【保険代理店】代理店KPIレポートをClaude Code/Codexで自動化する方法
この記事の内容
保険代理店の経営は、勘や肌感覚だけでは回りません。更新率が下がっていないか、事故対応が滞っていないか、今月の面談数は足りているか、そして未対応リストに放置されている案件はないか — こうした数値を毎月まとめ、代理店としての打ち手につなげる作業が「代理店KPIレポート」です。ところが現実には、計上システム・更新管理表・事故受付メモ・面談記録・ToDoリストがバラバラに存在し、月初にこれらを1枚に集計するだけで半日が消えていく、という代理店は少なくありません。AIは数値の良し悪しを判断したり、募集の方針を決めたりするものではありませんが、バラバラの台帳から数値を拾い集め、前月との差分を並べ、未対応の案件を抜き出して、レポートのたたき台を作る補助として使えます。
月1回の代理店KPIレポート作成 (みなと総合保険サービスのモデル事例)
本記事では、AI鬼管理 が支援を想定する みなと総合保険サービス (静岡県浜松市・損保と生保の乗合代理店・募集人6名/事務2名) をモデル事例に、Claude Code/Codex で代理店KPIレポートを「更新率・事故対応・面談数の要約+未対応リスト+前月差分コメント」まで半自動化する手順を解説します。月次のKPI集計を代表の室伏さん(むろふし)1人が抱え、毎月180分かけて手作業で表を作っていた代理店が、事務の苅田さん(かりた)も初稿を起こせるようになり、月初の集計に追われて打ち手を考える時間が取れない状態を抜け出した流れです。
この記事を最後まで読むと、
- 代理店KPIレポートで代理店が抱えている負荷(数値集め・転記・前月比較・未対応の洗い出し)が分かる
- Claude Code/Codexで自動化できる3項目(数値の要約/未対応リストの抽出/前月差分コメントの下書き)が理解できる
- 5ステップでのPoC〜運用の進め方が分かる
- 更新率・事故対応・面談数・未対応リストを要約する型が分かる
- 代理店の数値からボトルネックを読む観点(数値の解釈と判断は人が行う前提)が分かる
01 PROBLEM 代理店KPIレポートの現場で起きていること 数値集め・転記・未対応の洗い出しのトリレンマ
問題1: KPIの元データが一か所に集まらない。更新率は損保・生保それぞれの更新管理表、事故対応の進み具合は事故受付メモやメール、面談数は募集人ごとの日報、未対応案件はToDoリストや付箋 — と、代理店KPIレポートに必要な数値は、別々のシステムやファイルに散らばっています。みなと総合保険サービスでも、月初はまず「どこに何の数字があるか」を思い出しながら集めるところに時間が消えていました。
問題2: 集計の段取りが代表1人に集中する。「更新管理表のどの列を更新率として数えるか」「事故対応を”対応中/完了/保留”のどれに分類するか」「面談数は新規と既契約フォローを分けるか」 — こうした集計の段取りは、みなと総合保険サービスでは実質、代表の室伏さん1人しか分かっていませんでした。事務の苅田さんは「どの数字をどう数えれば室伏さんと同じ表になるか」がつかめず、結局は室伏さんの作業待ちになり、室伏さんがボトルネックになります。
問題3: 集計に追われ、肝心の打ち手が出てこない。KPIレポートの本来の目的は「数値を見て次の動きを決めること」です。ところが月初の集計だけで半日かかると、「更新率が下がった商品はどれか」「フォロー期限を過ぎた顧客は誰か」を検討する時間が残りません。みなと総合保険サービスでも、レポートは作っているのに”作って終わり”になり、未対応の更新案内やフォローが後手に回ることがありました。
02 WHAT Claude Code/Codexで何を自動化するか 数値の良し悪し判断ではなく、集計と未対応の洗い出しを自動化
📚 用語解説
代理店KPIレポート:保険代理店が経営や募集活動の状況を把握するために、主要な指標(KPI)を定期的にまとめた報告。更新率(継続率)、事故対応の進捗、面談数(活動量)、未対応案件などを月次で集計し、前月との差分や課題を共有する。どの台帳のどの数字を、どの定義で数えてまとめるかが担当者の経験に依存しやすく、属人化の主因になりやすい。
処理1: 主要KPIの要約づくり。更新管理表・事故受付メモ・面談日報など、月ごとに出力したCSVやメモをAIが読み取り、更新率・事故対応の件数と進捗・面談数を、決めた定義どおりに集計して要約します。「今月の更新率」「対応中/完了/保留の事故件数」「新規/既契約フォローの面談数」を1枚にまとめた、レポートのたたき台を作ります。
処理2: 未対応リストの抽出。「更新期限が近いのに案内が未送付」「事故対応が一定期間動いていない」「フォロー予定日を過ぎている既契約」 — こうした放置されやすい案件をAIが抜き出して並べます。人が全件を目視で追わなくても、期限が近い順・滞留が長い順に確認に入れます。
処理3: 前月差分コメントの下書き。前月のレポートと今月の数値を突き合わせ、「更新率が前月比で何ポイント動いた」「事故対応の保留が増えた」といった変化を、事実ベースの差分コメントとして下書きします。この一文があるだけで、ミーティングで”どこを見るべきか”の出発点が揃います。
| KPIの要素 | AIが整理すること | 人(代理店主・募集人)が確認・判断すること |
|---|---|---|
| 更新率(継続率) | 商品別・募集人別の更新率と前月差分 | 低下の背景、対象顧客への打ち手の是非 |
| 事故対応 | 対応中/完了/保留の件数と滞留日数 | 保留の理由、優先対応、顧客への連絡判断 |
| 面談数(活動量) | 新規/既契約フォロー別の件数と推移 | 活動量の評価、目標との差、個別の事情 |
| 未対応リスト | 期限超過・滞留案件の抽出と並べ替え | 対応順位、担当割り、例外対応の判断 |
AIの役割は集計・未対応の抽出・差分コメントの下書きまで。「この更新率が良いか悪いか」「どの顧客にどう動くか」といった評価と判断は、必ず代理店主と募集人が行います。この線引きを最初に決めておくと、代理店が安心してAIを使えます。
03 HOW 具体的な進め方 5ステップ 小さくPoCし、集計定義のズレをルールへ戻す
代理店KPIレポートAI化の5ステップ
更新率・事故対応・面談数・未対応リストから始める。あれもこれも足さず、毎月必ず見る指標に限定する
「更新率=当月満期のうち継続した件数の割合」「面談は新規と既契約フォローを分ける」など、室伏さんの集計ルールを文章化する
KPIの要約・未対応リスト・前月差分コメントを、確定値ではなく確認用ドラフトとして出す
代理店主が直した箇所と「定義がずれていた理由」をCLAUDE.mdへ戻し、集計の精度を上げる
初稿づくりを事務に任せ、代理店主は数値の解釈と打ち手に回る。定着したら指標の追加・入れ替えを検討する
5ステップで最も大切なのは、STEP 2の「数え方の定義」をそろえることです。同じ「更新率」でも、満期ベースか件数ベースか、特約の中途更新を含めるかで数字は変わります。室伏さんの頭の中にある数え方をCLAUDE.mdに書いておかないと、AIの初稿が毎回ぶれて「結局作り直し」になります。逆に定義を一度そろえれば、AIの初稿は毎月同じ物差しで、みなと総合保険サービスのレポートに近づきます。
04 RESULT 導入後の変化と数値効果(みなと総合保険サービスの事例) KPIレポート作成180分→45分、属人化の解消
- 更新率・事故対応・面談数を、室伏さんが複数の台帳から手作業で転記・集計していた(月1回約180分)
- KPIの数え方が室伏さんの頭の中にしかなく、事務は同じ表を作れず作業待ちになっていた
- 未対応の更新案内やフォローが、集計に埋もれて後手に回ることがあった
- 集計で力尽き、「数値を見てどう動くか」を検討する時間が取れなかった
- AIが月次CSV・メモから更新率・事故対応・面談数を定義どおりに集計し、初稿を約45分で下書き
- 数え方をCLAUDE.mdにそろえたことで、事務の苅田さんも初稿を起こせるようになった
- 期限超過・滞留案件を未対応リストとして抽出し、取りこぼしを先回りで確認できるようになった
- 集計が短くなった分、室伏さんと募集人が数値の解釈と打ち手の検討に時間を使えるようになった
05 PITFALL よくある落とし穴3つ 数値の評価・募集ルール・顧客情報の扱いを誤らない
「この更新率は良いのか悪いのか」「どの顧客にどう動くか」「募集人の評価をどうするか」は、代理店の状況と顧客の事情を踏まえて代理店主・募集人が判断します。AIは集計と未対応の抽出、差分の下書きまで。評価や判断を任せると、数字の背景を無視した結論や、顧客に合わない一律対応につながります。
更新率や面談数が見えると「未更新の顧客へ一斉に案内を」と動きたくなりますが、保険募集には保険業法に基づく募集ルール(顧客への適切な説明、意向把握、不適切な乗換募集の防止など)があります。KPIを上げること自体が目的化して、募集ルールを軽視した働きかけにならないよう、具体的な募集行為は必ず募集人が募集ルールに沿って判断します。監督指針や保険業法の詳細は、本記事末尾の公的機関の資料も確認してください。
KPIの元データには契約者名・連絡先・契約内容・事故内容など、機微な顧客情報(個人情報)が含まれます。KPIの集計だけなら、氏名や連絡先まで渡す必要はないことがほとんどです。どの情報をAIに渡し、どこまで匿名化・集計値化し、データをどう保管・削除するかを、代理店の個人情報の取扱方針の範囲で先に決めてから使います。
06 SUMMARIZE 更新率・事故対応・面談数・未対応リストを要約する型 4指標を「定義+今月値+前月差+未対応」で並べる
代理店KPIレポートでつまずく一番の原因は、4つの指標を別々の表で管理し、「今月どうだったか」「前月から何が変わったか」が一目で分からないことです。みなと総合保険サービスでは、各KPIを「数え方の定義 → 今月値 → 前月差 → ひも付く未対応」の順で並べる型に変えました。この型をCLAUDE.mdに書いておくと、AIが毎月同じ並びで要約を作ります。
型1: 更新率は「商品別・募集人別」で前月差とセットにする
「当月満期のうち継続した件数の割合」を、損保・生保の商品別、そして募集人別に並べ、前月差(ポイント)を横に付けます。全体の更新率だけ見ても打ち手は出ませんが、「この商品だけ前月比で大きく下がった」と分かれば、確認すべき場所が絞れます。AIには、更新管理表のCSVから定義どおりに更新率を計算させ、前月分と並べさせます。
型2: 事故対応は「対応中/完了/保留」の件数と滞留日数で示す
事故対応は金額ではなく「進み具合」が大切です。「対応中・完了・保留」の件数に加え、対応中・保留の案件には「最後に動いた日からの滞留日数」を付けます。滞留日数が長い案件ほど、顧客が不安になりやすく、トラブルにもつながりやすいからです。AIには、事故受付メモから状態別の件数と滞留日数を集計させます。
型3: 面談数は「新規/既契約フォロー」を分けて活動量を見る
面談数は、新規の見込み客との面談と、既契約者へのフォロー面談を分けて数えます。合計の面談数が同じでも、新規ばかりで既契約フォローが止まっていれば、更新率の低下や解約の予兆につながりかねません。AIには、日報から新規/既契約フォロー別に面談数を集計させ、推移を並べさせます。
上の3つの型に未対応リスト(次セクション)を加え、「指標ごとに、定義・今月値・前月差・ひも付く未対応案件を並べる」1枚のテンプレをCLAUDE.mdに書いておくと、AIが毎月同じ並びで初稿を作ります。複数の台帳を行き来する時間が減り、変化と取りこぼしに早く気づけます。
07 READING 代理店の数値からボトルネックを読む観点 数値の解釈と判断は代理店主・募集人が行う
KPIレポートは、作るだけでは意味がありません。数値の動きから「どこが詰まっているか(ボトルネック)」を読み、次の動きにつなげて初めて活きます。ただし、ここで強調したいのは — 数値の解釈と、それを受けてどう動くかの判断は、必ず代理店主と募集人が行う、ということです。AIが出すのは集計値と差分という”材料”までで、「なぜそうなったか」「だからどうするか」は、現場と顧客を知る人にしか分かりません。みなと総合保険サービスが、初稿の数値を見るときに使っている観点を紹介します。
観点1: 更新率の低下は「商品」か「人」かに切り分ける
更新率が下がったとき、特定の商品で起きているのか、特定の募集人の担当先で起きているのかで、考えるべきことは変わります。商品別と募集人別の両方で前月差を見ると、「特定商品の市場環境なのか」「フォローの手が回っていない担当があるのか」の切り分けの手がかりになります。どちらが原因で、何をするかは、背景を知る代理店主・募集人が判断します。
観点2: 事故対応の「保留」の滞留が長引いていないか
事故対応の保留件数そのものより、「保留が長く動いていない案件があるか」に注目します。保留が長引く案件は、必要書類が揃わない・連絡が取れない・社内確認が止まっている、など詰まりのサインです。滞留日数の長い順に並べておくと、優先して動くべき案件が見えます。どの案件をどう動かすか、顧客にどう連絡するかは、担当募集人が判断します。
観点3: 面談数と更新率・未対応を「つなげて」読む
面談数(活動量)は、単独で多い少ないを論じるより、他の指標とつなげると意味が見えます。「既契約フォロー面談が減っている時期に、更新率も下がり、未対応リストにフォロー切れが溜まっている」なら、フォローの停滞がボトルネックかもしれない、という”仮説”が立ちます。あくまで仮説であり、本当の原因と打ち手は、現場の事情を踏まえて人が見極めます。
AIが出す集計値や差分、未対応リストは、議論を始めるための材料です。数値の背景には、顧客の事情、地域の特性、商品改定など、表に出ない要因があります。数値だけで募集人を評価したり、顧客へ一律の働きかけをしたりせず、解釈と判断は代理店主・募集人が、保険業法に基づく募集ルールと顧客本位の視点で行ってください。
一度ボトルネックとして見えた点は、次月以降も見るべきチェック項目になります。「既契約フォロー面談の件数を毎月確認」「保留の滞留が30日を超えたら個別確認」など、読み取った観点をCLAUDE.mdへ戻しておくと、AIの初稿が代理店の着眼点を反映したものに育ちます。
08 RELATED 関連記事: 保険代理店の自動化事例10選(全業務マップ) 代理店KPIレポート以外の9業務も含めた事例集
本記事は保険代理店の自動化事例10選のうち、事例10「代理店KPIレポート」を深掘りした内容です。更新案内・見積比較表作成・事故受付一次整理など他の業務もあわせてご覧ください。→ 保険代理店の自動化事例10選(全業務マップ)
09 ABOUT AI鬼管理について - 代理店KPIレポートの伴走サービス 属人化した月次集計を、解釈中心の運用へ
本記事を発信している AI鬼管理 は、保険代理店のAI業務自動化をClaude Code/Codexで設計から伴走するサービスです。代理店KPIレポートは、月次集計の属人化を解くことで、取りこぼしの防止と、数値を打ち手につなげる経営に効く打ち手です。
属人化した代理店KPIレポート、いっしょに軽くしませんか?
本記事のみなと総合保険サービスの例は、損保・生保の乗合・募集人6名・代表1人集計というモデルケースです。貴店の取扱種目や使っている台帳によって、最適な進め方は変わります。まずは今のKPIレポートの作り方をうかがって、貴店に合った設計をご提案します。
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よくある質問
Q. AIに数値の良し悪しや経営判断まで任せてよいですか?
A. おすすめしません。数値の評価や打ち手の決定は、代理店の状況と顧客の事情を踏まえて代理店主・募集人が判断します。AIは集計、未対応の抽出、前月差分の下書きまでにします。
Q. 顧客情報が含まれますが、どう扱えばよいですか?
A. KPIの集計だけなら、氏名や連絡先まで渡す必要はないことがほとんどです。どの情報をAIに渡し、どこまで匿名化・集計値化し、データをどう保管・削除するかを、代理店の個人情報の取扱方針の範囲で先に決めてから使います。
Q. KPIレポートを見て、未更新の顧客へ一斉に案内してもよいですか?
A. 保険募集には保険業法に基づく募集ルール(顧客への適切な説明、意向把握、不適切な乗換募集の防止など)があります。KPIを上げること自体を目的化せず、具体的な募集行為は募集人が募集ルールと顧客本位の視点で判断してください。監督指針や保険業法は、記事末尾の公的機関の資料も確認できます。
Q. 複数のシステム・台帳に数字が分かれていても使えますか?
A. 使えます。各システムから出力したCSVや、更新管理表・事故受付メモ・日報をもとに、決めた定義どおりに集計して1枚に要約する形が現実的です。
Q. どのKPIから始めるのがよいですか?
A. まずは更新率・事故対応・面談数・未対応リストの4つに絞るのがおすすめです。毎月必ず見る指標から数え方をそろえ、定着してから指標の追加・入れ替えを検討します。
Q. 料金やプランを教えてください
A. 料金やサポートプランは AI鬼管理のサービスページをご覧ください。貴店向けの個別ご提案は本記事末尾のNEXT STEPからお問い合わせください。
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