【2026年10月最新】不動産のカスハラとは?東京都条例・賃貸管理会社の事例と対策、受付・記録の事務をAIに任せる方法
不動産業界のカスハラ(カスタマーハラスメント)は、賃貸管理会社にとって、特定の担当者の我慢で済ませられない経営の課題になっています。入居者からの督促への激しい反発、深夜や早朝の呼び出し、無償修繕の強要、SNSでの誹謗中傷、オーナーからの執拗な連絡。管理会社の担当者は、入居者とオーナーの間に立つため、双方から強い言葉を向けられやすい立場にあります。
東京都のカスタマーハラスメント防止条例は2025年4月に施行されました。条例は、事業者がカスハラ防止に主体的に取り組むことを求めています。さらに、改正された労働施策総合推進法により、カスハラ防止のための雇用管理上の措置は、事業主の義務になっています。法令の施行日や指針の内容は、厚生労働省などの公式情報で確認が必要です。
この記事では、賃貸管理会社(賃貸仲介を兼ねる会社を含みます)の社長・管理者の立場で、カスハラの定義と判断基準、賃貸管理で起きやすい事例、東京都条例と国の動き、会社が整える相談体制とマニュアル、発生時の対応の型を整理します。そのうえで、問い合わせの受付と記録の事務を、今の管理システムのままAI社員AIKATAに任せる方法を解説します。制度は2026年10月時点で公式情報を確認した範囲に基づきます。
01 WHAT IS CUSTOMER HARASSMENT カスタマーハラスメントとは?定義と、正当なクレームとの線引き 厚生労働省のマニュアルの考え方から、判断の二つの軸を整理します
1-1. カスハラの定義:要求の妥当性と、手段・態様の相当性
📚 用語解説
カスタマーハラスメント(カスハラ):厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、顧客等からのクレーム・言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、その手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの、とされています。東京都の条例では、顧客などが就業者に対して行う著しい迷惑行為と定義されています。
カスハラかどうかを判断するときは、二つの軸で見ます。一つ目は、要求の内容に妥当性があるかです。自社に過失がないか、要求に根拠があるかを踏まえて判断します。二つ目は、要求を実現する手段や態様が、社会通念上相当かどうかです。
要求の内容に妥当性があっても、暴力的、威圧的、差別的、性的な言動など、手段が不相当であれば、カスハラに当たり得ます。反対に、手段が穏やかでも、サービスの内容と関係のない要求や、自社に過失がないのに金銭を求める要求は、妥当性を欠く場合があります。
賃貸管理の場面に置き換えると、「設備の不具合を直してほしい」という要求は、内容として妥当です。しかし、その要求を、何時間も電話を切らずに繰り返す、担当者個人を罵倒する、SNSに実名で投稿すると脅す、といった手段になると、不相当と判断される可能性が高くなります。
出典:LIFULL HOME'S BUSINESS「不動産業界におけるカスタマーハラスメントとは?」(厚生労働省のマニュアルの引用部分を確認)(2026年10月30日確認)。
1-2. 不相当とされる可能性が高い言動と、内容によっては許されない要求
| 類型 | 具体的な言動の例 | 判断の考え方 |
|---|---|---|
| 身体的な攻撃 | 暴行、傷害 | 手段が不相当です。直ちに安全確保と警察への相談を検討します |
| 精神的な攻撃 | 脅迫、中傷、暴言、人格を否定する発言 | 手段が不相当です。内容にかかわらず、対応を中止する対象になります |
| 威圧的な言動 | 大声、威嚇、土下座の要求 | 手段が不相当です。要求の内容が妥当でも、この手段には応じません |
| 執拗な言動 | 長時間の拘束、繰り返しの連絡 | 手段が不相当になりやすい類型です。回数や時間を記録します |
| 拘束的な行動 | 不退去、監禁 | 手段が不相当です。退去を要請し、必要に応じて警察に相談します |
| 金銭・謝罪の要求 | 金銭補償、謝罪の要求 | 要求の内容によっては不相当になります。過失の有無を確認して判断します |
土下座の要求のように、手段そのものが不相当とされる行為があります。一方で、謝罪や交換、補償の要求は、自社に過失があれば正当な範囲もあります。「要求された」ことだけで断る運用は、正当なクレームを制限することになり、条例でも顧客などの権利を不当に侵害しないことが示されています。
この線引きは、現場の担当者が一人で判断すると、対応が人によってばらつきます。会社として、判断の基準と、迷ったときの相談先を決めておくことが前提です。
1-3. カスハラが会社に与える弊害
賃貸管理会社は、採用難が続く中で、管理担当者の育成に時間をかけています。カスハラで担当者が辞めることは、教育にかけた時間を失うだけでなく、管理する物件の入居者とオーナーへの対応の連続性も損ないます。被害の大きさは、数字に表れにくいため、経営者が意識して対策を取る必要があります。
02 REAL ESTATE CASES 不動産業界・賃貸管理会社で懸念されるカスハラの例 入居者・オーナー・SNSの三つの経路で整理します
2-1. 入居者からのカスハラ:督促・深夜対応・無償修繕の要求
賃貸管理会社で懸念される例として、家賃の督促のときに、怒鳴られる、脅迫を受ける、というものがあります。督促は、会社の正当な業務であり、受ける側の感情が高ぶりやすい場面でもあります。電話の対応に加え、督促状を送る、訪問するなどの方法でも、トラブルが起きる可能性があります。
緊急性のない用件で、深夜や早朝の対応を求められる場合もあります。水漏れやガス漏れのように、緊急性の高い案件は、時間にかかわらず対応しなければなりません。しかし、翌営業日で足りる用件を、繰り返し深夜に連絡して対応を迫るのは、執拗な言動に当たる可能性があります。
また、入居者がつけた傷や汚れの無償修繕を求められる例もあります。原状回復の費用負担は、契約書と国土交通省のガイドラインに沿って判断しますが、根拠を説明しても納得せず、長時間にわたって強い言葉で要求が続く場合は、手段や態様の相当性が問題になります。
2-2. オーナーからのカスハラ:執拗な連絡・過大な要求
オーナーから、一日に何度も連絡が入る、担当者を名指しで激しく叱責する、管理受託契約の範囲を超える作業を無償で求められる、といった事例も考えられます。賃貸住宅管理業法の枠組みでは、管理業務の内容は管理受託契約で定められており、契約の範囲を超える作業には、別途の取決めが必要です。
オーナーの要求のすべてがカスハラではありません。空室が続いて不安なオーナーの強い言葉の背景には、収益への切実な心配がある場合もあります。要求の内容と手段を分けて、内容に応える余地があれば応え、手段が不相当な場合は、会社として毅然と伝える運用が求められます。
分譲マンションの管理(管理組合と管理会社の契約)では、国土交通省のマンション標準管理委託契約書が、管理組合から管理業者への指示を、指定された担当者同士で行うと定める改訂をしています。特定の組合員による執拗な連絡を防ぐ目的とされており、管理会社が対応の窓口を一本化する考え方の参考になります。
2-3. SNSでの誹謗中傷・脅迫的な投稿
担当者や会社名を挙げて、SNSに誹謗中傷や脅迫的な投稿をされる例もあります。投稿は証拠が残る一方で、削除や拡散の抑止が難しく、担当者の精神的な負担が大きくなります。
投稿を見つけたときは、削除を急ぐ前に、画面の保存と日時の記録を行います。投稿の内容が事実と異なる、あるいは違法の疑いがある場合は、弁護士に相談して、対応を決めます。会社として、投稿に直接反論するかどうかは、慎重な判断が必要で、現場の担当者が個人で返信しないルールにしておくと安全です。
03 LAWS AND ORDINANCE 東京都カスハラ防止条例と国の動き:会社の責務を整理する 条例、法改正、安全配慮義務、標準管理委託契約書の改訂を確認します
3-1. 東京都カスタマーハラスメント防止条例:定義と各主体の責務
東京都のカスタマーハラスメント防止条例は、2025年4月に施行されました。条例では、カスハラを、顧客などが就業者に対して行う著しい迷惑行為と定義しています。
各主体の責務として、顧客などには、カスハラへの理解を深めるよう努め、自分の言動が該当し得ることを理解して、就業者への言動に注意することが求められています。就業者には、カスハラの背景や該当行為を理解し、被害を受けたときの対応や相談先を把握することが示されています。
事業者には、カスハラ防止に主体的かつ積極的に取り組み、被害を受けた就業者の安全を確保し、加害者に中止を求めるなどの適切な措置を講じることが求められます。一方で、条例は、顧客などの権利を不当に侵害しないことも定めており、正当なクレームを制限してはならないとされています。
出典:LIFULL HOME'S BUSINESS「東京都カスハラ防止条例を解説」(条例の内容は東京都の公式資料で確認してください)(2026年10月30日確認)。
3-2. 労働施策総合推進法の改正と、安全配慮義務
📚 用語解説
安全配慮義務:労働契約法第5条に定められた、使用者が労働者の生命や身体などの安全を確保しつつ働けるよう、必要な配慮をする義務です。従業員がカスハラを受けるおそれがあるときは、会社が適切な対策を講じる必要があります。
2025年6月に成立した改正労働施策総合推進法により、カスハラ防止のための雇用管理上の措置は、事業主の義務となります。施行日は、公布から1年6か月以内で政令で定める日とされています。厚生労働省は措置の内容を定める指針を示しています。指針は、方針の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、発生後の迅速かつ適切な対応を、柱としています。施行日や措置の詳細は、厚生労働省の公式資料で最新の内容を確認してください。
労働契約法第5条の安全配慮義務は、以前から会社に課されているもので、カスハラについても、従業員が被害を受けるおそれがあるときに、会社が適切な対策を講じる根拠になります。厚生労働省のマニュアルには、不適切な対応で賠償責任が生じた事例や、十分な対策で責任を免れた事例も紹介されています。
賃貸管理会社は、従業員を雇用する事業主として、これらの義務の対象になります。小規模な会社でも例外ではないため、規模にかかわらず、方針と窓口を整える必要があります。
出典:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策」関連の公表資料(最新の内容は厚生労働省の公式ページで確認)(2026年10月30日確認)。
3-3. マンション標準管理委託契約書の改訂と、東京都の支援
国土交通省は、マンション標準管理委託契約書を改訂し、カスハラに関する条項を加えています(改訂時期は国土交通省の公式資料で確認してください)。管理事務の指示を、管理組合の指定した担当者と管理会社の担当者の間で行うこと、管理事務を著しく妨げる行為(カスハラを含みます)について、管理会社が中止を求められることが、条文として整理されています。
改訂の関連資料では、カスハラの具体例として、執拗なつきまといや長時間の拘束、執拗な架電や文書などによる連絡、緊急でないにもかかわらず休日や深夜に呼び出しを行うこと、侮辱や人格を否定する発言、誹謗中傷の投稿などが挙げられています。この契約書は分譲マンションの管理組合向けのもので、賃貸住宅の管理受託には賃貸住宅標準管理受託契約書が別にあります。分譲マンションの管理も受託している場合は、自社の契約書とあわせて確認します。
東京都は、企業のカスハラ対策を後押しする支援事業を行っており、対策に取り組んだ事業者への報奨金の仕組みも案内されています。対象となる対策や支給の条件は、年度や制度によって変わるため、東京都の公式案内で最新の内容を確認してください。
出典:国土交通省「マンション標準管理委託契約書」関連の案内(改訂内容は国土交通省の公式資料で確認)(2026年10月30日確認)。
04 COUNTERMEASURES 会社が取るべきカスハラ対策:方針・相談体制・マニュアル・被害者への配慮 現場に任せきりにしない仕組みを、順番に整えます
4-1. 基本方針の明確化と周知
カスハラの対応策は、個々の担当者の工夫ではなく、会社の経営戦略の一部として位置づけます。基本方針には、従業員を守る姿勢、正当なクレームには誠実に対応する姿勢、社会通念上不相当な言動には毅然と対応する姿勢を、明記します。方針を文章にして、社内に周知するとともに、ウェブサイトや契約書の関連資料などで、入居者やオーナーにも示すことを検討します。
方針を示すことで、現場の担当者は「会社が守ってくれる」と感じ、一人で抱え込む状況を減らせます。同時に、顧客側にも、対応の限度があることを、事前に知らせる効果があります。方針を作るときは、顧客の正当な権利を制限するものではないことも、あわせて明記します。
4-2. 相談体制の強化:窓口・担当者・複数の連絡手段
小規模な管理会社では、相談窓口を担う人が限られます。社内に適任者がいない場合は、外部の相談窓口や、顧問の弁護士、社会保険労務士に連絡できる体制を整えておくことも考えられます。相談者の名前を伏せて共有する運用など、相談しやすさを優先して設計します。
4-3. マニュアルの整備:判断基準・類型別の対応・被害者のケア
📚 用語解説
カスハラの対応類型:厚生労働省のマニュアルでは、カスハラの対応例を、時間拘束型、暴言型、威嚇・脅迫型、権威型などの類型ごとに示しています。社内のマニュアルを作るときの参考にできます。
マニュアルには、現場の対応者、カスハラの判断基準、被害者の安全確保とケアの方法を盛り込み、全従業員に周知します。判断基準は、厚生労働省のマニュアルの二つの軸(要求の妥当性、手段・態様の相当性)をもとに、賃貸管理の場面に合わせた具体例を加えます。
賃貸管理会社のマニュアルには、たとえば、家賃の督促時、退去時の精算、騒音や設備の苦情、オーナーからの連絡といった場面ごとの対応を整理します。電話の対応を終了するときの言い方、録音の案内、上司への引き継ぎの手順なども、あらかじめ決めておくと、現場が迷いません。
「お話の内容は承りました。これ以上の大声でのご要求には対応を続けられませんので、本日はこちらで終了いたします。内容を整理して、後日あらためてご連絡します」のように、事実を伝え、感情的にならず、対応の再開の見通しを示します。これは社内運用の例であり、法定の様式ではありません。
4-4. 被害を受けた従業者(従業員)への配慮
被害を受けた従業員の心身の状況に配慮し、以後の顧客対応を、現場の監督者が担う体制を整えます。違法行為が疑われる場合は、退去を要請し、必要に応じて、弁護士や警察に相談します。対応の後に体調不良が見られる場合は、受診を勧めます。
上司や会社が、被害を受けた従業員を責めない姿勢も重要です。「対応が悪かったのではないか」と受け取られる言い方は、報告をためらわせ、被害の発見を遅らせます。報告を受けたら、まず事実を聞き取り、本人の安全と気持ちに配慮した対応を取ります。
05 RESPONSE FLOW カスハラが起きたときの対応の型:記録・確認・エスカレーション 現場で迷わないための手順を整理します
5-1. 事実確認と記録:双方の話と客観的な証拠
事実確認では、顧客と従業員の双方から事情を聞き、客観的な証拠や証言も集めます。通話の録音、メールやチャットの履歴、現場の写真、面談の記録などが証拠になります。通話を録音する場合は、あらかじめ録音の案内を行う運用にします。
記録には、日時、相手方、対応した担当者、要求の内容、言動の内容、対応の結果を、事実のまま書きます。担当者の評価や推測は、事実と分けて記載します。記録がそろっていれば、カスハラかどうかの判断も、弁護士や警察への相談も、スムーズに進みます。
| 記録の項目 | 書く内容 | 注意すること |
|---|---|---|
| 日時・場所 | 電話、来訪、メールなどの別と、日時 | 対応の開始と終了の時刻も記録します |
| 相手方 | 入居者、オーナー、その他の別と、物件・部屋 | 個人情報の取扱いに注意して保管します |
| 要求の内容 | 何を求められたか | 要求の妥当性を判断する材料です |
| 言動の内容 | 発言、態度、回数、時間 | 事実のまま書き、推測と分けます |
| 対応と結果 | 担当者が行った対応と、相手の反応 | 上司への報告の日時も残します |
📚 用語解説
エスカレーション:現場の担当者が対応できない事案を、上司や管理者、外部の専門家へ引き上げて対応を任せることです。カスハラ対応では、引き上げる基準と報告の期限を、あらかじめ決めておきます。
5-2. 要求に応じるか、応じないかの判断:契約書と物件の事実に戻る
要求の内容は、契約書、管理受託契約、国土交通省のガイドラインなどに戻って確認します。契約や物件の説明に不備がある場合は、会社として適切な対応を取ります。会社に瑕疵や過失が見られない場合は、要求に応じず、必要な措置を講じます。
判断は、現場の担当者一人に任せず、上司や管理者が行います。要求に応じない場合も、理由を丁寧に説明することが重要です。説明の内容は、記録に残します。説明をしても言動がエスカレートする場合は、手段や態様の相当性の問題として、会社の方針に沿って対応を中止します。
5-3. 弁護士・警察への相談と、再発の防止
相談する基準を事前に決めておくと、現場が「どこまで我慢するのか」で迷いません。緊急性が高いとき、つまり身の危険を感じたときは、すぐに警察へ連絡する、という原則を共有します。
再発の防止では、同じ顧客からの繰り返しの連絡を、担当者個人ではなく、会社の窓口で受ける運用への切り替えも考えられます。連絡の手段を書面やメールに限る、対応する担当者を指定する、といった取決めは、顧客への説明の方法を含め、弁護士などと確認して進めます。
06 WORKLOAD カスハラ対策を現場で回す事務の限界:受付・記録・報告が担当者に集中する 対策を作っても、毎日の受付と記録の事務が残ります
6-1. 受付・記録・報告を、担当者が手作業で回す負担
カスハラ対策の運用では、問い合わせの受付、内容の記録、上司への報告、対応履歴の整理が、日々発生します。電話やメールで受けた内容を、管理システムに転記し、過去の経緯を確認し、類似の事例と照らして、対応の方針を決める作業は、担当者の時間を大きく使います。
被害を受けている担当者ほど、記録を取る余裕がなくなります。感情的なやりとりの直後に、冷静に経緯を整理する作業は、負担が大きいため、記録が後回しになったり、抜け落ちたりします。記録が不十分だと、後から会社として判断するときに、事実が確認できません。
1〜3月の繁忙期は、入退去の連絡や、設備の不具合の問い合わせが集中します。通常の問い合わせの数が増える中で、カスハラの記録と報告まで手作業で回すのは、現実的に難しい状況です。事務員の採用や教育を急いでも、繁忙期には間に合わず、閑散期には人件費が残ります。
6-2. 管理システム・メール・電話メモの分散と属人化
入居者とのやりとりは、電話、メール、チャット、窓口での会話、管理システムのメモと、複数の場所に分かれて残ります。ある入居者から、何度も同じ要求が続いている状況でも、担当者ごとに記録が別々だと、全体像が分かりません。
また、対応が特定のベテラン担当者に集中していると、その担当者が休んだときや辞めたときに、経緯が失われます。システムを替えなくても、作業そのものを任せる道があります。次の章で、その仕組みを説明します。
07 AUTOMATE THE WORK AIで受付と記録の事務を自動化する:判断と対応は会社に残す 記録の整理と一次対応の事務を仕組みで回し、人は判断と対応に集中します
7-1. 「AIに聞いて早くする」と「毎回の作業を自動で回す」の違い
Claude Code/CodexなどのAIツールの使い方は、二つに分けられます。一つは、担当者が記録の文章をAIに整えてもらうなど、作業を早くする使い方です。ただし、資料を集めて入力する作業は、担当者が行うことになります。これが「効率化」です。
もう一つは、問い合わせのメールが届いたことを起点に、内容を整理し、管理システムの該当の入居者や物件へ記録を入力し、過去の経緯と並べ、確認が必要な点を一覧にして、承認待ちまで進める使い方です。毎日の作業をAIが自動で回します。これが「自動化」です。AIツールを使えば自動的にできるわけではなく、物件・オーナーごとの入力ルール、例外の扱い、品質確認を整えた運用が必要です。
AI社員AIKATA(運営は株式会社GENAI)は、事務員がパソコンで行っている業務を、AIと人の二重体制で受託する業務代行(BPO)サービスです。今の管理システムやポータルをそのまま使い、画面操作を含めて自動化します。問い合わせメールの一次対応や、更新・解約の事務処理などが、受託の対象に含まれます。
| これまで事務員がやっていた作業 | AIに任せた後の事務処理 | 会社に残る確認・判断 |
|---|---|---|
| 受けた問い合わせの内容を、管理システムへ転記します | 問い合わせメールの内容を整理して、記録の入力を進めます | カスハラに当たるかどうかの判断です |
| 過去の経緯を探して、並べます | 同じ入居者や物件の過去の記録を整理します | 対応の方針の決定です |
| 定型の問い合わせへ、一次対応をします | 定型の内容は、一次対応の事務を処理します | 強い言葉や要求を含む案件の対応と、個別の約束です |
| 上司への報告資料を作ります | 記録をもとに、報告用の一覧を作ります | 報告を受けた後の判断と指示です |
| 対応履歴を、契約や物件ごとに整理します | 履歴を整理して保管します | 弁護士・警察への相談の判断です |
📚 用語解説
BPO(業務代行):自社の業務の一部を、外部の事業者に継続的に任せる形態です。AI社員AIKATAは、事務員がパソコンで行っている業務を、AIと人の二重体制で受託します。判断や交渉は、委託元の会社に残ります。
7-2. 照合と例外を会社へ戻す型:カスハラの判断は会社に残す
たとえば、入居者からの問い合わせのメールを考えます。内容から、物件、部屋、用件の種類(設備の不具合、家賃、騒音など)を整理し、管理システムの記録に反映し、過去の同じ入居者の記録と並べるところまでは、定型の事務作業として整理できます。
一方で、強い言葉や、繰り返しの要求が含まれるメールは、AIが対応を決めるのではなく、「過去に同様の連絡が複数回あります」「脅迫的な表現が含まれる可能性があります」のように、理由を添えて、会社の担当者へ一覧にして戻します。会社が確認する内容がはっきりしていれば、記録を一から探す負担が減ります。
カスハラに当たるかどうかの判断、顧客への回答、対応の中止や警察への連絡は、AIが行いません。電話や窓口の対応そのものも、人が行います。記録が整理されたことと、対応の方針が決まったことは別であり、最終の確認と承認は会社が行います。
7-3. 宅建業法・賃貸住宅管理業法との線引き
重要事項説明と契約書面への記名は、宅地建物取引士が行います。賃貸住宅管理業法の業務管理者による管理・監督、オーナー・入居者との交渉や判断、法的な手続きは、会社が行います。AI社員AIKATAが担うのは、その前の事務作業、すなわち物件情報の入力・更新、書類の下準備、入金消込、問い合わせの一次対応、更新・解約の事務処理などです。
カスハラへの対応は、従業員の安全と、顧客の正当な権利の両方に関わる、会社の判断です。AIの整理した記録は、判断の材料になりますが、判断そのものを代わりに行うものではありません。弁護士や警察への相談の要否も、会社が決めます。システムでもAIでも、この責任の所在は変わりません。
カスハラに当たるかどうかの判断、顧客への回答、対応の中止、従業員の安全確保、弁護士・警察への相談は、会社が行います。AI社員AIKATAは、これらの判断や交渉を引き受けず、問い合わせの受付、記録の入力、履歴の整理などの事務作業を受託します。
08 BUILD OR DELEGATE 自分たちで作るか、任せるか:カスハラ対応まわりの受付・記録の事務を誰が回すのか 増員・外注・自作で会社に残る負担を確認します
8-1. 増員・外注・自作では、繁忙期のカスハラ対応まわりの受付・記録の事務は片づかない
4つのうち3つは、会社の悩みを別の悩みに置き換えるだけです。問い合わせの受付と記録の入力・履歴の整理を毎日回す負担を会社から手放したい場合の、四つの進め方を並べます。システムの乗り換えは、第10章の比較で扱います。
| 選択肢 | よくある期待 | 実際に行き詰まる所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ①事務員を増やす | 入力を分担すれば繁忙期を越えられると期待します | 採用・教育が繁忙期に間に合わず、閑散期の人件費と属人化が残ります | ✕ |
| ②従来型の外注・BPO | 作業を外へ出せば社内が空くと期待します | 物件・オーナーごとの条件の説明、例外の確認、差戻しの手直しを会社が回し続けます | ✕ |
| ③社内でAIを自作する | AIツールがあれば自動で処理できると期待します | ルールの言語化、検証、改修が必要で、作った人しか直せない状態が生まれます | ✕ |
| ④AI社員AIKATAに任せる | 今のシステムのまま事務を手放します | AI社員AIKATAが構築・運用し、人が品質チェックします。会社は最終確認と承認を行います | ◎ |
8-2. ①増員と②外注で残る、教育・説明・手直し
増員の計画では、採用できる時期に加えて、単独で処理できるようになるまでの確認の負担が問題になります。新しい社員が入力した内容を既存の担当者が全件やり直す状態では、繁忙期の負荷が一時的に増えることもあります。書類の読み方や入力の癖が個人の記憶だけに残れば、引継ぎのたびに同じ教育が必要です。
従来型の外注でも、作業の手順を会社が詳しく切り出し、変更のたびに説明し直す運用では、担当者は外注先への指示を管理する仕事を続けます。物件ごとの例外が増えると、確認の往復が滞留するため、件数を増やせば処理が進むとは限りません。
8-3. ③自作は、第二の属人化を会社の中につくる
自作では、物件種別やオーナーごとのルールを文章にし、例外を分類し、処理結果の正しさを確かめる必要があります。画面の表示が変わったとき、書類の雛形が変わったときには、仕組みを確認して更新します。最初に一度動いたことだけでは、その後の業務を任せ続ける根拠になりません。
この保守を担当する社員が限られると、従来の「ベテラン事務員しか分からない」に加えて、「自動化を作った人しか直せない」という第二の属人化が生まれます。エラーのときに何が処理済みかも分からなければ、会社は二重処理を避けるために、元の書類から確認し直すことになります。
09 AIKATA FOR REAL ESTATE AI社員AIKATAが、今のシステムでカスハラ対応まわりの受付・記録の事務を丸ごと受託する AIと人の二重体制で処理し、最終確認と承認は会社が行います
9-1. 業態を問わず、業務単位で任せる範囲を決める
AI社員AIKATA(運営は株式会社GENAI)は、物件情報の入力・更新、募集図面(マイソク)作成の下準備、契約書類の下準備、家賃管理・入金消込、問い合わせメールの一次対応、更新・解約の事務処理などを受託する業務代行(BPO)サービスです。事務員がパソコンで行っている業務を、AIと人の二重体制で丸ごと引き受けます。
賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、分譲など業態を問わず、業務単位で受託の可否を決めます。特定のシステムに限定せず、今の管理システムやポータルサイトをそのまま使い、画面操作を含めて自動化するため、システムの乗り換えは要りません。特定のソフト会社との提携や、あらゆる機能の無条件な利用を意味するものではありません。
9-2. 操作画面から業務を分解し、AIと人で品質を確認する
AI社員AIKATAは、引継ぎの際に事務員の方の操作画面を見ながら業務を分解・整理します。物件種別や取引形態ごとの入力ルールを仕組みに落とし込み、担当者の経験や繁忙度に左右されない処理を進めます。仕組みの構築・運用はAI社員AIKATAが行うため、会社にAIの知識は要りません。
AIの処理結果は人が品質チェックし、最終確認と承認を会社が行います。会社の日々の作業は、原則として入力済みの物件情報や作成済みの書類を確認・承認する形になります。AI社員AIKATAを使う不動産会社では、物件・取引ごとのルールを仕組みに落とし込み、AIの結果を人が品質チェックしてから、会社が最終承認する形で運用しています。
9-3. 繁忙期・個人情報・物理的な工程の扱い
AI社員AIKATAは、繁忙期の1〜3月も、人を採用・教育せずに処理量を増やせる体制です。料金は月額の定額で、業務量が増えても変わりません。辞めない・休まない・業務が止まらない点も、属人化を避けたい管理会社には要点になります。
個人情報や契約条件については、NDAを結び、入居者・オーナーの情報の受渡しと保管のルールを会社の規程に合わせて決めます。一方、郵送物の受取り、押印、現物の受渡しなど、人が物理的に動く工程は自動化しきれません。宅建士による重要事項説明・契約書面への記名、経営判断や交渉は、会社が行います。
出典:AI社員AIKATA「不動産会社向け業務代行」(2026年10月30日確認)。
10 COMPARISON 残る道は「作業そのものを任せる」だけ 会社が事務の実行と仕組みの維持を手放すという目的で比べます
カスハラ対策は、方針と相談体制を整えるだけでは回りません。そのうえで、管理会社が向き合っている課題が「受付と記録の事務が担当者に集中している」ことなら、仕組みを作るだけでなく、事務を引き受ける体制まで決める必要があります。
次の比較は、手作業のまま続ける方法、システムの追加・乗り換え、AI社員AIKATAに任せる方法を、事務の実行負担という観点で整理したものです。記号は個別製品の性能や法令対応の優劣を採点するものではありません。
| 比較項目 | 手作業のまま | システムの追加・乗り換え | AI社員AIKATAに任せる |
|---|---|---|---|
| 繁忙期の負荷 | ✕ 入力・照合が担当者へ集中します | △ 操作・設定・確認を会社が回します | ◎ 採用・教育せずに処理量を増やせます |
| 物件やオーナーごとのルール | ✕ 記憶や個別メモに依存します | △ ルールの登録と運用を会社が抱えます | ◎ 物件・取引ごとのルールを仕組みに落とし込みます |
| 入居者とオーナーへの対応の速さ | ✕ 資料整理と転記が回答前に残ります | △ 操作する人と承認者の進行に左右されます | ○ 一次対応や下準備を任せ、会社が判断します |
| 事務員の採用と教育 | ✕ 業務量に応じて人の確保が必要です | △ 操作教育と運用担当が会社に残ります | ◎ 受託事務の構築・運用をAI社員AIKATAが担います |
| 宅建業法の線引き | △ 事務と独占業務を会社が分けます | △ 導入後も会社が役割を設計します | ○ 独占業務は受託せず、会社の宅建士が行います |
10-1. AI社員AIKATAが選ばれる5つの理由
増員・外注・自作・乗り換えは、どれも会社が人か仕組みを抱え続けます。ここで挙げた選択肢のうち、会社が抱え続けずに作業を手放せる道は、AI社員AIKATAに任せることだけです。外注も作業を外へ出す手段ですが、説明と手直しが会社に残る点が違います。ここでいう作業は、受託対象となる日々の事務です。会社は、入居者とオーナーに向き合う判断・交渉、宅建士の専門業務、最終確認と承認に集中します。
11 NEXT ACTION 次の繁忙期を、事務員を増やさずに越える準備を始めませんか 人を増やす・システムを替えると決める前に、任せる業務を整理します
11-1. 無料相談で、どの事務から任せられるかを決める
人を増やす・システムを替えると決める前に、カスハラ対応まわりの受付・記録の事務のどこから任せられるかを確認しませんか。AI社員AIKATAの無料相談は60分、オンラインのGoogle Meetで行います。全国に対応し、業務の棚卸しと、どこまで任せられるかをその場で整理します。相談による契約の義務はありません。
繰り返している操作、物件やオーナーごとの違い、繁忙期に集中する仕事が分かると、相談を具体的に進められます。受託の可否は業務単位で確認し、会社が承認する内容と、宅建士・管理者が担う仕事を分けます。
事務員を増やす・外注する・AIを自作する・管理システムを替える——どの道を選んでも、入力・書類づくり・入金の照合・問い合わせの一次対応か、それを回す人と仕組みが会社に残り続けます。
AI社員AIKATAなら、いまお使いの管理システム・ポータルサイトはそのまま、物件や取引ごとのルールも登録して処理し、会社に残るのは仕上がりの確認と承認だけです。どの業務から任せられるかは、無料相談(60分・オンライン)でその場で整理します。
NEXT STEP
管理業務の事務作業を、
AI社員に任せてみませんか?
12 FAQ カスハラ対策でよくある質問 制度の要点、既存システム、法令、受託の範囲を確認します
Q. カスタマーハラスメントとは何ですか?
A. 厚生労働省のマニュアルでは、顧客等からのクレーム・言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、労働者の就業環境が害されるもの、とされています。要求の内容と、手段・態様の二つの軸で判断します。
Q. 賃貸管理会社では、どんなカスハラが懸念されますか?
A. 家賃の督促時に怒鳴られる、脅迫される、緊急性のない用件で深夜や早朝の対応を求められる、入居者がつけた傷や汚れの無償修繕を強く要求される、担当者や会社名を挙げてSNSで誹謗中傷されるなどが懸念されます。オーナーからの執拗な連絡や、契約の範囲を超える要求も、手段によってはカスハラに当たり得ます。
Q. 東京都のカスハラ防止条例では、事業者に何が求められますか?
A. 東京都の条例は2025年4月に施行されました。事業者には、カスハラ防止に主体的かつ積極的に取り組み、被害を受けた就業者の安全を確保し、加害者に中止を求めるなどの適切な措置を講じることが求められます。同時に、顧客などの権利を不当に侵害しないことも定められています。詳細は東京都の公式資料で確認してください。
Q. カスハラ対策は法律で義務になっていますか?
A. 改正された労働施策総合推進法により、カスハラ防止のための雇用管理上の措置は事業主の義務とされ、施行日は公布から1年6か月以内で政令で定める日とされています。方針の明確化と周知・啓発、相談体制の整備、発生後の迅速かつ適切な対応が柱です。施行日や措置の詳細は、厚生労働省の公式資料で最新の内容を確認してください。
Q. 会社は、カスハラ対策として何から始めればよいですか?
A. 基本方針の明確化と周知、相談窓口と担当者の設置、判断基準と対応手順をまとめたマニュアルの整備から始めます。被害を受けた従業員への配慮や、弁護士・警察へ相談する基準も、あわせて決めます。相談者のプライバシー保護と、相談による不利益取扱いの禁止も明文化します。
Q. 正当なクレームとカスハラは、どう見分けますか?
A. 要求の内容に妥当性があるかと、手段・態様が社会通念上相当かの二つで判断します。内容が妥当でも、暴力的・威圧的な手段であればカスハラに当たり得ます。反対に、強い口調でも、会社に過失があり、要求に根拠があれば、誠実に対応すべき正当なクレームの場合もあります。正当なクレームを制限しないよう、判断は会社として行います。
Q. 宅建業法上、AIに任せて問題ありませんか?
A. AIに任せる事務と、宅建士が行う業務を分ける必要があります。AI社員AIKATAは重要事項説明や35条・37条書面への記名などの独占業務を引き受けません。書類の下準備などの事務を受託し、会社の宅建士が必要な確認と業務を行います。会社の交渉・判断、業務管理者の管理・監督も残ります。
Q. 今の管理システムのままで使えますか?
A. AI社員AIKATAは特定のシステムに限定せず、今の管理システムやポータルを使い、画面操作を含めて事務を自動化します。乗り換えは不要です。受託できる範囲は実際の業務単位で決めるため、無料相談で普段の作業と使用するシステムを整理します。
Q. マニュアルがなく、AIにも詳しくありません。相談できますか?
A. はい。AI社員AIKATAは事務員の方の操作画面を見ながら業務を分解・整理します。マニュアルがなくてもよく、仕組みの構築・運用はAI社員AIKATAが行います。会社にAIの知識は不要です。
Q. 入居者やオーナーの個人情報はどう扱いますか?
A. AI社員AIKATAはNDAを結び、個人情報や契約条件の受渡し・保管のルールを会社の規程に合わせて決めます。会社側も共有範囲や担当者を整理します。委託をしても、会社に必要な安全管理や委託先の監督がなくなるわけではありません。
Q. 無料相談では何を整理でき、契約は必要ですか?
A. 60分のオンライン相談で、業務を棚卸しし、どの業務からどこまで任せられるかを整理します。Google Meetを使い、全国に対応します。相談による契約の義務はありません。
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