【2026年11月最新】給与所得控除とは?令和8年度改正の最低保障額74万円と計算方法を社労士事務所の給与計算・年末調整の目線で整理し、事務作業をAIに任せる方法
「給与所得控除が令和8年度の改正で変わったと聞いたが、顧問先にはいつから、どう説明すればよいのか」——給与計算や年末調整を受託している社労士事務所では、今年の秋から冬にかけて、こうした質問を受ける機会が増えています。給与所得控除は、給与の収入金額から差し引ける、会社員などの経費にあたる控除で、年末調整や源泉徴収の計算の土台になる数字です。
国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)によると、令和8年度の税制改正では、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。あわせて、基礎控除の引上げや扶養親族等の所得要件の見直しも行われています。これらは原則として令和8年分以後の所得税に適用されます。
この記事では、給与所得控除の基本、計算方法、令和8・9年分と令和10年分以後の違い、基礎控除や扶養の所得要件との関係、年末調整での扱いを、国税庁の公式資料に書かれている範囲で社労士事務所の目線から整理します。後半では、給与計算・年末調整まわりの事務作業を、AI社員AIKATAに任せる方法を、社労士法との線引きも含めて解説します。なお、税額の個別の計算や税務代理は税理士の業務にあたるため、この記事では制度の整理と事務所の作業の進め方に絞ります。
01 BASICS 給与所得控除とは?基本の考え方 給与の収入から差し引ける、会社員などの「経費」にあたる控除
📚 用語解説
給与所得控除:給与等の収入金額から差し引くことができる控除。会社員などは、個人事業主のように実際にかかった経費を収入から差し引くことができないため、収入金額に応じて一定額を経費とみなして差し引く仕組み。収入金額から給与所得控除額を差し引いた金額が「給与所得の金額」となる。
📚 用語解説
給与所得の金額:給与等の収入金額から、給与所得控除額を差し引いた金額。所得税の計算では、この金額からさらに基礎控除、扶養控除、社会保険料控除などの所得控除を差し引いて、課税所得を求める。
📚 用語解説
最低保障額:給与所得控除額には、収入が低くても最低限差し引ける金額が決められている。これを最低保障額という。令和8年度の税制改正で、65万円から74万円に引き上げられた(令和8・9年分)。
1-1. 給与所得控除は「会社員の経費」にあたる
個人事業主は、収入から実際にかかった必要経費を差し引いて所得を計算します。これに対して給与をもらう会社員などは、通勤や仕事の道具にかかる費用を個別に差し引くことができません。そこで、収入金額に応じて一定の金額を、経費の代わりに差し引くのが給与所得控除です。給与の源泉徴収や年末調整の計算でも、この考え方が前提になっています。
仕組みは、収入金額(給与の総額)から給与所得控除額を引いて「給与所得の金額」を出し、そこから基礎控除や扶養控除などの所得控除を引いて課税所得を求める、という流れです。給与所得控除は、自分で申告しなくても、源泉徴収や年末調整の計算で自動的に織り込まれる点が、他の控除との大きな違いです。
1-2. 給与収入・給与所得・所得控除の違い
顧問先の担当者からの質問で多いのが、これらの用語の混同です。年収(給与収入)、給与所得、所得控除は、いずれも別の数字を指します。
| 用語 | 意味 | 例えるなら |
|---|---|---|
| 給与収入(収入金額) | 給与や賞与などの支払総額(源泉徴収前) | 源泉徴収票の「支払金額」 |
| 給与所得控除額 | 収入金額に応じて差し引ける、経費にあたる額 | 会社員の経費の代わり |
| 給与所得の金額 | 収入金額 − 給与所得控除額 | 源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」 |
| 所得控除 | 基礎控除、扶養控除、社会保険料控除など、給与所得の金額から差し引く控除 | 家族や保険料の事情に応じた控除 |
| 課税所得 | 給与所得の金額 − 所得控除の合計 | 税額を計算する元になる金額 |
1-3. 給与所得控除が使われる場面
給与所得控除は、毎月の源泉徴収、年末調整、確定申告のいずれにも関わります。毎月の源泉徴収では、源泉徴収税額表の中に織り込まれており、年末調整では「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使って給与所得の金額を求めます。扶養親族等の所得要件を「収入が給与だけの場合の収入金額」で言い換えるときにも、この控除の額が前提になります。
給与所得控除は、顧問先の従業員が自分で計算する場面は少なく、事務所や給与ソフトが年末調整の表で処理します。事務所としては、改正のたびに「どの表を、いつの給与から使うか」を整理して案内する役割が中心になります。
02 REFORM 令和8年度改正のポイント——最低保障額74万円と基礎控除の引上げ 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)をもとに整理
この章の数字は、国税庁が公表している「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月、令和8年4月1日現在の法令等に基づく)に記載されたものです。実際の運用や最新の取り扱いは、国税庁のホームページで必ずご確認ください。
2-1. 給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に
給与所得控除の最低保障額は、65万円から74万円に引き上げられました。給与等の収入金額が190万円以下の場合の給与所得控除額が、令和8・9年分では74万円となります。190万円を超え220万円以下の部分は、これまでと同じ「収入金額×30%+8万円」で計算し、220万円を超える場合の給与所得控除額に改正はありません。
| 給与等の収入金額 | 改正後(令和8・9年分) | 改正後(令和10年分以後) | 改正前 |
|---|---|---|---|
| 190万円以下 | 74万円 | 収入金額×30%+8万円(69万円未満となる場合は69万円) | 65万円 |
| 190万円超 220万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | 収入金額×30%+8万円 | 収入金額×30%+8万円(同左) |
| 220万円超 | 改正なし | 改正なし | — |
なお、令和10年分以後は、最低保障額が69万円となる形に変わります。この表は、国税庁の資料に示された区分のうち改正された範囲のみを抜き出したものです。
2-2. 令和8・9年分は「給与所得の金額」の特例がある
令和8・9年分については、給与等の収入金額が69万1,000円以上220万円未満の場合に、給与所得の金額を次のとおりとする特例が設けられています(国税庁の資料より)。国税庁が作成する「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」も、この特例を加味した表とする予定とされています。
| 給与等の収入金額 | 給与所得の金額 |
|---|---|
| 69万1,000円以上 74万1,000円未満 | なし |
| 74万1,000円以上 219万1,000円未満 | その収入金額 − 74万円 |
| 219万1,000円以上 219万3,000円未満 | 145万1,000円 |
| 219万3,000円以上 219万6,000円未満 | 145万3,000円 |
| 219万6,000円以上 220万円未満 | 145万6,000円 |
最低保障額74万円は、収入金額が低い層に適用される下限の額です。収入が高くなれば、給与所得控除額は収入に応じた計算式で決まります。顧問先には「全員の控除が74万円になる」と誤解されないように案内します。
2-3. 基礎控除も引き上げられた
給与所得控除の引上げとあわせて、基礎控除も見直されました。所得税法の基礎控除額は58万円から62万円になり、これに租税特別措置法による加算額が加わります。合計所得金額が132万円以下の場合の基礎控除額は、令和8・9年分で104万円、令和10年分以後で99万円(改正前は95万円)です。
| 合計所得金額 | 令和8・9年分 | 令和10年分以後 | 改正前 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 104万円 | 99万円 | 95万円 |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円 | 62万円に加算した額(国税庁の表を参照) | 58万円に加算した額 |
| 2,350万円超 | 改正なし | 改正なし | — |
基礎控除額は、合計所得金額の区分ごとに、62万円に42万円、5万円、37万円などを加算した形で定められており、加算は居住者にのみ適用されます。全区分の金額は、国税庁の資料の表で確認してください。給与収入だけの場合の収入金額で言い換えた区分も、同じ資料に載っています。
2-4. 令和10年分以後は物価に応じて見直される
令和10年分以後の基礎控除額と給与所得控除の最低保障額は、2年ごとに、直前の見直し後の額に、見直し後2年間の全国消費者物価指数の変化率を乗じた額を基準として見直すことを基本とするとされました。つまり、今回の数字が今後もずっと同じとは限らず、将来は物価に連動して見直されていく方向です。
03 CALCULATION 給与所得控除の計算方法と、給与所得の求め方 収入金額ごとの区分と、年末調整での使い方
3-1. 収入金額ごとの給与所得控除額の区分
給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて区分ごとの計算式で決まります。国税庁の資料で確認できる範囲では、190万円以下は74万円(令和8・9年分)、190万円超220万円以下は収入金額×30%+8万円です。220万円を超える区分は今回の改正の対象外で、国税庁の「給与所得控除」の案内(タックスアンサー)に、現行の速算表が掲載されています。
| 給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円以下 | 74万円(令和8・9年分) |
| 190万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
| 360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
| 660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
上の表は、改正対象外の区分を含めた一般的な整理です。実際に計算する場合は、国税庁が公表する最新の速算表と「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で確認してください。また、特定支出控除や所得金額調整控除の適用がある場合には、表の金額とは異なります。
3-2. 給与所得の金額の求め方(計算例)
例えば、令和8年分の給与等の収入金額が300万円の人の場合、給与所得控除額は「300万円×30%+8万円=98万円」、給与所得の金額は「300万円-98万円=202万円」となります。ここから基礎控除、社会保険料控除などを引いて課税所得を求めます。この例は仕組みを示すための簡単な試算であり、実際の年末調整は国税庁の表に基づいて行ってください。
📚 用語解説
特定支出控除:給与所得者が、通勤費、研修費、資格取得費などの特定の支出をした場合に、給与所得控除額を超える部分を所得から差し引くことができる制度。適用がある場合は、給与所得控除の表の金額とは異なる計算になる。
3-3. 給与所得控除と年末調整の関係
年末調整では、1年間の給与の収入金額から、国税庁の表に従って給与所得控除後の金額を求め、これに基礎控除、配偶者控除、扶養控除、保険料控除などを反映して、1年間の所得税額を確定させます。毎月の源泉徴収で預かった税額との差額を、12月の給与などで精算します。
3-4. 給与所得控除の目的と、認められている理由
給与所得控除の目的は、会社員などが仕事のためにかかる経費を、個別に計上しなくても一定額控除できるようにすることです。給与所得者は経費を細かく証明しづらいため、給与所得控除が認められているのは、事業所得者などとの課税の公平を図る意味があるとされています。あわせて、収入の低い層に最低保障額を設けることで、最低限の経費を認める役割もあります。
3-5. 給与所得控除が適用されるのは「給与収入」だけ
給与所得控除は、給与収入にのみ適用されます。給与所得に含まれるものは、給料・賃金・賞与のほか、各種手当(残業手当・通勤手当のうち課税される部分など)です。一方で、事業収入、不動産収入、退職金(退職所得)などは別の所得区分であり、給与所得控除は使えません。副業で受け取った収入が給与か事業かによって、控除の扱いが変わる点は、顧問先の従業員からよく質問されます。
3-6. 基礎控除・所得控除・所得金額調整控除との違い
混同しやすい控除を整理します。基礎控除は、合計所得金額に応じて誰でも受けられる所得控除です。給与所得控除は給与所得の金額を求めるための控除で、基礎控除は給与所得の金額からさらに差し引く所得控除という位置づけです。所得金額調整控除は、子育て・介護などの事情がある給与所得者について、一定の要件で給与所得から差し引く控除で、給与所得控除とは別に適用されます。
| 控除 | 位置づけ | 差し引く対象 |
|---|---|---|
| 給与所得控除 | 給与収入から経費相当額を引く | 給与等の収入金額 |
| 基礎控除 | 所得控除の一つ(誰でも受けられる) | 給与所得の金額など |
| 特定支出控除 | 給与所得控除に上乗せできる特例 | 給与所得控除額を超える特定支出 |
| 所得金額調整控除 | 子育て・介護などの事情に応じた控除 | 給与所得の金額 |
3-7. 給与所得控除額一覧と計算例(年収700万円の場合)
令和8年分・令和9年分の給与所得控除額一覧は、3-1の表のとおりです。計算例として、給与等の収入金額が700万円の人の場合、660万円超850万円以下の区分に当たるため、給与所得控除額は「700万円×10%+110万円=180万円」、給与所得の金額は「700万円-180万円=520万円」となります。ここから基礎控除などを差し引いて課税所得を出し、所得税率を乗じて税額を計算します。
3-8. 過去の改正点(令和7年)と令和10年分以降はどうなるか
給与所得控除の最低保障額は、令和7年分(2025年)の改正で55万円から65万円に引き上げられており、令和8年度の改正でさらに74万円(令和8・9年分)となりました。令和10年分以降の姿は、2-4で触れたとおり、物価に応じて2年ごとに見直される方向で、令和10年分以後の最低保障額は69万円と示されています。「最低保障額が上がった理由」は、物価や賃金の上昇に合わせて、基礎控除とともに見直すという政策的な背景があります。
3-9. 特定支出控除とは?認められる範囲と申告の方法
特定支出控除は、給与所得者が通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、図書費・衣服費・交際費(職務に関連するもの)など、一定の特定支出をした場合に、その合計額が給与所得控除額の2分の1を超えるとき、超える部分を所得から差し引ける特例です。給与所得控除に上乗せできる、いわば「経費の実額控除」の仕組みです。
申告の要件として、年末調整では受けられず、確定申告が必要です。また、支出が特定支出に当たることを証明する書類(勤務先の証明書や領収書など)を添付する必要があります。具体的な範囲と手続きは、国税庁の案内で確認してください。顧問先の従業員から相談があった場合は、事務所は制度の存在を案内するにとどめ、個別の申告は税理士など専門家に確認するよう促します。
3-10. 年末調整での申告方法と、実務で押さえる3つのステップ
給与所得控除は、従業員が自分で申告するものではなく、年末調整の計算で適用されます。バックオフィスの担当者が年末調整で押さえたい実務は、次の3つのステップです。
3-11. 2026年度税制改正の変更点——最低保障額引き上げと計算区分の新設
2026年度税制改正の変更点を一言でまとめると、最低保障額引き上げ(65万円から74万円)と、令和8・9年分の給与所得の金額を求める特例的な計算区分の新設です。69万1,000円以上220万円未満の収入について、国税庁が示す区分(2-2の表)に従って給与所得の金額を求めます。
3-12. サラリーマンの申請は不要?年末調整での申請と申告要件
サラリーマン(給与所得者)が給与所得控除を受けるために、自分で申請する必要はありません。年末調整や源泉徴収の計算に自動的に織り込まれます。申請が必要なのは、特定支出控除のように確定申告で受ける特例で、その申告要件を満たしているかの確認が必要です。
3-13. 申告書の用紙の配布・収集・確認と、ペーパーレス化
年末調整の事務では、従業員への用紙の配布、記入後の収集、内容の確認が最も手間のかかる部分です。顧問先によっては、年末調整のクラウドサービスを使ったペーパーレス化が進んでいますが、紙とクラウドが混在する顧問先も多く、事務所は両方に対応する必要があります。
源泉徴収票では、支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計が別の欄に載っています。従業員から数字の見方を聞かれたときは、この3つの欄を示しながら説明すると伝わりやすくなります。
04 DEPENDENTS 扶養・パート従業員の所得要件はどう変わる? 配偶者控除・特定親族特別控除・勤労学生の基準が見直し
4-1. 扶養親族等の所得要件の改正
基礎控除額の引上げに伴い、扶養控除などの対象となる扶養親族等の所得要件が改正されました。国税庁の資料によると、令和8・9年分で、収入が給与だけの場合の収入金額に言い換えると、次のとおりです。
| 区分 | 改正後(合計所得金額) | 改正後(収入が給与だけの場合の収入金額) | 改正前(合計所得金額) |
|---|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子 | 62万円以下 | 136万円以下 | 58万円以下 |
| 特定親族 | 62万円超 123万円以下 | 136万円超 197万円以下 | 58万円超 123万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 62万円超 133万円以下 | 136万円超 207万円以下 | 58万円超 133万円以下 |
| 勤労学生 | 89万円以下 | 163万円以下 | 85万円以下 |
これは、収入が給与だけの場合の目安で、給与所得控除の最低保障額の引上げによって、扶養に入れる給与収入の上限が上がることを示しています。特定支出控除の適用がある場合は、表の金額とは異なります。
4-2. 配偶者特別控除・特定親族特別控除の控除額
国税庁の資料には、改正後の配偶者特別控除額と特定親族特別控除額の表が載っています。例えば、配偶者の合計所得金額が62万円超85万円以下(給与のみの場合の収入金額で136万円超159万円以下)の場合、所得者の合計所得金額が900万円以下であれば、配偶者特別控除額は38万円です。特定親族特別控除は、同じ区分で63万円が最大の控除額です。
親族等の合計所得金額が上がるにつれて控除額が段階的に小さくなり、配偶者特別控除は133万円超(給与のみの場合で207万円超)で対象外となります。細かい区分や金額は、国税庁の資料の表で確認してください。
控除額は所得者本人の合計所得金額(900万円以下、950万円以下、1,000万円以下)と、配偶者・親族の合計所得金額の組み合わせで決まります。顧問先の従業員への案内では、国税庁の表を示しながら個別に確認する形が安全です。
4-3. パート・アルバイトの「収入の壁」はどう動くか
給与所得控除の最低保障額と基礎控除の引上げにより、所得税に関する「壁」の水準は上がります。ただし、社会保険の加入要件(106万円・130万円など)や、勤務先の配偶者手当の基準は別の制度であり、今回の所得税の改正では変わりません。パート従業員の勤務時間の相談を受けたときは、所得税の基準と社会保険の基準を分けて整理する必要があります。
| 制度 | 今回の改正の影響 | 事務所の確認ポイント |
|---|---|---|
| 所得税の扶養・配偶者控除 | 所得要件が見直された(令和8・9年分) | 年末調整の申告書の基準額の更新 |
| 社会保険の被扶養者・加入要件 | 今回の改正の対象外 | 最新の要件を日本年金機構の案内で確認 |
| 住民税 | 別の制度(改正の取り扱いは自治体の案内で確認) | 顧問先の従業員へは個別に確認を促す |
| 会社の配偶者手当など | 会社の規程による | 就業規則・賃金規程の見直し要否を確認 |
05 OFFICE FLOW 令和8年分の年末調整で事務所が顧問先に案内すること 源泉徴収は令和8年11月まで変更なし。12月の年末調整で精算
5-1. 令和8年11月までの源泉徴収は変わらない
国税庁の資料では、令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じないとされています。令和8年分の給与等の源泉徴収事務は、令和8年12月に行う年末調整の際に、引上げ後の基礎控除額と、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて1年間の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で計算した源泉徴収税額との精算を行います。
また、令和9年分以後の源泉徴収税額表は、基礎控除額の引上げと給与所得控除の最低保障額の引上げに伴い改正されています。
5-2. 扶養親族等の要件改正は12月1日以後の給与から
扶養親族等の所得要件の改正(4章)は、令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用されます。この改正により新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族等について扶養控除等の適用を受けるには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出が必要になります(国税庁の資料より)。顧問先には、従業員への申告書の配布と回収の予定を、早めに案内しておくことが大切です。
5-3. 事務所の対応フローと顧問先へのヒアリング項目
| 段階 | 確認する内容 | よくある抜け漏れ |
|---|---|---|
| 制度の確認 | 国税庁の改正資料、年末調整の手引き、最新の表 | 古い年分の表や資料を使ってしまう |
| 給与ソフトの確認 | 令和8年分の年末調整に対応したバージョンか | 顧問先ごとに更新状況がばらばら |
| 申告書の配布 | 扶養控除等(異動)申告書、基礎控除申告書など | 新たに要件を満たす親族の申告漏れ |
| 回収・内容確認 | 所得の見積額、親族の収入、家族構成の変更 | 記入漏れ、見積額の計算ミス |
| 計算・精算 | 年末調整の計算、源泉徴収済み税額との精算 | 12月給与の支給日までに間に合わない |
| 顧問先への報告 | 源泉徴収票、精算結果、翌年分への案内 | 従業員からの質問への回答が個別対応になる |
改正が入った年の年末調整は、制度の確認、ソフトの更新確認、申告書の案内、回収、内容の点検と、顧問先の数だけ同じ作業が繰り返し発生します。しかも年末は、社会保険の手続きや賞与の対応も重なる時期です。
06 THE LIMIT 改正が入った年の年末調整は、確認と案内の手作業が顧問先の数だけ増える 制度の確認、申告書の案内、回収、点検が、年末の繁忙期に重なる
制度の理解だけでなく、毎月の作業を正確に回し続けられるかが事務所には問われます。現場では、次のような状態になっていませんか。
こうした状態が続くと、改正のたびに手順が属人化し、案内の漏れや回収の遅れが起きやすくなります。従来の発想は、人を増やす、ソフトを乗り換える、というものでしたが、ソフトを替えなくても、作業そのものを任せる道があるというのが、この記事の後半の主題です。
6-1. ソフトを替えても、転記と確認の二度手間は残る
給与ソフトや年末調整のシステムを入れ替えれば、計算や帳票の出力は速くなることがあります。ただし、顧問先ごとの設定、従業員への操作の案内、移行期間中の二重運用といった負担が新たに生まれます。そして、顧問先への案内、申告書の回収、内容の点検という作業そのものは、ソフトが替わっても職員の手に残ります。
07 AUTOMATE WITH AI 【核心】AIで案内文の下準備・回収状況の管理・点検を「自動で回る仕組み」にする 効率化ではなく自動化。制度変更の確認から回収・点検までを、ワークフローごと渡す
📚 用語解説
Claude Code/Codex:Claude CodeはAnthropic社、CodexはOpenAI社が提供するAIエージェント。質問に答えるだけのAIと違い、指示を受けてファイル操作・データ集計・画面操作・文書作成などの作業そのものを実行できる。プログラミング不要で、日本語の指示だけで業務の仕組みを組み立てられるため、事務所のバックオフィス作業の自動化手段として注目されている。
7-1. 「AIに聞いて早くする」と「AIが毎月の作業を自動で回す」は別物
ChatGPTなどに「給与所得控除とは何か」と聞くのは効率化です。作業の主体は職員のままで、AIは調べ物や文面作成を速くしてくれるだけです。この使い方では、顧問先への案内や回収の管理、点検といった手間そのものは変わりません。
一方、Claude Code/Codexで組むのは自動化です。「制度の改正を確認したら、顧問先への案内の下書きを作り、申告書の回収状況を管理し、記入漏れや数字の不一致を点検して、承認待ちにする」という一連の流れを最初に設計します。一度仕組みにしてしまえば、決まったタイミングで職員が張り付かなくても走り続けます。職員の仕事は、上がってきた結果の確認と承認です。
7-2. これまで職員がやっていた作業 vs AIに任せた後
| これまで職員がやっていた作業 | AIに任せた後 |
|---|---|
| 改正の資料を読み込み、顧問先向けの案内文を一から書く | 公式資料をもとに、案内文の下書きを自動作成 |
| 顧問先ごとの給与ソフトや運用を、電話やメールで確認する | 決まった様式で情報を自動回収し、不足があれば再依頼を準備 |
| 申告書の回収状況を、表計算ソフトで個別に管理する | 回収状況を自動で記録し、未回収の顧問先を一覧化 |
| 記入漏れや所得の見積額の不一致を、目視で点検する | 数字の不一致や不足を自動で検知して一覧化 |
| 従業員からの質問に、その都度調べて回答する | よくある質問への回答案を下書きで用意 |
ポイントは、いま事務所が使っている給与ソフト・勤怠システムをそのまま使い続けられることです。顧問先にソフトの乗り換えをお願いする必要はなく、AIが画面操作を含めて、回収・集計・入力・チェックという手作業の部分を担います。
7-3. 社労士法との線引き——AIが担うのは事務作業の一次対応まで
行政機関への提出手続きの代行や、帳簿書類の作成(社労士法の1号・2号業務)は、引き続き先生方が行います。AI社員AIKATAが担うのは、その前段にあたる勤怠の回収・集計、給与計算、書類の下準備、資料回収の一次対応といった事務作業です。AIの処理結果は人が品質チェックしたうえで、最終確認と承認を事務所が行います。
線引きを整理すると、次のとおりです。
08 FOUR OPTIONS 増員・外注・自作では、改正年の年末調整の事務作業は片づかない 4つのうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけ
結論から言うと、4つのうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけです。給与計算や手続きの事務作業を考えるとき、事務所が思いつく選択肢は大きく4つに整理できます。
| 選択肢 | よくある期待 | 実際に行き詰まる所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ①職員を増やす | 職員が増えれば、確認の時間が取れる | 採用と教育に時間がかかり、間に合う頃には繁忙期が終わる。閑散期にも人件費が残り、ルールが担当者の頭の中に溜まって属人化が増える | ✕ |
| ②従来型の外注・BPO | 作業を外に出せば、事務所の手が空く | 外注先への説明と手直しが事務所に残る。顧問先ごとのルールを毎回伝え直す必要があり、結局チェックの負担は減らない | ✕ |
| ③事務所でAIを自作する | 低コストで自動化できる | 顧問先ごとのルールの言語化、検証の型の用意、作った職員しか直せない第二の属人化という3つの壁が残る | ✕ |
| ④AI社員AIKATAに任せる | 回収・集計・入力という作業を手放せる | 仕組みの構築・運用はAIKATAが担う。事務所にAIの知識は要らず、事務所は承認に集中できる | ◎ |
8-1. 「増員」「外注」で片づかない理由
8-2. 「自作」の壁——作った人しか直せない第二の属人化
09 ABOUT AIKATA AI社員AIKATAとは 事務所の定型事務作業を、AIと人の二重体制で丸ごと引き受ける業務代行
AI社員AIKATA(運営: AI社員AIKATAを運営する弊社、株式会社GENAI)は、給与計算・勤怠の集計・入退社手続きの書類の下準備・算定基礎届や労働保険の年度更新の下準備・帳票の作成・顧問先への資料回収や一次対応など、職員がパソコンで行っている事務作業を、AIと人の二重体制で丸ごと受託する業務代行サービスです。給与計算や年末調整まわりの案内・回収・点検といった下準備も、この中で受託する対象です。ただし、税務代理や税額の判断は税理士の業務であり、対象外です。
仕組みの構築・運用はAIKATAが行うため、事務所にAIの知識は要りません。月額の定額で、業務量が増えても料金は変わらない形です。
9-1. 無料相談で決まること(60分・オンライン)
無料相談は60分・オンライン(Google Meet)で、業務の棚卸しと、どこまで任せられるかの整理を行います。契約の義務はなく、全国に対応しています。給与・人事のデータは、NDAを結んだうえで、受け渡しと保管のルールを事務所の規程に合わせて決めます。
10 COMPARISON & SUMMARY 残る道は「作業そのものを任せる」だけ 手作業・ソフトの追加や乗り換え・AIKATA、3択の比較
| 手作業のまま | ソフトの追加・乗り換え | AIKATAに任せる | |
|---|---|---|---|
| 繁忙期の負荷 | ✕ 年末調整と賞与・社会保険の手続きが、年末の短い期間に重なる | △ 入力は速くなるが、転記と確認は職員のまま | ◎ 定額のまま処理量を増やせる |
| 顧問先ごとのルール | △ 担当職員の頭の中に依存 | △ 製品の標準設定の範囲に依存 | ◎ 仕組みに登録され、担当者が変わっても残る |
| 顧問先への負担 | ○ 変化なし | ✕ 乗り換えの周知・操作案内が必要 | ○ 今のソフトのまま変化なし |
| 職員の採用・教育 | ✕ 繁忙期に向けて人を増やし続ける | △ 新しい操作の教育が必要 | ◎ 採用・教育なしで処理量を増やせる |
| 社労士法の線引き | ○ すべて人が実施 | ○ ソフトは支援のみ | ◎ 提出と帳簿は先生方、事務作業はAIと人の二重体制と明確に分離 |
10-1. AI社員AIKATAが選ばれる5つの理由
職員を増やす・外注する・事務所でAIを自作する・ソフトを乗り換える——どの道を選んでも、制度内容の最終確認、顧問先への最終的な案内、給与ソフトへの入力前の確認という作業か、それを回す人・仕組みのどちらかが事務所に残り続けます。増員・外注・自作・乗り換えは、どれも事務所が人か仕組みを抱え続ける道です。作業を手放せる道は、AI社員AIKATAに任せることだけです。
次の繁忙期を、職員を増やさずに越える準備を始めませんか
給与計算・年末調整を含む定期的な手続きは、制度が変わる年ほど、職員の時間を細切れに奪います。人を増やす・ソフトを替えると決める前に、無料相談(60分・オンライン)で現在の運用を伺い、どの作業から任せられるかをその場で整理します。契約の義務はありません。
職員を増やす・外注する・AIを自作する・ソフトを替える——どの道を選んでも、集計・入力・確認の作業か、それを回す人と仕組みが事務所に残り続けます。
AI社員AIKATAなら、いまお使いの給与ソフト・手続きソフトはそのまま、顧問先ごとのルールも登録して処理し、事務所に残るのは仕上がりの確認と承認だけです。どの業務から任せられるかは、無料相談(60分・オンライン)でその場で整理します。
NEXT STEP
事務所の定型業務を、
AI社員に任せてみませんか?
よくある質問
Q. 給与所得控除とは何ですか?
A. 給与等の収入金額から差し引くことができる控除で、会社員などの経費にあたるものとして、収入金額に応じて一定額が決まっています。収入金額から給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得の金額です。
Q. 令和8年度の改正で、給与所得控除はどう変わりましたか?
A. 国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし」(令和8年4月)によると、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました(令和8・9年分)。令和10年分以後は、最低保障額が69万円となる形に変わります。220万円を超える場合の給与所得控除額に改正はありません。
Q. 基礎控除はどのくらい引き上げられましたか?
A. 所得税法の基礎控除額は58万円から62万円になり、これに租税特別措置法による加算額が加わります。合計所得金額が132万円以下の場合の基礎控除額は、令和8・9年分で104万円、令和10年分以後で99万円です(改正前は95万円)。区分ごとの金額は、国税庁の資料の表で確認してください。
Q. 令和8年分の源泉徴収や年末調整は、いつから変わりますか?
A. 令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません。令和8年12月に行う年末調整で、引上げ後の基礎控除額と改正後の表に基づいて1年間の税額を計算し、源泉徴収済みの税額との精算を行います。扶養親族等の所得要件の改正は、令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用されます。
Q. 令和10年分以後は金額が変わりますか?
A. 国税庁の資料では、令和10年分以後の基礎控除額と給与所得控除の最低保障額は、2年ごとに、全国消費者物価指数の変化率を基準として見直すことを基本とするとされています。令和10年分以後の基礎控除額や最低保障額の表は、同じ資料に記載されています。
Q. 社労士法上、給与計算・年末調整まわりの案内文の下準備や回収状況の管理をAIに任せて問題ありませんか?
A. 行政機関への提出手続きの代行や帳簿書類の作成(1号・2号業務)は先生方が行う業務であり、AI社員AIKATAは引き受けません。AIKATAが担うのは、制度改正に関する案内文の下書き、顧問先ごとの運用情報の回収、申告書の回収状況の管理、記入漏れ・数字の不一致の検知、期限と進捗の管理、資料回収の一次対応といった、その手前の事務作業です。AIの処理結果は人が品質チェックし、最終確認と承認は事務所が行います。この線引きが明確であれば、事務作業の自動化と独占業務の独占性は両立します。
Q. 今使っている給与ソフト・勤怠システムのままで、AI社員AIKATAを使えますか?
A. 使えます。AI社員AIKATAは特定のソフトに限定せず、いま事務所が使っている給与ソフト・勤怠システムをそのまま使い、画面操作を含めて事務作業を自動化します。顧問先にソフトの乗り換えをお願いする必要はなく、周知や操作研修の負担も発生しません。
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