内定着 | 最初に試す業務を1〜2個に絞れているか |
| ツール選定 | 自社の業務で実際に動かして比較したか |
| 記録の残し方 | 元データとドラフトを案件フォルダに保存しているか |
| 教育・サポート | 最初の数回、誰が一緒に操作をサポートするか |
5-4. 現場でよくあるつまずきの実例
ひとつは、船級協会検査記録の集計と基本設計ドラフト、工程表作成を、初日からすべて一気に試そうとして途中で止まってしまうケースです。担当者ごとに温度差が生まれ、どの業務も中途半端になりがちです。
📚 用語解説
プロンプト:AIに対して、何をしてほしいかを伝える指示文のことです。難しいコマンドではなく、日本語の普通の文章で構いません。
もうひとつは、工場長がプロンプトの書き方に戸惑い、結局誰も使わなくなってしまうケースです。「この検査記録のフォーマットに整えて」といった業務の言葉をそのまま入力すれば十分ですが、この点が伝わっていないと、ツールを開かないまま放置されがちです。
三つ目は、船級協会ごとの様式の違いを考慮せずに検査書類のドラフトをそのまま使い、書式不備で差し戻されるケースです。過去の様式との違いを事前に読み込ませておかないと、ドラフトの精度は上がりません。
多くのつまずきに共通するのは、準備段階を飛ばして一気に始めてしまう点です。1つの業務に絞って慣れてから広げるほうが、結果的に早く定着します。
| つまずきポイント | 現実的な対処 |
|---|---|
| 全業務を一度にAI化しようとして頓挫 | 検査記録や工程表など、負担の大きい業務を1〜2個に絞って試行 |
| 船級協会ごとの様式差異を考慮せず差し戻される | 過去の様式を事前に読み込ませ、書式変換の下書きから始める |
| 工場長がプロンプトの書き方に戸惑う | 最初の数回は品質管理担当や情報システム担当が一緒に操作する |
| 読み込ませるデータの範囲を決めずに始める | permission modeで読み取り専用の範囲から着手する |
| 元データとドラフトの保存ルールがない | 案件フォルダにやり取りを保存する運用を決めておく |
AIに読み込ませた元データと、生成されたドラフトを、いつ・どの案件で使ったか分かる形で残しておくことも大切な運用ルールです。案件フォルダにやり取りを保存しておくだけで、最低限の記録になります。
特別なシステムを新たに導入する必要はありません。今使っているフォルダ構成やファイル管理のルールに、AIとのやり取りの保存を一項目加えるだけで十分です。
船級協会検査記録や国交省への報告書は、後から説明を求められることもあります。元データとドラフトの保存履歴が、そのまま簡易的な監査ログとして役立ちます。
ここまで見てきたように、つまずきの多くは技術的な難しさではなく、始め方の設計に起因します。業務を絞る、型を作る、記録を残す——この3つを押さえておけば、大きな失敗にはつながりにくくなります。
文章だけでは伝わらない部分は、実際の画面をご覧いただくのが早いです。セミナーでは、船級協会検査記録の集計や基本設計ドラフトの作成を実際に動かしながらお見せしています。
06 SEMINAR_CONTENT 造船・船舶修繕業向けセミナー当日、実際に何を話すのか 60分の時間割・実演する業務・よくある質問・参加対象を具体的に紹介します
「結局セミナーで何をするのか」が分からないと、参加を決めにくいと思います。60分の中身を具体的に紹介します。
6-1. 60分の時間割
| 時間帯 | 内容 |
|---|---|
| 最初の10分 | 造船・船舶修繕業の業務棚卸しと、Claude Code・Codexの全体像整理 |
| 次の25分 | 受注見積から基本設計ドラフト、船級協会検査記録の集計の実演デモ |
| 次の15分 | 参加者の悩みを募集し、その場で「うちならこう試すか」を設計 |
| 最後の10分 | 質疑応答と、来週何を試すかの言語化 |
この時間割が基本の流れです。実演デモで扱う具体的な資料例は、参加造船所の規模・扱う船種に応じて多少調整することもあります。
6-2. 実演する業務
実演の中心は、25分間のノーカットデモです。造船・船舶修繕業の具体的な業務を、画面を動かしながらお見せします。
船級協会検査記録の集計では、前回検査記録と項目データベースを読み込ませるところから、チェックリスト・再検査対応書類のドラフトができるまでを実際に動かします。
基本設計のドラフト生成では、過去設計データとIMO規制を読み込ませて初期案を作らせ、船級協会要件との突合結果が出るまでの流れをお見せします。
業務ごとに入力と出力がどう変わるかを比較しながら見ていただくことで、自社ではどの業務から試すのが現実的かを判断しやすくしています。
6-3. その場で答える、こんな質問
| よくある質問 | 当日の回答の方向性 |
|---|---|
| 船級協会検査記録はどこまで任せられるか | 集計とチェックリスト作成の下書きまでで、最終確認と提出は人が行う前提です |
| 新燃料船の設計にAIは対応できるか | 過去データとIMO規制を読み込ませ、初期案までのドラフト作成を支援します |
| セキュリティ面でどこまでデータを渡していいか | permission modeでの操作許可範囲の考え方を説明します |
6-4. 参加対象
参加対象は工場長・代表・会社役員としていますが、設計や品質管理を担当する設計エンジニアの方にも参考にしていただける内容です。パソコン操作に不慣れな方でも、専門知識は前提としていません。
一方、書類仕事を人に任せる想定がなく、代表お一人で全ての業務を完結されている場合は、効果を実感しにくいかもしれません。複数人で業務を分担している造船所ほど、持ち帰れる材料は多くなります。
07 SEMINAR_BOOKING 造船・船舶修繕業向けセミナーの参加方法と、予約から当日までの流れ 無料・60分・オンラインの参加方法と、予約から当日までの流れを紹介します
ここまで紹介した内容を、実際の画面を動かしながら確認できる場として、60分の無料オンラインセミナーを開いています。
- 参加費は無料
- 60分・オンライン(Google Meet)開催
- 1社1枠の貸切で、実演を中心に進めます
- 空いている日程からそのまま予約できます
このページ下部の予約フォームで、空き日程を選ぶだけで予約が完了します(日程調整のメール往復はありません)。こちらの予約フォームからお進みください。
日程や内容の詳細はClaude Code セミナーの詳細ページでもご確認いただけます。
| この記事で分かったこと | セミナーで確認できること |
|---|---|
| Claude Code・Codexが何者か | 実際の画面での操作感 |
| 何を渡すと何が出てくるか(理屈) | 自社の業務に置き換えた場合の具体例 |
| 導入時のつまずきポイント | 自社ならどこから試すべきかの判断材料 |
| なぜそれが可能なのか(仕組み) | 実際に動いている様子を見て納得できるか |
| 基本設計・船級協会検査の変わり方 | 自社の設計データを例にした質疑応答 |
| セキュリティ・社内定着の考え方 | 自社の運用ルールに落とし込む相談 |
この記事を読んで、Claude Code・Codexが何者かはお分かりいただけたと思います。あとは、自社の業務にどこまで使えそうか、実際の画面で確かめていただくだけです。
Claude CodeやCodexが自社に合うかどうかは、実際の画面を見るのが一番早い判断材料になります。押し売りはしませんので、まずは60分、実際の動きを確認してみてください。
参加無料・60分・オンライン(Google Meet)・1社1枠
よくある質問
Q. 船級協会(日本海事協会/Lloyd's/ABS)の検査記録をAIに任せて大丈夫でしょうか。
A. 前回検査記録と船級協会別の検査項目を土台にチェックリストや再検査対応書類のドラフトを作成する使い方が中心です。分野ごとに参照資料が異なる点もあらかじめ読み込ませておけば反映されます。最終的な確認と船級協会への提出はこれまで通り工場長や品質管理責任者が行うため、記録の信頼性を保ったまま作成時間を圧縮できます。
Q. 溶接工の技能はAIで代替できないのではないですか。
A. 溶接作業そのものは人の手のまま変わりません。AIが担うのは溶接条件(電流/速度/パス温度)のログ蓄積と、欠陥が出やすい条件の傾向整理までです。職人技は守りつつ、新人への技能伝承にかかる時間を短縮する使い方を想定しています。最終的な溶接品質の判定は、これまで通り熟練の造船工/溶接工が行います。
Q. 新燃料船(LNG/メタノール/アンモニア)の設計にAIは対応できますか。
A. 過去の設計データとIMO規制、船級協会要件を読み込ませ、基本設計の初期案を作らせる使い方が中心です。構造計算の精査や船級協会とのやり取りは、これまで通り設計エンジニアが行います。新燃料船は設計経験の蓄積が少ない造船所ほど、初期案作成の負担軽減を実感しやすい領域です。
Q. 設計データ(CAD図面)をAIに読み込ませても情報漏洩しないか心配です。
A. permission mode(操作許可の範囲)を使えば、まずは読み取り専用の範囲に限定して運用を始めることができます。設計図面や海運会社の機密情報など、機微な情報をどこまで渡すかの線引きは、セミナー内でも説明しています。慣れてきた段階で、許可する操作の範囲を少しずつ広げていく進め方が現実的です。
Q. パソコン操作に不慣れな社員が多い造船所でも導入できますか。
A. セミナーではターミナルやエディタの画面を実際に動かしながら説明します。専門知識がなくても、まずは何ができるかを知ることを目的にした内容です。最初の数回は品質管理担当や情報システム担当が一緒に操作するところから始める会社が多いです。ボタン操作より、日本語で何を伝えるかのほうが重要になります。
Q. Claude CodeとCodex、どちらを選べばよいですか。
A. どちらも生成AIを使った業務自動化ツールですが、造船・船舶修繕業の現場業務での活用事例の蓄積が進んでいるのはClaude Codeです。開発元(Anthropic/OpenAI)が異なるだけで、基本的な使い方や非エンジニアでも扱える点は共通しています。まず自社が最初に試したい業務を決めてから、使いやすさを比較するのがおすすめです。
Q. セミナーは工場長本人が参加しないといけませんか。
A. 工場長・代表・会社役員向けを基本としていますが、設計エンジニアや品質管理担当の方が実務目線で参加されることも歓迎しています。参加人数や役職については、お申し込み時にご相談ください。複数名での参加もご相談に応じます。
Q. 中小規模の造船所でも、大手造船所と同じように導入できますか。
A. むしろ専任の設計チームやシステム担当を厚く置けない中小造船所ほど、書類仕事の負担軽減を実感しやすい傾向があります。導入する業務を1〜2個に絞って試すところから始めれば、規模の大小にかかわらず無理なく運用できます。
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造船・船舶修繕業の書類仕事は、受注・見積の段階から、基本設計・詳細設計、船級協会検査、船舶修繕/ドックの計画まで、次々と積み重なっていきます。Claude CodeやCodexが何者かという基本から、実際に何ができて何ができないかまで、文章だけではどうしても掴みにくい部分があります。自社の設計データや検査記録を例に、実際の画面を見ながら自社に合う業務を見極められる場として、60分の無料セミナーを用意しています。
ここから先の進め方は、大きく2つあります。
自社で回せるようになりたい方は、AI鬼管理でClaude Code/Codexの使い方から業務設計・社内定着まで伴走を受けながら、社内に仕組みを作る道があります。
覚えるより任せたい方は、AI社員AIKATAでこの記事のような定型業務を丸ごと預ける道があります。料金は月30万円の月額定額、追加費用は0円です。
どちらが合うかは、業務量と社内体制次第です。無料相談・無料適合診断で、貴社の場合はどちらが向くかからご相談いただけます。
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