【飲食店】シフト作成をClaude Code/Codexで自動化する方法
「来月のシフト希望、そろそろ出してね」——月の半ばになると、店長はLINEで何度も声をかけ、紙の希望表とスマホに届いた個別のメッセージを見比べながら、閉店後にExcelを開きます。ようやく組み上がっても、高校生が22時を過ぎて入っていないか、留学生の週の合計は大丈夫か、扶養の範囲で働きたいスタッフの今年の稼ぎはどこまで来ているか、と確かめることが次々に出てきます。配った翌週には「明日、熱が出て出られません」という連絡が入り、営業の合間に電話をかけ続けることになります。
結論から言うと、飲食店のシフト作成は、毎月同じ手順を繰り返し、しかも守るべきルールがはっきりしている業務なので、自動化と相性の良い領域です。ただし、店長がAIに「この希望を表にまとめて」と頼むだけでは、店長が思い出して手を動かさない限り何も進みません。必要なのは、毎月決まった日に希望の募集が始まり、締切が来たら集計・叩き台づくり・ルールの検査までが自動で進み、店長は確認して承認するだけ。欠勤の連絡が来たら、代わりに入れる人の候補が自動で挙がる仕組みです。
この記事では、シフトの締切・通知・変更の基本ルールと、高校生の深夜業、留学生の就労時間、休憩と休日、2026年の年収の壁といった「配る前に確かめるべきルール」を、厚生労働省・出入国在留管理庁・国税庁の一次情報で整理します。そのうえで、Claude Code/Codexを使ってこの仕組みを作る方法を、炭火焼きの居酒屋3店舗のモデル事例とともに解説します。飲食店の業務の自動化をまとめた飲食店をClaude Code/Codexで自動化した事例11選のうち、シフト作成を掘り下げた記事です。
なお、曜日・時間帯ごとの基準人数を決める「型」(モデルシフト)の作り方は、既存の飲食店のシフト作成を効率化する「モデルシフト」完全ガイドで詳しく解説しています。本記事はその先の、型を毎月の運用として自動で回す仕組みに絞ってお伝えします。
この記事でわかること
01 CURRENT ISSUES 飲食店のシフト作成で起きていること 型はあっても、毎月の「集める・写す・確かめる・探す」が手作業のまま
飲食店のシフトは、曜日と時間帯で忙しさが大きく変わるうえ、働く人の事情もさまざまです。学生は試験期間や長期休みで入れる日が変わり、扶養の範囲で働きたい人は年末が近づくほど時間を抑えたくなります。シフト管理を扱う解説記事でも、希望の回収、急な欠員の穴埋め、特定のスタッフへの負担の偏り、3〜4月の学生の入れ替わりが、繰り返し悩みとして挙げられています。
1-1. 1回のシフトができるまでに、店長がしていること
分解してみると、店長の時間を使っているのは「組む」作業そのものより、その前後です。希望がどこに書かれているかを探し、まだ出していない人に催促し、読み取った希望を表に写す。組み上がったら、高校生の退勤時刻、留学生の週の合計、扶養を気にしている人の今年の稼ぎを1人ずつ思い出して確かめる。配ったあとは、欠勤の連絡のたびに「誰なら入れるか」を頭の中の情報で探して電話をかける——。この「集める・写す・確かめる・探す」は、毎回ほとんど同じ手順の繰り返しです。
1-2. 「型」があっても、毎月の運用は手作業のまま
曜日・時間帯ごとの基準人数を決めた「型」を持っている店でも、翌月のカレンダーに当てはめ、予約や行事で人数を増減させ、スタッフの希望と突き合わせて人を割り当てる作業は毎月発生します。型は「何人いればよいか」の答えにはなりますが、「誰を入れるか」「ルールに違反していないか」は、毎月あらためて確かめなければなりません。型を作っただけで作業が楽にならないのは、この毎月の運用が店長の手作業のまま残っているからです。
📚 用語解説
モデルシフト:売上予算と目標人件費率をもとに、曜日・時間帯ごとに何人を配置すればよいかをあらかじめ決めておくシフトの「型」。店長の経験や勘ではなく、データにもとづいて配置人数を判断するための基準になる。本記事では、この型を毎月の実際のシフトに落とし込む作業を自動化の対象にしている。
1-3. 見落としが「事故」になるルールがある
シフト作成が単なる手間で終わらないのは、法律で決められたルールがからむからです。満18歳未満の人を午後10時以降に働かせる、留学生が許可された時間を超えて働く、6時間を超える勤務に休憩が入っていない——これらは、うっかりであっても雇っている店の責任になります。人手が足りない月ほど、ルールぎりぎりのシフトを組みがちです。確認が店長の記憶頼みだと、忙しい月ほど見落としが起きやすくなります。
02 BASIC RULES シフト作成の基本と押さえるべきルール 締切・通知・変更のルールと、型(モデルシフト)の位置づけ
自動化の話に入る前に、シフト作成の基本の流れと、店と働く人の間で決めておくべきルールを整理します。仕組みは、ここで決めたルールのとおりに動きます。ルールがあいまいなままでは、仕組みは動き出すタイミングも、送ってよいかどうかも判断できません。
2-1. シフト作成の基本サイクル
一般的には、シフトの開始日の1か月〜2週間前に希望を集め、締切後に叩き台を作り、調整して確定させ、スタッフに知らせるという流れです。作成の単位は1週間・半月・1か月と店によって違い、飲食店向けの解説記事では、作成の頻度は月に1〜2回程度が一般的とされています。どの単位でも、「いつ募集し、いつ締め切り、いつ確定版を届けるか」の3つの日付が決まっていることが、自動化の出発点になります。
2-2. 厚生労働省が示す「シフト制」で決めておくこと
厚生労働省は、契約の時点では働く日や時間を確定させず、一定期間ごとに作るシフト表などで初めて具体的に決まる働き方を「シフト制」と呼び、使用者が留意すべき事項を2022年1月にまとめています。シフト作成に関係する主なポイントは次のとおりです。
📚 用語解説
シフト制:労働契約を結ぶ時点では働く日や時間を確定的に決めず、1週間・1か月などの期間ごとに作るシフト表で、具体的な労働日と労働時間が決まる働き方。厚生労働省は、シフト制で働く人の雇用管理について「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項をまとめ、シフトの作成・変更のルールをあらかじめ話し合って決めておくことなどを求めている。
自動化との関係でいえば、この「通知の期限」と「変更は合意」は、そのまま仕組みの設計図になります。締切の日時が決まっていれば、仕組みはその時刻に集計を始められます。また、確定したシフトの変更は本人の合意が前提だからこそ、欠勤の穴埋めは仕組みによる一方的な割り当てではなく、店長が承認した相手への「打診」になります。
2-3. 学生のシフトは「学業との両立」を前提にする
学生アルバイト向けに労働局が公開している労働条件通知書のひな形には、シフトの設定にあたって学業とアルバイトの両立に配慮するよう注記があります。試験期間や実習、学校行事の予定は、希望を集める段階で必ず聞いておき、スタッフの情報として登録しておきましょう。登録さえしておけば、叩き台の段階でその日を自動的に外せます。
希望の聞き方をそろえると、仕組みが読み取りやすくなり、店長の調整も楽になります。聞いておきたいのは、①入れない日、②入れる曜日と時間帯(「土日は17時から」など)、③その月に入りたい日数や時間の目安、④試験や学校行事の予定、⑤ほかのアルバイト先で働く予定、の5つです。とくに⑤は、留学生の就労時間を正しく数えるために欠かせません。書き方そのものは自由でかまいません。
2-4. 型(モデルシフト)の作り方は「要約+リンク」で
型の作り方は、「モデルシフト」完全ガイドで計算例つきで解説しています。要点だけまとめると、①過去3か月以上の売上・人件費・シフト人数を集め、②曜日・時間帯ごとの人件費率を計算し、③売上の傾向が近い曜日をグループにまとめ、④グループごとの配置人数を型にする、という4つのステップです。本記事では、この型がすでにある、または作れる前提で、毎月の運用を自動で回す部分を扱います。
型がまだない店でも心配はいりません。最初は、店長が「いつもこのくらい」と考えている曜日・時間帯ごとの人数を書き出すだけでも、仕組みの出発点になります。運用しながら実績と比べて直していく方法は、7章で紹介します。
03 AUTOMATION 効率化ではなく自動化:Claude Code/Codexで何を自動化するか 店長が思い立ったときではなく、日付と連絡をきっかけに仕事が進む
ここで、この記事でいちばん大事な区別をしておきます。効率化とは、人がやっている作業を速くすることです。店長がAIに「このLINEの希望を表にまとめて」と頼めば、書き写す作業は速くなります。けれども、店長が思い出して頼まない限り何も始まりません。頼み忘れた月や忙しい月には、元の手作業に戻ってしまいます。
自動化とは、決まったきっかけ(トリガー)が来たら、人が指示しなくても決まった手順が走る状態をつくることです。「毎月15日になった」「希望の締切時刻が来た」「欠勤の連絡が届いた」——こうした日付や出来事をきっかけに、仕組みが募集・集計・叩き台・検査・配信を進め、店長には確認と承認の依頼だけが届きます。人が起点の「お願い」なのか、日付や出来事が起点の「仕組み」なのか。これが効率化と自動化の違いです。
📚 用語解説
トリガー:仕組みが動き出すきっかけのこと。目覚まし時計が決まった時刻に鳴るように、「毎月15日の朝」「希望の締切の時刻」「LINEに欠勤の連絡が届いた」といった日付や出来事をきっかけに、決められた手順が自動で始まる。人が思い立ったときに動く「お願い」との違いが、効率化と自動化の違いになる。
📚 用語解説
Claude Code/Codex:Claude CodeはAnthropic、CodexはOpenAIが提供するAIツール。質問に答えるだけのAIチャットと違い、パソコン上のファイルを読み書きしたり、作業の手順そのものを小さなプログラムとして組み立てて動かしたりできる。プログラミングの知識がなくても、デスクトップアプリに日本語で「何を・どの順番で・どのルールで」行うかを伝えれば、表計算ソフトやLINEをつなぐ仕組みを一緒に作れる。
| 効率化(AIにお願い) | 自動化(仕組み) | |
|---|---|---|
| 動き出すきっかけ | 店長が思い出して頼む | 日付・締切・連絡が来たら自動で始まる |
| 希望の回収 | 店長が催促して集める | 募集と、未提出の人への催促が自動で届く |
| 叩き台 | 頼めばAIが作るが、材料は店長がそろえる | 台帳・予約・売上の実績から毎月自動で作る |
| ルールの確認 | 店長が思い出して確かめる | 配る前に毎回同じ項目を検査し、違反を止める |
| 配布 | 店長が表を貼り出す・個別に送る | 承認後、本人の分だけを本人へ送る |
| 欠勤 | 店長が電話をかけて探す | 条件に合う候補が挙がり、承認すると打診が送られる |
| 忙しい月 | 手作業に戻りやすい | 忙しい月ほど効果が大きい |
3-1. 仕組みが担うこと・人が担うこと
Claude Code/Codexで作った仕組みに任せるのは、「毎回同じ手順で、正解がはっきりしている作業」です。人が担うのは、「その店・その人の事情を知っていないと決められない判断」と、最終的な責任です。
| 工程 | 仕組み(自動) | 人(店長・本部) |
|---|---|---|
| 募集・催促 | 決まった日に募集を送り、未提出の人にだけ締切前に催促する | 募集の文面と締切日を決める |
| 希望の読み取り | 自由な書き方の返信を読み取り、台帳と合わせて一覧にする | 読み取れない返信を本人に確認する |
| 叩き台 | 型・予約・過去の売上から必要人数を出し、希望に合わせて割り当てる | 人間関係や育成の意図をふまえて調整する |
| 検査 | 労働時間・休憩・連勤・高校生・留学生・扶養・持ち場を毎回検査する | 警告が出た箇所をどう直すか決める |
| 確定・配信 | 承認されたら、本人の分だけを本人のLINEへ送る | 承認する(承認するまで送らない) |
| 欠勤対応 | 入れる人を台帳から探し、ルールに合う候補を並べる | 打診する相手を承認し、最終的に誰に頼むか決める |
3-2. 欠勤の連絡が来たときに走る仕組み
シフトの仕組みには、毎月の「日付」のほかに、もう1つのきっかけがあります。スタッフからの欠勤の連絡です。欠勤対応は、次のような流れにできます。
WORKFLOW
欠勤が出たときの流れ(例)
ここで大事なのは、仕組みが勝手に誰かを割り当てないことです。確定したシフトの変更は本人の合意が前提なので、仕組みがするのは「入れる可能性のある人を、ルールに合う順に並べる」ところまで。打診を送る相手は店長が決め、引き受けるかどうかは本人が決めます。高校生を22時以降の枠の候補から外す、留学生の週の合計が上限を超える場合は候補にしない、といった検査も、候補を並べる段階で自動でかかります。
3-3. LINE公式アカウントを「窓口」にする
スタッフとのやりとりは、多くの店で日常的に使われているLINEに寄せるのが現実的です。LINE公式アカウントのMessaging APIを使うと、公式アカウントに届いたメッセージを仕組み側で受け取ったり、特定のスタッフにだけメッセージを送ったりできます。スタッフには公式アカウントを友だち追加してもらい、最初に1回だけ、台帳の名前とLINEのアカウントをひも付けます。
📚 用語解説
Messaging API:LINE公式アカウントを外部の仕組みから操作するための機能。公式アカウントに届いたメッセージを受け取ったり、特定の相手にメッセージを送ったりできる。LINE Developersの説明では、届いたメッセージへの返信(Reply API)は料金プランのメッセージ通数に数えられない一方、こちらから送るプッシュメッセージは送った相手の人数分が数えられる。
通数には注意が必要です。募集・催促・配信・打診のように「店から送る」メッセージは、送った相手の人数分が通数として数えられます。たとえばスタッフ36人に月4回送れば144通です。料金プランごとの無料で送れる通数と見比べて、催促は締切前日の1回だけ、打診は店長が選んだ相手だけ、というように送る回数を設計しておきましょう。
04 MODEL CASE モデル事例:炭火焼きの居酒屋3店舗、K社の導入前と導入後 毎月15日の募集から、検査・承認・配信・欠勤対応までを仕組みにする
ここからは、この仕組みを炭火焼きの居酒屋に当てはめた姿を、モデル事例(AI鬼管理が支援を想定した仮名のケース。数値は目安)として紹介します。実在する特定の企業の事例ではありません。
4-1. 導入前:希望はばらばら、確認は記憶頼み
K社の店長は、紙の希望表とLINEの個別メッセージを見比べながら、半月ごとにExcelでシフトを組んでいました。1回の作成にかかる時間は約3時間。欠勤が出るたびに電話で代わりを探し、1回あたり約30分を使っていました。さらに、高校生の22時以降の勤務、留学生の週の就労時間、扶養を気にするスタッフの年収の見込みは、店長が1人ずつ覚えている情報で確かめるしかありませんでした。
困るのは時間だけではありません。紙とLINEに分かれた希望は、回収漏れや書き写しのミスが毎回数件出ていました。書き写す途中で「22日は×」が「23日は×」になれば、本人が入れない日にシフトが入り、当日の欠勤や、店長への不信につながります。
4-2. 仕組みの全体像(ワークフロー)
WORKFLOW
K社のシフト作成ワークフロー
15日に募集が始まる。毎月15日になると、LINE公式アカウントから全スタッフに翌月の希望の募集が届きます。締切の日時も同じメッセージに書いておき、締切が来た時点で集計が自動で始まります。半月ごとに作りたい店なら、募集日を月2回に設定すれば同じ仕組みで回せます。
💬 スタッフに届く募集メッセージの例
お疲れさまです。11月分のシフト希望を、10月20日23時59分までにこのトークへ返信してください。
・入れない日
・入れる曜日と時間帯(例:土日は17時から)
・入りたい日数や時間の目安
・試験や学校行事の予定
・ほかのアルバイト先で働く予定(留学生の方は必ず)
書き方は自由です。確定版は10月28日までにお送りします。
自由な書き方を読み取る。スタッフの返信は、「10日と24日は無理です」「土日は17時から入れます」「12日〜16日は試験なのでお休みで」といった自由な書き方のままで構いません。仕組みはこれを日付ごとの「入れる・入れない・入れる時間帯」に読み替え、スタッフ台帳(持ち場・時給・入れる時間帯)と合わせて一覧にします。書き方があいまいで読み取りに自信が持てない返信は、推測で埋めずに「要確認」として店長に回します。
必要人数を出し、叩き台を作る。次に、予約台帳に入っている翌月の予約と、POSに残る過去の売上から、日ごと・時間帯ごとの必要人数を出します。土台は店の型(曜日・時間帯ごとの基準人数)で、宴会の予約が入っている日は増やし、過去の実績で売上が落ちやすい日は減らす、という調整をかけます。そのうえで、希望と持ち場、スキルを見ながら人を割り当て、叩き台を作ります。
配る前に検査する。叩き台ができたら、スタッフに見せる前に、労働時間・連勤・高校生の深夜勤務・留学生の就労時間・扶養の範囲・持ち場の欠けを検査します。違反やその手前の状態は、該当する日とスタッフ、理由をつけた一覧で店長に届きます。検査の中身は6章で詳しく説明します。
💬 店長に届く検査結果の例
【要修正】11/12(木)スタッフB 7時間勤務で休憩なし → 45分以上の休憩が必要
【注意】スタッフC(留学生)11/9〜11/15の7日間で合計27.5時間(掛け持ち先の申告10時間を含む)→ 上限の28時間まであと0.5時間
【注意】スタッフD 1〜10月の支給累計と11〜12月の見込みの合計が約132万円 → 本人が申告した上限(136万円)に接近
【注意】11/21(土)19〜21時 焼き場を一人で任せられる人がいない
店長が承認するまで送らない。店長は叩き台と検査結果を確認し、人間関係や育成の意図もふまえて調整してから承認します。承認されるまで、スタッフには何も届きません。
本人の分だけを本人へ。欠勤には打診で応える。承認されると、各スタッフのLINEに本人のシフトだけが届きます。自分の予定がひと目で分かるので、大きな表から自分の行を探して見間違える心配が減ります。欠勤の連絡が来たときは、3章で紹介した流れで入れる人を台帳から探し、店長の承認後に打診します。
4-3. 人が確認すること
4-4. 導入前後の比較
| 項目 | 導入前 | 導入後(目安) |
|---|---|---|
| シフト作成(1回あたり) | 約3時間 | 約30分(確認と調整のみ) |
| 欠勤時の代わり探し(1回あたり) | 約30分 | 約5分 |
| 希望の回収漏れ・転記ミス | 毎回数件 | 0件 |
作成時間が約30分まで減るのは、店長の仕事が「組む」から「確かめて直す」に変わるからです。欠勤時の代わり探しも、候補を見て打診先を承認するだけなら約5分で済みます。回収漏れと転記ミスが0件になるのは、希望がすべて同じ窓口に集まり、人が書き写す工程そのものがなくなるためです。
05 HOW TO START 自社で始める5ステップ 暗黙のルールを書き出し、1店舗の1回分から並行して試す
K社のような仕組みは、いきなり全店・全工程で始める必要はありません。次の5ステップで、1店舗の1回分から始めるのが安全です。
📚 用語解説
スタッフ台帳(マスタ):仕組みが毎回参照する、スタッフの基本情報の一覧。名簿のように1人1行でまとめ、持ち場やスキル、時給、入れる時間帯、生年月日などを持たせる。希望やシフトは毎月変わるが、台帳は内容が変わったときだけ更新する。台帳が古いと、仕組みは古い情報のまま、毎月同じように間違え続ける。
検査の精度は、台帳の正確さで決まります。一方で、生年月日や在留カードの情報、年収の上限は、慎重に扱うべき個人情報です。見られる人を店長と本部の担当者に絞り、仕組みにも必要な項目だけを渡す設計にします。個人情報保護委員会も、生成AIサービスに個人情報を含む指示を入力する場合は、利用目的の達成に必要な範囲内かを十分に確認するよう注意を呼びかけています。
06 LEGAL CHECKS 飲食店のシフトで守るルール:高校生・留学生・休憩と連勤・年収の壁 2026年時点の制度を一次情報で確認し、配る前の検査項目にする
ここからは、配る前の検査に入れるルールを整理します。いずれも店の都合では変えられない決まりなので、店長の記憶ではなく、仕組みの検査項目にしておく価値が大きいところです。制度の見直しが続いているため、2026年9月時点の内容を、労働基準法の条文と、厚生労働省・出入国在留管理庁・国税庁の資料で確認しています。
6-1. 高校生(満18歳未満)の深夜業と時間外労働
労働基準法は、満18歳未満の人を午後10時から午前5時までの間に働かせることを原則として禁止しています(第61条)。また、満18歳未満の人には、36協定による時間外労働(残業)や休日労働をさせることができません(第60条)。雇うときには、年齢を証明する書面を事業場に備え付ける必要もあります(第57条)。
📚 用語解説
年少者:労働基準法でいう満18歳未満の人のこと。午後10時から午前5時までの深夜業の原則禁止、36協定による時間外労働・休日労働の禁止、年齢を証明する書面の備え付けなど、大人とは別の保護のルールがある。高校生かどうかではなく、年齢で判断する。
法律の基準は「高校生かどうか」ではなく「満18歳未満かどうか」です。同じ高校3年生でも、18歳の誕生日を迎えた人と、まだ17歳の人とでは扱いが変わります。仕組みでは、台帳の生年月日からシフトの日付時点の年齢を毎回計算し、18歳未満の人の勤務が22時を1分でも過ぎていれば止めるようにします。片付けなどの作業も含めて、22時までに終わる時間で組むことが大切です。学校のルールでアルバイトの時間帯を制限している場合もあるため、本人にも確認しておきましょう。
6-2. 留学生の就労時間(資格外活動許可)
在留資格「留学」の人がアルバイトをするには、資格外活動許可が必要です。包括的な許可を受けている場合、働けるのは1週について28時間以内で、在籍する学校の長期休業期間中は1日8時間以内まで働けます。風俗営業などが営まれている場所では働けず、「留学」の在留資格で働けるのは学校に在籍している期間に限られます。許可の有無は、在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」で確認できます(出入国在留管理庁)。
📚 用語解説
資格外活動許可:在留資格で認められた活動以外に、アルバイトなど収入を伴う活動をするための許可。「留学」の場合、包括的な許可を受けると1週28時間以内(学校の長期休業期間は1日8時間以内)で働ける。風俗営業などが営まれている場所での就労は認められない。許可の有無は在留カードの裏面で確認できる。
出入国在留管理庁のQ&Aでは、1週28時間はどの曜日から1週を数えても、常に28時間以内である必要があるとされています。店の締めの区切りで28時間以内でも、水曜日から翌週の火曜日までの7日間で超えていれば違反です。また、複数のアルバイト先がある場合は、その合計が28時間以内でなければなりません。雇った側も、在留カードを確認していないなどの過失があれば、「知らなかった」では済まず、不法就労助長罪として処罰の対象になります。
仕組みでの検査は、7日間の区切りを1日ずつずらしながら、どの7日間でも合計が28時間以内かを確かめる形にします。掛け持ち先で働く時間は店からは見えないので、希望を集めるときに本人に申告してもらい、合算します。1日8時間の扱いは学校の学則で定める長期休業期間だけに当てはまるため、学校の年間予定を台帳に登録しておきます。在留期間の満了日も台帳に入れ、近づいたら店長に知らせるようにしておくと、確認漏れを防げます。
6-3. 労働時間・休憩・休日・連勤
年齢や国籍にかかわらず、全員に共通するルールもあります。検査項目にすると、次のようになります。
| 項目 | ルール | 仕組みでの検査の例 |
|---|---|---|
| 労働時間 | 1日8時間・週40時間まで(第32条)。常時10人未満の飲食店などは週44時間の特例があるが、18歳未満には適用されない。超えて働かせるには36協定の締結と届出が必要 | 1日・1週間の合計を出し、上限を超える人を表示する |
| 休憩 | 労働時間が6時間を超えたら45分以上、8時間を超えたら1時間以上を、労働時間の途中に与える(第34条) | 勤務の長さに応じた休憩が入っているか。呼ばれたらすぐ対応する待機の時間は休憩に数えない |
| 休日 | 毎週1日以上、または4週間で4日以上(第35条)。4週4日にする場合は、4週間の起算日を就業規則などで決めておく | 1週間(または4週間)ごとの休日の数を数える |
| 深夜の割増 | 午後10時〜午前5時の労働には25%以上の割増賃金(第37条) | 叩き台の人件費の見込みに、割増分を含めて計算する |
| 連勤・勤務の間隔 | 法律が直接定めているのは休日の数(第35条)で、何連勤までにするかは、その範囲で店のルールとして決める。勤務間インターバル制度の導入は、2019年4月から事業主の努力義務 | 「5連勤まで」「遅番の翌日に早番を入れない」など、店のルールを検査する |
パートやアルバイトでも、6か月継続して働き、決められた日の8割以上出勤すれば年次有給休暇が付与され、週の所定労働日数が少ない人にも日数に応じて付与されます。希望の募集で有給休暇の申請欄を分けておくと、休みの希望と有給休暇の取得を取り違えずに済みます。
6-4. 扶養・社会保険の「年収の壁」(2026年時点)
扶養の範囲で働きたいスタッフにとって、年末が近づくほど気になるのが「年収の壁」です。2025年・2026年と見直しが続いたため、以前の知識のまま「103万円まで」と案内しないよう注意が必要です。主な壁は次のとおりです。
| 壁の種類 | 2026年(令和8年分)の目安 | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 本人の所得税 | 給与収入178万円までなら所得税がかからない(合計所得金額132万円以下の人の場合。令和8・9年分) | 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」 |
| 家族の扶養控除(扶養親族・同一生計配偶者) | 本人の給与収入136万円以下(令和7年分は123万円以下) | 同上 |
| 19歳以上23歳未満の家族(特定親族) | 給与収入159万円以下なら、親などが受けられる控除は63万円のまま。197万円まで段階的に縮小(親の所得などの条件あり) | 同上 |
| 社会保険の扶養(被扶養者) | 年間収入130万円未満。19歳以上23歳未満(配偶者を除く)は150万円未満(2025年10月から)、60歳以上などは180万円未満 | 厚生労働省 |
| 勤務先の社会保険(短時間労働者) | 週20時間以上・2か月を超える雇用見込み・学生でない・従業員51人以上の企業(従業員数は厚生年金の被保険者数。2027年10月から36人以上)。月額8.8万円の賃金要件(いわゆる106万円の壁)は2026年10月に撤廃予定 | 厚生労働省 |
気をつけたいのは、税と社会保険とで「年収」の数え方が違うことです。税は、その年の1月〜12月に支給日が来る給与の合計で判定します。一方、社会保険の扶養は、今後1年間の収入の見込みで判定されます。さらに2026年4月からは、労働契約で決めた賃金から見込まれる年間収入で判定する取扱いが始まりました。当初想定していなかった臨時の収入で結果的に基準を超えても、社会通念上妥当な範囲にとどまるなら、それだけを理由に扶養の扱いを変える必要はないとされています(厚生労働省の通知)。
📚 用語解説
被扶養者(社会保険の扶養):会社員などの健康保険に、家族として保険料の負担なしで加入している人。年間収入が原則130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満、60歳以上などは180万円未満)で、同じ世帯なら扶養している人の年間収入の半分未満であることなどが条件になる。条件を外れると、勤務先の社会保険に加入するか、自分で国民健康保険などに加入することになる。
仕組みでは、1月からの給与の支給累計に、翌月以降のシフトで見込まれる支給額を足した「年末までの見込み」を1人ずつ計算し、本人が申告した上限に近づいたら警告を出します。どの壁を意識するべきかは、年齢、学生かどうか、家族の働き方、勤務先の規模によって人ごとに違います。そのため、上限は店が決めるのではなく、本人に申告してもらうのが原則です。住民税は所得税とは別の基準で決まることも、本人に伝えておきましょう。
07 STAFFING 予約・宴会・天気で変わる必要人数と、持ち場の組み合わせ 型を土台に、翌月の予定と実績で人数を増減させる
型は「平均的な日」の答えです。実際の翌月には、宴会の予約が入った金曜日もあれば、雨で客足が落ちる平日もあります。ここでは、型を土台に必要人数を増減させる考え方と、持ち場の組み合わせを整理します。
7-1. 必要人数は「型+予約+実績」で出す
手順はシンプルです。まず翌月のカレンダーの各日に、曜日と祝日から型を当てはめます。次に、予約台帳に入っている予約で人数を増減させます。たとえば「コースの宴会が20名以上入っている時間帯は、ホールとドリンクを1人ずつ増やす」「貸切の日は通常の型ではなく宴会用の型に切り替える」といったルールです。さらに、POSに残る過去の売上から、給料日後の週末や連休の前日など、曜日だけでは読めない山と谷を補正します。
📚 用語解説
人時売上高:売上高を、その期間にスタッフが働いた延べ時間(人時)で割った数字。1人が1時間働くあたりにどれだけの売上をつくったかを表す。たとえば売上30万円の日に延べ60時間働いていれば、人時売上高は5,000円になる。目標とする人時売上高を決めておくと、予測売上から必要な延べ時間を逆算できる。
予測売上から人数を出すときは、人時売上高を使うと考えやすくなります。予測売上が24万円で、店が目標とする人時売上高が4,000円なら、必要な延べ時間は60時間です。これを時間帯ごとの忙しさの配分に合わせて割り振れば、各時間帯の人数になります。目標の数字は店ごとに違うので、型を作ったときの実績から決めておきます。
7-2. 天気は「月の叩き台」ではなく「週の見直し」で
天気は客足を左右しますが、翌月のシフトを作る時点では、日ごとの天気は分かりません。気象庁の週間天気予報が対象にしているのは、発表日の翌日から7日先までです(毎日11時ごろと17時ごろに発表)。毎週木曜日に発表される1か月予報は、気温や降水量が平年と比べてどうなりそうかという傾向を示すものです。
そこで、月の叩き台は型・予約・過去の実績で作り、天気は週ごとの見直しで加味するのが現実的です。たとえば毎週決まった曜日に、翌週の週間天気予報と予約の増減を仕組みが確認し、過去の実績で雨の日に売上が落ちやすい店なら「雨予報の平日は人数を減らせる可能性あり」、暑い日にドリンクが伸びる店なら「気温の高い予報の週末はドリンク担当の追加を検討」といった提案を店長に届けます。ただし、確定したシフトの変更は本人の合意が前提です。減らす提案は「希望者に早上がりを募る」、増やす提案は「追加で入れる人を募る」という形で扱います。
7-3. 持ち場の組み合わせ(焼き場・キッチン・ホール・ドリンク)
人数が足りていても、持ち場が欠けていれば店は回りません。炭火焼きの居酒屋なら、焼き場を任せられる人がいない時間帯は、人数がそろっていても営業に穴が空きます。持ち場ごとに「誰が・どのレベルでできるか」を台帳に持たせ、時間帯ごとに最低限必要な組み合わせを検査します。
| 持ち場 | 最低限の条件(例) | 検査で見ること |
|---|---|---|
| 焼き場 | ピークの時間帯に、一人で任せられる人が1人以上 | 任せられる人がいない時間帯がないか |
| キッチン | 仕込みと揚げ場を回せる人が1人以上。新人は経験者と同じ時間帯に | 新人だけになる時間帯がないか |
| ホール | 予約の組数に応じた人数。宴会の日は案内役を1人追加 | 予約の多い時間帯に人数が足りているか |
| ドリンク | 飲み放題つきの宴会がある日は専任を1人 | 飲み放題の予約とドリンク担当が合っているか |
| 責任者 | レジ締めや鍵の管理ができる人が常に1人。22時以降の閉店作業は18歳以上で組む | 責任者がいない時間帯や、閉店作業に18歳未満が入っていないか |
スキルの記録は、「◎一人で任せられる」「○誰かと一緒ならできる」「△練習中」の3段階くらいが扱いやすい細かさです。新人の練習の機会を増やしたい時間帯(落ち着いた平日の早い時間など)には、あえて△の人を◎の人と組ませる、という育成の意図もルールとして書いておけば、仕組みが叩き台に反映できます。
7-4. 型を「回す」:実績と比べて直す
型は一度作って終わりではありません。仕組みは毎月、確定したシフトと実際の売上・勤務の実績を並べ、人時売上高や人件費率が型の想定からどれだけずれたかを、曜日・時間帯ごとにまとめられます。数か月分たまったところで、「金曜の18時台は型より1人多く入れても人時売上高が落ちていない」「月曜の早い時間は型どおりでも人が余っている」といった見直しの材料を、本部と店長に届けます。型を変えるかどうかを決めるのは人ですが、材料集めは仕組みに任せられます。
08 HUMAN JUDGMENT 人が判断すること・よくある落とし穴 承認・例外・責任は人に残す
仕組みが検査までしてくれると、つい「AIが確認したから大丈夫」と考えがちです。しかし、シフトについての責任を負うのは雇っている店(会社)であり、AIではありません。ここでは、人が必ず判断すべきことと、よくある落とし穴を整理します。
8-1. 人が判断すること
8-2. よくある落とし穴
| 落とし穴 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 台帳が古い | 時給の改定や退職が反映されず、人件費の見込みや欠勤時の候補がずれる | 確定の前に、台帳の変更点を店長が毎月確認する |
| 自由記述の読み違い | 「22日以外なら入れます」を「22日に入れます」と読むなど、希望と逆のシフトになる | 読み取った結果を一覧で見せ、あいまいな返信は「要確認」に回す |
| 検査の抜け | 掛け持ちの時間や学校の長期休業期間が未登録で、留学生の上限を正しく判定できない | 募集のたびに掛け持ちの予定を聞き、学校の予定表を台帳に登録する |
| 承認なしの送信 | 検査を通っただけのシフトが本人に届き、店長の意図と違う | 承認するまで送れない設計にする |
| 休みの希望と有給の混同 | 有給休暇の申請がただの休み希望として扱われ、取得の記録が残らない | 募集のメッセージで有給休暇の申請欄を分ける |
| 通知の出しすぎ | 催促や打診が多すぎて読まれなくなり、LINEの通数も増える | 催促は締切前日の1回、打診は店長が選んだ相手だけに送る |
| 個人情報の扱い | 在留カードの情報や生年月日を、多くの人が見られる状態になる | 見られる人を限定し、仕組みに渡す項目も必要最小限にする |
もう1つの落とし穴は、「検査に引っかからなかった=良いシフト」と考えてしまうことです。検査が見ているのは、法律と店のルールに違反していないかどうかだけです。スタッフが無理なく続けられるか、新人が育つ組み合わせになっているか、常連のお客さまが多い日にベテランがいるか——そうした「良し悪し」を見るのは、これからも店長の仕事です。
09 THREE WALLS 独学でつまずく3つの壁と越え方 ツールの操作より、ルールの言語化・検査の検証・保守で止まる
Claude Code/Codexを使えば、プログラミングの知識がなくても、ここまでの仕組みは作れます。ただし、独学で進めた店が止まる場所は、だいたい決まっています。
壁1:店長の頭の中のルールを言葉にできない
「焼き場はだいたいベテラン」「新人はなるべく平日」——店長の中では当たり前でも、言葉になっていないルールは仕組みに渡せません。越え方は、5ステップの①のとおり、過去のシフトを見返して「なぜこの人をここに入れたのか」を1つずつ説明していくことです。店長が2人以上いるなら、店長同士でルールが違うことも見つかります。どちらに合わせるかを決めるのは、経営側の仕事です。
壁2:検査が正しいかを確かめないまま使い始める
仕組みの検査は、正しく作られていれば毎回確実に見つけてくれますが、作り方を間違えていれば毎回同じように見逃します。たとえば「1週28時間」を月曜〜日曜の区切りだけで数える検査は、水曜から翌週火曜までの7日間で超えているケースを見逃します。越え方は、わざと違反を混ぜたテスト用のシフトを用意して、検査が止めるかを確かめることです。18歳未満の22時1分までの勤務、休憩の入っていない7時間の勤務、掛け持ちを足すと28時間を超える留学生——こうしたケースを一覧にしておけば、制度の改正で検査を直したときにも、同じテストで確かめられます。
壁3:制度の改正や店の変化に、仕組みが置いていかれる
2026年は、所得税の年収の壁や扶養の要件が変わり、社会保険の賃金要件は10月に撤廃予定、企業規模の要件も2027年10月から段階的に広がります。税の基礎控除などは、2028年分(令和10年分)以後、2年ごとに物価の動きをふまえて見直すことが基本とされました。店の側でも、新しい持ち場ができ、店長が異動します。仕組みを作った人しか直し方を知らない状態では、改正や異動のたびに仕組みが止まります。越え方は、検査の基準値を「ルール表」として仕組みの外に出し、日本語の手順書と一緒に、2人以上が直せる状態にしておくことです。
| 壁 | つまずき方 | 越え方 |
|---|---|---|
| ルールの言語化 | 暗黙のルールが残り、叩き台が毎回大きく直される | 過去のシフトを見返して「なぜ」を書き出す |
| 検査の検証 | 28時間を週の区切りだけで数えるなど、同じ見逃しを毎月くり返す | 違反を混ぜたテスト用のシフトで確かめる |
| 保守 | 制度の改正や店長の異動で仕組みが止まる | 基準値をルール表に分け、手順書と2人以上の担当者を用意する |
AI鬼管理では、こうした壁を越えるところまでを、実際のシフト表やスタッフ台帳を題材にして伴走しています。自社だけで進める場合も、この3つを先に決めておくだけで、途中で止まる可能性は大きく下がります。
10 SUMMARY まとめと関連記事 シフトを「作る仕事」から「確かめて決める仕事」へ
飲食店のシフト作成で時間とミスが生まれているのは、「組む」作業そのものより、その前後の「集める・写す・確かめる・探す」でした。この記事のポイントをまとめます。
飲食店のほかの業務の自動化は、親記事の飲食店をClaude Code/Codexで自動化した事例11選で全体像をまとめています。予約台帳に入っている予約はシフトの必要人数の材料になるので、予約台帳の一元管理を自動化する方法もあわせてご覧ください。新しいスタッフを迎える入口の仕組みは、アルバイトの応募対応・面接調整を自動化する方法で解説しています。
シフトの型そのものの作り方は飲食店のシフト作成を効率化する「モデルシフト」完全ガイド、業種を問わないシフト管理の自動化はシフト管理を自動化する方法、学生アルバイトの社会保険の考え方は学生アルバイトの社会保険と106万・130万の壁の記事で詳しく解説しています。
シフト作成を「店長が閉店後に抱える仕事」から卒業しませんか
「うちのシフトのルールでも仕組みにできる?」「高校生と留学生が多くて、確認が不安」——そんな段階からのご相談で大丈夫です。今の希望の集め方と、1回のシフト作成にかかっている時間を教えていただければ、どこから仕組みにするかを一緒に整理します。
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よくある質問
Q. 飲食店のシフトは、どのくらい前に確定させればよいですか?
A. 法律で一律の期限は決まっていませんが、厚生労働省の「シフト制」の留意事項では、確定したシフトを働く人に知らせる期限や方法を、あらかじめ話し合って決めておくことが考えられるとしています。飲食店向けの解説記事では、希望の提出をシフト開始の1か月〜2週間前に求める例が多く見られます。学生の試験や掛け持ち先の予定を調整できるよう、確定版は開始日の1〜2週間前までに届けるのがひとつの目安です。
Q. 高校生のアルバイトは何時まで働かせることができますか?
A. 満18歳未満の人は、午後10時から午前5時までの間に働かせることが原則として禁止されています(労働基準法第61条)。片付けなどの作業も含めて、22時までに終わるシフトにする必要があります。判断の基準は学年ではなく年齢なので、18歳の誕生日を迎えているかを生年月日で確認します。また、18歳未満の人には36協定による時間外労働や休日労働もさせられません(第60条)。
Q. 留学生のアルバイトは週に何時間までシフトに入れられますか?
A. 在留資格「留学」で資格外活動の包括許可を受けている場合、1週について28時間以内です。どの曜日から数えても常に28時間以内である必要があり、複数のアルバイト先があるときは合計で判断します。在籍する学校の長期休業期間中は、1日8時間以内まで働けます。許可の有無は在留カード裏面の「資格外活動許可欄」で確認でき、確認を怠ると雇った側も不法就労助長罪で処罰の対象になり得ます。
Q. 2026年の「年収の壁」は結局いくらですか?
A. 何の壁かによって違います。国税庁の資料によると、2026年(令和8年分)は、本人に所得税がかからない給与収入が178万円まで(合計所得金額132万円以下の人の場合)、家族の扶養控除の対象になる給与収入が136万円以下です。社会保険の扶養は、年間収入130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満)が基準です。どの壁を意識するかは人によって違うため、店は本人が申告した上限を超えないよう、年末までの見込みで管理するのが現実的です。
Q. シフト管理アプリを使っていても、この仕組みは作れますか?
A. 作れます。アプリから出力できるシフト表や勤怠のデータを材料にして、アプリにない検査(掛け持ちを含めた留学生の28時間、扶養の年末までの見込みなど)や、予約・売上の実績を使った必要人数の計算だけを仕組みにする併用も可能です。反対に、今は紙とLINEとExcelで回している店なら、その運用のまま、希望の窓口を1つにまとめるところから始められます。
Q. AIが作ったシフトを、そのままスタッフに送っても大丈夫ですか?
A. おすすめしません。仕組みの検査は、法令や店のルールへの違反を見つけるのは得意ですが、スタッフの体調や家庭の事情、人間関係、育成の意図までは分かりません。また、シフトについての責任を負うのは雇っている店です。店長が叩き台と検査結果を確認し、承認してから配信する設計にしておくことで、責任の所在もはっきりします。
Q. 事例の会社は実在しますか?
A. 本記事のK社は、AI鬼管理が支援を想定した仮名のモデル事例で、実在する特定の企業の事例ではありません。数値は、同じような規模の飲食店でこの仕組みを導入した場合の目安として示しています。実際の効果は、店舗数、スタッフの人数と構成、今のシフトの作り方などによって変わります。
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