【2026年10月最新】残業代の計算方法を社労士事務所向けに解説|割増率・基礎賃金・勤務形態別の計算と給与計算の手作業をAIに任せる方法
01 ANSWER FIRST 残業代は「基礎賃金×割増率×時間数」で、事務所の仕事は基礎賃金と時間数の確定です
残業代の計算式は、1時間あたりの基礎賃金に割増率と対象の時間数を掛ける形です。時間外労働と深夜労働は25%以上、法定休日の労働は35%以上、月60時間を超える時間外労働は50%以上の割増率が基本です。月60時間超の50%は、中小企業も2023年4月から適用されています。数字そのものは難しくありません。
社労士事務所で手間がかかるのは、その手前です。顧問先ごとに、どの手当が基礎賃金に入るのか、所定労働時間は何時間か、法定休日はいつか、勤務形態は変形労働時間制かフレックスタイム制か、といった前提を確定する必要があります。前提が顧問先ごとに違うため、同じ式を使っても、確認する資料と注意点は毎回変わります。
本記事では、所長・管理者・職員の方に向けて、残業代の計算方法を事務所が顧問先を点検する順番で整理します。後半では、AI社員AIKATAが勤怠集計・給与計算などの事務作業を引き受け、先生方が判断と最終確認を担う分担を説明します。個別の法的判断が必要な案件は、事務所の判断事項として残します。
出典:厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」(2026年10月確認)。
02 OFFICE PRACTICE 法定労働時間・割増率・基礎賃金・勤務形態を、事務所の確認順に整理します
2-1. 残業とは何かを、法定労働時間と所定労働時間で分けます
📚 用語解説
法定労働時間:労働基準法が定める労働時間の上限で、原則として1日8時間・1週40時間です。これを超えて働かせるには、36協定の締結と届出が必要で、超えた部分には割増賃金を支払います。
📚 用語解説
所定労働時間:就業規則や雇用契約で、会社が個別に定めた始業から終業までの労働時間(休憩を除く)です。法定労働時間以内で定める必要があります。
残業は大きく2種類に分けて確認します。法定労働時間を超える「法定時間外労働」と、所定労働時間は超えるが法定労働時間の範囲内にとどまる「法定内残業(法内残業)」です。割増賃金の支払いが法律上必要なのは前者です。後者は、就業規則に別段の定めがなければ、通常の賃金の考え方で支払う顧問先が多い部分です。
例えば所定労働時間が1日7時間の顧問先で、ある日に8時間働いた場合、7時間を超えた1時間は法内残業です。割増は不要ですが、その1時間分の賃金は発生します。さらに1時間働いて合計9時間になれば、8時間を超えた1時間が法定時間外労働で、25%以上の割増を掛けます。同じ「残業1時間」でも、扱いが変わります。
1週間の法定労働時間は40時間です。ただし、常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業では、週44時間とする特例があります。特例の対象かどうかは業種と人数で決まるため、顧問先の業種を登録した情報と実際の事業内容を照合します。
1日の法定労働時間は、日をまたぐ勤務でも始業時刻を含む日の勤務として数えます。1週の起算日は就業規則に定めがなければ日曜日からとなるため、週の区切りをどこに置いているかで、同じ勤務実績でも週40時間を超える日が変わります。勤怠システムの週の起算日設定と、就業規則の記載が合っているかを最初に見ます。
出典:厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」法定労働時間と休憩・休日の説明(2026年10月確認)。
2-2. 割増率は、時間外・休日・深夜と60時間超で決まります
割増率の基本は次のとおりです。法定時間外労働は25%以上、法定休日の労働は35%以上、午後10時から午前5時までの深夜労働は25%以上です。月60時間を超える法定時間外労働は50%以上となります。中小企業に認められていた猶予は、2023年4月に終わっています。顧問先が中小企業であっても、60時間を超える部分の率は50%以上で計算します。
60時間の判定には、法定休日に行った労働の時間は含めません。一方、法定外休日(週休2日制の土曜日など)に行った労働は、週40時間を超えていれば通常の時間外労働として数えます。法定休日労働は時間外労働とは別枠で、35%以上の率だけを掛けます。休日労働の時間を時間外労働の時間にも入れて、25%と35%を重ねて計算する誤りに注意します。
| 労働の種類 | 割増率(以上) | 事務所が確認する点 |
|---|---|---|
| 法定時間外労働(月60時間以内) | 25% | 法定労働時間を超えた時間か、法内残業ではないかを確認します。 |
| 法定時間外労働(月60時間超) | 50% | 60時間の起算日、法定休日労働を含めていないかを確認します。 |
| 法定休日の労働 | 35% | 就業規則で法定休日が特定されているか、暦日で数えているかを確認します。 |
| 深夜労働(午後10時~午前5時) | 25% | 時間外・休日と重なる時間の率を足し合わせているかを確認します。 |
| 時間外労働+深夜労働 | 50%(25%+25%) | 深夜の時間帯に法定時間外労働が重なった分に適用します。 |
| 月60時間超の時間外労働+深夜労働 | 75%(50%+25%) | 60時間を超えた後の深夜時間を分けて集計しているかを確認します。 |
| 法定休日の労働+深夜労働 | 60%(35%+25%) | 休日の深夜は、時間外の率を足さず休日の率に深夜を足します。 |
出典:厚生労働省「割増賃金を計算する際の基礎となる賃金は何か」(2026年10月確認)。
2-3. 組み合わせ計算は、時間帯ごとに分けて集計します
📚 用語解説
割増率の重複:深夜労働が時間外労働や休日労働と重なる場合に、それぞれの率を足し合わせて計算する取扱いです。時間外と休日が重なることは、法定休日の労働が時間外労働にならないため、通常ありません。
1日のうちに通常の時間、時間外の時間、深夜の時間が混在する場合は、勤務を時間帯に区切って集計します。始業9時、終業翌日の1時のような勤務なら、所定労働時間を終えた後の22時までが時間外のみの時間、22時から翌1時までが時間外と深夜が重なる時間、という整理です。時間外のみの時間には25%、重なる時間には50%を掛けます。
月の途中で60時間に達した場合は、達した時点より後の時間外労働に50%を掛けます。達した日の途中で超える場合は、その日の勤務を超えた分とそれまでの分に分けます。そのうえで、超えた時間のうち深夜帯に当たる部分は75%の率になります。勤怠の集計表に「時間外(60時間以内)」「時間外(60時間超)」「深夜」「法定休日」「休日深夜」の列を分けておくと、率の取り違いを避けられます。
倍率の考え方を、金額を置かずに確認します。1時間あたりの基礎賃金を1.00とすると、月60時間以内の時間外労働1時間は、通常の賃金1.00に割増0.25を加えた1.25です。月60時間超なら1.50、深夜が重なれば0.25を足して1.75です。法定休日の労働は1.35、休日の深夜は1.60です。倍率で整理しておくと、顧問先に金額を伝える前に構造を共有できます。
2-4. 基礎賃金は、1時間あたりの賃金に直して求めます
基礎賃金は、割増賃金の基礎となる賃金を、月給・日給・時給など支払形態ごとに1時間当たりの額へ換算して求めます。月給制では月給(のうち算入する賃金)を月平均所定労働時間数で割ります。日給制では日給を1日の所定労働時間数で割ります。時給制では時給がそのまま基礎になりますが、時給に加えて算入する手当があれば、それも時間当たりに直して足します。
月平均所定労働時間数は、年間の所定労働日数に1日の所定労働時間を掛け、12で割って求めます。例えば年間休日が120日で、1日の所定労働時間が8時間の顧問先なら、年間の所定労働日数は365日から120日を引いた245日、年間の所定労働時間は1,960時間、月平均は約163.3時間です。月ごとの日数で割る方法は、月によって単価が変わってしまうため、原則として使いません。
年間休日の数え方も確認します。年末年始休暇や夏季休暇を休日に含めているか、閏年を使うかで結果が変わるため、就業規則の記載に合わせます。計算した月平均所定労働時間数は顧問先ごとに一度確定し、給与ソフトの設定に登録して、改定時に更新する管理が現実的です。登録値と就業規則がずれていないか、事務所の定期点検の項目に入れます。
出典:厚生労働省「割増賃金を計算する際の基礎となる賃金は何か」月給制の換算(2026年10月確認)。
2-5. 基礎賃金に入る手当と、除外できる手当を名称でなく実質で分けます
📚 用語解説
除外賃金:割増賃金の基礎から除くことが認められた賃金です。家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類に限られ、例示ではなく限定列挙です。
7種類の除外賃金は、名称ではなく実質で判断します。家族手当は、扶養家族の人数に応じて支給するものであれば除外できますが、家族の有無にかかわらず一律に支給する手当は除外できません。通勤手当も、距離や費用に応じて支給するものは除外できますが、距離に関係なく全員一律のものは基礎賃金に入ります。住宅手当は、住宅に要する費用に応じて算定するものに限り除外できます。
臨時に支払われた賃金は、結婚祝金のように突発的・不確定に支払われるものです。1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賞与や、算定期間が1か月を超える精勤手当などです。毎月支払う手当を、賞与と名づけて年に数回に分けても、実質で判断すれば除外されない場合があります。給与規程の手当の定義を読み、支給条件を確認します。
一方、基本給、役職手当、資格手当、皆勤手当、営業手当などは、除外賃金に当たらず基礎賃金に入ります。皆勤手当を残業代の基礎から外している顧問先は、点検で気づくことが多い項目です。在宅勤務手当についても、通達で取扱いの整理が示されているため、実費弁償として支給されているかどうかを確認し、取扱いを事務所として決めておきます。
| 手当の例 | 基礎賃金への算入 | 確認する支給の実質 |
|---|---|---|
| 役職手当・資格手当・皆勤手当 | 算入します | 名称が何であれ、労働の対価として毎月支給されているかを確認します。 |
| 家族手当 | 実質で除外できる場合があります | 扶養家族の人数に応じた支給か、一律支給かを確認します。 |
| 通勤手当 | 実質で除外できる場合があります | 距離・費用に応じた額か、一律額かを確認します。 |
| 住宅手当 | 実質で除外できる場合があります | 住宅に要する費用に応じて算定しているかを確認します。 |
| 賞与 | 1か月を超える期間ごとの支払なら除外できます | 支給額が前もって確定していないか、年俸制の分割ではないかを確認します。 |
出典:厚生労働省「割増賃金を計算する際の基礎となる賃金は何か」除外賃金の解説(2026年10月確認)。
2-6. 月給制・日給制・時給制・週給制の計算の違いを整理します
月給制は、算入する賃金の合計を月平均所定労働時間数で割ります。基本給に加え、算入する手当をすべて足した額が分子です。月給制では、法定時間外の時間に対応する賃金は月給に含まれていないため、その時間には基礎賃金の1.25倍(月60時間以内の場合)を掛けます。
日給制は、日給を1日の所定労働時間数で割り、1日の所定労働時間が日によって違う場合は、1週間における1日平均の所定労働時間で割ります。週給制は、週給を週の所定労働時間で割ります。日によって所定労働時間が異なるパート・アルバイトの顧問先では、1日平均を使う根拠の資料を残します。
時給制は時給がそのまま基礎賃金です。ただし、時給の他に皆勤手当などを支給している場合、その手当を月平均所定労働時間数で割って時給に加えます。月給と日給が混在するなど、支払形態を組み合わせている場合は、それぞれを時間当たりに直して合計し、基礎賃金とします。
出来高払制その他の請負制は、賃金総額をその賃金算定期間の総労働時間数で割った額が基礎で、割増部分に当たる0.25(休日は0.35)を掛けます。これは、時間外労働の部分にも通常の賃金に当たる額がすでに歩合として支払われているためです。後述の歩合給の項目でも、この考え方を確認します。
2-7. 年俸制・歩合給制・固定残業代は、実質と区分の確認が要です
年俸制でも、時間外・休日・深夜の割増賃金は支払が必要です。年俸を12等分、または賞与を含む16等分などにして支払っている場合も同様です。年俸額のうち賞与として前もって額が確定しているものは、臨時に支払われた賃金や1か月を超える期間ごとの賃金に当たらず、基礎賃金に算入して計算する整理が示されています。年俸の内訳を契約書で確認します。
歩合給は、歩合給の総額を、その期間の総労働時間数で割った額が基礎になります。この額には時間外労働の部分の通常賃金に当たる分がすでに含まれているため、時間外の割増部分として掛けるのは0.25(休日は0.35、深夜は0.25)です。歩合給が固定給と併存する場合は、固定給の部分と歩合給の部分を別々に計算して合計します。
固定残業代(みなし残業代)は、一定時間分の残業代を、毎月定額で支払う制度です。有効と扱うには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と、割増賃金に当たる部分が明確に区別され、何時間分の残業代なのかが分かること、固定分を超えた残業には超過分を追加で支払うことが必要です。区分が書面にない、時間数が分からない、超過分を支払っていないといった状態では、固定残業代として認められないおそれがあります。
固定残業代の点検では、雇用契約書や労働条件通知書、給与規程の記載、給与明細の内訳表示の3つを見ます。求人票の表示と実際の運用が一致しているかも確認します。手当名が「営業手当」で、内訳の説明がない場合は、残業代の趣旨を持つ支給と認められるかを、先生方が判断する対象に回します。
出典:厚生労働省「割増賃金を計算する際の基礎となる賃金は何か」(2026年10月確認)。
2-8. 変形労働時間制・フレックスタイム制では、時間外の判定が変わります
1か月または1年単位の変形労働時間制では、あらかじめ特定した日・週に、法定労働時間を超えて労働させることができます。時間外労働の判定は、1日、1週、変形期間全体の順に行います。1日は、8時間を超える所定労働時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えた部分が時間外です。1週も同様に判定し、最後に変形期間の総枠を超えた部分を数えます。
変形労働時間制では、シフトを事前に特定していること、期間途中での一方的な変更が原則できないことが前提です。シフトを直前に変更している顧問先や、勤務割が確定していない顧問先では、制度の適用そのものが否定されるおそれがあります。この場合の残業代の再計算は、金額への影響が大きくなるため、先生方に確認を依頼します。
フレックスタイム制では、清算期間を通じて、法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働です。総枠は、週の法定労働時間40時間に清算期間の暦日数を掛け、7で割って求めます。清算期間が1か月で、暦日数が31日なら約177.1時間、30日なら約171.4時間です。清算期間が1か月を超える場合は、各月の週平均50時間を超えた時間も、その月の時間外労働として数えます。
清算期間の終了時点で総労働時間が総枠を超えていれば、超えた分は時間外労働として割増賃金を支払います。不足していれば、賃金の控除、または次の清算期間への繰越しが可能ですが、繰越しには法定の上限があります。フレックスタイム制の顧問先では、コアタイムの有無ではなく、労使協定の内容と清算期間の定めを先に確認し、勤怠の集計列を清算期間に合わせて設計します。
出典:厚生労働省「フレックスタイム制:多様で柔軟な働き方」(2026年10月確認)。
2-9. 裁量労働制・管理職・みなし労働時間制では、割増の対象を分けます
専門業務型・企画業務型の裁量労働制では、実際に働いた時間にかかわらず、労使協定や労使委員会の決議で定めた時間を労働したものとみなします。みなし時間が法定労働時間を超えて設定されていれば、その超過分には時間外の割増が必要です。また、休日労働と深夜労働は、みなし時間とは別に、実際の時間に応じて割増賃金を支払う必要があります。
労働基準法41条2号の管理監督者には、労働時間・休憩・休日の規定が適用されないため、時間外・休日の割増賃金は不要です。ただし深夜労働の割増賃金は、管理監督者でも必要です。管理監督者に当たるかは、役職名ではなく、経営者と一体的な立場で、出退勤の自由があり、地位にふさわしい待遇を受けているかの実態で判断されます。店長などの肩書だけで判断せず、先生方の判断に回す資料を整えます。
事業場外で働き、労働時間を算定しがたい場合のみなし労働時間制も、通常所定労働時間を労働したものとみなします。ただし、そのまま所定労働時間とみなすのは、その業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要でない場合に限られます。外回りの営業職でスマートフォンなどで勤務状況を把握できる場合は、制度の適用が難しくなることもあるため、運用の実態を聞き取ります。
| 勤務形態 | 時間外の判定の基準 | 別に割増が必要な時間 |
|---|---|---|
| 固定時間制(原則) | 1日8時間・1週40時間を超えた時間 | 法定休日の労働、深夜労働。 |
| 変形労働時間制 | 特定した所定労働時間と変形期間の総枠を超えた時間 | 法定休日の労働、深夜労働。 |
| フレックスタイム制 | 清算期間の法定労働時間の総枠を超えた時間 | 法定休日の労働、深夜労働。 |
| 裁量労働制 | みなし時間が法定労働時間を超える部分 | 法定休日の労働、深夜労働は実時間で計算します。 |
| 管理監督者 | 時間外・休日の割増は不要 | 深夜労働の割増は必要です。 |
2-10. 36協定と時間外労働の上限規制を、計算と同時に確認します
📚 用語解説
36協定:労働基準法36条に基づく、時間外労働・休日労働に関する労使協定です。労働基準監督署への届出が必要で、締結と届出のないまま法定労働時間を超えて働かせることはできません。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。臨時的な特別の事情があり、労使が合意した特別条項付きの36協定を結ぶ場合でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は単月で100時間未満、2か月から6か月の平均で80時間以内とする必要があります。月45時間を超えられるのは年6か月までです。
この単月100時間未満と複数月平均80時間以内の上限は、休日労働を含めて数える点に注意します。時間外労働が44時間でも、休日労働が56時間あれば合計100時間となり、上限を満たしません。残業代の集計表に、時間外のみの時間、休日の時間、合計時間の3列を持たせ、毎月の上限判定の根拠を残すと、割増の計算と同じ資料で確認できます。
36協定の様式、届出日、有効期間も、顧問先ごとに確認します。有効期間の更新が漏れていると、期間の外で時間外労働をさせたことになります。協定の届出と更新は、社労士の1号業務である行政機関への届出にかかわるため、先生方の業務として管理し、勤怠集計は事務作業として切り分けます。
出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(2026年10月確認)。
2-11. 端数処理は、1分単位が原則で、例外は限られます
労働時間は、1日ごとに1分単位で計算するのが原則です。1日の労働時間を15分単位で切り捨てたり、遅刻は1分から切り上げて控除しながら残業は15分未満を切り捨てたりする運用は、賃金の全額払いの原則に反するおそれがあります。タイムカードの打刻をまとめて丸める設定になっていないか、勤怠システムの設定を確認します。
通達で認められている例外は限られます。1か月の時間外労働・休日労働・深夜労働のそれぞれの合計時間数に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることは認められます。また、1時間当たりの賃金額や割増賃金額に円未満の端数が出たときに、50銭未満を切り捨て、50銭以上を切り上げることも認められます。1か月の賃金支払額に端数が出たときの処理も、一定の方法が認められています。
重要なのは、端数処理の方法を就業規則や給与規程に定め、毎月同じ方法で行うことです。月によって切り捨てと切り上げを使い分けたり、従業員に不利な方向だけ処理したりする運用は、点検で指摘を受けやすい項目です。給与ソフトの端数設定と、規程の記載を並べて確認する項目を、事務所の点検表に入れます。
30分未満切り捨て・30分以上切り上げは、1か月の合計時間数に対して認められた方法です。毎日の勤務時間に適用すると、認められた範囲を超えます。勤怠システムの丸め設定が日次か月次かを確認します。
2-12. 代休・振替休日・休日出勤の違いで、割増の要否が変わります
振替休日は、あらかじめ休日と労働日を入れ替える手続きです。事前に就業規則の定めに基づいて振り替えれば、元の休日は労働日となり、休日労働の割増は不要です。ただし、振替によって週40時間を超える週が生じれば、その超えた時間は時間外労働として25%以上の割増が必要です。
代休は、休日労働が行われた後に、別の日を休みとする手続きです。休日に労働した事実は残るため、法定休日に労働したなら35%以上の割増賃金の支払いが必要です。代休を取らせた日の賃金を控除する場合も、控除できるのは休日労働の通常賃金に当たる部分で、割増部分は別に支払います。この違いは、顧問先で最も誤解が多い項目の一つです。
法定休日と法定外休日の区別も、計算に影響します。法定休日は、週に1日、または4週を通じて4日の休日です。就業規則に法定休日を特定していない場合は、暦週の最後の休日が法定休日と整理される場面があります。週休2日制の顧問先で、土曜日と日曜日のどちらが法定休日なのかを記載していなければ、規程の整備を先生方へ提案する材料になります。
出典:厚生労働省「時間外・休日労働と割増賃金」休日の考え方(2026年10月確認)。
2-13. 60時間超の代替休暇と、時間外に当たるかの判断が分かれる時間です
月60時間を超える時間外労働については、労使協定を結べば、引き上げられた割増賃金の分を有給の休暇に代えられる代替休暇の制度があります。60時間超の50%と通常の25%の差である25%分に当たる時間を、休暇として与える仕組みです。導入する場合は、労使協定の内容、休暇の単位、取得期限を確認します。
労働時間に当たるかどうかが問題になる時間も、点検で必ず確認します。始業前の準備や終業後の清掃、制服への着替えが業務上義務づけられている場合、朝礼や研修への参加が事実上強制されている場合、待機時間でも業務にすぐ就くことが求められている場合は、労働時間に当たる可能性があります。自己啓発として任意で参加する時間と区別するため、義務づけの有無を顧問先に確認します。
持ち帰り残業、移動時間、出張先での時間、テレワークの勤務時間も、実態を確認する対象です。勤怠の記録がない時間に実際の業務があれば、その時間の賃金が未払いになるリスクがあります。使用者には労働時間を適正に把握する責務があり、自己申告制を使う場合は、実態との乖離を確認する仕組みも必要です。
2-14. 時効・未払い・記録保存と、労働基準監督署の調査への備えです
賃金請求権の消滅時効は、2020年4月の労働基準法改正で5年となりました。ただし経過措置により、当分の間は3年とされています。退職金の請求権は5年です。2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金が対象で、時効は支払期日から数えます。未払いの残業代の点検では、直近3年分を一つの目安にして、それより前の期間は先生方が顧問先と範囲を相談します。
賃金台帳、労働者名簿、出勤簿などの労働関係の重要書類は、保存期間が5年とされていますが、こちらも経過措置で当分の間は3年です。保存期間の起算日は、記録の完結の日などで、書類ごとに違います。タイムカードなどの勤怠記録の保存場所と期間を顧問先と確認し、保存の担当者が変わっても記録が残る形にします。
労働基準監督署の調査では、賃金台帳、出勤簿、36協定、就業規則、労働条件通知書などの提出を求められます。残業代の未払いが見つかれば、是正勧告を受け、過去の期間にさかのぼって支払うよう求められることがあります。事務所が日頃から、計算の根拠資料を顧問先ごとにまとめておくことで、調査時の説明と再計算の負担を抑えられます。
出典:厚生労働省「賃金請求権の消滅時効は、どのように変更されたのでしょうか?」(2026年10月確認)。
出典:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」(2026年10月確認)。
2-15. 計算ミスを防ぐ点検のコツと、未払いが見つかった場合の動き方です
計算ミスの原因は、大きく4つに分かれます。基礎賃金に算入すべき手当の算入漏れ、割増率の取り違い、所定労働時間や月平均所定労働時間数の登録誤り、勤怠データの丸めや集計の誤りです。事務所の点検表を、この4つの原因に対応させて作ると、見る順番が揃います。
勤怠システムを使っている顧問先でも、システムの設定そのものが誤っていれば、全員分が誤ります。法定休日の設定、深夜帯の設定、週の起算日、60時間の起算日、丸め設定の5つは、導入時と就業規則の改定時に必ず確認します。給与ソフトの手当マスターで、割増の基礎に含めるかのフラグが、規程と合っているかも点検します。
未払いが見つかった場合は、顧問先に対して、範囲の確定、再計算、支払い方法、従業員への説明の順で進めます。範囲の確定と、従業員への説明の方針は、顧問先との関係に影響するため、先生方が判断します。再計算そのものは、条件が確定すれば機械的な事務作業になります。
Excelで計算表を作っている事務所は、基礎賃金の算出、時間の集計、率の適用を別のシートに分けると、どこで差が出たかを追えます。氏名ではなく従業員番号で照合し、手当の改定や等級の変更は履歴として残します。数式を上書きしたセルがあると、他の従業員にも同じ誤りが広がるため、シートの保護と、月次の差分確認を習慣にします。
2-16. 残業代計算の基本となる3つの要素と、計算例・計算事例の組み立て方
残業代計算の基本となる要素は、基礎賃金、割増率、残業時間の3つです。残業時間は、法定内残業と法定外残業(法定時間外労働)、休日労働、深夜労働に分けて数えます。割増賃金の名称は「時間外手当」「残業手当」「休日手当」「深夜手当」などと顧問先で異なりますが、法律上の区分に読み替えて確認します。残業代(手当)と時間外手当は、同じ意味で使う顧問先もあれば、固定残業代まで含めて残業代と呼ぶ顧問先もあるため、規程の用語の定義を先に確認します。
労働時間別の計算例として、倍率で組み立ててみます。月の法定時間外労働が70時間、うち深夜に当たる時間が6時間で、60時間を超えた後の深夜はないと仮定します。60時間以内の54時間は1.25倍、深夜の6時間は1.50倍、60時間を超えた10時間は1.50倍です。合計は、54×1.25+6×1.50+10×1.50=67.5+9+15=91.5となり、基礎賃金の91.5時間分が割増を含む時間外の支払です。実際の支払額は、これに基礎賃金を掛けて確認します。
もう一つの計算事例として、法定休日に深夜まで働いた日を考えます。休日の昼間6時間は1.35倍、22時以降の2時間は休日の率に深夜を加えた1.60倍です。合計は、6×1.35+2×1.60=8.1+3.2=11.3です。同じ8時間の労働でも、通常の日の所定内労働8時間とは、支払う倍率が大きく異なります。事務所の説明資料には、倍率の表と計算例を並べて載せると、顧問先と従業員の双方が構造を理解できます。
2-17. 勤務形態別・給与形態別・労働形態別に、顧問先の台帳を整理します
勤務形態別の計算は、一般的な労働時間(固定時間制)、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制のどれかを先に決めます。給与形態別(給与体系別)の計算は、月給制、日給制、時給制、年俸制、歩合給(インセンティブ)制のどれかで基礎賃金の出し方が変わります。労働形態別の残業制度と給与形態別の計算方法を、従業員ごとに一対の情報として台帳に持たせると、基礎賃金と時間外の判定の誤りを減らせます。
台帳には、従業員番号、勤務形態、給与形態、所定労働時間、月平均所定労働時間数、算入する手当、除外する手当、法定休日、固定残業代の有無を最低限の項目として登録します。インセンティブを支給する営業職や、複数の給与形態が混在するパートの方がいる顧問先では、項目を分けて持つ必要があります。変動する歩合給の部分は、締め日ごとに総額と総労働時間数を確定し、当月の計算に使います。
残業の種類によって変動する割増率も、台帳と同じ表に載せます。時間外、休日、深夜、60時間超の4種類を縦に、重なる組み合わせを横に並べた早見表を事務所で用意しておくと、職員の確認の時間が短くなります。早見表を作る際は、前の節で示した数字を、厚生労働省の公表資料で毎年確認します。
2-18. 労働時間管理の基本ルールと、1分単位の原則に反する運用は違法となるおそれがあります
労働時間管理の基本ルールは、使用者が労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することです。タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な方法が原則で、自己申告制を使う場合は、実態調査や上限の設定の有無を確認します。正確な労働時間の把握がすべての基本であり、記録がなければ、割増の計算も36協定の上限の確認もできません。
労働時間の端数処理(切り捨て)を、毎日15分単位などで行う運用は、原則として禁止されています。1分単位で計算しなければ、賃金の一部が未払いになり、労基法違反となるおそれがあります。労働基準監督署の調査では、勤怠の記録と賃金台帳の突合が行われます。調査に備えるための記録保管の方法を、顧問先ごとに決めて、事務所でも控えを持ちます。
給与計算ソフトや勤怠管理システムの活用は、時間の集計や率の適用を正確に、スムーズに行うために役立ちます。ただし、導入しただけで安心せず、設定が就業規則と合っているかを定期的に確認します。顧問先の従業員からの相談窓口を、事務所、社内、労働基準監督署の3つに整理して顧問先に案内しておくと、問い合わせが一か所に集中するのを避けられます。労務管理を適正に行い、健全な運営を実現するため、先生方の社労士解説を受けられる体制を整えます。
残業代請求を受けた場合の初動も、あらかじめ決めておきます。請求の内容、対象期間、勤怠の記録の有無を整理し、時効の範囲を先生方が確認してから、顧問先へ助言します。徹底解説のガイドを顧問先へ渡す場合も、制度の説明であって、個別の請求への判断ではないことを明記します。割増賃金の計算ルールを事務所の職員全員が同じ手順で使えるよう、点検表と早見表を共有し、時間外労働の管理で労基法違反から顧問先を守る体制を作ります。
03 BOTTLENECK 顧問先ごとの残業代の確認を、職員の手作業だけで回す限界です
3-1. 締め日・手当・勤務形態の違いが、毎月の転記を増やします
残業代の確認が遅れる原因は、計算式を知らないことではありません。顧問先から勤怠データが締め日に届かない、手当の改定の連絡が給与の締め後になる、シフトの変更が口頭でしか共有されないといった事情が重なります。職員は資料を探し、前月の設定を読み直し、該当者だけを抜き出して確認します。その後で給与ソフトへ入力し、さらに別の表へ同じ数字を書き写します。
月次給与だけでもこの工程があるところへ、算定基礎届、労働保険の年度更新、年末調整の下準備が重なります。電子申請を使っていても、申請の前に必要な資料の回収や整合確認が自動的になくなるわけではありません。繁忙期に先送りされた手当の確認が、次の給与月にも残ると、職員の記憶を頼った処理が増えていきます。
担当者だけが知っている例外を引き継ぐために、さらに説明の時間がかかります。ソフトを追加しても、その間をつなぐ入力と照合の担当者が同じなら、事務所の仕事の持ち方は変わりません。まず顧問先ごとのルール、資料が届く場所、結果を承認する人を見える形にする必要があります。
3-2. ソフトを替えなくても、作業そのものを任せる道があります
残業代の算定方針や、未払いが疑われる案件の判断は先生方が担います。一方で、届いた勤怠データの集計、資料の不足確認、給与計算用の入力データの準備は、手順と分担を整理できる事務作業です。改善の対象を「残業代の管理のすべて」と大きく捉えるより、どの資料を受け取り、どの状態で事務所へ戻すかまで具体化するほうが進めやすくなります。
AI社員AIKATAは、今の給与ソフト・勤怠システムを使って、職員がパソコンで行う事務作業をAIと人の二重体制で受託します。ソフトの乗り換えを顧問先へ求める前に、勤怠集計と給与計算の前工程からどこを任せられるかを整理する道があります。
04 AUTOMATION AI社員AIKATAが事務作業を回し、先生方が判断と承認を担います
4-1. AIに聞く効率化と、毎月の作業を回す自動化は違います
Claude Code/CodexなどのAIツールに、残業代の計算と勤怠集計の式や確認項目の案を聞くことは効率化です。ただ、職員がその都度質問し、資料を選び、結果を転記する運用では、毎月の作業を起動する人が必要です。制度の説明をAIから得る場合も、法令や公的資料に照らして先生方が内容を確認します。
自動化で目指すのは、毎月発生する資料の回収・集計・入力・チェックを、一連の工程として回すことです。AI社員AIKATAはこの事務作業を受託し、顧問先ごとの締め日・支給日・手当などのルールを登録して処理します。勤怠データから時間外・休日・深夜の時間を集計し、顧問先ごとの手当と所定時間を前提に給与データへ反映する流れを、一連の工程として処理します。仕組みの構築と運用は、事務所が自ら持ち続ける必要がありません。
次の図は、AI社員AIKATAが受託する事務作業と、事務所が保持する業務の分担を示します。個別の判断事項は、事務所が確認したルールを前提にします。法定の申請書や帳簿書類の作成、行政機関への提出手続きを、AI社員AIKATAが代行する図ではありません。
| これまで職員が行っていた事務作業 | AI社員AIKATAに任せた後 | 事務所に残す役割 |
|---|---|---|
| 顧問先へ勤怠データを求め、集めます。 | 資料回収や一次対応を受託します。 | 必要な資料と照会範囲を確認します。 |
| 時間外・休日・深夜の時間を手で集計します。 | 登録した顧問先ごとのルールに沿って集計します。 | 法的判断が必要な取扱いを決定します。 |
| 給与ソフトに転記して残業代を計算します。 | 今のソフトを使い、画面操作を含めて自動化します。 | 計算済みデータを最終確認・承認します。 |
| 出来上がった集計を見直します。 | AIの処理結果を人が品質チェックします。 | 業務を受任する事務所として最終確認・承認します。 |
| 法定の書類作成や行政機関への手続きを行います。 | 前段階の資料整理・下準備を担います。 | 1号・2号業務そのものは先生方が行います。 |
4-2. 社労士法の線引きは、承認ボタンだけで済ませないことです
社労士法上の1号業務に関わる申請書等の作成・行政機関への提出手続きの代行、2号業務に関わる労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成は、先生方が行います。AI社員AIKATAはこれらの独占業務を引き受けません。AI社員AIKATAが担うのは、給与計算、勤怠集計、必要書類の下準備、顧問先への資料回収や一次対応など、その前の事務作業です。
今回のテーマでは、36協定の届出や、未払いが疑われる案件の是正方針の判断を、AI社員AIKATAの受託対象と明確に分けます。受託するのは、時間の集計と給与データの下準備までで、何を是正対象とするかの判断と顧問先への助言は、先生方の業務です。
日々の定型的な受託業務では、事務所の作業は原則として計算済みの給与データや作成済みの帳票の最終確認・承認です。ただし、独占業務の実施、顧問先のルール変更に伴う判断、例外的な法的検討までなくなるという意味ではありません。専門業務を保持しながら、その前の集計や転記を手放す分担です。
出典:全国社会保険労務士会連合会「社労士についてのよくある質問」独占業務の説明(2026年10月確認)。
05 MAKE OR DELEGATE 増員・外注・自作では、繁忙期の事務作業は片づかない
4つのうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけです。ここで比較する目的は、残業代の集計と給与入力を回す人・仕組みの管理まで、事務所が抱え続けずに済むかどうかです。特定の会社やソフトの品質を評価する比較ではありません。
| 選択肢 | よくある期待 | 実際に行き詰まる所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ①職員を増やします。 | 担当者が増えれば処理できます。 | 採用・教育が繁忙期に間に合わず、閑散期にも人件費と管理が残ります。 | ✕ |
| ②従来型の外注・BPOを使います。 | 入力工程を外へ出せます。 | 工程だけの委託では、例外の説明・受渡し・手直しを事務所が持ち続けます。 | ✕ |
| ③事務所でAIを自作します。 | 繰り返す作業を自動化できます。 | ルールの言語化・検証・改修を行う人と仕組みが事務所に残ります。 | ✕ |
| ④AI社員AIKATAに任せます。 | 事務作業と仕組みの構築・運用を任せます。 | 事務所は専門業務と最終確認・承認を担う分担にします。 | ◎ |
5-1. 増員と工程単位の外注は、説明する仕事が残ります
増員では、新しい職員に法令と顧問先固有の扱いを覚えてもらう時間が必要です。前任者の表を渡すだけでは、なぜその取扱いを使っているかが伝わりません。顧問先ごとに違う手当や所定労働時間の扱いは、前任者の頭の中にあることが多く、引き継ぎの資料にも残りにくい部分です。繁忙期に処理を増やすための採用が、新人の確認と教育を担当する熟練職員の仕事を増やす構造になります。
従来型の工程単位の外注では、資料を整える、例外を説明する、返ってきた結果を確認する、手直しを依頼する仕事が事務所に残ります。入力先と集計元が違い、顧問先のルール変更のたびに仕様を伝え直すなら、外へ出した工程の周囲を事務所がつなぐ状態です。委託件数が増えても、この負担がなくなるわけではありません。
5-2. AIの自作は、作った人しか直せない第二の属人化を生みます
Claude Code/Codexなどを使う場合も、顧問先の締め日、手当、勤怠区分、資料の置き方を言語化する必要があります。法的判断が必要な取扱いと、機械的に処理する条件を区別しなければ、誤った前提をそのまま繰り返す仕組みになります。給与計算の担当者が、その検証と改修まで兼務すると別の管理業務を抱えます。
通常のケースだけでなく、契約変更、申請の取消し、資料不足、退職などの場面を想定して検証します。担当者が異動したときに、処理の根拠と直し方を説明できる状態でなければ、表計算の属人化がAIの仕組みの属人化へ移るだけです。事務所の悩みが「入力する人が足りない」から「直せる人がいない」へ変わります。
06 AIKATA SERVICE AI社員AIKATAは、今のソフトで事務作業を丸ごと受託します
6-1. 勤怠集計から給与計算、資料回収までをAIと人で担います
AI社員AIKATAは、給与計算、勤怠の集計、入退社手続きの書類の下準備、算定基礎届や労働保険の年度更新の下準備、帳票の作成、顧問先への資料回収や一次対応などを受託する業務代行サービスです。法定の申請書や帳簿書類の作成・提出代行は受託範囲から外し、先生方が行います。
残業代の業務を入口に考えるなら、まず勤怠データの回収と集計、給与計算につながる前工程を棚卸しします。どの資料の整理を任せ、どの判断を事務所が行うかを明らかにすることで、残業代だけを孤立した作業として抱えず、月次の給与処理とのつながりで分担を整理できます。具体的な受託範囲は無料相談で確認します。
AI社員AIKATAは特定のソフトに限定しません。いま事務所が使っている給与ソフトや勤怠システムをそのまま使い、画面操作を含めて自動化します。顧問先へソフトの乗り換えを頼む必要がないため、事務所の改善のために、顧問先側の運用を一斉に入れ替えることを前提にしなくて済みます。
6-2. 個別ルールを残し、人が品質チェックしてから事務所へ戻します
AI社員AIKATAは、顧問先ごとの締め日・支給日・手当などの個別ルールを仕組みに登録して処理します。職員の記憶の中にある取扱いを、その職員が休んだときにも残る形にする考え方です。AIの処理結果は人が品質チェックし、最終確認と承認は事務所が行います。判断の責任と事務処理の担当を混同しません。
日々の受託した定型事務では、事務所の作業は原則として計算済み給与データや作成済み帳票の承認です。ここでいう帳票は、社労士法の独占業務に当たる帳簿書類の作成をAI社員AIKATAへ移す意味ではありません。先生方の法定業務は保持し、そのための基礎資料を整える事務を任せます。
AI社員AIKATAはNDAを結び、給与・人事データの受け渡しと保管のルールを事務所の規程に合わせて決めます。相談時には、事務所で定めている保存先や受渡し方法を確認し、委託する資料の範囲を整理します。
6-3. 繁忙期の処理量を増やすために、採用と教育を重ねる必要がありません
AI社員AIKATAは、仕組みの構築と運用を行います。事務所にAIの知識は要りません。繁忙期にも人を採用・教育せずに処理量を増やせるため、事務作業のための増員と教育を繰り返す運営から切り替えられます。料金は月額の定額で、業務量が増えても変わりません。
無料相談は60分のオンラインで、Google Meetを使い全国に対応します。業務を棚卸しし、どこまで任せられるかを整理します。契約の義務はありません。所長だけで作業の細部を思い出そうとするより、実際に回収・入力・確認をしている職員の方の状況を整理すると、対象業務を具体化しやすくなります。
07 DECISION 残る道は「作業そのものを任せる」だけです
残業代の計算を正しく運用するには、事務所の専門性が欠かせません。その専門性を資料探しや転記に使い続けないために、ここでは「事務作業を回す負担を手放す」という目的で3つの道を比較します。記号はこの目的に対する整理であり、製品の性能や法的適合性の優劣を表すものではありません。
| 比較する項目 | 手作業のまま | ソフトの追加・乗り換え | AI社員AIKATAに任せます |
|---|---|---|---|
| 繁忙期の負荷 | ✕ 職員の回収・入力・照合が増えます。 | △ ソフト間の準備や確認を事務所が担います。 | ◎ 採用・教育をせずに受託事務の処理量を増やせます。 |
| 顧問先ごとのルール | ✕ 担当者の記憶と個別のメモに残ります。 | △ 設定と更新を事務所が管理します。 | ◎ 個別ルールを登録し、担当者が変わっても残ります。 |
| 顧問先への負担 | △ 不足資料の照会が繰り返されます。 | △ 新しい操作や受渡しの調整が必要です。 | ◎ 顧問先にソフトの乗り換えを頼む必要がありません。 |
| 職員の採用・教育 | ✕ 処理を増やす人の確保を抱えます。 | △ 運用する職員の教育が残ります。 | ◎ 構築・運用を任せ、AIの知識は不要です。 |
| 社労士法の線引き | ○ 先生方が専門業務を行います。 | ○ 先生方が専門業務を行います。 | ◎ 前段階の事務を受託し、1号・2号業務は先生方が行います。 |
7-1. AI社員AIKATAが選ばれる5つの理由
増員・外注・自作・乗り換えは、どれも事務所が人か仕組みを抱え続けます。作業を手放せる道はAI社員AIKATAに任せることだけです。ここで手放す対象は、委託する集計・入力などの事務作業です。法的判断、独占業務、最終確認・承認は先生方が担います。
08 NEXT ACTION 次の繁忙期を、職員を増やさずに越える準備を始めませんか
8-1. 残業代の集計から、どの作業を任せられるか決めます
人を増やす・ソフトを替えると決める前に、AI社員AIKATAの社労士事務所向け無料相談で、毎月繰り返す作業を棚卸ししてください。「勤怠データの回収に時間がかかる」「時間外の集計を給与へ転記している」「繁忙期に確認待ちがたまる」といった工程から、どの作業を任せられるかを具体的に整理します。
事務所で使うソフト、顧問先ごとの締め日、職員が毎月行う作業、先生方の承認の流れを確認すれば、最初に任せる業務と事務所に残す専門業務を話し合えます。相談は60分、Google Meetによるオンラインで全国に対応し、契約の義務はありません。給与・人事データの受け渡しと保管は、NDAと事務所の規程に合わせてルールを決めます。
職員を増やす・外注する・AIを自作する・ソフトを替える——どの道を選んでも、集計・入力・確認の作業か、それを回す人と仕組みが事務所に残り続けます。
AI社員AIKATAなら、いまお使いの給与ソフト・手続きソフトはそのまま、顧問先ごとのルールも登録して処理し、事務所に残るのは仕上がりの確認と承認だけです。どの業務から任せられるかは、無料相談(60分・オンライン)でその場で整理します。
NEXT STEP
事務所の定型業務を、
AI社員に任せてみませんか?
よくある質問
Q. 残業代の基本的な計算式を教えてください。
A. 1時間あたりの基礎賃金に、割増率と対象の時間数を掛けます。月給制なら、算入する賃金を月平均所定労働時間数で割って基礎賃金を出します。割増率は、法定時間外労働と深夜労働が25%以上、法定休日の労働が35%以上、月60時間超の時間外労働が50%以上です。
Q. 所定労働時間を超えた分は、すべて割増の対象ですか?
A. すべてではありません。法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超えた部分が割増の対象です。所定労働時間が1日7時間の会社で、8時間までの1時間は法内残業で、割増は不要です。ただし、その1時間分の賃金の支払いは必要です。
Q. 家族手当や住宅手当は、残業代の計算から必ず除外できますか?
A. 必ずではありません。名称ではなく実質で判断します。家族の人数に関係なく一律に支給する手当や、住宅に要する費用に関係なく支給する手当は、除外できず基礎賃金に入ります。除外できるのは、限定された7種類の賃金のうち、要件に当てはまるものだけです。
Q. 固定残業代を払っていれば、追加の残業代は不要ですか?
A. 不要とは限りません。固定残業代が有効と扱われるには、通常の賃金と割増賃金の部分の区分が明確で、何時間分かが分かることが必要です。固定分の時間を超えた残業には、超過分を追加で支払います。区分が不明確な場合は、先生方の判断に回します。
Q. 管理職には残業代を払わなくてよいのですか?
A. 管理職という役職名だけでは決まりません。労働基準法上の管理監督者に当たる場合は、時間外・休日の割増賃金は不要ですが、深夜の割増賃金は必要です。管理監督者に当たるかは、職務内容、権限、出退勤の自由度、待遇などの実態で判断されます。
Q. 未払いの残業代は、何年前まで請求できますか?
A. 賃金請求権の消滅時効は法律上5年ですが、経過措置により当分の間は3年とされています。支払期日から数えます。実際の点検範囲は、顧問先の状況や過去の記録の有無に応じて、先生方が顧問先と相談して決めます。
Q. 社労士法上、AIに任せて問題ないですか?
A. 業務の線引きが前提です。AI社員AIKATAは、給与計算・勤怠集計・資料回収の一次対応・書類の下準備などを担い、1号・2号業務である申請書等や法定帳簿書類の作成、行政機関への提出代行は引き受けません。最終確認・承認は先生方が行います。
Q. 今のソフトのままで使えますか?
A. AI社員AIKATAは特定のソフトに限定せず、今の給与ソフト・勤怠システムを使って画面操作を含めて自動化します。顧問先へソフトの乗り換えを頼む必要はありません。どの資料回収・集計・入力から任せられるかは、無料相談で実際の業務を確認して整理します。
Q. 事務所にAIの知識がなくても相談できますか?
A. 相談できます。AI社員AIKATAが仕組みの構築・運用を行うため、事務所にAIの知識は要りません。無料相談は60分のオンラインで全国に対応します。業務の棚卸しと受託範囲を整理し、契約の義務はありません。
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