【2026年8月最新】退職所得の源泉徴収票とは?書き方・2026年の提出対象拡大・税額計算をClaude Code/Codexで解説
「退職者には給与の源泉徴収票を渡したから、会社側の手続きは終わり」と考えていないでしょうか。退職金や退職手当等を支払った場合は、毎月の給与とは別に退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を作成する必要があります。名称は似ていますが、税額の計算方法、記載項目、提出先、マイナンバーの扱いが給与所得の源泉徴収票とは異なります。
結論から言うと、退職手当等を支払う会社は、原則として退職後1か月以内にすべての受給者へ退職所得の源泉徴収票を交付します。さらに、2026年1月1日以後に支払うべき退職手当等からは、税務署へ提出する対象が従来の「法人の役員」中心の扱いからすべての受給者へ広がりました。2025年までの解説をそのまま使うと、一般従業員分の税務署提出を落とすおそれがあります。
この記事では、OBCの参考記事が扱う給与分との違い、退職所得控除、源泉徴収税額、住民税、記載欄、マイナンバー、勤続年数、他の退職手当との重複を網羅しつつ、2026年の提出範囲変更を国税庁の最新案内に合わせて更新します。後半では、退職者台帳から計算用データを集め、申告書の有無を確認し、源泉徴収票の下書き作成・提出期限管理・交付記録の保存までをClaude Code/Codexで無人ワークフロー化する方法を解説します。
記帳・仕訳・申告書作成の「毎月くり返す手作業」を、税理士事務所のまま仕組みで減らす方法を60分で解説します。
01 DOCUMENT BASICS 退職所得の源泉徴収票とは?給与分との違いを整理 退職金を支給したときだけ発生する別様式。年末調整には混ぜない
📚 用語解説
退職所得の源泉徴収票・特別徴収票:退職手当等の支払金額、所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額、住民税の特別徴収税額、退職所得控除額、勤続年数などを記載する法定調書。同じ様式が、税務署向けの「源泉徴収票」と市区町村向けの「特別徴収票」を兼ねる。受給者へも交付する。
退職所得は、長年の勤務に対する精算という性質を考慮し、給与所得など他の所得と分けて税額を計算する分離課税が基本です。そのため、退職年の給与や賞与を記載する給与所得の源泉徴収票へ退職金を足すのではなく、退職金だけを別様式に記載します。退職金を支給した退職者には、給与所得の源泉徴収票と退職所得の源泉徴収票の両方が発生し得ます。
📚 用語解説
退職手当等:退職を原因として一時に支払われる退職金・退職一時金など、税務上の退職所得に該当する給付。名称だけで決まるのではなく、支給の原因や制度により判定する。死亡退職金は相続税の対象となる場合があり、通常の退職所得の源泉徴収票とは異なる手続きになる。
| 比較項目 | 給与所得の源泉徴収票 | 退職所得の源泉徴収票 |
|---|---|---|
| 対象 | 給与、賞与、各種手当など | 退職手当等 |
| 課税の考え方 | 給与所得として年末調整・確定申告へつなぐ | 他の所得と分けて退職所得として計算する |
| 交付時期 | 中途退職では原則退職後1か月以内 | 原則退職後1か月以内 |
| 税額計算 | 給与の税額表、年末調整など | 退職所得控除、勤続年数、申告書の有無などで計算 |
| 年末調整 | 転職先で前職給与を合算する場合がある | 転職先の年末調整には合算しない |
| 主な記載内容 | 支払金額、給与所得控除後の金額、控除額、源泉税額 | 支払金額、源泉税額、住民税、退職所得控除、勤続年数 |
1-1. 退職者への交付は「言われたら出す」ではなく会社の手続き
国税庁の「退職所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等では、退職所得の源泉徴収票等を退職後1か月以内にすべての受給者へ交付するよう案内しています。退職者から請求がなかったことは、未交付の理由にはなりません。退職日、支払確定日、交付日、提出日を同じ台帳で管理し、交付した事実まで残す必要があります。
退職者台帳に「退職手当等の支給あり/なし」を必須項目として持ちます。給与の源泉徴収票を作る担当者と退職金を計算する担当者が別でも、この分岐があれば退職所得分の発行漏れを防げます。
02 2026 RULE CHANGE 【重要】2026年から税務署への提出対象が全受給者へ拡大 参考記事の旧ルールから変わった点を、提出先ごとに正しく更新する
2026年の実務で最も重要なのが提出範囲の変更です。2025年12月31日以前に支払うべき退職手当等について、税務署と市区町村への提出が必要なのは、原則として法人の役員に支払ったものに限られていました。この旧ルールは、多くの解説記事や社内手順書に残っています。
一方、2026年1月1日以後に支払うべき退職手当等については、国税庁が「すべての受給者」について退職所得の源泉徴収票等を提出するよう案内しています。一般従業員の退職金も税務署提出の対象になります。対象判定は単純な作成日ではなく、「いつ以後に支払うべき退職手当等か」という基準で確認してください。
「受給者には全員交付、税務署・市区町村への提出は役員だけ」という説明は、2025年までの退職手当等では意味がありますが、2026年以後の税務署提出範囲にはそのまま使えません。退職者の役職だけで提出不要と判定する数式・チェック表・給与システム設定を見直してください。
2-1. 受給者・税務署・市区町村の3方向で考える
| 相手先 | 2026年以後の基本 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 受給者 | すべての受給者へ退職後1か月以内に交付 | 受給者交付用にはマイナンバー・法人番号を記載しない |
| 税務署 | すべての受給者分が提出対象 | 支払者の所轄税務署へ。税務署提出用には必要な番号を記載 |
| 市区町村 | 特別徴収票を兼ねる様式だが、2026年以後分は当分の間、提出を省略できる扱い | 受給者のその年1月1日現在の住所地を正しく保持。最新の自治体・国税庁案内を確認 |
税務署への提出は退職後1か月以内が原則ですが、その年中に退職した受給者分をまとめて翌年1月31日までに提出しても差し支えない扱いがあります。実務では「まとめてよい」を「何もしなくてよい」と取り違えないよう、退職者ごとに作成完了と提出待ちを分けます。受給者への交付期限まで後ろ倒しになるわけではありません。
市区町村向けの特別徴収票は、2026年1月1日以後に支払うべき退職手当等について、国税庁が当分の間、提出を省略できると案内しています。ただし帳票上の住民税計算や住所情報が不要になるわけではありません。会社の規程・システム・自治体との運用を確認し、「税務署提出対象の拡大」と「市区町村提出の暫定的な省略」を混同しないでください。
2-2. 死亡退職は別の支払調書へ分岐する
死亡退職により退職手当等を支払った場合は、通常の退職所得の源泉徴収票等ではなく、相続税法の規定による「退職手当金等受給者別支払調書」の対象となります。退職区分を「自己都合・会社都合・定年」だけで管理すると死亡退職を通常フローへ流すため、支給決定時に別分岐を設けてください。非居住者への支払も提出書類が変わる場合があるため、居住者判定を自動で推測せず専門家確認へ回します。
03 TAX CALCULATION 退職所得にかかる所得税・住民税の計算方法 退職所得申告書の有無、勤続年数、短期退職の例外を順番に判定する
📚 用語解説
退職所得の受給に関する申告書:退職手当等を受け取る居住者が、退職手当等の支払者へ支払時までに提出する申告書。勤続期間、他の退職手当等の受給状況などを記載し、支払者が源泉徴収税額を計算する基礎とする。支払者が保管し、税務署から求められた場合を除いて通常は税務署へ提出しない。
退職所得の税額計算は、最初に「退職所得の受給に関する申告書を支払時までに受け取っているか」を確認します。申告書があれば、勤続年数、退職所得控除、退職手当等の区分、他の退職手当との関係に基づいて計算します。申告書がなければ、原則として支払う退職手当等の金額に20.42%を乗じて所得税及び復興特別所得税を源泉徴収します。
退職所得控除を使った通常計算と、申告書未提出時の20.42%では手取りが大きく変わります。支払日前に回収状態を確定し、未提出なら未提出時のルールで処理します。後日、受給者本人が確定申告で精算することになります。
3-1. 一般的な退職所得控除と課税退職所得金額
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(計算額が80万円未満なら80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
一般的な退職手当等では、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引き、その残額の2分の1を課税退職所得金額とします。勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。また、障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、退職所得控除額へ100万円を加算する扱いがあります。実際の源泉徴収税額は、対象年分の国税庁の速算表と端数処理に従って計算してください。
例えば勤続18年なら、一般的な退職所得控除額は40万円×18年で720万円です。退職手当等が1,200万円で、短期退職手当等や特定役員退職手当等などの例外に該当しないなら、控除後の480万円の2分の1である240万円を課税退職所得金額とする流れです。ここへ対象年の所得税率・控除額を当て、復興特別所得税を合わせます。
3-2. 勤続年数5年以下では「2分の1」を機械適用しない
📚 用語解説
短期退職手当等・特定役員退職手当等:勤続年数5年以下の退職手当等に関する特別な区分。特定役員退職手当等では2分の1課税が適用されず、一般従業員等の短期退職手当等では、退職所得控除後の残額のうち300万円を超える部分に2分の1課税を適用しない。役員歴と一般従業員歴が混在する場合などは区分計算が必要。
勤続年数が短い案件では、一般式を自動適用してはいけません。役員等勤続年数5年以下の特定役員退職手当等は2分の1課税を使わず、一般従業員等の短期退職手当等は退職所得控除後の残額300万円までの部分と、それを超える部分で扱いが変わります。複数の勤務期間・役職期間が重なる場合は、国税庁の対象年分の計算表に沿って区分してください。
3-3. 他の退職手当・企業年金・iDeCo一時金がある場合
同じ年や過去の一定期間内に他社の退職手当、企業年金の一時金、iDeCoの老齢一時金などを受け取っている場合、勤続期間の重複や退職所得控除の調整が必要になることがあります。この期間ルールは制度改正の影響を受けやすいため、古い年数を社内の固定数式へ埋め込まず、対象年分の退職所得申告書と国税庁の計算案内を参照する設計にしてください。
他の退職所得がある場合は、他の支払者の退職所得の源泉徴収票、支払日、支払金額、勤続期間、源泉徴収税額などを回収します。情報が足りない状態でゼロとして計算を進めず、例外案件として止めるのが安全です。
3-4. 住民税は所得税とは別に特別徴収する
退職所得に対する住民税も、原則として退職手当等の支払時に計算し、特別徴収します。一般的には課税退職所得金額に対し都道府県民税と市区町村民税を合わせた10%で計算しますが、実際の端数処理、納入先、納期限は自治体の案内を確認してください。源泉徴収票では所得税及び復興特別所得税の「源泉徴収税額」と、住民税の「特別徴収税額」を別欄に記載します。
04 HOW TO FILL 退職所得の源泉徴収票の書き方|7つの記載ブロック 受給者、支払額、税額、控除、勤続期間、摘要、支払者を順に確認する
国税庁の最新様式を使い、受給者情報から支払者情報までを一方向に確認します。前年のPDFを複製すると提出範囲や申告書の様式改正に追随できないため、対象年分の様式を使ってください。支払が確定しているものの作成時点で未払の金額がある場合、内書きなど様式の記載要領に従います。
4-1. 3段の支払金額・税額欄は申告書の状態で使い分ける
支払金額、源泉徴収税額、特別徴収税額の欄は、退職所得申告書に記載された他の退職手当等の有無や、申告書自体の提出有無に応じて使い分けます。一般的には、同年中に他の退職手当等がない申告、他の退職手当等がある申告、申告書未提出で20.42%を適用する場合の3区分です。帳票の見た目だけで選ばず、保存した申告書と結び付けます。
4-2. 受給者交付用にはマイナンバー・法人番号を書かない
税務署へ提出する退職所得の源泉徴収票等には、受給者等のマイナンバーまたは法人番号の記載が必要です。一方、受給者へ交付する源泉徴収票等には、マイナンバーおよび法人番号を記載しません。受給者用PDFに番号が残っていないことを、送信前の機械チェックと人の最終確認で二重に確かめてください。
ファイル名も「退職所得源泉徴収票_提出用」と「退職所得源泉徴収票_本人交付用」に分け、アクセス権を変えます。本人交付用へ番号入りデータを生成してから黒塗りする方法は、黒塗り漏れや復元可能なPDFを作るリスクがあります。最初から番号を差し込まないテンプレートを使う方が安全です。
4-3. 摘要欄は例外案件の計算根拠を残す場所
短期退職手当等、特定役員退職手当等、障害退職、同年または過年度の他の退職手当等、勤続期間の通算・重複などがある場合は、摘要欄に所定の事項を記載します。摘要欄を自由メモと考えず、対象年分の記載要領に沿って、第三者が税額計算を再現できる情報を残してください。
05 WORKFLOW & DEADLINES 退職決定から交付・提出・納付までの実務スケジュール 支払日だけでなく、申告書回収・番号管理・住民税・保存を一続きにする
退職所得の源泉徴収票は、帳票を作るだけの業務ではありません。人事、給与、経理、総務、税理士が別々に情報を持つため、前工程の完了条件を定義します。退職後1か月という交付期限から逆算し、退職金支給日より前に申告書と勤続期間を確定させるのが基本です。
5-1. 支払前のチェック
5-2. 支払後のチェック
支払後は、本人交付用、税務署提出用、市区町村向けの扱い、所得税・住民税の納付、保管を切り分けます。退職手当等から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。納期の特例の承認を受けている場合は対象となる退職手当等を年2回にまとめる扱いがありますが、自社の承認状況と対象所得を確認してください。
5-3. 電子交付する場合の承諾と到達確認
退職所得の源泉徴収票等は、一定の要件の下で電磁的方法により提供できます。単にメールへPDFを添付すれば何でも電子交付になるわけではありません。あらかじめ受給者の承諾を得るなどの要件、閲覧・保存できる形式、送信先、パスワードの扱い、到達確認、再交付方法を決めます。個人番号を含まない本人用データだけを送ることは当然の前提です。
PDFを作った日ではなく、本人へ交付した日と方法を記録します。メールなら送信ログ、ポータルなら公開・閲覧履歴、郵送なら発送記録を案件に結び付けると、未交付と再発行の問い合わせを区別できます。
06 MANUAL WORK LIMITS 退職所得の源泉徴収票を手作業で作ると起きる7つの事故 低頻度・多部門・機密情報という条件が、見落としと属人化を生む
退職所得の源泉徴収票は、毎月の給与明細ほど件数が多くないため、専用の運用が整っていない会社もあります。しかし頻度が低いからこそ担当者が学び直し、古いファイルを探し、制度改正を見落とします。高額な支給とマイナンバーを扱うため、1件の事故の影響は小さくありません。
6-1. Excelテンプレートだけでは制度改正を検知できない
Excelで計算表と源泉徴収票を作ること自体は可能です。しかし、2026年のような提出範囲変更は、金額計算が正しくても提出判定を誤らせます。税率・控除・様式・提出対象・自治体提出の扱いをファイル内部へ固定すると、担当者が改正を知った時しか更新されません。対象年とルール版を明示し、旧版の実行を止める仕組みが必要です。
6-2. システム未対応の周辺作業が最後まで残る
法定調書システムが退職所得の源泉徴収票を作成できても、申告書の回収、他の退職所得の確認、勤続期間の根拠収集、役員区分、本人への送付、提出受付の記録、社内台帳の更新は別作業として残ります。担当者が画面をまたいで転記する限り、システム導入後も確認漏れは消えません。
ここで必要なのは、税務計算ソフトを置き換えることではなく、各システムの間にある「人が探して、コピーして、期限を確認して、連絡する」作業をつなぐことです。もっと効率のいい方法があります。既存の人事・給与・法定調書システムを残しながら、周辺ワークフローをClaude Code/Codexへ任せる方法です。
07 AUTOMATE WITH AI 【核心】Claude Code/Codexで作成・照合・期限管理を自動化する AIに質問する効率化ではなく、退職登録をトリガーに業務全体を動かす
📚 用語解説
Claude Code/Codex:日本語の指示に基づき、パソコン上のファイル、表、文書、データを読み、分類・照合・更新・文書作成などの作業を実行できるAIエージェント。回答を表示するだけでなく、定めた業務手順を実際に進められる点が一般的なチャットAIとの違い。
本章では、弊社が主に使うClaude Codeで操作イメージを説明します(Codexでも同じことができます)。まず区別すべきなのが効率化と自動化です。「退職所得控除の式を教えて」とその都度AIに聞くのは効率化で、作業の起点も進捗管理も人に残ります。
Claude Code/Codexで目指す自動化は、退職者台帳に退職日と退職金支給予定が登録されたら、必要資料のチェックリストを生成し、未回収を通知し、最新ルールを選び、計算表と帳票の下書きを作り、差分チェックを行い、承認後に交付・提出・納付タスクを更新する流れです。人は例外判断、税務判断、最終承認、送信権限を担います。
7-1. 人がしていた作業と、自動化後の役割
| これまで人がしていた作業 | Claude Code/Codexに任せた後 |
|---|---|
| 退職者台帳から氏名・入社日・退職日を転記 | 人事台帳から対象者と根拠セルを読み、案件シートへ自動転記 |
| 申告書を探し、提出の有無を確認 | 所定フォルダを確認し、未提出・読取不能・署名漏れを例外一覧へ |
| 勤続年数と退職所得控除を電卓・Excelで計算 | 対象年の承認済みルールマスタで計算し、入力根拠と計算過程を出力 |
| 前年の源泉徴収票へ金額をコピー | 対象年の最新様式へ提出用・本人用を別々に生成 |
| 本人用の番号を目視で消す | 本人用テンプレートには初めから番号を差し込まず、残存検査を実行 |
| 期限を担当者の予定表へ手入力 | 交付、税務署提出、税納付を別タスクとして登録し、期限前に通知 |
| 交付・提出後に台帳を更新 | 送信・提出結果を案件番号に結び付け、完了状態と証跡を更新 |
7-2. 自動化で使う「4つのマスタ」
安全な自動化には、AIへ毎回自由文で判断させるのではなく、会社が承認したマスタを用意します。マスタは就業規則や業務手順書と同じで、誰が変更を承認したか、いつから有効かを持たせます。
7-3. 推測させない停止条件を先に決める
退職所得申告書がない・読めない、入社日と勤続年数が矛盾する、役員期間が不明、過去の退職一時金がある、死亡退職・非居住者、支払額と決議額が違う、短期退職手当等の判定が曖昧、対象年のルールマスタが未承認、本人用PDFに番号らしき文字列がある場合は、帳票を確定せず人へ回します。
停止時には「処理できません」だけでなく、該当ファイル、矛盾した値、必要な追加資料、確認すべき担当者、再開条件を一覧にします。経理担当者が人事へ何を聞くか考える時間まで減らすのが、自動化の価値です。
7-4. 導入は5ステップで小さく始める
7-5. クライアント企業・士業事務所での実践イメージ
AI鬼管理のクライアント企業では、退職手続きと同じように複数部門の情報を集める業務で、共有フォルダの資料確認、台帳更新、不足連絡案、帳票下書き、承認待ち一覧の作成をClaude Code/Codexへ任せる設計が可能です。税理士・社労士事務所なら顧問先ごとのファイル形式が違っても、入力を共通案件シートへ正規化し、税務判断が必要な案件だけを専門家へ集められます。
もちろん、運営元の株式会社GENAI自身も、AI鬼管理で設計するのと同じ「入力・ルール・停止条件・承認・証跡」の考え方でバックオフィスを運用しています。ただし、クライアント企業の成果は派手な一括自動化ではなく、1業務ずつ正常系と異常系を検証し、担当者不在でも回る形へ積み上げた結果です。
ここまで読むと、既存のExcelと人事台帳があればすぐ作れそうに見えます。しかし実際は、独学で検索しながら進めた会社の多くが、税務ルールを固定数式へ埋め込み、正常案件だけでテストし、作成者しか直せない仕組みに止まります。次章で、独学の3つの壁を整理します。
08 THE 3 WALLS ただし独学には3つの壁がある|AI鬼管理で越える方法 税務ルール、検証、社内定着をセットで設計して初めて本番で回る
壁1:業務ルールを正確に言語化できない
Claude Code/Codexは、曖昧な社内運用を自動で正しい税務手続きへ変換する魔法ではありません。退職日と支払日のどちらを期限管理の起点にするか、誰が勤続期間を確定するか、税務判断を誰が承認するか、交付済みを何で証明するかを定義できなければ、担当者の曖昧さがそのまま高速化されます。
壁2:正しい1件だけで検証を終える
一般従業員で申告書が揃った1件を再現できても、役員、5年以下、障害退職、他の退職所得、死亡退職、非居住者、未払額、申告書未提出では処理が変わります。また計算結果だけでなく、2026年の提出対象、本人用の番号除外、期限タスクまで検証しなければなりません。異常系で正しく止まることを確認して本番へ進みます。
壁3:作った本人しか直せない「第二の属人化」
担当者一人が計算表と自動化を作り、他の人は完成PDFだけを受け取る状態では、その担当者が退職すると仕組みが止まります。ルールマスタ、テスト案件、変更履歴、承認権限、例外対応を複数人が読める形にし、税制・様式変更時に再検証できる状態までが導入です。
| 独学で導入 | AI鬼管理(伴走支援) | |
|---|---|---|
| 業務の棚卸し | 前年のExcelと担当者の記憶から始める | 成果物、入力、判断、停止条件、承認を分離して設計 |
| 制度改正 | 数式・提出条件へ直接埋め込む | 対象年付きルールマスタと更新承認で管理 |
| 検証 | 正常な1件で金額が合えば完了 | 役員・短期・未提出・重複・番号残存など異常系まで確認 |
| 権限 | 作成から送信まで一つの自動処理 | 下書き、税務判断、本人交付、外部提出を権限分離 |
| 社内定着 | 作成者が保守を抱える | 複数人が変更・再検証・例外対応できるよう育成 |
AI鬼管理は3〜6か月で実務の自動化を定着させる
AI鬼管理は、Claude Code/Codexによる業務自動化を、3〜6か月のオンライン伴走トレーニングで実務へ定着させます。一般論の研修ではなく、クライアント企業が実際に使う退職者台帳、申告書、計算表、提出記録を題材に、最初のワークフローを作り切ります。プログラミング経験のない経営層、バックオフィス担当者、税理士・社労士事務所でも始められます。
一方、自社で仕組みを学んで運用するより、資料整理や転記などの定型作業そのものを任せたい会社にはAIBPOという選択肢もあります。どちらが向くかは、年間の退職件数、既存システム、社内の専門担当者、制度改正を追う体制、承認権限によって変わります。
09 COMPARISON & SUMMARY 手作業・専用システム・Claude Code/Codexを比較|最終チェック 退職者全員への交付と2026年の提出対象拡大を、毎回確実に回す方法を選ぶ
| 手作業・Excel | 法定調書システム | Claude Code/Codex自動化 | |
|---|---|---|---|
| 始めやすさ | すぐ使えるが担当者依存 | 初期設定と社員情報連携が必要 | 既存ファイルを使えるが業務ルール設計が必要 |
| 税額・帳票 | 数式・転記を自社で保守 | 対応範囲なら計算・帳票作成に強い | 承認済みマスタと既存システムをつなぎ下書き・照合 |
| 2026年改正対応 | 担当者が手順書・数式を更新 | 製品アップデートを確認 | 対象年ルールが旧版なら停止し、改正確認タスクを出す |
| 周辺作業 | 申告書回収、催促、台帳、送付を人が実施 | 製品外の連絡・証跡は残りやすい | 回収、形式確認、例外一覧、期限・証跡更新までつなげられる |
| 安全性 | 目視確認に依存 | 製品権限とマイナンバー管理が中心 | 停止条件、権限分離、本人用の番号残存検査を追加可能 |
| 横展開 | 新しいExcelが増える | 製品の対応業務内 | 年末調整、給与、法定調書、入退社へ同じ設計を展開 |
退職所得の源泉徴収票は、退職手当等を支払ったときに作成する、給与所得の源泉徴収票とは別の法定調書です。受給者には原則として退職後1か月以内に交付します。2026年1月1日以後に支払うべき退職手当等からは、税務署への提出対象がすべての受給者へ広がったため、役員かどうかだけで提出要否を判定する旧手順を更新してください。
税額計算では、支払時までに退職所得申告書が提出されているかを最初に確認します。提出がなければ原則20.42%を源泉徴収します。提出がある場合も、勤続年数、退職所得控除、短期退職手当等、特定役員退職手当等、他の退職一時金との重複を確認し、対象年分の国税庁の計算表を使います。本人交付用にマイナンバー・法人番号を記載しないことも重要です。
専用システムは税額・帳票作成の土台として有効です。そのうえで、人事台帳、申告書、退職金決議、給与・法定調書システム、本人への交付、提出受付、納付記録の間をClaude Code/Codexでつなぐと、担当者は例外と最終承認へ集中できます。税務・申告業務全体の自動化は税務・申告のAI自動化総合ガイドでも解説しています。
また、退職者の給与分と混同しないためには、税務申告の自動化で使う承認設計や、税務申告を効率化する年間スケジュールの考え方も役立ちます。帳票を1枚作るのではなく、根拠・承認・提出結果まで一つの案件として管理してください。
あわせて読みたい:同じテーマの記事
税務・申告テーマの記事一覧はこちらから確認できます。
退職・給与・法定調書の「人がつなぐ作業」を仕組みに変えませんか
「退職のたびに前年ファイルを探す」「人事と経理で入社日・退職日が違う」「本人用と提出用の確認が怖い」「制度改正を誰が直すか決まっていない」という場合は、現在の退職者台帳、申告書、計算表、法定調書システム、承認ルートを見ながら、Claude Code/Codexへ任せる工程と専門家が判断する工程を切り分けられます。
ここから先の進め方は、大きく2つあります。
覚えるより任せたい方は、AIBPO by AI鬼管理でこの記事のような定型業務を丸ごと預ける道があります。業務量と体制に応じて個別に設計します。
自社で回せるようになりたい方は、AI鬼管理でClaude Code/Codexの使い方から業務設計・社内定着まで伴走を受けながら、社内に仕組みを作る道があります。
どちらが合うかは、業務量と社内体制次第です。無料相談・無料適合診断で、貴社の場合はどちらが向くかからご相談いただけます。
NEXT STEP
この記事の内容を、あなたのビジネスで
実践してみませんか?
よくある質問
Q. 退職所得の源泉徴収票は誰に発行する必要がありますか?
A. 退職手当等を支払ったすべての受給者について作成し、原則として退職後1か月以内に本人へ交付します。給与や賞与を記載する給与所得の源泉徴収票とは別の様式です。退職金を支払った退職者には、給与所得分と退職所得分の2種類が発生することがあります。死亡退職金は相続税法上の別の支払調書が関係するため、通常フローへ流さず確認してください。
Q. 2026年から退職所得の源泉徴収票の提出範囲はどう変わりましたか?
A. 2026年1月1日以後に支払うべき退職手当等について、税務署へ提出する退職所得の源泉徴収票等の対象が、法人役員だけでなくすべての受給者へ広がりました。2025年以前の「税務署提出は役員分」という社内手順をそのまま使わないでください。市区町村向け特別徴収票は、2026年以後分について当分の間提出を省略できる扱いがあるため、税務署提出の拡大と分けて管理します。
Q. 退職所得の源泉徴収票はいつまでに交付・提出しますか?
A. 受給者への交付は原則として退職後1か月以内です。税務署への提出も退職後1か月以内が基本ですが、その年中の受給者分を取りまとめて翌年1月31日までに提出しても差し支えない扱いがあります。まとめて提出する場合でも、受給者への交付まで翌年へ延ばせるわけではありません。休日による期限の扱いも含め、対象年の国税庁案内を確認してください。
Q. 退職所得の受給に関する申告書を提出しないとどうなりますか?
A. 申告書が支払時までに提出されていない場合、原則として退職手当等の支払金額に20.42%を乗じた所得税及び復興特別所得税を源泉徴収します。退職所得控除を使った通常計算とは手取りが大きく変わるため、未提出のまま通常計算をしないでください。受給者は後日、確定申告により精算します。
Q. 一般的な退職所得控除はどのように計算しますか?
A. 勤続年数20年以下は40万円×勤続年数で、計算額が80万円未満なら80万円です。20年を超える場合は800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。ただし、障害退職、勤続年数5年以下の短期退職手当等・特定役員退職手当等、他の退職手当との重複がある場合は計算が変わるため、対象年の国税庁の計算表で確認してください。
Q. 受給者へ渡す退職所得の源泉徴収票にマイナンバーを書きますか?
A. 受給者へ交付する源泉徴収票等には、マイナンバーおよび法人番号を記載しません。一方、税務署へ提出する源泉徴収票等には必要な番号を記載します。提出用のPDFをそのまま本人へ送らず、本人用は初めから番号を差し込まない別テンプレートで生成し、送付前に番号が残っていないことを確認してください。
Q. 退職所得の源泉徴収票は転職先の年末調整に使いますか?
A. 退職所得は給与所得と分けて計算するため、転職先の年末調整へ退職所得の源泉徴収票を合算しません。転職先が年末調整で確認するのは前職の給与所得の源泉徴収票です。退職所得申告書を提出しておらず20.42%で源泉徴収された場合などは、受給者本人が確定申告で精算します。
Q. 退職所得の源泉徴収票を電子交付できますか?
A. 一定の要件の下で電子交付できます。あらかじめ受給者の承諾を得るなどの要件を満たし、本人が閲覧・保存できる方法で提供します。電子交付でも本人用にマイナンバーや法人番号を記載しないこと、交付日・方法・到達状況を記録すること、再交付手順を用意することが重要です。
Q. Claude Code/Codexに退職所得の源泉徴収票を全部任せても大丈夫ですか?
A. 人事台帳からの転記、申告書の形式確認、対象年ルールの選択、計算表・帳票の下書き、元資料との照合、本人用の番号残存検査、期限・進捗更新は自動化に向きます。一方、退職所得の区分、他の退職手当との調整、税額、外部提出、本人交付は、税理士や権限を持つ担当者が確認・承認してください。情報不足や矛盾があるときに推測せず停止する設計が必須です。
Q. Claude Code/Codexによる自動化は独学でも可能ですか?
A. 可能ですが、対象年付きの税務ルール、必要資料、停止条件、マイナンバーの権限、本人用と提出用の分離、承認者、交付・提出・納付の証跡を言語化する必要があります。正常な一般従業員だけでなく、申告書未提出、短期退職、役員、他の退職所得、死亡退職、番号残存などの異常系で検証してください。短期間で社内定着まで進める場合は、AI鬼管理のような伴走支援を利用する方法があります。
Claude Codeで業務自動化を90日で叩き込む
経営者向けの伴走型パーソナルトレーニング
AI鬼管理/AIBPO by AI鬼管理へのお問い合わせ
この記事を読んで気になった方へ。
専門スタッフが、御社に最適な
業務自動化・業務代行プランを無料でご提案します。




