【飲食店】仕込み量の予測をClaude Code/Codexで自動化する方法

【飲食店】仕込み量の予測をClaude Code/Codexで自動化する方法

「明日のランチ、ハンバーグは何食出るだろう」。営業を終えた夜、料理長が予約台帳と冷蔵庫の中身を見比べながら、紙の仕込み表に数字を書き込んでいきます。多めに仕込めば翌日の夜に捨てる食材が増え、少なめにすれば看板メニューが昼過ぎに売り切れる。仕込み量の判断は、飲食店の利益とお客様の満足を毎日左右しているのに、多くの店で料理長の頭の中にしかありません。

結論から言うと、仕込み量は「メニューごとの予測出数 × 1食あたりの使用量 − 使える作り置き」で決まり、用意する食材の量はそれを歩留まりで割り戻して出します。このうち予測出数は、予約・曜日・天気・過去の出数というデータから機械的に出せる部分です。一方、地域の行事や宴会の中身を読んで量を足し引きするのは、人にしかできない部分です。

この記事では、仕込み量の決め方の基本(計算式・歩留まり・作り置きできる時間・衛生のルール)を実務目線で整理します。そのうえで、前日17時になったら自動で翌日の出数を予測し、品目と量の入った仕込み表ができあがる仕組みをClaude Code/Codexで作る方法を、AI鬼管理(運営: 株式会社GENAI)が解説します。予約台帳・売上日報・請求書の照合など、飲食店のほかの業務の自動化は飲食店をClaude Code/Codexで自動化した事例11選にまとめています。

この記事でわかること

✔️仕込み量を経験と勘に頼ったままだと起きる廃棄・品切れ・属人化の問題
✔️仕込み量の基本式と、歩留まり・作り置きできる時間・衛生のルールの押さえ方
✔️AIに都度頼む「効率化」と、きっかけで勝手に走る「自動化」の違い
✔️洋食レストラン3店舗のモデル事例で見る、前日17時に走る仕込み予測のワークフロー
✔️予約・曜日・天気・行事を使った出数予測と、少ないデータで始める方法
✔️予測を厨房で使える形に変える仕込み品マスタの作り方と、人が判断すること
代表菅澤 代表菅澤
仕込み量は毎日決める数字なのに、決め方が言葉になっていない店がほとんどです。料理長が休んだ日に仕込みが崩れるなら、それは料理長の問題ではなく仕組みの問題です。この記事では、予測の部分を仕組みに任せて、料理長には「補正」という一番価値のある判断に集中してもらう形を目指します。
AI鬼管理山崎 AI鬼管理山崎
いきなりAIの話に入ると土台が抜けてしまうので、まずは仕込み量の計算の仕方と、作り置きの衛生ルールから順番に整理します。エクセルを少し触ったことがある程度の方でも読めるように進めますね。
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📌 この記事の結論
【飲食店】仕込み量の予測をClaude Code/Codexで自動化する方法
飲食店の仕込み量は、予約・曜日・天気・過去の出数から予測できます。仕込み量の決め方の基本式、歩留まりと作り置きできる時間の考え方、前日17時に仕込み表が自動でできる仕組みをClaude Code/Codexで作る手順を、洋食3店舗のモデル事例とともにAI鬼管理が解説します。

01 飲食店の仕込み量で起きていること 多すぎれば廃棄、少なすぎれば品切れ。どちらも利益を削っている

仕込みは、営業中の提供スピードと料理の品質を支える土台です。ソースを取る、肉を掃除して成形する、野菜を切りそろえる。営業前にここまで済ませておくから、ピークタイムでも注文から短い時間で料理を出せます。その一方で、仕込みは作りすぎても足りなくても損をする、難しい意思決定でもあります。

1-1. 仕込み量が「料理長の頭の中」にある

多くの店では、仕込み量は料理長やベテラン社員の経験と勘で決まっています。勘そのものは侮れません。「雨の金曜は夜が伸びない」「近くの会社の給料日はランチが増える」といった傾向を、長年の経験で体が覚えているからです。問題は、その判断の根拠がどこにも書かれていないことです。そのために、次のようなことが起きます。

✔️休めない:料理長が不在の日は、誰も自信を持って仕込み量を決められない
✔️教えられない:「なんとなく多め」の理由を若手に説明できず、次の料理長が育たない
✔️振り返れない:仕込み表と実際の出数を比べた記録がなく、同じ外し方を繰り返す
✔️店舗でそろわない:2店舗目・3店舗目で判断する人が変わり、廃棄や品切れに差が出る

📚 用語解説

出数:一定期間に、そのメニューが何食注文されたか(提供されたか)を表す飲食店の言葉。売上金額ではなく「食数」で見るため、仕込み量や発注量の計算に直結する。POSレジのメニュー別集計で確認できることが多い。

1-2. 多すぎても少なすぎても損をする

仕込みすぎの損失は分かりやすく、使い切れなかった食材の原価がそのまま捨てられます。ただし損失は原価だけではありません。余分な仕込みに使ったスタッフの時間、ごみ処理の手間、冷蔵庫の場所まで、見えにくいコストが重なります。

仕込み不足の損失は、さらに見えにくいものです。看板メニューが品切れになれば、その分の売上が消えるだけでなく、「食べたかったのに」というお客様の体験が残ります。廃棄は記録に残りますが、品切れの損失はほとんど記録に残りません。そのため、勘で仕込み量を決めている店ほど「品切れが怖いから多めに仕込み、廃棄が増える」方向に傾きがちです。

仕込みすぎ仕込み不足
直接の損失使い切れない食材の原価売れたはずの売上(機会損失)
見えにくい損失余分な仕込み時間・廃棄の処理・冷蔵庫の場所お客様の失望・再来店の減少・ホールへのクレーム
記録への残り方廃棄量として記録できるほとんど記録されない
起きやすい店品切れを避けたい店・作り置きが多い店食材の保存がきかない店・仕込みの人手が足りない店

1-3. 外食産業の食品ロスは年間70万トン(2024年度推計)

仕込み量の問題は、個々の店の利益だけの話ではありません。農林水産省の推計では、2024年度の事業系食品ロス量は237万トンで、そのうち外食産業は70万トンでした。政府は事業系食品ロスを2030年度までに2000年度比で60%削減する目標を掲げており、2024年度の時点では2000年度比で57%の削減となっています。

飲食店の食品ロスには、食べ残し、調理くず、期限切れなどいくつもの原因があります。その中で、来店客数や注文数の見込み違いによる仕込みすぎは、店側の工夫で最も減らしやすい部分です。廃棄を在庫や発注の面から減らしたい場合は、飲食店の食品ロスを減らす方法|AI在庫管理を自作する手順も参考になります。

1-4. 店舗が増えると「勘」が回らなくなる

1店舗なら、料理長が毎晩すべての仕込みを見ることもできます。しかし2店舗、3店舗と増えると、全店の予約と冷蔵庫を1人で確認して仕込み表を書くのは難しくなります。店ごとに判断する人を置けば、今度は判断の基準がばらつきます。こうして店舗が増えるほど、廃棄と品切れの店舗間の差が広がっていきます。

📖 予約台帳を見る
→
🧠 記憶で出数を想像
→
📝 紙の仕込み表を書く
→
🔪 翌日に仕込む
→
🗑️ 余る・足りない
→
❓ 理由が残らない

この流れで一番の問題は、最後の「理由が残らない」です。予測と実績のズレが記録されないので、翌日も同じ外し方をします。仕組み化の目的は、この輪をデータでつなぎ直すことにあります。

代表菅澤 代表菅澤
「うちは廃棄が少ないほうだ」という店ほど、実は品切れで売上を落としていることがあります。廃棄と品切れはシーソーの関係なので、片方だけを見ていると判断を誤ります。まずは両方を同じ表に並べて見ることから始めましょう。
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品切れの損失を見えるようにする一番簡単な方法は、「売り切れた時刻」を記録することです。13時に売り切れたのか20時半なのかで、本当の需要はまったく違います。この記録は、後で出てくる予測の精度にも直結します。

02 仕込み量の決め方の基本と押さえるべきルール 計算式・歩留まり・作り置きの時間・衛生と食品ロスのルールを押さえる

ここからは実務の話です。仕込み量を仕組みで決めるにしても、人が決めるにしても、土台になる考え方は同じです。

2-1. 仕込み量の基本式

仕込み量は、次の式で考えるのが基本です。

仕込み量の基本式

仕込み量 = 予測出数 × 1食あたりの使用量 − 使える作り置きの残り
用意する食材の量(下処理前)= 仕込みに使う食材の量 ÷ 歩留まり
(必要に応じて、品切れを防ぐための上乗せ分を足す)

ハンバーグを例に、計算の流れを表にしました。1食あたりパテ(成形した生地)を150g、パテに入れる玉ねぎのみじん切りを30g使い、玉ねぎの歩留まりを90%とした場合です。

計算の段階中身例(ハンバーグ)
① 予測出数明日、そのメニューが何食出るか40食
② 必要な量予測出数 × 1食あたりの使用量40食 × 150g = 6.0kg
③ 使える残り作り置きのうち、店の衛生ルール上まだ使える量1.2kg(8食分)
④ 今日の仕込み量② − ③4.8kg(32食分)
⑤ 下処理前の量④に使う食材を歩留まりで割り戻す玉ねぎ 32食 × 30g = 960g、960g ÷ 90% ≒ 1.07kg

この計算で人が迷うのは、①の予測出数だけです。②から⑤は決まった計算なので、一度ルールを決めてしまえば、毎日同じ手順で機械的に出せます。仕込み量の自動化は、まさにこの性質を利用します。

2-2. 仕込みに必要なのは「売上予測」ではなく「出数予測」

飲食店の予測と聞くと、客席数・回転数・客単価から売上を見積もる「売上予測」を思い浮かべる方が多いでしょう。売上予測は人員計画や資金繰りに役立ちますが、仕込みに必要なのは金額ではなくどのメニューが何食出るかという出数です。売上が同じ日でも、ハンバーグがよく出る日とパスタがよく出る日では、仕込む中身がまったく違います。

出数予測は、「客数の予測」×「メニューの出数比率(何人に1人がそのメニューを頼むか)」に分けて考えると扱いやすくなります。客数は予約や天気で大きく動きますが、出数比率はメニュー改定や季節の変わり目がなければ大きくは動きにくいからです。この分け方は、データが少ない店ほど効いてきます(第6章で詳しく説明します)。

📚 用語解説

需要予測:過去の実績や曜日・天気・予約などのデータから、将来どれくらい売れるか(注文されるか)を見積もること。飲食店では客数・売上・メニュー別の出数などが対象になる。天気予報と同じく、外れることを前提に外れ方を記録し、少しずつ精度を上げていく考え方が大切。

もう一つ大事なのが、予測と目標を混ぜないことです。「明日はハンバーグを50食売りたい」は目標であって予測ではありません。売りたい数を予測に混ぜると、仕込みすぎの原因になります。販促で出数を伸ばしたいときは、予測とは別に「販促による上乗せ」として記録しておくと、あとで販促の効果も検証できます。

2-3. 歩留まりは「自店で測った数字」を使う

📚 用語解説

歩留まり(ぶどまり):仕入れた食材のうち、皮・芯・骨・筋などを取り除いた後に、実際に料理に使える部分の割合。1kgの食材から850gが使えれば歩留まりは85%。逆に、取り除く部分の割合を廃棄率と呼ぶ。仕込み量を下処理前の量に割り戻すときに必要になる。

歩留まりの参考値としては、文部科学省の「日本食品標準成分表」に食品ごとの廃棄率が載っています。成分表の廃棄率は、通常の食習慣で廃棄される部分を、食品全体または購入した形に対する重さの割合で示したものです。ただし実際の歩留まりは、仕入れの規格、切り方、料理の用途、季節による品質の違いで変わります。仕込み量の計算に使うなら、自店で何回か実測した数字を使うのが確実です。

💡 歩留まりの測り方

同じ食材を3回ほど、下処理の前と後で量ります。平均を取って仕込み品マスタ(第7章)に書き込み、仕入れ先や規格を変えたときに測り直します。肉や魚は掃除の仕方で差が出やすいので、担当者が変わったタイミングでも一度測っておくと安心です。

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歩留まりを実際に測ってみると、同じ食材でも担当者によって差が出ることがあります。仕込み量の計算を正確にする作業は、下処理のやり方をそろえるきっかけにもなります。数字にしておけば、新人に教える内容もはっきりします。

2-4. 作り置きできる時間と衛生のルール

仕込み量を決めるときに見落とされがちなのが、その仕込み品をいつまでに使い切る必要があるかです。作り置きできる時間が長いソースやフォンは前日にまとめて仕込めますが、カットした葉物や、衣を付けておく揚げ物の下ごしらえのように時間とともに品質が落ちるものは、当日の仕込みや営業中の追加仕込みに回す必要があります。

衛生面では、2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。飲食店営業は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の対象で、業界団体が作成し厚生労働省が公開している手引書などを参考に衛生管理計画を作り、実施状況を記録します。

📚 用語解説

HACCP(ハサップ):食中毒などの危害が起きやすい工程をあらかじめ洗い出し、加熱や保存の温度などの管理点を決めて、守れているかを記録・確認する衛生管理の手法。仕込み品の作り置きでは、冷却の速さと保存の温度・時間が主な管理点になる。

作り置きの時間と温度の目安として参考になるのが、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」です。本来は同一メニューを1回300食以上または1日750食以上提供する施設に適用されるマニュアルですが、次のような考え方は、一般の飲食店が作り置きのルールを決めるときの目安になります。

✔️加熱調理した食品を冷ますときは、30分以内に中心温度を20℃付近(または60分以内に10℃付近)まで下げるよう工夫し、冷却の開始時刻と終了時刻を記録する
✔️調理後すぐに提供しない食品は、食中毒菌の増殖を抑えるため10℃以下または65℃以上で管理する
✔️調理後の食品は、調理終了から2時間以内に喫食することが望ましい
⚠️ 仕込み量を増やすなら、保存のルールとセットで決める

「品切れが怖いから多めに作り置きしておく」は、廃棄を増やすだけでなく、衛生面のリスクも増やします。作り置きできる時間と保存方法は、店の衛生管理計画に沿って仕込み品ごとに決め、仕込み表には「いつまでに使い切るか」を必ず書くようにしてください。自動化する場合も、この時間はAIに推測させず、店が決めた値を使います。

代表菅澤 代表菅澤
衛生のルールは、自動化で一番ゆるめてはいけない部分です。仕組みが出す仕込み量がどれだけ正確でも、作り置きの時間や温度の管理が崩れたら意味がありません。数字は仕組みに任せても、衛生の最終責任は店が持つ。この線引きを最初に決めておきます。

2-5. 食品ロスの削減は事業者の努力義務

2019年10月1日に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」では、事業者は食品ロスの削減について積極的に取り組むよう努めるものとされています。罰則のある義務ではありませんが、仕込み量を数字で管理して廃棄を減らす取り組みは、原価の削減と同時に、社会からの要請に応えることにもつながります。

03 効率化ではなく自動化:Claude Code/Codexで仕込み予測の何を自動化するか AIに都度頼むのは効率化。きっかけが来たら勝手に走るのが自動化

📚 用語解説

Claude Code/Codex:Claude CodeはAnthropic社、CodexはOpenAI社が提供するAIエージェント。質問に答えるだけのチャットAIと違い、パソコン上のファイルを読み書きし、集計や表の作成といった作業の手順そのものを組み立てて実行できる。日本語で指示できるため、POSのデータを読み込んで仕込み表を作る、といった業務の仕組みを、プログラミングの経験がない人でも作りやすい。

3-1. 「AIに頼む」効率化と「勝手に走る」自動化の違い

最初に、この記事でいちばん伝えたい考え方を整理します。チャットAIに「明日の予約はこうだから、仕込み量を考えて」と毎晩相談するのは効率化です。考える時間は短くなりますが、人が思い立って頼まない限り何も起きません。忙しい日や料理長が休みの日には使われず、仕込み量の決め方は結局、人に戻ってしまいます。

WORKFLOW

効率化(お願いベース)— 人が起点

人料理長が営業後に、予約と過去の出数をAIチャットに貼り付けて相談する
▼
自動AIがその場で仕込み量の案を返す
▼
人料理長が案を見て、紙の仕込み表に書き写す

これに対して自動化は、決まったきっかけ(トリガー)が来たら、決まった手順が人の操作なしで走り、人は結果の確認と判断だけをする状態です。仕込み予測で言えば、「前日17時になったら、予約・天気・過去の出数を自動で集めて出数を予測し、仕込み表まで作っておく」。料理長は、できあがった仕込み表を見て、宴会や地域の行事など機械には分からない事情だけを補正します。

📚 用語解説

トリガー:仕組みを動かす「きっかけ」のこと。「毎日17時になったら」「予約が締め切られたら」「ファイルが保存されたら」など。厨房で言えば、注文が通ったら調理が始まる、の「注文が通る」にあたる。人が思い出さなくても仕事が始まるように、トリガーを決めておくのが自動化の出発点になる。

効率化と自動化の違いは、誰が仕事を始めるかです。効率化では人が始め、自動化では時計や出来事が始めます。仕込み表は毎日必ず作るものなので、人が始める方式ではいつか必ず抜けが出ます。毎日決まって発生する業務ほど、自動化の効果は大きくなります。

3-2. 仕込み予測を自動化したときの全体像

⏰ 前日17時(トリガー)
→
📥 予約・天気・出数を集める
→
📈 メニュー別に出数を予測
→
📋 仕込み表を自動作成
→
👨‍🍳 料理長が補正
→
📱 タブレットに表示

この流れのうち、人が関わるのは「料理長が補正」の1か所だけです。データを集める、予測する、仕込み表に展開する、表示する、翌日の実績と比べて記録する。これらはすべて決まった手順なので、自動化できます。

📚 用語解説

ワークフロー:仕事の流れを「きっかけ → 手順 → 判断 → 結果」の順に定義したもの。厨房の段取り表に近い。自動化では、この流れのうち機械が担う手順と人が担う判断を分けて設計し、機械の手順はトリガーで自動的に動くようにする。

3-3. Claude Code/Codexに任せる作業、人が担う作業

作業これまで自動化した後
予約数・コース内容の確認料理長が予約台帳を見る予約データを自動で集計
天気・曜日の確認料理長が天気予報を見て頭の中で考慮翌日の天気予報・曜日・祝日を自動で取り込む
過去の出数の振り返り記憶に頼る(記録がないことも多い)POSの出数実績から、条件の近い日を自動で集計
メニュー別の出数予測料理長の経験と勘決めた計算ルールで自動算出(人は結果を確認)
仕込み表の作成紙やエクセルに毎晩手作業で品目・量・使い切りの期限つきで自動作成
行事・宴会による補正料理長料理長(人が判断)
予測と実績のズレの記録ほとんどしていない営業後に記録し、翌日以降の予測に反映

ポイントは、今使っているPOSレジや予約台帳、エクセルやスプレッドシートを入れ替えずに使えることです。Claude Code/Codexは、既存のデータを読み込んで、店のルールどおりに計算する手順そのものを作ります。予測の方法も「同じ曜日の直近4回の平均から始める」のように店の状況に合わせて選べるので、データがまだ少ない店でも小さく始められます。

代表菅澤 代表菅澤
「AIに毎晩相談すれば楽になる」は、半分正解で半分間違いです。楽にはなりますが、相談する人がいないと止まります。経営として欲しいのは、料理長が休んでも、新しい店の厨房でも、同じ基準の仕込み表が毎日17時に出てくる状態です。そこまで行って初めて「仕組み」と呼べます。
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自動化しても、料理長の出番がなくなるわけではありません。毎晩の書き写しがなくなる分、宴会の中身を確かめたり、商店街の行事を調べたりといった「補正の質」を上げる時間に回せます。機械が得意な計算と、人が得意な事情の読み取りを分ける、というのがこの章の結論です。
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04 モデル事例:D社(洋食レストラン3店舗)の導入前と導入後 前日17時に走る仕込み予測で、廃棄と品切れを同時に減らす

ここからは、仕組みの具体的な形をモデル事例(AI鬼管理が支援を想定した仮名のケース。数値は目安)で紹介します。実在の会社の事例ではありません。洋食レストランの仕込みで起きやすい状況をもとに、仕組みの動き方と、人が判断する部分を具体的に描いています。

📍 モデル事例(AI鬼管理が支援を想定した仮名のケース。数値は目安)

会社D社(洋食レストランを3店舗運営・ランチとディナー営業、宴会あり)
業態洋食レストラン。ランチとディナーの2部営業で、宴会の予約も受けている
店舗数3店舗
課題仕込み量が料理長の経験と勘に頼っており、食材の廃棄と人気メニューの品切れが同時に起きている

4-1. 導入前:経験と勘で書く紙の仕込み表

✔️仕込み量は料理長の経験と勘で決め、前日夜に紙の仕込み表を作成(約30分)
✔️食材の廃棄率は約6%
✔️人気メニューの品切れが月8回程度

D社の仕込み表は、料理長が営業後に予約台帳を確認し、覚えている過去の出数と照らし合わせて手書きで作っていました。宴会がある日は宴会のコース分を足し、雨の予報なら少し減らす、といった調整も料理長の頭の中で行われます。判断が的確な日も多い一方で、なぜその量にしたのかが記録に残らないため、外れた日の原因を振り返れませんでした。

廃棄と品切れが同時に起きていたのも特徴です。日持ちしない食材を「念のため多め」に仕込んで捨てる日がある一方で、ランチの人気メニューは売り切れる。これは、仕込み量が全体として多すぎる・少なすぎるという話ではなく、メニューごとの配分がずれていることを示しています。

4-2. 導入後のワークフロー

WORKFLOW

D社の仕込み予測ワークフロー

起点前日17時(翌日の予約の締め時刻)
▼
自動予約数・曜日・天気予報・過去の出数実績から、翌日のメニュー別の出数を予測
▼
自動予測出数とレシピの分量から、品目・量つきの仕込み表を自動作成
▼
人料理長が地域行事や宴会の内容を見て補正
▼
自動確定した仕込み表をキッチンのタブレットに表示し、翌日の実績と予測のズレを記録

起点は、翌日の予約を締め切る前日17時です。この時刻になると、Claude Code/Codexで作った仕組みが自動で動き出し、3店舗それぞれの翌日の予約数、曜日、天気予報、過去の出数実績を集めます。そこから店舗ごと、ランチとディナーごとに、メニュー別の出数を予測します。

次に、予測した出数にレシピの分量を掛け合わせて、仕込み品ごとの量に展開します。デミグラスソースのように複数のメニューで使う仕込み品は、メニューをまたいで合算され、品目と量の入った仕込み表として1枚にまとまります。ここまでが自動で、料理長の手元には、白紙ではなくほぼ完成した仕込み表が届きます。

料理長は、その仕込み表に対して機械には分からない事情だけを補正します。確定した仕込み表はキッチンのタブレットに表示され、翌日の営業が終わると、予測と実績のズレが記録されます。実際の出数はPOSから取り込み、残った量や品切れの時刻はスタッフがタブレットで入力します。この記録が、次の予測の材料になります。

4-3. 人が確認すること

D社の仕組みで、料理長が必ず確認・判断するのは次の点です。

✔️宴会の内容:人数だけでなく、コースの中身、人数の増減の見込み、アレルギーなど個別の対応が必要か
✔️地域の行事:近隣の祭りやイベント、学校行事など、過去のデータに表れにくい来客の増減
✔️食材の状況:入荷の遅れや品質の悪い食材があれば、仕込み量やメニューの切り替えを判断する
✔️仕込み表の確定:補正した理由を一言残して確定する。確定者は料理長で、AIの予測は提案という位置づけ

補正の理由を一言残すのは、記録のためだけではありません。「商店街の祭りでランチ2割増し」のような補正が何度も出てくれば、それは次から予測に組み込める情報です。人の判断が、次の仕組みの改善材料になるという循環が、この仕組みの肝です。

4-4. 導入前後の比較

項目導入前導入後
仕込み表の作成約30分約10分(補正のみ)
食材の廃棄率約6%約3.5%
品切れ月8回月2回

仕込み表の作成が約30分から約10分になったのは、料理長の仕事が「ゼロから書く」から「できあがった表を補正する」に変わったためです。食材の廃棄率が約6%から約3.5%に、品切れが月8回から2回に減ったのは、メニューごとの配分が予約と天気に合わせて毎日組み直されるようになったことと、予測と実績のズレの記録から外れ方の癖が修正されていったことによります。

AI鬼管理山崎 AI鬼管理山崎
この事例で注目していただきたいのは、廃棄と品切れが「両方」減っている点です。仕込み量を一律に減らすだけなら、廃棄は減っても品切れは増えます。両方を減らせるのは、メニューごとの配分を日ごとに組み直しているからです。
代表菅澤 代表菅澤
導入後の10分は、ただの確認の時間ではありません。料理長が補正した理由が毎日残ることで、これまで料理長の頭の中にしかなかった判断が、少しずつ店の資産になっていきます。その記録は、次の料理長を育てる教材にもなります。

05 自社で仕込み予測の自動化を始める5ステップ いきなり全部を任せず、「並走」で答え合わせをしてから自動にする

D社のような仕組みは、一度に作る必要はありません。むしろ、いきなり全部を自動化しようとすると失敗します。次の5ステップで、小さく確実に進めるのがおすすめです。

1
今の仕込み表と出数を1か所に集めるPOSレジから書き出したメニュー別・日別の出数、予約台帳、過去の仕込み表(紙なら写真で構いません)を1つのフォルダにまとめます。Claude Code/Codexに「日付ごとに予約数と出数を並べた表を作って」と日本語で頼めば、ばらばらの資料を1つの表に整理できます。手書きの読み取りには誤りが出ることがあるので、数字は人が確認します。
2
レシピの分量と歩留まりを「仕込み品マスタ」にするメニューごとに、使う仕込み品と1食あたりの量、歩留まり、仕込みの単位、作り置きできる時間を表にします。料理長の知識そのものなので、料理長に話してもらった内容をClaude Code/Codexに表へ起こしてもらうと早く進みます。
3
予測だけを2〜4週間「並走」させる料理長はこれまでどおり仕込み表を書き、その横に仕組みの予測を並べて比べます。どのメニューで、どちらに、どれくらい外れるかを見て計算のルールを調整します。新人の見習い期間と同じで、任せる前に答え合わせをする期間です。
4
前日17時に自動で走らせる外れ方に納得できたら、毎日決まった時刻に自動で動く設定をします。パソコンの予約実行の機能(Windowsならタスクスケジューラ)やクラウドの定期実行を使い、できた仕込み表をキッチンのタブレットで見られる場所に置きます。
5
ズレを記録して週に1回見直す予測と実績のズレを毎日記録し、週に1回、外れが大きかったメニューと日を料理長と確認します。補正の理由として繰り返し出てくるものは、計算のルールに組み込みます。
📁 材料を集める
→
📑 仕込み品マスタ
→
⚖️ 並走で答え合わせ
→
⏰ 17時に自動実行
→
🔄 週1回の見直し
💡 並走の期間に記録する3つの数字

並走中は、①メニュー別の予測出数と実際の出数の差、②料理長の仕込み量と仕組みの仕込み量の差、③品切れの有無と時刻、の3つを毎日記録します。予測が料理長より当たった日だけでなく、料理長のほうが当たった日こそ重要です。その日に料理長が何を見ていたかが、予測に足りない情報を教えてくれます。

AI鬼管理山崎 AI鬼管理山崎
並走の期間を飛ばしたくなる気持ちは分かりますが、ここを省くと料理長の信頼を得られません。「機械の予測が自分の感覚とどれくらい合うか」を料理長自身が確かめて初めて、仕込み表を任せてもらえます。現場の納得は、予測の精度と同じくらい大切です。

06 出数予測に使うデータと、少ないデータで始める方法 予約・曜日・天気・行事。データが少なくても、段階を踏めば予測は作れる

出数予測の精度は、使うデータで決まります。ただし、最初から多くのデータをそろえる必要はありません。ここでは、仕込み予測に使う代表的なデータと、データが少ない店での始め方を紹介します。

6-1. 仕込み予測に使う5つのデータ

データ主な入手先予測への効き方注意点
過去の出数実績POSレジのメニュー別集計予測の土台。曜日ごとの傾向やメニューの出数比率を出す品切れした日は、本当の需要より少なく記録される
予約予約台帳・予約管理サービス予約人数とコース内容は、ほぼ確定した需要として使えるキャンセルや人数の増減、予約なしの来店は別に考える
曜日・祝日カレンダー平日と週末、祝日や連休で客数の水準が変わる給料日や近隣の休業日など、店によって効く条件が違う
天気天気予報雨や気温で、予約なしの来店数や注文されるメニューが変わる予報は外れることがある。前日夕方時点の予報を使う前提で設計する
地域の行事自治体や商店街の告知、近隣施設のイベント情報祭りや大きなイベントの日は、過去データにない増減が起きる年に数回しかないため、機械より人の補正に向いている

天気は、前日の夕方時点の予報を使うのが現実的です。気象庁の府県天気予報は毎日5時・11時・17時に発表され、明日までの6時間ごとの降水確率や最高・最低気温などが示されます。前日17時に動く仕組みなら、その時点で最新の予報を取り込む設計にします。天気のデータの取り込み方(天気予報のデータ提供サービスを使うなど)は、利用規約を確認したうえで選んでください。

📚 用語解説

POSレジ(ポスレジ):会計のたびに「いつ・何が・いくつ・いくらで」売れたかを記録するレジ。POSはPoint of Sale(販売時点)の略。メニュー別・時間帯別の出数を集計でき、多くの製品でデータをファイルに書き出せるため、仕込み予測の土台になる。

6-2. データが少なくても始められる4段階

「POSを入れてまだ半年」「予約台帳は紙」という店でも、出数予測は作れます。精度を一度に上げようとせず、次の順に段階を踏むのがコツです。ランチとディナーは、最初から分けて考えます。

1
段階1:同じ曜日の直近4回の平均で客数を出す明日が金曜なら、直近4回の金曜の客数を平均します。これだけで「月曜は少なく金曜は多い」といった曜日の違いが反映され、4週間分のデータがあれば始められます。
2
段階2:予約客と予約なしの客を分ける予約客は「ほぼ確定した数」として別に数え、予測するのは予約なしで来店する客だけにします。予約の多い日と少ない日で予測が大きく外れる店は、これで精度が上がりやすくなります。
3
段階3:天気の補正を足す雨の日の予約なしの客数が、雨でない日の何割になるかを、過去の記録から自店の数字として出します。最初は「雨の日は○割」という1つの数字で十分です。
4
段階4:メニューの出数比率を掛ける予測した客数にメニューごとの出数比率を掛けて、メニュー別の出数にします。出数比率を曜日やランチ・ディナーで分けて持つと、より実態に近づきます。

具体的な数字で見てみます。次の表は、ある金曜日のランチを想定した計算例です。

計算の段階例:金曜日のランチ
予約客(確定分)12名
予約なしの客(直近4回の金曜ランチの平均)40名
天気の補正(雨の日は予約なしの客が8割になる店の場合)40名 × 0.8 = 32名
客数の予測12名 + 32名 = 44名
ハンバーグの出数(出数比率30%の場合)44名 × 30% ≒ 13食
📅 予約客(確定分)
→
👥 予約なしの客を予測
→
☔ 天気で補正
→
🍽️ メニューの出数比率
→
📋 メニュー別の出数

📚 用語解説

移動平均:直近の一定期間(または直近の決まった回数)の平均を、新しいデータが入るたびに計算し直す方法。「直近4回の金曜の平均」を毎週計算し直すのが一例。日々のばらつきをならしながら、季節の変化にも少しずつ追いつけるため、データが少ない段階の予測に向いている。

複数の店舗がある場合、新しい店やデータの少ない店は、立地や客層の近い店の出数比率を借りて始める方法もあります。同じメニュー構成なら出数比率は近くなりやすいので、自店のデータがたまるまでのつなぎとして使い、少しずつ自店の数字に置き換えます。

6-3. 予測は「1つの数字」ではなく「幅」で持つ

予測は必ず外れます。大事なのは、外れたときにどちらへ外れると損が小さいかを、仕込み品ごとに決めておくことです。たとえば、冷凍や冷蔵で翌日に回せる仕込み品は予測の上限寄りに、作り置きがきかず原価の高い仕込み品は予測の下限寄りに仕込み、足りなくなりそうなら営業中に追加で仕込む、という考え方です。

この判断は、品切れしたときに失う粗利と余ったときに捨てる原価の比較です。粗利の大きい看板メニューは品切れの損が大きいので多めに、原価が高く日持ちしない食材は廃棄の損が大きいので控えめに。このように経営の数字で決められるので、予測を幅で持ち、どちら寄りに仕込むかを仕込み品ごとのルールにしておけば、その部分も自動化できます。

6-4. 品切れした日のデータの扱い

⚠️ 売り切れた日の出数は「本当の需要」より少ない

ハンバーグが13時に売り切れた日の出数が20食だったとしても、本当は30食出たかもしれません。この数字をそのまま過去の実績として使うと、予測はどんどん少なめに引っ張られ、品切れが増える悪循環に入ります。品切れした日と時刻を必ず記録し、予測の計算では品切れの日を除くか、割り増して扱うルールにしておきましょう。

代表菅澤 代表菅澤
データが少ないことを理由に予測を諦める店は多いのですが、料理長の勘も最初はデータゼロから始まっています。大事なのは、今日から記録を始めることです。4週間分の客数と出数、それに品切れの時刻があれば、段階1の予測は作れます。
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07 仕込み表の作り方:レシピの分量・歩留まり・作り置きできる時間 予測した出数を、厨房で使える仕込み表に変える

出数を予測しても、それだけでは厨房は動けません。「デミグラスソースを鍋に何杯、玉ねぎを何kg、何時までに」という仕込み表に変えて、初めて現場の仕事になります。その変換の元になるのが仕込み品マスタです。

7-1. 仕込み品マスタに持たせる項目

仕込み品マスタは、メニューと仕込み品の関係を1つの表にまとめた、店の基本台帳です。製造業でいう部品表と同じで、1つのメニューが複数の仕込み品を使い、1つの仕込み品が複数のメニューで使われる、という関係を整理します。

項目中身記入の例
仕込み品名仕込みの単位になる品目デミグラスソース
使うメニューと1食あたりの使用量どのメニューに何g(何ml)使うかハンバーグに80ml、オムライスに60ml
歩留まり下処理前の量に割り戻すための割合玉ねぎ(皮と根を除く)90%
仕込みの単位鍋・バット・袋など、実際に作る単位鍋1つ=40食分
作り置きできる時間店の衛生管理計画で決めた使い切りの期限店のルールで決めた期限を記入
保存方法と温度冷蔵・冷凍・保温などの区分冷蔵(10℃以下)
所要時間と担当仕込みに何分かかり、誰が担当するか約40分・キッチン担当

この中で、自動化の前に特にきちんと決めておきたいのが「作り置きできる時間」と「仕込みの単位」です。この2つがあいまいなままだと、計算上は正しくても、現場では使えない仕込み表になります。

7-2. 計算した量を「仕込みの単位」に丸める

計算上はデミグラスソースが3.2リットル必要でも、厨房では「鍋1つ分」で作ることが多いはずです。そこで、計算した量を仕込みの単位に丸めるルールを決めます。切り上げるのか、半端な分は前日の残りで補うのか、最低でも鍋1つは作るのか。こうしたルールは店ごとに違うので、料理長と相談して仕込み品マスタに書き込みます。

7-3. 作り置きできる時間で「いつ仕込むか」を振り分ける

仕込み表には、量だけでなくいつ仕込むかも書きます。作り置きできる時間が長いものはまとめて、短いものは営業の直前に分けて、予測の幅が大きいものは営業中の追加仕込みで、という振り分けです。

✔️前日や開店前にまとめて仕込む:作り置きできる時間が長く、冷蔵・冷凍で品質を保ちやすいソースやフォンなど
✔️ランチ前・ディナー前に分けて仕込む:カットした野菜など、時間とともに品質が落ちるもの
✔️営業中に追加で仕込む:予測の幅が大きい看板メニューの仕込み品。残りが決めた量を切ったら追加する

最後の「営業中の追加仕込み」は、品切れと廃棄を同時に減らす強力な方法です。仕込み表に「残りが5食分を切ったら追加」という追加仕込みラインを書いておけば、最初から多めに仕込まなくても品切れを防ぎやすくなります。追加に必要な時間を見込んで、ラインの高さを決めるのがポイントです。

7-4. 設備とメニュー設計で「仕込みの幅」を広げる

仕込み量の問題は、設備やメニューの設計でも和らげられます。急速冷却機(ブラストチラー)を使えば加熱後の冷却を早められ、真空包装機を使えば保存中の品質を保ちやすくなるため、まとめて仕込める範囲が広がります。また、同じ仕込み品を複数のメニューで使う「クロスユース」を意識してメニューを組むと、メニュー別の出数が外れても、仕込み品の段階で吸収しやすくなります。

複数店舗でソースなどを1か所にまとめて仕込み、各店に配る場合は、各店の予測出数を合算した仕込み表が必要です。店舗ごとの予測が仕組みで出ていれば、この合算も自動でできます。

7-5. タブレットで見やすい仕込み表にする

仕込み表の見せ方も、現場で使われるかどうかを左右します。D社のようにキッチンのタブレットに表示する場合は、次のような工夫が効きます。

✔️仕込み品を担当者別・仕込む時刻の順に並べる
✔️各行に量・仕込みの単位・使い切りの期限を並べて表示する
✔️料理長の補正が入った行は色を変え、補正の理由を添える
✔️仕込みが終わったら完了のチェックを付けられるようにし、実績の記録につなげる
AI鬼管理山崎 AI鬼管理山崎
仕込み品マスタ作りは地味ですが、ここが仕組みの精度を決めます。料理長にとって当たり前のこと、たとえば「このソースは鍋1つ単位でしか作らない」といったルールほど書き漏れやすいので、実際の仕込みを見ながら一つずつ確認するのがおすすめです。

08 人が判断すること・よくある落とし穴 予測は提案、確定は人。責任の所在を最初に決めておく

8-1. 人が判断すること

仕込み予測を自動化しても、人が判断すべきことは残ります。むしろ、人が判断すべきことをはっきりさせることが、自動化を安全に回す条件です。

判断すること内容判断する人
最終確認仕込み表の量と使い切りの期限に違和感がないかを見て確定する料理長(各店の厨房責任者)
例外への対応宴会の内容変更、地域の行事、台風などの急な天候の変化、食材の欠品料理長・店長
衛生の判断作り置きの時間と温度、食材の状態の確認料理長・衛生管理の責任者
ルールの変更メニュー改定、歩留まりの見直し、追加仕込みラインの変更料理長と経営者

責任の所在も明確にしておきます。AIが出すのはあくまで予測と仕込み表の案で、仕込み表を確定するのは料理長です。確定した人と補正の理由を仕込み表に残しておけば、外れた日にも「予測が外れたのか、補正が外れたのか」を落ち着いて振り返れます。記録は責める材料ではなく、改善の材料として使うことが大切です。

8-2. よくある落とし穴

仕込み予測の自動化でつまずきやすいポイントを挙げます。

✔️予測を信じすぎて補正をやめてしまう:予測が当たり続けると、料理長が表を見ずに確定するようになる。行事や宴会の見落としは、この油断から起きる
✔️メニュー改定でデータが途切れる:新メニューには過去の出数がない。似たメニューの出数比率を仮に使い、2〜4週間で自店の数字に置き換える
✔️パソコンの電源が切れていて動かない:17時に動く仕組みを店のパソコンに置くなら、その時刻に電源が入っている必要がある。常に動いているパソコンかクラウドに置く
✔️元データの書き方がばらばら:予約台帳の書き方やメニュー名の表記が店ごとに違うと、集計が狂う。表記をそろえるのが先
✔️作り置きの期限が守られない:予測が上振れした日に、期限を過ぎた作り置きを使いたくなる。期限は仕込み表に表示し、例外を作らない

出数予測は、仕込みだけでなく発注にも使えます。予測した出数から食材の発注量まで自動でつなげたい場合は、食材発注を自動化する在庫連動システム完全ガイドで発注側の考え方を確認しておくと、仕組みを広げるときに迷いません。

代表菅澤 代表菅澤
経営者が毎日の仕込み表まで見る必要はありません。週に1回、店舗ごとの廃棄率と品切れの回数の2つを並べて見れば十分です。片方だけが良くなっている店は、どこかで無理をしています。両方が下がっていれば、仕組みと料理長の補正がうまくかみ合っている証拠です。

09 独学でつまずく3つの壁と越え方 仕組みづくりが途中で止まる理由と、その越え方

Claude Code/Codexを使えば、仕込み予測の仕組みは自社でも作れます。ただし、独学で進めると、多くの店が次の3つの壁で止まります。

壁1:料理長の勘を言葉にできない

仕組みは、指示されたとおりにしか動きません。「雨の日は少なめ」の「少なめ」が何割なのか。料理長の判断を数字とルールに置き換えないまま作ると、あいまいな指示を毎日正確に実行する仕組みができあがります。越え方は、過去の仕込み表を見ながら「この日はなぜこの量にしたか」を料理長に話してもらい、その理由を一つずつルールにしていくことです。

壁2:予測が当たっているかを確かめる方法がない

予測の仕組みは、動いているように見えても正しいとは限りません。並走の期間を設けずに本番に入ると、外れ方の癖に気づかないまま廃棄や品切れを増やします。越え方は、第5章の並走と、予測と実績のズレの記録を、最初から仕組みの一部として作っておくことです。確かめ方の型があれば、メニュー改定や新しい店でも同じ手順で精度を確かめられます。

壁3:作った人しか直せない

誰か1人が独学で作った仕組みは、その人が異動したり辞めたりした瞬間に止まります。仕込み品マスタの更新方法、計算ルールの変え方、動かなくなったときの確認手順を、料理長と本部の管理者など複数の人が扱える状態にしておく必要があります。技術の問題というより、教え方と運用の設計の問題です。

AI鬼管理山崎 AI鬼管理山崎
3つの壁は、最初から全店舗・全メニューで始めると一気に高くなります。まずは1店舗のランチで、出数の多い5品ほどから始めると、言葉にするルールも確かめる範囲も小さくなり、越えやすくなります。
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10 まとめ:予測は仕組みに、補正は料理長に 仕込みを「毎晩の負担」から「毎日精度が上がる仕組み」へ

仕込み量の予測は、飲食店の業務の中でも自動化の効果が大きい領域です。毎日必ず発生し、計算の大部分は決まったルールで出せて、しかも廃棄と品切れという形で利益に直結するからです。

✔️仕込み量は「予測出数 × 1食あたりの使用量 − 使える作り置き」で出し、食材の量は歩留まりで割り戻す
✔️仕込みに必要なのは売上予測ではなくメニュー別の出数予測。客数 × 出数比率に分けると扱いやすい
✔️作り置きできる時間と温度は店の衛生のルールで決め、仕込み表に必ず書く
✔️AIに毎晩相談するのは効率化。前日17時に勝手に走る仕組みにして初めて自動化になる
✔️データが少なくても、曜日の平均 → 予約の分離 → 天気の補正 → 出数比率、の順に始められる
✔️予測は提案、確定は料理長。補正の理由を残し、次の予測の改善材料にする

予測を仕組みに任せ、料理長には補正という一番価値のある判断に集中してもらう。この役割分担ができると、仕込みは「毎晩の負担」から「毎日精度が上がっていく仕組み」に変わります。

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よくある質問

Q. 事例のD社は実在する会社ですか?

A. 実在する会社ではありません。本記事のD社は、AI鬼管理が支援を想定した仮名のモデル事例で、数値は目安です。洋食レストランの仕込みで起きやすい状況をもとに、仕組みの動き方と人が判断する部分を具体的に示すために設定しています。

Q. 飲食店の仕込み量はどうやって決めればいいですか?

A. 基本は「予測出数 × 1食あたりの使用量 − 使える作り置きの残り」で仕込み量を出し、下処理前の食材の量は歩留まりで割り戻して求めます。予測出数は予約・曜日・天気・過去の出数実績から見積もり、客数の予測にメニューの出数比率を掛けて出すと扱いやすくなります。作り置きできる時間は店の衛生管理計画で決め、仕込み表には使い切りの期限も書いておきます。

Q. POSレジを入れて間もなく、データが少なくても予測できますか?

A. できます。まずは同じ曜日の直近4回の平均から始め、予約客と予約なしの客を分ける、天気の補正を足す、メニューの出数比率を掛ける、という順に段階を踏めば、4週間分ほどのデータからでも予測を作れます。品切れした日は本当の需要より少なく記録されるため、品切れの時刻も一緒に記録してください。

Q. AIの予測どおりに仕込んで品切れや廃棄が出たら、誰の責任になりますか?

A. 仕込み表を確定した人の責任として運用するのが基本です。AIが出すのは予測と仕込み表の案で、宴会の内容や地域の行事、食材の状態を見て補正し、確定するのは料理長などの厨房責任者です。確定者と補正の理由を記録しておけば、外れた原因を振り返って次の予測の改善につなげられます。

Q. プログラミングができなくても仕組みを作れますか?

A. Claude Code/Codexには日本語で指示できるため、プログラミングの経験がなくても、データの整理や仕込み表の作成といった仕組みづくりを進められます。ただし、料理長の判断をルールにする作業と、予測が当たっているかを確かめる並走の期間は欠かせません。ここを飛ばすと、あいまいな指示をそのまま毎日実行する仕組みになってしまいます。

Q. 需要予測の専用システムとClaude Code/Codexで作る仕組みは、どう使い分ければいいですか?

A. 専用システムは予測の機能がすでに完成しているため、導入後すぐに使い始めやすいのが強みです。一方、Claude Code/Codexで作る仕組みは、今使っているPOSや予約台帳、スプレッドシートのデータをそのまま使い、店独自の仕込み品マスタや補正のルールに合わせられます。小さく試したい店や、仕込み表の形まで自店に合わせたい店に向いています。

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監修 最終更新日: 2026年9月29日
菅澤孝平
菅澤 孝平 株式会社GENAI 代表取締役
  • AI業務自動化サービス「AI鬼管理」を運営 — Claude Code を活用し、経営者の業務を「AIエージェントに任せる仕組み」へ転換するパーソナルトレーニングを 伴走構築 で提供。日報・採用・問い合わせ対応・経費精算・議事録・データ集計・営業リスト等の定型業務を、AIに代行させる体制を経営者と一緒に作り込む
  • Claude Code 実装ノウハウを 経営者・法人クライアント に直接指導。生成AIを「便利ツール」ではなく 「業務を任せる存在」 として運用する手法を体系化
  • 「やらせ切る管理」メソッドの開発者。シンゲキ株式会社(2021年設立・鬼管理専門塾運営)にて累計3,000名以上の学習者を志望校合格に導いた管理メソッドを、AI × 経営者支援 に転用
  • 著書『3カ月で志望大学に合格できる鬼管理』(幻冬舎)、『親の過干渉こそ、最強の大学受験対策である。』(講談社)
  • メディア出演: REAL VALUE / カンニング竹山のイチバン研究所 / ええじゃないかBiz 他
  • 明治大学政治経済学部卒
現在は AI鬼管理(Claude Code活用の伴走型パーソナルトレーニング)を主事業とし、経営者と二人三脚で「AIに業務を任せる仕組み」を実装。「実行を強制する環境」を AI で構築する手法を、自社の実運用知見をもとに発信している。