税理士事務所向けClaude Codeセミナー|記帳代行・月次試算表・税務調査対応はどこまで自動化できるか
弊社GENAIでは、税理士事務所の方向けに Claude Code・Codex の無料オンラインセミナー(60分)を開催しています。本記事では、記帳代行や月次試算表のチェック、別表四・五(一)の整合確認が、どこまで自動化できるかを、セミナーの内容とあわせて解説します。
税理士事務所では、申告期の繁忙や、顧問先30社超を抱えるスタッフ税理士の月次対応、記帳代行担当が抱える消費税区分の判定作業など、書類仕事の負担が年間を通じて積み重なりやすい構造があります。Claude CodeやCodexが何者かという基本を押さえたうえで、この負担がどこまで軽くなるのかを見ていきます。
記事の後半では、税務調査対応や年末調整、記帳代行への広がりと、導入時につまずきやすいポイント、守秘義務の取り扱い方についても順に説明します。自事務所のどの業務から試すべきかの判断材料としてお読みください。
税理士事務所の方向けの無料セミナーを開催しています。
参加無料・60分・オンライン(Google Meet)・1社1枠
01 AI_DIFF 税理士業務でいう「答えるAI」と「やり切るAI」の違い Claude CodeとCodex、それぞれ何者で、非エンジニアの税理士事務所でも使えるのかを整理します
ChatGPTやGeminiのような生成AIは、質問すると答えてくれる「対話するAI」です。使ったことがある方も多いと思います。
「別表四の書き方を教えて」「インボイスの経過措置を説明して」といった質問には、丁寧に答えてくれます。ただし、実際の集計や申告書ドラフトの作成そのものまではやってくれません。
一方、Claude CodeやCodexは、指示した作業を最後まで自分で実行してくれる「仕事をやり切るAI」です。総勘定元帳を読み込んで異常値を検出する、申告書のドラフトを作る、といった一連の作業を任せられます。
たとえば「今月の試算表を前期と比較して」と頼んだ場合、ChatGPTは一般的な比較の視点を説明してくれますが、実際に元帳ファイルを開いて突合まではしてくれません。
Claude Codeは、その総勘定元帳や補助元帳のファイルを実際に開いて中身を読み込み、異常値の指摘までその場で作ってくれます。「説明する」のではなく「やってくれる」のが最大の違いです。
1-1. Claude Codeとは
Claude Codeは、Anthropic社が開発した、ターミナルやエディタの画面から指示を出して動かすAIツールです。総勘定元帳や申告書のPDFといった実際のファイルを読み込ませ、対話しながら集計やドラフト作成を進められます。
📚 用語解説
Claude Code:Anthropic社が開発した、ファイルを読み込んで作業を代行してくれるAIツールです。パソコンの画面から日本語で指示を出して使います。
もともとはソフトウェア開発者向けのツールとして作られましたが、「ファイルを読み込んで作業する」という性質そのものは、プログラミングに限らず、月次試算表のチェックや別表の整合確認にもそのまま応用できます。
1-2. Codexとは
Codexは、OpenAI社が開発した、Claude Codeと似た位置づけのAIツールです。こちらもファイルを読み込ませて作業を任せる使い方が中心で、税理士事務所での活用事例はClaude Codeのほうが蓄積が進んでいます。
ChatGPTを開発しているOpenAI社の技術がベースになっているため、ChatGPTに慣れている方には、操作の雰囲気が近く感じられるかもしれません。基本的な考え方はClaude Codeと共通しています。
📚 用語解説
Codex:OpenAI社が開発した、Claude Codeと同じく作業を代行してくれるAIツールです。仕組みは似ていますが、開発元と細かな使い勝手が異なります。
「そもそも税理士法の独占業務に踏み込まないのか」という疑問もよく聞きます。Claude CodeもCodexも税務代理そのものを行うのではなく、判断の前段にある定型作業を圧縮する道具として位置づけます。
| Claude Code | Codex | |
|---|---|---|
| 開発元 | Anthropic | OpenAI |
| できること | ファイル読み込み・集計・書類ドラフト作成 | ファイル読み込み・集計・書類ドラフト作成 |
| 税理士事務所での活用事例 | 蓄積が進んでいる | 蓄積は少なめ |
| 非エンジニアの利用 | 日本語の指示文で操作可能 | 日本語の指示文で操作可能 |
| 土台となる技術 | Anthropic独自のAIモデル | ChatGPTと同じOpenAIのAIモデル |
| セミナーでの扱い | 実演の中心として詳しく紹介 | 冒頭で違いを簡単に紹介 |
どちらも専門的なプログラミング知識がなくても、日本語で「この元帳を集計して」のように話しかけるだけで使えます。難しい操作を覚える必要はありません。
Claude CodeもCodexも、専門知識よりも「何を渡して、何を作ってほしいか」を言葉にする力のほうが重要です。セミナーでは実際の画面を動かしながら、この感覚をお見せしています。
1-3. 税理士事務所では、具体的に何に使えるのか
「仕事をやり切るAI」と言われても、まだ抽象的に感じるかもしれません。税理士事務所の現場で言えば、次のような業務が代表的な使いどころです。
- 記帳代行(仕訳サジェスト・消費税区分判定)
- 月次試算表のチェックと突合レポート作成
- 別表四・五(一)の整合確認と申告書ドラフト
- 税務調査対応の想定問答集の作成
- 年末調整・法定調書のドラフト作成
税務相談への一次回答ドラフトも、代表的な使いどころのひとつです。過去の回答履歴や国税庁の通達・質疑応答事例を渡すと、引用条文付きの回答案が出てきます。最終的な回答は、これまで通り担当税理士が行います。
この先の章では、これらの業務ひとつひとつについて「何を渡すと、何が出てくるか」を具体的に見ていきます。
逆に、顧問先との折衝や税務判断そのもの、申告書への署名押印のように、税理士本人の責任が伴う業務は、これからも人が担う部分として残ります。AIが代われるのは「作業」であって「判断」ではない、という線引きが基本です。
| 向いている業務 | 向いていない業務 |
|---|---|
| 数字の集計・書類のドラフト作成 | 顧問先との折衝・信頼関係づくり |
| 過去の様式を踏まえた書式変換 | 税務判断そのもの・申告書への署名押印 |
| 繰り返しの多い定型業務 | そのつど事情が変わる税務相談の最終回答 |
| 複数資料の突合・横断作業 | 税務調査の立会いそのもの |
| データに基づく異常値の把握 | 顧問先の事業承継・経営に関わる助言 |
| 用語 | 一言でいうと |
|---|---|
| Claude Code | Anthropic製の「仕事をやり切るAI」 |
| Codex | OpenAI製の「仕事をやり切るAI」 |
| プロンプト | AIへの指示文(日本語の普通の文章でよい) |
| AIエージェント | 複数の作業を自律的に実行し続けるAIの総称 |
| permission mode | AIに許可する操作の範囲を決める設定 |
| 別表 | 法人税申告書に添付する明細書類の総称 |
税理士事務所の業務は、月次の巡回サイクルと年次の申告サイクルが並走し、そこに突発で税務調査が入るという構造になっています。どのサイクルにAIを差し込むかを最初に整理しておくと、導入の順番で迷いにくくなります。
次の章からは、この構造を踏まえたうえで、まずもっとも頻度が高く時間が溶けやすい月次試算表チェックから、具体的に何を渡すと何が出てくるのかを見ていきます。
02 SHIKEIHYO 月次試算表チェックが、Claude Codeでこう変わる 税理士事務所でもっとも頻度高く時間が溶ける工程を、入力と出力で見ます
税理士事務所でもっとも頻度高く時間が溶けるのが、月次試算表のチェックです。顧問先30社超を担当するスタッフ税理士も珍しくなく、毎月同じ作業を繰り返すことになります。
freee会計・マネーフォワード・弥生会計・TKC FX2などクラウド会計の自動仕訳が浸透した一方、自動仕訳の精度そのものを確認する作業は、いまも人の目に頼っています。
月次試算表チェック
総勘定元帳・補助元帳を読み込ませると、異常値と論点を整理した指摘リストのドラフトが出てきます。
別表整合チェック
決算整理仕訳と過去仕訳を渡すと、別表四・五(一)の整合を確認したチェック結果が出てきます。
税務調査想定問答
過去の申告書と元帳を渡すと、調査官想定問答集のドラフトが出てきます。
記帳代行(仕訳サジェスト)
領収書・請求書のPDFを渡すと、勘定科目と消費税区分を付けた仕訳データが出てきます。
2-1. 月次試算表チェックのドラフト作成
総勘定元帳や補助元帳をClaude Codeに読み込ませると、前期比較の異常値や、仮払金・役員貸付金の滞留を検出した指摘リストのドラフトが出てきます。ゼロから元帳を目で追う必要がなくなります。
これまで担当税理士が試算表を睨みながら電卓を叩いていた作業のうち、異常値を洗い出す部分だけを、AIが下書きとして先に用意しておくイメージです。
もちろん、洗い出した異常値が実態と合っているかどうかの最終確認は、これまで通り担当税理士が行います。
月次試算表のチェックは、その後の別表整合や年次申告のすべての土台になります。ここを最初に整えることが、以降の工程全体の時間短縮につながります。
| 確認する内容 | 主な参照資料 |
|---|---|
| 前期比較の異常値 | 総勘定元帳、前期試算表 |
| 仮払金・役員貸付金の滞留 | 補助元帳、残高一覧表 |
| 科目振替の妥当性 | 仕訳帳、証憑データ |
| 消費税区分の整合 | 課税区分別集計表 |
2-2. 自動仕訳の精度監査と別表整合
自動仕訳のログと、過去仕訳・別表四(所得金額)・別表五(一)(利益積立金額)を渡すと、整合を突き合わせたチェック結果のドラフトが出てきます。最終的な数値判断と申告は、担当税理士が行います。
📚 用語解説
別表四・別表五(一):法人税申告書に添付する明細書類で、別表四は所得金額の計算、別表五(一)は利益積立金額の計算を示します。この2つの整合が取れているかは申告の基本チェック項目です。
月次面談で指摘すべき論点を、試算表PDFと一緒にドラフト出力させることもできます。面談前に論点が整理されているだけで、面談の質そのものが変わります。
| 業務 | 何を渡すか | 何が出てくるか |
|---|---|---|
| 月次試算表チェック | 総勘定元帳・補助元帳 | 異常値・論点を整理した指摘リスト(ドラフト) |
| 別表整合チェック | 決算整理仕訳・過去の別表四/五(一) | 整合を突き合わせたチェック結果 |
| 月次面談レポート | 指摘リスト・過去の指摘事項 | 顧問先別の面談用レポートドラフト |
| インボイス区分振分 | 顧問先別の登録番号一覧 | 経過措置区分を反映した振分結果 |
| 前期比較資料の作成 | 当期・前期の試算表 | 科目別の増減比較表 |
たとえば「この総勘定元帳から、前期比較で乖離が大きい科目を拾って」と渡すと、科目別の異常値リストのドラフトが数分で出てきます。
続けて「このリストと去年の指摘事項から月次面談用のレポートを作って」と渡せば、論点をまとめたレポートドラフトが出てきます。これを土台に、担当税理士が顧問先に説明します。
毎回イチから条件を説明し直す必要はなく、一度使った指示文をメモしておけば、次の顧問先でもほぼそのまま使い回せます。
2-3. インボイス経過措置の自動振分
顧問先ごとの適格請求書発行事業者番号(T+13桁)を国税庁公表サイトで照合し、経過措置の段階(2026年9月30日までは80%控除、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%控除、以降は控除不可)に応じた区分を自動で振り分けさせられます。
📚 用語解説
インボイス制度(適格請求書等保存方式):2023年10月に始まった消費税の仕入税額控除の方式です。免税事業者からの仕入は経過措置で段階的に控除割合が縮小し、2029年10月以降は原則控除できなくなります。
この区分判定は、顧問先ごとに登録番号の有無と時期を台帳で管理する必要があり、件数が増えるほど属人化しやすい作業です。台帳管理そのものをAIに任せる使い方が現実的です。
顧問先数が増えるほど、この台帳を毎月更新し続ける手間も比例して増えていきます。更新作業自体をAIに任せられれば、担当者は例外的なケースの確認に集中できます。
経過措置の適用ミスは、後から控除額の修正が必要になるリスクにもつながります。早い段階で自動化しておく価値は小さくありません。
Claude Codeが担うのは異常値検出と指摘リストの下書きまでです。最終的な数値判断と顧問先への説明は、担当税理士が行います。
2-4. 消費税・源泉所得税の月次納付管理
原則課税・簡易課税・2割特例のどれを選んでいるかは顧問先ごとに異なり、源泉所得税も納期特例(7月・1月)対象先と毎月納付先が混在します。台帳管理を誤ると納付漏れのリスクに直結します。
顧問先ごとの課税方式と納付サイクルを一覧化させ、納付期限が近い顧問先を自動でリマインドするリストを作らせることもできます。最終的な納付判断と実務は、これまで通り担当者が行います。
| 区分 | 納付サイクル | 台帳で管理する項目 |
|---|---|---|
| 消費税(原則課税) | 中間申告・確定申告 | 課税売上割合、仕入税額控除の計算根拠 |
| 消費税(簡易課税/2割特例) | 確定申告のみ | 事業区分、みなし仕入率の適用状況 |
| 源泉所得税(納期特例) | 年2回(7月・1月) | 対象従業員数、納期特例承認の有無 |
| 源泉所得税(毎月納付) | 毎月10日 | 月次の給与・報酬支払データ |
03 AUTOMATION 別表・税務調査・年末調整・記帳代行も、同じように変わる 法人税申告書、税務調査対応、年末調整、記帳代行を具体的に見ます
月次試算表チェック以外にも、税理士事務所には年間を通じて負担の大きい書類仕事があります。法人税申告書(別表)、税務調査対応、年末調整、記帳代行などです。
いずれも「毎年・毎月・毎顧問先」発生する定型業務という共通点があり、Claude Codeの「型」が効きやすい領域でもあります。ひとつずつ、何を渡すと何が出てくるかを見ていきます。
3-1. 法人税申告書(別表)のドラフト作成
決算整理仕訳と税効果会計のデータを読み込ませ、別表四・別表五(一)・別表五(二)(租税公課の納付状況)・別表七(欠損金繰越控除)・別表十六(減価償却)の整合を突き合わせ、申告書のドラフトと点数試算を作らせる、という使い方がAIと相性の良い領域です。
賃上げ促進税制や中小企業投資促進税制の適用判定も、対象データを渡せばドラフト化できます。最終的な適用可否の判断は、担当税理士が行います。
| 別表 | 主な内容 | 主な参照資料 |
|---|---|---|
| 別表四 | 所得金額の計算 | 決算整理仕訳、総勘定元帳 |
| 別表五(一) | 利益積立金額の計算 | 前期別表五(一)、当期仕訳 |
| 別表七 | 欠損金繰越控除 | 過去の申告書、繰越欠損金明細 |
| 別表十六 | 減価償却の計算 | 固定資産台帳 |
3-2. 税務調査対応の想定問答集
過去3〜5期の申告書・総勘定元帳・契約書を読み込ませ、役員報酬の期中変更や外注費か給与かの判定、在庫評価といった論点を抽出させ、調査官想定問答と回答ドラフト、延滞税・加算税の概算を準備させられます。
📚 用語解説
書面添付制度:税理士法第33条の2に基づき、申告書の作成過程を税理士が書面で説明する制度です。活用していれば、税務調査の前に行われる意見聴取の段階で説明が完了するケースもあります。
3-3. 年末調整・法定調書と記帳代行
扶養控除等申告書・基礎控除/配偶者控除等申告書・保険料控除申告書のPDFを読み込ませ、住宅借入金等特別控除の反映と記載漏れの検出を行い、給与支払報告書・法定調書合計表のeLTAX提出データにまで展開させられます。
記帳代行では、電子取引データをAI-OCRで読み取り、過去仕訳パターンから勘定科目をサジェストし、適格請求書発行事業者の登録番号照合と消費税区分の付与までを一括で行わせられます。
| 業務 | 従来の目安時間 | AI活用後の目安 |
|---|---|---|
| 月次試算表チェック(1社) | 5〜8時間 | 1.5〜2時間程度に圧縮できた例あり |
| 法人税申告書作成(1社) | 15〜25時間 | 5〜8時間程度に圧縮できた例あり |
| 税務調査対応 準備(1社) | 20〜40時間 | 5〜10時間程度に圧縮できた例あり |
| 記帳代行 月次処理(1社) | 3〜5時間 | 30〜60分程度に圧縮できた例あり |
| 年末調整(従業員30名) | 20〜30時間 | 6〜10時間程度に圧縮できた例あり |
| 税務相談 一次回答(1問) | 30〜60分 | 5〜10分程度に圧縮できた例あり |
| 役割 | 日々の悩み | Claude Codeの使いどころ |
|---|---|---|
| 所長税理士 | 申告期と税務調査対応で身体が持たない | 想定問答集・申告前チェックリストの自動生成 |
| スタッフ税理士 | 月次30社並行と改正キャッチアップの板挟み | 自動仕訳の精度監査、別表四・五(一)の整合チェック |
| 記帳代行担当 | PDFと紙の山に消費税区分判定で追われる | AI-OCRでの仕訳サジェスト、登録番号照合 |
| 補助者・新人税理士 | 写経のような転記作業に終わりがち | 別表下書きの根拠を学ぶ側に回れる |
3-4. 事業承継・相続税対策への波及
生前贈与加算が3年から7年に延長されるなど、相続・事業承継まわりの改正も相次いでいます。過去3期分の試算表と申告書を読み込ませ、株価対策や納税資金の打ち手を並べる下準備をさせることも可能です。
最終的な事業承継税制(特例承継計画)の適用判断や、株価対策そのものの提案は、税理士本人の専門判断として残ります。AIはあくまで、数字を整理して選択肢を並べる部分を担います。
後継者不在や税理士有資格者の高齢化が進む中、こうした専門判断にかける時間をどれだけ確保できるかが、事務所の競争力そのものに直結してきています。定型作業の圧縮は、この時間を生み出すための手段のひとつです。
税務調査対応の想定問答集作成や別表の整合チェックは、セミナーで実際の画面を動かしながらお見せしています。
AIが担うのはドラフト作成と集計の下準備までです。申告・提出・調査官とのやり取りは、これまで通り税理士本人が行います。
04 MECHANISM なぜAIが別表整合チェックまでやり切れるのか Claude Codeの仕組みを、専門用語を使わずに説明します
「AIが書類仕事を代わりにやってくれる」と聞くと、仕組みが気になる方も多いと思います。専門用語を使わずに、3つのポイントで説明します。
難しい技術の話ではありません。パソコンが得意な人が、たまたまその得意分野を税務の書類仕事に向けている、というくらいのイメージで読み進めていただければ十分です。
ここまで見てきた月次試算表や別表の例も、すべてこの3つの特徴の組み合わせで成り立っています。仕組みが分かると、自事務所のどの業務に応用できそうかもイメージしやすくなります。
📚 用語解説
AIエージェント:指示を受けて、複数の作業を自律的に実行し続けるタイプのAIの総称です。Claude CodeやCodexは、このAIエージェントの一種です。
4-1. ファイルを直接読み書きできる
Claude Codeは、総勘定元帳や申告書のPDF、Excelの顧問先台帳といった実際のファイルを、パソコンの中でそのまま開いて中身を読み込めます。読んだ内容をもとに、新しい書類を作ったり、既存の書類を書き換えたりできます。
たとえるなら、資料を渡せば黙々と目を通し、指示通りに整理したり文書を作ったりしてくれる事務員のような存在です。
従来の生成AIとの違いも、まさにここにあります。「集計方法を教えてくれる」のではなく「実際に集計してくれる」——この一歩の差が、書類仕事の時間を大きく左右します。
4-2. 手順を覚えて繰り返せる
一度「この形式で集計して」と教えたやり方は、次回以降も同じ手順で再現できます。毎回イチから指示を考える必要はなく、「型」として使い回せます。
月次試算表チェックや年末調整のように、毎回やることがほぼ決まっている業務ほど、この「型」の効果が出やすくなります。二度目以降は指示の言葉数も減り、確認するだけで済むようになります。
逆に言えば、毎回内容が大きく変わる税務相談では「型」の恩恵が小さくなります。まずは繰り返しの多い業務から試すのが、効果を実感しやすい進め方です。
最初から完璧な型を作ろうとせず、使いながら少しずつ調整していくほうが、結果的に早く定着します。1つの業務で型ができたら、似た業務にも応用できます。
4-3. 複数の資料を横断できる
総勘定元帳・過去の申告書・技術者名簿ならぬ顧問先台帳など、別々の場所に保存されている資料を、同時に開いて見比べることができます。別表整合チェックはこの「横断」がまさに効いてくる作業で、決算書・過去別表・仕訳帳を別々に突き合わせる手間を、まとめて引き受けられます。
税務調査対応でも同じことが言えます。過去の申告書・国税庁の通達・質疑応答事例という、性質の異なる複数の資料を横断して、論点抽出と想定問答の作成を一度に進められます。
Claude Codeが担うのは、資料を読み込んでドラフトを作る作業までです。数字の最終確認や、申告・提出の判断は、これまで通り税理士本人が行います。
| 特徴 | 何ができるか | 税理士事務所での具体例 |
|---|---|---|
| ファイルの直接読み書き | 総勘定元帳や申告書を開いて、集計やドラフト作成ができる | 元帳PDFから異常値リストを作成 |
| 手順を覚えて繰り返す | 一度教えたやり方を「型」として次回も使える | 毎月の試算表チェックを同じ手順で処理 |
| 複数資料の横断 | 決算書・過去別表・顧問先台帳などをまとめて参照できる | 別表四・五(一)を横断して一括チェック |
| 対話しながら進められる | 一度で完璧を求めず、やり取りしながら調整できる | 想定問答集の表現を対話で修正 |
ただし、Claude Codeが自分で判断できないこともあります。どこまで任せて、どこから人が確認するか。次の章で、つまずきやすいポイントとあわせて具体的に説明します。
所内で「AIに何を渡し、どこまで任せているか」を言語化しておくと、担当者が変わっても運用が引き継がれやすくなります。仕組みを理解すること自体が、安定した運用の第一歩です。
特別な研修を受けなくても、ここまでの3つの特徴さえ押さえておけば、日々の業務のどこにAIを差し込めそうかは、担当者自身で見当をつけられるようになります。
05 PITFALLS 税理士事務所の導入でつまずきやすい点と対処 守秘義務・社内定着・ツール選定でよくあるつまずきを整理します
Claude Codeを税理士事務所の現場に導入する際、多くの事務所が最初につまずくのは守秘義務まわりの線引きです。
ここまで紹介してきた便利さの裏側で、実際に導入するとなると出てくる現実的な悩みを、順番に整理していきます。
5-1. 守秘義務と情報の取り扱い範囲
permission mode(操作許可の範囲)を適切に設定し、どのデータをAIに渡すか、どこまでの操作を許可するかを事前に線引きしておく必要があります。
📚 用語解説
permission mode:AIにどこまでの操作(読み取り・下書き作成・送信など)を許可するかを制御する設定です。範囲を絞って始め、慣れてから広げる使い方が一般的です。
まず読み取り専用の範囲で運用を始め、慣れてきた段階で許可する操作を広げていく進め方であれば、情報システム担当が不在の事務所でも無理なく運用できます。
顧問先のマイナンバーや原本給与明細、印鑑証明書など、税理士法第38条(秘密保持義務)に照らして機微な情報ほど、この設計を丁寧に行うことが導入の前提になります。
| 段階 | 許可する操作 | 目安の期間 | 関わる担当者 |
|---|---|---|---|
| 導入初期 | 読み取り・集計・下書き作成のみ | 最初の1〜2ヶ月 | スタッフ税理士・情報システム担当 |
| 慣れてきた段階 | 所内フォーマットへの自動保存を追加 | 3〜6ヶ月目以降 | 業務担当者本人 |
| 定着後 | 業務ごとに必要な操作範囲を個別に調整 | 運用が安定してから | 各業務の責任者 |
5-2. 所内での定着
最初から全業務をAI化しようとせず、月次試算表チェックや記帳代行など、負担の大きい一部の業務から試し、効果を実感してから範囲を広げていくほうが定着しやすくなります。
「便利そうだから」と所内に一斉導入するよりも、まず一人か二人が使いこなせるようになってから、周りに広げていくほうが、結果的に定着のスピードは早くなります。
5-3. ツール選定で押さえておきたいこと
Claude CodeとCodex、どちらが自事務所に合うかは、実際に画面を見ながら判断するのが早いです。まず自事務所が最初に試したい業務を決めてから、その業務での使いやすさを比較する順番がおすすめです。
月額料金や課金プランの違いも選定時のポイントですが、機能一覧を比較するよりも、自事務所の業務で実際に動かしてみたほうが、判断材料としては早く確実です。
「どちらのツールが優れているか」ではなく「自事務所のどの業務に使いたいか」を先に決めることが、ツール選定で遠回りしないコツです。
月額の課金プランは利用量に応じて変わるため、まず1つの業務に絞って試し、実際の利用量を見てからプランを検討する順番が無難です。最初から大きなプランを契約する必要はありません。
| 観点 | 確認しておきたいこと |
|---|---|
| 守秘義務 | どのデータをどこまで渡すか、操作許可の範囲 |
| 所内定着 | 最初に試す業務を1〜2個に絞れているか |
| ツール選定 | 自事務所の業務で実際に動かして比較したか |
| 記録の残し方 | 元データとドラフトを顧問先フォルダに保存しているか |
| 教育・サポート | 最初の数回、誰が一緒に操作をサポートするか |
5-4. 現場でよくあるつまずきの実例
ひとつは、月次試算表チェックと別表整合チェックと記帳代行を、初日からすべて一気に試そうとして途中で止まってしまうケースです。担当者ごとに温度差が生まれ、どの業務も中途半端になりがちです。
📚 用語解説
プロンプト:AIに対して、何をしてほしいかを伝える指示文のことです。難しいコマンドではなく、日本語の普通の文章で構いません。
もうひとつは、記帳代行担当がプロンプトの書き方に戸惑い、結局誰も使わなくなってしまうケースです。「この請求書から仕訳を起こして」といった業務の言葉をそのまま入力すれば十分ですが、この点が伝わっていないと、ツールを開かないまま放置されがちです。
三つ目は、税制改正への対応を考慮せずに別表ドラフトをそのまま使い、旧基準のまま申告直前で修正に追われるケースです。改正内容を事前に読み込ませておかないと、ドラフトの精度は上がりません。
多くのつまずきに共通するのは、準備段階を飛ばして一気に始めてしまう点です。1つの業務に絞って慣れてから広げるほうが、結果的に早く定着します。
| つまずきポイント | 現実的な対処 |
|---|---|
| 全業務を一度にAI化しようとして頓挫 | 月次試算表チェックや記帳代行など、負担の大きい業務を1〜2個に絞って試行 |
| 税制改正への対応を考慮せず差し戻される | 改正内容を事前に読み込ませ、差分反映の下書きから始める |
| 記帳代行担当がプロンプトの書き方に戸惑う | 最初の数回はスタッフ税理士や情報システム担当が一緒に操作する |
| 読み込ませるデータの範囲を決めずに始める | permission modeで読み取り専用の範囲から着手する |
| 元データとドラフトの保存ルールがない | 顧問先フォルダにやり取りを保存する運用を決めておく |
AIに読み込ませた元データと、生成されたドラフトを、いつ・どの顧問先で使ったか分かる形で残しておくことも大切な運用ルールです。顧問先フォルダにやり取りを保存しておくだけで、最低限の記録になります。
特別なシステムを新たに導入する必要はありません。今使っているフォルダ構成やファイル管理のルールに、AIとのやり取りの保存を一項目加えるだけで十分です。
税務調査や顧問先からの照会で、過去のやり取りを説明する場面もあります。元データとドラフトの保存履歴が、そのまま簡易的な監査ログとして役立ちます。
ここまで見てきたように、つまずきの多くは技術的な難しさではなく、始め方の設計に起因します。業務を絞る、型を作る、記録を残す——この3つを押さえておけば、大きな失敗にはつながりにくくなります。
文章だけでは伝わらない部分は、実際の画面をご覧いただくのが早いです。セミナーでは、月次試算表チェックや別表の整合確認を実際に動かしながらお見せしています。
06 SEMINAR_CONTENT 税理士事務所向けセミナーで話す中身 60分の時間割・実演する業務・よくある質問・参加対象を具体的に紹介します
「結局セミナーで何をするのか」が分からないと、参加を決めにくいと思います。60分の中身を具体的に紹介します。
6-1. 60分の時間割
| 時間帯 | 内容 |
|---|---|
| 最初の10分 | 税理士事務所の業務棚卸しと、Claude Code・Codexの全体像整理 |
| 次の25分 | 月次試算表チェック、別表整合確認、税務調査想定問答集の実演デモ |
| 次の15分 | 参加者の悩みを募集し、その場で「うちならこう試すか」を設計 |
| 最後の10分 | 質疑応答と、来週何を試すかの言語化 |
この時間割が基本の流れです。実演デモで扱う具体的な資料例は、参加事務所の規模・顧問先業種に応じて多少調整することもあります。
6-2. 実演する業務
実演の中心は、25分間のノーカットデモです。税理士事務所の具体的な業務を、画面を動かしながらお見せします。
別表整合チェックでは、決算整理仕訳を読み込ませるところから、別表四・五(一)の整合確認までを実際に動かします。
税務調査想定問答集の作成では、過去の申告書を読み込ませて論点を抽出させ、想定問答集のドラフトができるまでの流れをお見せします。
業務ごとに入力と出力がどう変わるかを比較しながら見ていただくことで、自事務所ではどの業務から試すのが現実的かを判断しやすくしています。
6-3. その場で答える、こんな質問
| よくある質問 | 当日の回答の方向性 |
|---|---|
| 別表整合チェックはどこまで任せられるか | 整合確認の下書きまでで、最終判断と申告は人が行う前提です |
| 税制改正があったときはどうするか | 改正内容を読み込ませ、既存の型に差分を反映させる進め方を説明します |
| 守秘義務の観点でどこまでデータを渡していいか | permission modeでの操作許可範囲の考え方を説明します |
6-4. 参加対象
参加対象は所長税理士・パートナー税理士・経営者・会社役員としていますが、月次試算表チェックや記帳代行を担当するスタッフ税理士・補助者の方にも参考にしていただける内容です。パソコン操作に不慣れな方でも、専門知識は前提としていません。
一方、書類仕事を人に任せる想定がなく、所長お一人で全ての業務を完結されている場合は、効果を実感しにくいかもしれません。複数人で業務を分担している事務所ほど、持ち帰れる材料は多くなります。
顧問先数が20社程度の独立間もない事務所から、50社超を抱える所長税理士の事務所まで、規模を問わずご参加いただいています。事務所の規模に応じて、どの業務から着手すべきかの優先順位は変わってきます。
参加後にすぐ他の形態(研修・導入支援など)への申し込みを迫られることはありません。まずは60分で判断材料を持ち帰っていただき、そのうえで必要な形態を検討していただければ十分です。
07 SEMINAR_BOOKING 税理士事務所向けセミナーの予約から当日までの流れ 無料・60分・オンラインの参加方法と、予約から当日までの流れを紹介します
ここまで紹介した内容を、実際の画面を動かしながら確認できる場として、60分の無料オンラインセミナーを開いています。
- 参加費は無料
- 60分・オンライン(Google Meet)開催
- 1社1枠の貸切で、実演を中心に進めます
- 空いている日程からそのまま予約できます
このページ下部の予約フォームで、空き日程を選ぶだけで予約が完了します(日程調整のメール往復はありません)。こちらの予約フォームからお進みください。
日程や内容の詳細はClaude Code セミナーの詳細ページでもご確認いただけます。
| この記事で分かったこと | セミナーで確認できること |
|---|---|
| Claude Code・Codexが何者か | 実際の画面での操作感 |
| 何を渡すと何が出てくるか(理屈) | 自事務所の業務に置き換えた場合の具体例 |
| 導入時のつまずきポイント | 自事務所ならどこから試すべきかの判断材料 |
| なぜそれが可能なのか(仕組み) | 実際に動いている様子を見て納得できるか |
| 月次試算表・別表・税務調査対応の変わり方 | 自事務所の元帳や申告書を例にした質疑応答 |
| 守秘義務・所内定着の考え方 | 自事務所の運用ルールに落とし込む相談 |
この記事を読んで、Claude Code・Codexが何者かはお分かりいただけたと思います。あとは、自事務所の業務にどこまで使えそうか、実際の画面で確かめていただくだけです。
Claude CodeやCodexが自事務所に合うかどうかは、実際の画面を見るのが一番早い判断材料になります。押し売りはしませんので、まずは60分、実際の動きを確認してみてください。
参加無料・60分・オンライン(Google Meet)・1社1枠
よくある質問
Q. 税務代理・税務書類の作成は税理士の独占業務ですが、AIに任せて非税理士行為にならないでしょうか。
A. AIは元帳の集計・別表の下書き・税務相談の一次回答ドラフトのみを行います。最終判断・署名押印・e-Tax送信の承認・顧問先への正式回答は税理士本人が行うため、税理士法第2条・第52条・第59条第1項第4号で定める非税理士行為禁止の責任分界点は変わりません。セミナーでも、この責任分界点をどう所内ルールに落とし込むかを具体例つきで説明しています。
Q. 顧問先のマイナンバーや通帳原本のデータをAIに渡してよいですか。
A. 渡してはいけません。マスキング済みの集計値や税法条文は渡してよいデータ、顧問先名をマスキングした試算表は加工が必要なデータ、マイナンバー・原本給与明細・印鑑証明書は渡してはいけないデータと、税理士法第38条(秘密保持義務)に沿って3分類して設計します。セミナーでもこの分類の考え方を紹介しています。
Q. freee会計やマネーフォワードを既に導入していますが、AIを別途導入する意味はありますか。
A. クラウド会計SaaSが自動化するのは仕訳連携と申告データ送信の入口と出口だけです。間にある勘定科目判定・消費税区分・インボイス経過措置の適用判断・別表整合はSaaSでは完結せず、Claude Codeがこの判断業務の手前を支援する役割です。既存のSaaSを置き換えるのではなく、併用する形が現実的です。
Q. 税制改正のたびにプロンプトを作り直す手間が心配です。
A. 法人税・所得税・消費税など、改正のたびにチェックリストや適用判定ロジックの更新は必要になります。ただしゼロから作り直すのではなく、既存の型に差分を反映させる形が中心で、所内の推進担当が慣れれば負担は大きくありません。セミナーでは、この更新の進め方の考え方も紹介しています。
Q. 所員のITリテラシーにばらつきがあり、活用度に差が出ませんか。
A. 所員別にpermission modeを分けて、新人は読み取り専用、スタッフ税理士は下書き作成まで、所長は全権、というように操作範囲を段階的に広げる設計が現実的です。セミナーでもこの設計の考え方を紹介しています。
Q. 税務調査でAIを利用していることを、調査官にどう説明すればよいですか。
A. 何をどう使い、何を守っているかを、ログと運用ルールとpermission modeのアクセス制御の3点で説明できる体制を整えておくのが基本です。書面添付制度を活用していれば、事前の意見聴取段階で説明を済ませられる場合もあります。
Q. Claude CodeとCodex、どちらを選べばよいですか。
A. どちらも生成AIを使った業務自動化ツールですが、税理士事務所の現場業務での活用事例の蓄積が進んでいるのはClaude Codeです。開発元(Anthropic/OpenAI)が異なるだけで、基本的な使い方や非エンジニアでも扱える点は共通しています。まず自事務所が最初に試したい業務を決めてから、使いやすさを比較するのがおすすめです。
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税理士事務所の書類仕事は、月次試算表チェックの段階から、別表や税務調査対応のように制度で決まった年次業務、記帳代行や年末調整のように毎月・毎年積み重なる業務まで、次々と積み重なっていきます。Claude CodeやCodexが何者かという基本から、実際に何ができて何ができないかまで、文章だけではどうしても掴みにくい部分があります。自事務所の元帳や申告書を例に、実際の画面を見ながら自事務所に合う業務を見極められる場として、60分の無料セミナーを用意しています。
ここから先の進め方は、大きく2つあります。
自社で回せるようになりたい方は、AI鬼管理でClaude Code/Codexの使い方から業務設計・社内定着まで伴走を受けながら、社内に仕組みを作る道があります。
覚えるより任せたい方は、AI社員AIKATAでこの記事のような定型業務を丸ごと預ける道があります。料金は月30万円の月額定額、追加費用は0円です。
どちらが合うかは、業務量と社内体制次第です。無料相談・無料適合診断で、貴社の場合はどちらが向くかからご相談いただけます。
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