【広告代理店・Web制作会社】要件定義をClaude Code/Codexで自動化する方法
この記事の内容
Web制作の要件定義は、顧客の要望、必要な機能、ページ構成、納期、予算、運用体制を同時に見ながら「何を作って、何を作らないか」を決める作業です。とくに確認表の初稿づくり — ヒアリングで出た断片的な要望を、機能・ページ・優先度の表に落とし込み、抜けと曖昧さを洗い出す工程 — は経験に依存しやすく、ディレクター1人に集中しがちです。AIは作る・作らないの最終判断や見積金額を決めるものではありませんが、要望を要件項目に並べ替え、抜け漏れ候補の抽出、顧客への確認質問の下書きを先に作る補助として使えます。
コーポレートサイト1案件あたりの要件定義初稿づくり (コトハWeb制作のモデル事例)
本記事では、AI鬼管理 が支援を想定する コトハWeb制作 (東京都調布市・コーポレートサイトと採用サイト中心・月8〜10件の新規制作) をモデル事例に、Claude Code/Codex で要件定義の初稿を「要件項目+抜け漏れ候補+顧客への確認質問」まで半自動化する手順を解説します。ヒアリング後の要件整理をディレクターの戸塚さん1人が毎回担い、確認表の初稿づくりに1案件90分かかっていた会社が、若手の羽生さんも初稿を起こせるようになり、着手後の「言った言わない」と追加要望に振り回される時間を減らした流れです。
この記事を最後まで読むと、
- 要件定義でディレクターが抱えている負荷(要望の翻訳・優先度づけ・スコープ確認)が分かる
- Claude Code/Codexで自動化できる3項目(要件項目の整理/抜け漏れ候補/確認質問の下書き)が理解できる
- 5ステップでのPoC〜運用の進め方が分かる
- 要望・機能・ページ構成・優先度を1枚の確認表にまとめる型が分かる
- 認識齟齬とスコープ漏れを防ぐ確認の仕方が分かる
01 PROBLEM 要件定義の現場で起きていること 要望の翻訳・優先度づけ・スコープ確認のトリレンマ
問題1: 要望を要件に翻訳する作業がベテラン1人に集中する。顧客が話す「かっこいいサイトにしたい」「採用を強化したい」を、どのページ・どの機能・どの優先度に落とすか — コトハWeb制作ではこの判断を実質、戸塚さん1人が担っていました。若手の羽生さんが要件をまとめると、要望の取りこぼしや粒度のばらつきが出て、結局、戸塚さんの確認待ちになり、戸塚さんがボトルネックになります。
問題2: 優先度が曖昧なまま着手して、予算と納期が破綻する。「会員機能も欲しい」「ブログも」「多言語も」と要望が膨らんだまま、優先度(必須/推奨/任意)を決めずに進めると、後から「これは予算外」「次フェーズで」という調整が発生します。この調整が着手後に来ると、すでに作ったものの作り直しや、納期の押し戻しにつながります。
問題3: スコープの境界が曖昧で、着手後にもめる。原稿は誰が書くのか、写真素材は支給か撮影か、公開後の保守はどこまでか、問い合わせフォームの項目は誰が決めるのか — こうした「含む/含まない」の境界が要件定義で詰まっていないと、着手後に「聞いていない」「やってもらえると思っていた」という認識齟齬が起き、無償対応や赤字案件の温床になります。コトハWeb制作でも、繁忙期に急いで進めた案件ほど、この境界の詰めが甘くなっていました。
02 WHAT Claude Code/Codexで何を自動化するか 合意形成ではなく、要件整理と抜け漏れチェックを自動化
📚 用語解説
要件定義:制作に入る前に、顧客の要望をもとに「何を・どこまで・どの優先度で作るか」を決めて文書化する工程。サイトの目的、必要なページ、必要な機能、コンテンツの分担、納期や予算の制約を整理し、発注者と制作側で合意をとる土台になる。どの要望をどの要件に落とすか・どこまでをスコープに含めるかがディレクターの経験に依存しやすく、属人化の主因になりやすい工程。
処理1: 要件項目の整理(要望を構造化する)。ヒアリングメモやチャットに散らばった要望を、AIが「目的・ターゲット・ページ・機能・コンテンツ・制約」といった項目に並べ替えます。「採用を強化したい」という要望を、「採用情報ページ」「社員インタビュー」「エントリーフォーム」といった具体の要件候補に展開し、確認表のたたき台を作ります。
処理2: 抜け漏れ・曖昧さ候補の抽出。優先度が決まっていない機能、スコープが曖昧なページ、原稿や素材の分担が未定の項目、計測タグや問い合わせ通知先など見落としやすい裏側の要件 — こうした「まだ決まっていない点」を、AIが確認候補として並べます。過去の類似案件の要件表と照らして、「似た案件では決めていたのに今回まだ決まっていない項目」も抜け漏れ候補として出します。
処理3: 顧客への確認質問の下書き。曖昧な点を埋めるための質問文を、相手が答えやすい形で下書きします。「会員機能は必須でしょうか、次フェーズでも構いませんか」「原稿はご支給と弊社作成、どちらを想定されていますか」のように、選択肢を添えた確認質問が先にあるだけで、ヒアリングの往復回数と確認漏れが減ります。
| 入力情報 | AIが整理すること | 人(ディレクター)が確認すること |
|---|---|---|
| ヒアリングメモ | 目的・ターゲット・要望の要件項目への展開 | 顧客の真意、優先順位、合意の取り方 |
| 参考サイト・競合URL | 欲しい機能・ページ構成の候補 | 実現可否、工数感、自社の制作方針 |
| 過去の要件表 | 今回不足している項目・確認漏れ候補 | 今回固有の条件、見積との整合 |
| 予算・納期メモ | 優先度づけが必要な機能の候補 | スコープの線引き、フェーズ分けの判断 |
AIの役割は要件項目の整理・抜け漏れ候補・確認質問の下書きまで。スコープの線引き、優先度の確定、見積への反映、顧客との合意形成は必ずディレクターが行います。この線引きを最初に決めておくと、現場が安心してAIを使えます。
03 HOW 具体的な進め方 5ステップ 小さくPoCし、決め方の判断を要件ルールへ戻す
要件定義AI化の5ステップ
コーポレート・採用・LP・ECなど、要件の型が違う種別を先に分け、件数が多い1種別を対象にする
「採用サイトなら応募導線と公開後の更新体制を必ず確認」など、戸塚さんの頭の中のチェック観点を文章化する
要件項目・優先度の確認表・抜け漏れ候補・顧客への確認質問を、確定ではなく確認用ドラフトとして出す
ディレクターが直した箇所と「なぜこの優先度・このスコープにしたか」をCLAUDE.mdへ戻し、初稿の精度を上げる
初稿づくりを若手に任せ、ベテランは合意形成とスコープ判断に回る。うまくいった種別から横展開する
5ステップで最も大切なのは、STEP 4の「決め方の判断理由」を残すことです。AIが出した要件項目や優先度をディレクターが直した場合、「なぜこの機能を任意にしたのか」「なぜこのページをスコープ外にしたのか」を残さないと、次回も同じ判断のずれが出ます。逆に、その理由をCLAUDE.mdへ戻せば、AIの初稿は少しずつコトハWeb制作の要件の決め方に近づきます。
04 RESULT 導入後の変化と数値効果(コトハWeb制作の事例) 要件確認表の初稿90分→35分、属人化の解消
- ヒアリングメモから要件確認表の初稿を、戸塚さんが毎回手作業で起こしていた(1案件約90分)
- 機能・ページの優先度(必須/推奨/任意)が曖昧なまま着手し、予算超過の調整が後から発生していた
- 原稿・素材・保守の分担が要件で詰まっておらず、着手後に「言った言わない」が起きていた
- 若手の羽生さんは要件表を作れず、要件定義が戸塚さん1人に集中して提案が遅れていた
- AIが要望を要件項目に整理し、優先度つきの確認表を約35分で下書きできるようになった
- 優先度が曖昧な機能を「確認候補」として先に提示し、見積前に顧客と優先度を握れるようになった
- 原稿・素材・保守の分担を確認質問として下書きし、スコープの境界を着手前に詰められるようになった
- 若手の羽生さんが初稿を起こし、戸塚さんは合意形成とスコープ判断に専念できるようになった
05 PITFALL よくある落とし穴3つ スコープ確定・優先度・合意形成の扱いを誤らない
スコープの線引き、実現可否、工数感は、自社の制作体制と過去案件を知るディレクターが確認します。AIは要件項目の整理と確認候補の提示まで。たたき台を確定扱いで見積に流すと、実装できない機能や工数の読み違いがそのまま赤字案件につながります。
要望は必ず予算と納期を超えて膨らみます。機能・ページは「必須/推奨/任意」やフェーズ分けで優先度を付け、「今回やる/次フェーズ」を顧客と合意してから着手します。AIには優先度が未定の項目にラベルを付けさせ、確定は人が顧客と握ってください。
原稿作成、写真素材、公開後の保守、修正回数、多言語対応などの境界は、認識齟齬とトラブルに直結します。AIの確認質問の下書きは便利ですが、最終的な「含む/含まない」の線引きと顧客との合意は人の責任で行います。
06 TABLE 要望・機能・ページ構成・優先度を1枚の確認表にまとめる型 口頭の要望を、優先度つきの一覧に落とす
要件定義でつまずく一番の原因は、要望が文章やチャットのまま残り、「結局どの機能をどの優先度でやるのか」が一覧で見えないことです。コトハWeb制作では、AIに渡したヒアリングメモから、要望・機能・ページ・優先度を1枚の確認表に落とす型を決め、CLAUDE.mdに書いておくことで、AIがその列構成で初稿を出すようにしました。
確認表に必ず入れる列
| 要望(顧客の言葉) | 対応する要件 | 優先度 | 確認事項 |
|---|---|---|---|
| 採用を強化したい | 採用情報ページ・社員インタビュー・エントリーフォーム | 必須 | 通知先メール、応募項目は誰が決めるか |
| 更新を自分たちでしたい | お知らせのCMS化(投稿機能) | 推奨 | 更新する人数、画像加工の要否 |
| 英語にも対応したい | 多言語対応(英語) | 任意/次フェーズ | 英語原稿の支給可否、対象ページ範囲 |
| 問い合わせを増やしたい | 問い合わせフォーム・CV計測タグ | 必須 | 計測タグの種類、フォーム項目、自動返信文 |
上の列構成(要望・要件・優先度・スコープ・確認事項)をCLAUDE.mdへ先に書いておくと、AIがヒアリングメモをこの表に落として初稿を出します。文章のままの要望を一覧にするだけで、優先度とスコープの議論が顧客とかみ合うようになります。
07 CONFIRM 認識齟齬とスコープ漏れを防ぐ「確認の仕方」 揉めるのは要望そのものより「確認の抜け」
Web制作のトラブルは、要望そのものより「確認していなかった」ことで起きがちです。原稿は誰が、保守はどこまで、修正は何回まで — こうした点は要件定義の段階で確認しておかないと、着手後の認識齟齬になります。コトハWeb制作が要件確認で必ず使っている、確認の型を紹介します。
型1: 「含む範囲・含まない範囲」を対で確認する
「本件に含むもの: デザイン、コーディング、CMS構築、公開作業。含まないもの: 原稿作成、写真撮影、公開後の保守。」のように、含む/含まないを対で確認しておくと、口頭の期待に頼らず分担の認識を揃えられます。AIには、ヒアリングメモから「分担が未確認の項目」を抜き出させ、この対の形で確認質問を下書きさせます。
型2: 数を決めておく(ページ数・修正回数・対応範囲)
「ページ数は◯ページを前提(追加は別途お見積り)。デザイン修正は各ページ◯回まで。」のように、後から増えやすい項目は数の前提を確認しておくと、修正の往復が無限に続くことや、ページ追加による工数超過を防げます。
型3: 公開後と裏側の要件も確認する
「公開後の更新は誰が行うか」「アクセス解析・問い合わせの通知先はどこか」「独自ドメイン・サーバーの契約はどちらが用意するか」など、画面に見えない裏側の要件は抜けやすいポイントです。AIに「公開後・運用・計測・インフラ」の観点で確認漏れ候補を出させると、要件定義の段階で先に潰せます。
上の3つの型(含む/含まない・数の前提・公開後と裏側)をCLAUDE.mdに例文付きで書いておくと、AIが案件ごとに確認質問の下書きを作ります。スコープ漏れと認識齟齬が減り、要件定義の品質が担当者によらず安定します。
08 RELATED 関連記事: 広告代理店・Web制作会社の自動化事例10選(全業務マップ) 要件定義以外の9業務も含めた事例集
本記事は広告代理店・Web制作会社の自動化事例10選のうち、事例3「要件定義」を深掘りした内容です。ヒアリング議事録・提案書作成・広告レポートなど他の業務もあわせてご覧ください。→ 広告代理店・Web制作会社の自動化事例10選(全業務マップ)
09 ABOUT AI鬼管理について - 要件定義の伴走サービス 属人化した要件定義を、確認中心の運用へ
本記事を発信している AI鬼管理 は、広告代理店・Web制作会社のAI業務自動化をClaude Code/Codexで設計から伴走するサービスです。要件定義は、確認表の初稿づくりとスコープ確認の属人化を解くことで、手戻りの削減と若手育成に効く打ち手です。
属人化した要件定義、いっしょに軽くしませんか?
本記事のコトハWeb制作の例は、コーポレート・採用サイト中心・月8〜10件・ディレクター1人集中というモデルケースです。貴社のサイト種別の構成や要件の決め方によって、最適な進め方は変わります。まずは今の要件定義の進め方をうかがって、貴社に合った設計をご提案します。
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よくある質問
Q. AIに要件やスコープを確定させてもよいですか?
A. 確認表のたたき台は作れますが、スコープの線引き・優先度の確定・見積への反映・顧客との合意の最終判断はディレクターが行う設計が現実的です。AIは要望を要件項目に並べ、抜け漏れ候補と確認質問を出すところまでにします。要件の最終確定は担当者と顧客の合意で行います。
Q. ヒアリングメモが箇条書きの断片でも使えますか?
A. 使えます。発言メモや要望の断片を渡すと、目的・ページ・機能・優先度の要件項目に並べ替え、まだ決まっていない確認事項を一覧化できます。録音の文字起こしからでも整理できます。
Q. 提案書や見積の前段として使えますか?
A. 使えます。要件確認表を先に作っておくと、提案書の構成や制作見積の内訳に展開しやすくなります。ただし金額・工数の確定は、自社の制作体制を踏まえてディレクターが判断してください。
Q. 過去の要件定義書はどのくらい用意すべきですか?
A. 最初はサイト種別ごとに5件ほどあれば十分です。よく確認する項目や過去に抜けた点を整理し、確認観点としてCLAUDE.mdに言語化するところから始めます。
Q. 最初に対象にする案件は何がよいですか?
A. 要件の型がはっきりしているコーポレートサイトや採用サイトから始めると、標準の確認項目を作りやすく、AIの初稿精度も上げやすいです。
Q. 料金やプランを教えてください
A. 料金やサポートプランは AI鬼管理のサービスページをご覧ください。貴社向けの個別ご提案は本記事末尾のNEXT STEPからお問い合わせください。
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