【2026年11月最新】欠勤とは?休職・休業との違い、欠勤控除の計算方法と就業規則の定め方を社労士事務所向けに整理し、顧問先の欠勤管理をAIで自動化する方法
「風邪で3日休んだ社員の給与は、どこまで引けばよいか」「欠勤が続いている社員を、いつから休職にできるのか」。顧問先の担当者から、社労士事務所の所長・職員の方に届く相談の中でも、とくに頻度が高い質問です。
結論から言うと、欠勤は「労働義務のある日に、労働者の都合で労務を提供しなかったこと」であり、休職や休業とは「労働義務が残っているか」「誰の都合か」「制度として定められているか」で区別します。給与は、働いていない時間について支払わない(ノーワークノーペイ)のが原則ですが、引き方には労働基準法のルールがあり、就業規則に根拠がなければ揉めやすいのが実務の勘所です。
この記事では、欠勤の定義と似た用語との違い、就業規則の定め方、欠勤控除の計算と注意点、休職中の給与・保険・給付金、減給や解雇の可否、欠勤に関するよくある疑問を、事務所が顧問先に説明するときの目線で整理します。後半では、欠勤の把握から控除の計算・書類の下準備までをAIで自動化する方法を、弊社の業務代行サービス「AI社員AIKATA」(運営: 株式会社GENAI)の仕組みとともに解説します。
01 BASICS 欠勤とは?休職・休業・休暇との違い まず用語を揃える。ここが曖昧だと、給与も保険も判断を誤る
1-1. 欠勤とは
欠勤とは、労働契約上、働く義務がある日(所定労働日)に、労働者の都合で労務を提供しなかったことを指します。病気やケガ、家族の事情、寝坊、連絡のない不在など、理由は問いません。法律に「欠勤」の定義があるわけではなく、就業規則や賃金規程で定義され、運用されるのが通常です。
📚 用語解説
所定労働日:労働契約や就業規則で、労働者が働くことと定められた日。会社のカレンダーで休日とされた日(土日や祝日、年末年始など)は所定労働日ではないため、その日に出勤しなくても欠勤にはならない。欠勤の判定、有給休暇の出勤率の計算、欠勤控除の日割計算は、すべて所定労働日が基準になる。
1-2. 欠勤と似た用語の違い
「欠勤」「休職」「休業」「休暇」「遅刻・早退」は、日常では混ざって使われますが、実務では扱いが大きく異なります。顧問先の担当者が混同していることも多いため、最初に整理して伝えると、その後の相談が短くなります。
| 用語 | 労働義務 | 主な理由・性質 | 給与の扱い |
|---|---|---|---|
| 欠勤 | ある日に、労働者の都合で果たさなかった | 病気・私用・不在など。労働者の事情 | 働いていない分は支払わないのが原則(欠勤控除) |
| 休職 | 会社の制度により、一定期間、免除される | 私傷病、留学、出向準備など。会社が就業規則で定める制度 | 就業規則の定めによる。無給とする会社が多い |
| 休業 | 会社の都合や法令の定めで、働けない・働かせられない | 会社都合の休業、産前産後休業、育児・介護休業など | 会社都合は休業手当(平均賃金の60%以上)。育児・介護休業は雇用保険の給付 |
| 休暇 | 権利の行使や制度で免除される | 年次有給休暇、特別休暇、慶弔休暇など | 有給休暇は賃金が支払われる。特別休暇は会社の定めによる |
| 遅刻・早退 | 時間単位で果たさなかった | 始業に遅れる、終業前に退出する | 不就労時間分を控除できる(時間単位) |
| 無断欠勤 | 連絡なく果たさなかった | 事前・事後の届出がない欠勤 | 欠勤控除のほか、規律違反として懲戒の対象になりうる |
📚 用語解説
休職:労働者を就労させることが難しい事情がある場合に、労働契約を維持したまま、一定期間、労働義務を免除する制度。法律上の義務ではなく、会社が就業規則で任意に定める制度である。私傷病による休職が代表的で、期間(例:勤続年数に応じて数か月〜数年)、期間中の給与、復職の条件、期間満了時の扱い(自然退職または解雇)を就業規則で定めておく必要がある。
📚 用語解説
休業:労働者が労働契約上の義務を負っているにもかかわらず、働けない(働かせられない)状態。会社の都合による休業(例:資材不足、設備の故障)では、労働基準法第26条により、会社は平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要がある。産前産後休業、育児休業、介護休業など、法律上の休業制度もこの区分に含まれる。
1-3. 欠勤を「休職」に切り替えるのはいつか
私傷病による欠勤が続く場合、多くの会社は「一定期間の欠勤が続いたら休職に移行する」と就業規則で定めています。「欠勤が1か月続いたら休職」は法律の決まりではなく、あくまで会社ごとの定めです。就業規則に休職制度がなければ、欠勤が長引いても休職にはできず、扱いに困ることになります。
よくある定めの形は次のとおりです。いずれも、事務所が顧問先の就業規則を見直すときの確認点になります。
02 RULES 就業規則の欠勤規定——必要なのか、何を書くのか 欠勤そのものを定める義務はない。ただし、定めがないと運用が揺れる
2-1. 就業規則に欠勤の規定は必要か
常時10人以上の労働者を使用する事業場には就業規則の作成と届出の義務があり、始業・終業の時刻、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払の方法、退職(解雇の事由を含む)は必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)です。「欠勤」という項目そのものを置く義務はありませんが、欠勤した日の賃金の扱いは賃金の計算方法に、欠勤を理由とする懲戒は制裁の定め(相対的必要記載事項)に関わるため、実質的には規定を置く必要があります。
10人未満の事業場に作成義務はありませんが、欠勤控除や休職の運用で揉めた場合、規定がないこと自体が最大のリスクになります。小規模の顧問先ほど、就業規則や賃金規程の整備を促す価値があります。
2-2. 欠勤の規定に盛り込む項目
| 項目 | 書く内容の例 | 定めがないと起きやすい問題 |
|---|---|---|
| 欠勤の届出 | 事前の届出(難しければ始業前までの連絡)、連絡の相手と方法 | 連絡なしの欠勤が続き、無断欠勤との区別がつかない |
| 証明書類 | ○日以上の欠勤で診断書等を提出。費用負担の取扱い | 私傷病かどうか確認できず、休職・給付金の判断が遅れる |
| 欠勤中の賃金 | 欠勤した日数(時間)分を、賃金から控除する。計算式 | 控除の根拠が示せず、全額払いの原則との関係で争いになる |
| 各種手当の扱い | 皆勤手当の不支給、固定手当の控除の有無 | 手当ごとの扱いが担当者の判断で変わり、不公平感が出る |
| 有給休暇への振替 | 事後の有給振替を認めるか、認める場合の条件 | 「後から有給にしてほしい」という申出に毎回判断が必要になる |
| 休職への移行 | 欠勤が一定期間続いた場合の休職命令 | 長期欠勤の出口がなく、対応が先延ばしになる |
| 欠勤を理由とする制裁 | 無断欠勤の懲戒の種類、手順、弁明の機会 | 懲戒の根拠が示せず、処分が無効と判断されるおそれ |
📚 用語解説
絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項:就業規則には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項:始業・終業時刻、休日、休暇、賃金の計算・支払方法、退職・解雇事由など)と、制度を設ける場合には記載しなければならない事項(相対的必要記載事項:退職手当、賞与、制裁、安全衛生など)がある。欠勤控除は賃金の計算方法、欠勤に対する懲戒は制裁の定めとして、それぞれ規則に位置づけて整理する。
2-3. 連絡のない欠勤(無断欠勤)が起きたときの対応の順番
03 DEDUCTION 欠勤控除とは——ノーワークノーペイの原則と計算方法 計算式そのものより、「何を根拠に・どこまで引くか」が実務の争点
3-1. 欠勤控除とは
📚 用語解説
ノーワークノーペイの原則:労働者が労務を提供していない時間については、使用者は賃金を支払う義務がないという考え方。労働契約は、労務の提供とその対価としての賃金の支払いが対応関係にあることから導かれる。欠勤や遅刻、早退の分を賃金から差し引くこと(欠勤控除)の根拠になる。ただし、会社の都合による休業や、年次有給休暇の取得日のように、賃金の支払いが必要になる場合は例外となる。
欠勤控除とは、欠勤した日(または遅刻・早退した時間)に対応する賃金を、月給などから差し引くことです。ノーワークノーペイの原則を背景にしており、法律で「控除しなければならない」と定められているわけではありません。逆に言えば、就業規則や賃金規程に定めがあれば控除でき、定めがなくても、働いていない部分の賃金を請求する根拠は労働者側にないというのが一般的な考え方です。ただし、運用の根拠が曖昧なままの控除は、トラブルになりやすくなります。
3-2. 欠勤控除の計算方法
月給制の場合、欠勤控除は「1日(または1時間)あたりの賃金額」×「欠勤した日数(時間数)」で計算するのが基本です。1日あたりの賃金額の求め方は、会社の賃金規程で決めます。代表的な方法は次の3つです。
| 方式 | 計算式 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|
| 月平均所定労働日数で割る方式 | 月給 ÷ 年間所定労働日数 ÷ 12 × 欠勤日数 | 月による日数の違いに左右されず、公平。多くの会社で採用される。年間カレンダーの確定が前提 |
| その月の所定労働日数で割る方式 | 月給 ÷ 当月の所定労働日数 × 欠勤日数 | 月ごとに1日の単価が変わる。所定労働日数が少ない月の欠勤は、控除額が大きくなる |
| 暦日数(30日など)で割る方式 | 月給 ÷ 30 × 欠勤日数 | 計算は簡単だが、休日分まで含めて割ることになり、実態より控除額が小さくなる |
具体例を見てみましょう(金額は説明のための仮の数字です)。月給が28万円、年間所定労働日数が252日の会社で、2日欠勤した場合、月平均所定労働日数は252日÷12か月=21日です。1日あたりの賃金額は28万円÷21日=約1万3,333円、2日分の控除額は約2万6,667円となります。どの方式を使うかは、賃金規程の定めに従うことが前提です。
3-3. 欠勤控除の3つの注意点
欠勤控除は、日常的に行われる計算ですが、トラブルの多くは「やり方の根拠」と「控除しすぎ」から起きます。
注意点①:控除額の根拠を就業規則・賃金規程で明確にする
控除の計算式、対象となる手当の範囲、遅刻・早退の端数処理(1分単位か、30分単位か)を、規程で定めておきます。遅刻・早退の端数を切り上げて多く控除する扱いは、働いた時間分の賃金を支払わないことになるため、賃金の全額払いの原則に反するおそれがあります。実務では、時間単位で正確に計算するか、控除しすぎにならない丸めの方法を採ります。
注意点②:全額払いの原則(労働基準法第24条)との関係
労働基準法第24条は、賃金の支払いについて、通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日に支払うことを求めています(賃金支払いの5原則)。欠勤控除は、働いていない分の賃金が発生していないため、全額払いに違反しないという整理です。一方で、実際に働いた分まで控除すれば、全額払いの原則に違反します。計算ミスや過去の控除の取りこぼしを、次月以降の給与で調整する場合も、精算の方法と本人への説明に注意が必要です。
📚 用語解説
賃金支払いの5原則:労働基準法第24条が定める、賃金の支払方法に関する5つの原則。①通貨払い、②直接払い、③全額払い、④毎月1回以上払い、⑤一定期日払い。法令で認められた控除(社会保険料・所得税など)や、労使協定による控除(社宅費など)は全額払いの例外として認められるが、会社が一方的に決めた控除は認められない。
注意点③:減給の制裁(労働基準法第91条)と欠勤控除は別物
欠勤控除は「働いていない分を引く」賃金の計算の話で、減給の制裁(懲戒処分としての減給)は「規律違反に対するペナルティとして賃金を減らす」処分です。この二つは性質が異なります。減給の制裁には、労働基準法第91条により、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないという上限があります。無断欠勤を理由に、欠勤控除に加えて「罰金」として高額を引く運用は、この制限を超え、違法となるおそれがあります。
3-4. 月給の内訳による控除の違い(基本給・手当)
控除の対象を基本給だけとするか、手当も含めるかは、規程の定め次第です。通勤手当を欠勤日数に応じて日割りで控除する運用、皆勤手当は1日でも欠勤したら不支給とする運用、役職手当・資格手当などの固定的な手当は控除しない運用など、会社により異なります。大切なのは、控除する手当と、控除しない手当を規程で明確に区別しておくことです。
年俸制や、月給の中に固定残業代を含む場合は、さらに注意が必要です。固定残業代は、実際の時間外労働に対する賃金であるため、欠勤の控除と、固定残業代の取扱いは分けて考えます。欠勤した月でも、時間外労働の実績があれば、その分の割増賃金は支払う必要があります。
04 BENEFITS 休職中・欠勤中の給与と社会保険——傷病手当金・労災・障害年金 「給料が出ない期間をどう支えるか」を、制度ごとに整理する
欠勤や休職が長引くと、労働者は収入が減り、会社は社会保険料や復職の手続きに対応する必要があります。顧問先から「どの制度が使えるか」を聞かれたときに、業務上か業務外か、どの保険に加入しているかで整理して答えられるようにしておきましょう。
| 制度 | 対象となるケース | 主な内容 | 申請先・窓口 |
|---|---|---|---|
| 傷病手当金 | 業務外の病気・ケガで、働けない状態(健康保険の被保険者) | 待期3日の後、4日目以降の休んだ日に支給。標準報酬日額の3分の2が目安。支給期間は通算1年6か月 | 協会けんぽまたは健康保険組合 |
| 労災保険の休業補償給付 | 業務上・通勤中の病気やケガで休業 | 休業4日目から、給付基礎日額の60%。あわせて休業特別支給金(20%)が上乗せされる | 労働基準監督署 |
| 障害年金 | 病気やケガにより、一定の障害状態が続く | 初診日の加入制度などの要件を満たす場合に、障害基礎年金・障害厚生年金が支給される | 年金事務所、市区町村 |
| 休業手当 | 会社都合の休業 | 平均賃金の60%以上を事業主が支払う | 事業主(賃金として) |
📚 用語解説
傷病手当金:健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで働けず、給与の支払いを受けられない場合に支給される給付。連続する3日間の待期期間を経て、4日目以降の休んだ日が支給対象となる。1日あたりの金額は、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が目安。支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月。給与が一部支払われた場合は、差額が支給される。詳細は全国健康保険協会や各健康保険組合の案内で確認する。
4-1. 傷病手当金の実務上のポイント
4-2. 労災保険と障害年金
業務上のケガや、通勤中の事故で働けない場合は、傷病手当金ではなく労災保険が優先されます。労災の休業補償給付は休業4日目から支給され、待期期間の3日間は、事業主が平均賃金の60%以上を休業補償として支払う必要があります(労働基準法第76条)。業務上かどうかの判断は労働基準監督署が行うため、事業主が「労災ではない」と決めつけることはできません。労災の届出を事業主が行わない「労災かくし」は罰則の対象です。
病気やケガで障害が残った場合や、長期の療養が続く場合には、障害年金が選択肢になります。初診日の加入制度(国民年金か厚生年金か)、保険料の納付要件、障害の状態の程度、の3点が主な要件です。障害年金の請求は、本人が年金事務所等に行うのが基本で、事業主が代わりに判断することはできません。顧問先には、「制度があること」と「相談の窓口」を案内するにとどめます。
4-3. 休職中の社会保険料はどうなるか
休職中で給与が支払われない場合でも、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格は継続し、保険料は発生します(産前産後休業・育児休業期間中の保険料免除を除く)。保険料は事業主と本人が折半で負担するため、給与が出ない月は、本人負担分を事業主が立て替えて後日精算する、本人が会社に振り込む、復職後の給与から控除するなど、方法を事前に決めておく必要があります。雇用保険料は、賃金の支払いがない月は発生しません。
住民税も同様に、特別徴収の場合は給与から天引きされるため、給与が出ない期間の納付方法(普通徴収への切替など)を本人と相談しておく必要があります。休職に入る時点で、「保険料・住民税・連絡窓口・診断書の提出頻度」のチェックリストを渡す運用にすると、後のトラブルを防げます。
05 Q&A 欠勤に関する疑問点と注意点——有給・残業・減給・解雇 顧問先から実際に聞かれる質問を、根拠とともに整理する
5-1. 欠勤したあとから有給休暇にできるか
年次有給休暇は、労働者が取得する日を指定して請求するのが原則です。欠勤した日について、後から「有給休暇に振り替えてほしい」と請求することを、会社が認める義務はありません。ただし、会社が就業規則で「病気による欠勤は、本人の申出により有給休暇に振り替えることができる」と定め、運用している例は多くあります。振替を認める場合は、「いつまでに申し出るか」「年5日の時季指定の対象にするか」「傷病手当金との関係」を整理して規程に書くと運用が安定します。
なお、有給休暇を使うと、その日は賃金が支払われるため、傷病手当金の対象外になります。長期の傷病では、有給休暇を使うよりも、欠勤として傷病手当金を受給したほうが有利な場面もあります。本人に両方の選択肢を説明したうえで、選んでもらうのが丁寧な対応です。
5-2. 欠勤したタイミングと有給休暇の付与(出勤率8割)
年次有給休暇は、雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。この出勤率の計算では、欠勤は「全労働日には含まれるが、出勤には含まれない」ため、出勤率を下げます。一方、業務上の傷病による療養期間、産前産後休業、育児休業、介護休業、年次有給休暇を取得した日は、出勤したものとみなされます。私傷病による長期欠勤が続くと、次の付与の要件(出勤率8割)を満たさなくなる場合があります。
このように、欠勤は賃金の控除だけでなく、有給休暇の付与日数や年5日の取得義務の管理にも影響します。有給管理については、パート・アルバイトの有給休暇に関する記事や、年間休日の最低ラインに関する記事もあわせてご覧ください。
5-3. 欠勤が続くと解雇になる可能性はあるか
欠勤は、労働者が労務を提供する義務を果たしていない状態であり、解雇の理由になりうるのは事実です。ただし、解雇は、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効になります(労働契約法第16条)。欠勤の日数、理由(私傷病か、無断か)、会社からの督促や配慮の経過、本人の勤続年数や過去の勤務状況などを総合的に見て判断されます。
目安として、解雇予告の除外認定の基準では、原則として2週間以上、正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合などが挙げられています(行政通達)。ただし、これは労働基準監督署が解雇予告手当の支払いを不要とする手続きの目安であり、「2週間欠勤すれば解雇してよい」という意味ではありません。私傷病による欠勤の場合は、就業規則の休職制度を適用し、休職期間満了後も復職できない場合に、退職の扱いにするのが一般的な流れです。
私傷病による欠勤を理由に、休職の手続きを経ずに解雇した場合、不当解雇と判断されるリスクが高くなります。また、解雇する場合は、原則として30日前の予告または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要です(労働基準法第20条)。欠勤の経過、督促の記録、本人の状況を整理したうえで、解雇以外の選択肢(休職、退職勧奨、配置転換)もあわせて検討するよう案内します。
5-4. 欠勤を理由に減給・賞与の減額はできるか
欠勤した日数分の賃金を支払わない(欠勤控除)ことは認められる一方、欠勤を理由に、賃金そのものを減らす減給は別の話です。「懲戒としての減給」には、前述のとおり第91条の上限があり、「評価としての賞与の減額」は、賞与の算定基準(出勤率、評価期間中の勤務状況)として規程に定めていれば可能です。賞与の算定に出勤日数を反映させる場合は、育児休業や産前産後休業など、法律で保護された不就労を不利益に扱わないよう注意が必要です。
5-5. 欠勤した日の残業・休日出勤と相殺できるか
「今週は1日欠勤したから、別の日に残業してもらって相殺したい」という相談があります。欠勤は、所定労働日に労務を提供しなかったことで、その分の賃金は発生しません。一方、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて働いた時間については、割増賃金の支払い義務が残ります。欠勤した日の時間を、他の日の残業時間と相殺して、割増賃金を支払わないことはできません。割増賃金の計算については、残業代の計算方法に関する記事で詳しく解説しています。
欠勤した週に、別の日に休日出勤をさせる場合も同様です。法定休日に労働させれば、35%以上の割増賃金が必要になります。所定休日(法定休日以外の休日)の出勤は、週の労働時間が40時間を超えるかどうかで、割増賃金の対象になるかが決まります。
5-6. 裁量労働制・フレックスタイム制での欠勤
裁量労働制では、労働時間は「みなし時間」で計算されるため、始業・終業の時刻を自分で決められるとはいえ、就労義務のある日に出勤しないのであれば欠勤にあたります。「裁量労働制だから、休みたい日に休める」わけではなく、会社が定めた所定労働日に労務を提供しない場合は、欠勤として扱います。賃金から欠勤分を控除できるかは、賃金規程の定めと、みなし労働時間制の運用内容によります。
フレックスタイム制では、清算期間内の総労働時間が基準になるため、1日単位の欠勤では控除せず、清算期間の総労働時間の不足分で、賃金控除または次月への繰越を行うのが一般的です。制度ごとに、欠勤控除の考え方が異なる点は、顧問先から質問される頻度が高い部分です。
5-7. 欠勤に関する罰金や罰則はあるか
欠勤したこと自体に対する、法律上の罰則はありません。会社が就業規則で「欠勤1回につき罰金」と定めても、減給の制裁の上限(労働基準法第91条)を超える部分は無効です。逆に、使用者が欠勤控除を誤って、働いた分の賃金を支払わなかった場合は、労働基準法第24条違反として30万円以下の罰金の対象になりえます(第120条)。事務所の職員には、「欠勤の控除は、会社を守る計算であり、同時に会社が違反しないための計算でもある」と伝えると理解が進みます。
06 THE LIMIT 欠勤管理で、事務所の手作業が重くなる理由 制度の知識より「顧問先ごとの把握・計算・書類」が負担になる
ここまでの制度は、一度理解すれば説明できます。ところが顧問先が増えると、課題は「制度を知っているか」ではなく、顧問先ごとに異なる規程にもとづいて、欠勤を漏れなく把握し、正しく計算し、書類を整え続けることに移ります。
これらは、「欠勤に関する知識」を増やしても解決しません。勤怠から欠勤を拾う、規程の式で計算する、期限を追う、書類の下書きを整える、という定型の事務作業を、人が毎月やっていることが根本の原因です。
この流れは、ソフトを替えても変わりません。拾う・計算する・転記する・再確認する、という作業が人の手に残るからです。
07 AUTOMATE WITH AI 【核心】欠勤の把握・控除計算・書類の下準備をAIで自動化する 「AIに聞く」効率化ではなく、作業そのものを渡す自動化へ
📚 用語解説
Claude Code/Codex:Claude CodeはAnthropic社、CodexはOpenAI社が提供するAIエージェント。ChatGPTのような「質問に答えるAI」と違い、指示を受けてパソコン上のデータ集計・ファイル操作・文書作成などの作業そのものを実行できる。日本語の指示だけで業務の仕組みを構築できるため、社労士事務所のバックオフィス業務の自動化にも使われている。
7-1. 「AIに聞く」と「AIが毎月の作業を自動で回す」は別物
Claude Code/Codexに「欠勤控除の計算式を教えて」と聞くのは効率化です。調べ物が速くなるだけで、顧問先ごとの欠勤の拾い出しや計算、転記は人が行います。
これに対して自動化は、「顧問先ごとの勤怠データを回収し、欠勤・遅刻・早退を拾い、その顧問先の規程どおりの式で控除額を算出し、給与ソフトへ入力し、欠勤が規程上の期限に近づいている人を一覧にし、傷病手当金の申請書類の下書きまで準備しておく」という流れを、最初に一度設計しておき、以降は決まったタイミングで自動で走る状態です。人の仕事は、仕上がったデータと下書きを確認して承認することだけになります。
7-2. 社労士法との線引きを必ず守る
行政機関への提出手続きの代行や、帳簿書類の作成(社労士法の1号・2号業務)は、社会保険労務士である先生方の専権業務です。傷病手当金の申請や、労災の届出などの提出は、事務所が行います。AIが担うのは、データ集計・書類の下準備・資料回収の一次対応など、その手前にある事務作業です。最終確認・承認と、行政機関への提出は、必ず事務所の先生方が行います。
7-3. これまで職員がやっていた作業と、AIに任せた後
| これまで職員がやっていた作業 | AIに任せた後 |
|---|---|
| 顧問先から届く勤怠データを見て、欠勤・遅刻・早退を目視で拾う | 勤怠データから欠勤・遅刻・早退を自動で抽出し、一覧にする |
| 顧問先ごとの控除の式を思い出しながら、手計算または表計算で控除額を算出 | 顧問先ごとの式を仕組みに登録し、同じ式で自動計算 |
| 計算結果を給与ソフトに転記し、金額を見直す | 今の給与ソフトへ入力まで自動で行い、人は結果を確認 |
| 欠勤が続いている社員を、顧問先ごとの表で目視で追う | 規程上の休職移行日・期限を自動で計算し、近づいた人を通知 |
| 傷病手当金の申請書の事業主証明欄の出勤状況を、勤怠から転記 | 勤怠・給与の記録から、証明欄に必要な情報を整理した下書きを自動作成 |
| 不足している診断書や勤怠の資料を、顧問先に個別に依頼・催促 | 不足資料を洗い出し、依頼文と催促文を自動で作成(送付の判断は事務所) |
ポイントは、届出の提出と最終判断は事務所が行い、その手前の「集める・拾う・計算する・下書きする」部分だけをAIに渡すことです。
7-4. 顧問先ごとの「欠勤の癖」が仕組みに残る
欠勤控除の計算式、手当の扱い、休職移行の日数は、顧問先ごとに違います。人が担当している場合、これらは担当者の頭の中や個人のメモに溜まります。AIKATAでは、顧問先ごとの締め日・支給日・手当などの個別ルールを仕組みに登録して処理します。担当者が変わっても、ルールは仕組みに残り、引き継ぎで「あの顧問先の控除は特殊でした」と説明する必要がなくなります。
08 BUILD OR OUTSOURCE 増員・外注・自作では、繁忙期の事務作業は片づかない 4つの選択肢のうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけ
勤怠の拾い出しや給与計算の下準備といった事務作業を楽にする選択肢は、大きく4つです。このうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけです。
| 選択肢 | よくある期待 | 実際に行き詰まる所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ①職員を増やす | 繁忙期の人手不足が解消する | 採用難、教育に時間がかかる、閑散期に人件費が残る、顧問先ごとのルールが個人の頭の中に溜まる | ✕ |
| ②従来型の外注・BPO | 作業を外に出せる | 外注先への説明と手直しが事務所に残る、顧問先ごとの控除のルールを毎回説明する必要がある、繁忙期は依頼が間に合わない | ✕ |
| ③事務所でAIを自作する | 低コストで自動化できる | 顧問先ルールの言語化、検証の型、作った人しか直せない第二の属人化 | ✕ |
| ④AI社員AIKATAに任せる | 作業そのものを手放せる | 事務所に残るのは最終確認・承認と1号・2号業務のみ | ◎ |
8-1. 「①増員」「②外注」で片づかない理由
8-2. 「③自作」の3つの壁
結局、増員・外注・自作のどれも、人か仕組みを事務所が抱え続ける道です。
09 WHAT IS AIKATA 「AI社員AIKATA」とは——事務所の定型事務作業を丸ごと代行 提出手続き・最終確認は先生方のまま、その手前の作業を預ける仕組み
3つの壁を事務所自身で越えなくても、作業そのものを丸ごと預ける道があります。それが、弊社(株式会社GENAI)が運営する業務代行サービス「AI社員AIKATA」です。
📚 用語解説
AI社員AIKATA:株式会社GENAIが運営する業務代行サービス。社労士事務所などのバックオフィス業務のうち、パソコン上で行う定型的な事務作業を、AIと人の二重体制で丸ごと受託する。特定の給与ソフト・勤怠システムに縛られず、事務所が使っている既存の環境をそのまま使って自動化する点が特徴。
無料相談(60分・オンライン/Google Meet)では、事務所の業務を棚卸しし、どこまで任せられるかを一緒に整理します。契約の義務はありません。利用にあたってはNDAを結び、給与・人事データの受け渡しと保管のルールを事務所の規程に合わせて決めます。料金は、業務量が増えても変わらない月額の定額制です。
9-1. 残る道は「作業そのものを任せる」だけ
| 手作業のまま | ソフトの追加・乗り換え | AI社員AIKATAに任せる | |
|---|---|---|---|
| 繁忙期の負荷 | ✕ 顧問先の増加に比例して増える | △ 入力は楽になるが回収・確認は人が行う | ◎ 処理量が増えても事務所の作業は変わらない |
| 顧問先ごとのルール | ✕ 担当者の記憶に依存 | △ 製品の仕様の範囲内 | ◎ 仕組みに登録され、担当者が変わっても残る |
| 顧問先への負担 | ○ 変更なし | ✕ 操作の習得や移行作業をお願いする | ◎ 今のソフト・やり方のまま |
| 職員の採用・教育 | ✕ 繁忙期ほど人手が必要 | △ ソフトの操作教育が必要 | ◎ 採用・教育なしで処理量を増やせる |
| 社労士法の線引き | ○ 全て事務所が実施 | ○ 全て事務所が実施 | ◎ 1号・2号業務は先生方のまま、AIは手前のみ |
9-2. AI社員AIKATAが選ばれる5つの理由
増員・外注・自作・乗り換えは、どれも事務所が人か仕組みを抱え続ける道です。作業を手放せる道は、AIKATAに任せることだけです。
次の繁忙期を、職員を増やさずに越える準備を始めませんか
人を増やす・ソフトを替えると決める前に、無料相談で、勤怠の回収と欠勤の集計、控除の計算、給与ソフトへの入力のうち、どの作業から任せられるかをその場で整理できます(60分・オンライン、契約の義務はありません)。
AI社員AIKATAは、今お使いのソフト・やり方を変えずに、事務作業の下準備から人の確認・承認までの流れを整えます。
職員を増やす・外注する・AIを自作する・ソフトを替える——どの道を選んでも、集計・入力・確認の作業か、それを回す人と仕組みが事務所に残り続けます。
AI社員AIKATAなら、いまお使いの給与ソフト・手続きソフトはそのまま、顧問先ごとのルールも登録して処理し、事務所に残るのは仕上がりの確認と承認だけです。どの業務から任せられるかは、無料相談(60分・オンライン)でその場で整理します。
NEXT STEP
事務所の定型業務を、
AI社員に任せてみませんか?
よくある質問
Q. 欠勤と休職の違いは何ですか?
A. 欠勤は、働く義務のある日に、労働者の都合で労務を提供しなかったことです。休職は、会社が就業規則で定める制度にもとづき、労働契約を維持したまま一定期間、労働義務を免除することです。休職は法律上の義務ではなく会社の任意の制度で、期間・給与・復職の条件を就業規則で定めておく必要があります。休業は会社の都合や法令の定め(産前産後休業・育児休業・介護休業など)により働けない状態で、休職とも区別されます。
Q. 欠勤した日の給与は必ず引かなければなりませんか?
A. 法律で控除が義務づけられているわけではありませんが、ノーワークノーペイの原則により、労務を提供していない日の賃金を支払う義務は使用者にありません。実務では、就業規則や賃金規程に控除の計算式を定めて控除します。規程に根拠がないまま控除するとトラブルになりやすいため、計算式・対象となる手当・遅刻早退の端数処理を規程で明確にしておくことが重要です。
Q. 欠勤控除の計算方法を教えてください。
A. 月給制の場合は、1日あたりの賃金額に欠勤日数を掛けて計算します。1日あたりの賃金額の求め方には、月給を月平均所定労働日数(年間所定労働日数÷12)で割る方法、その月の所定労働日数で割る方法、暦日数で割る方法などがあり、どれを使うかは賃金規程で決めます。月平均所定労働日数で割る方法は、月による日数の違いに影響されにくく、公平です。
Q. 欠勤を理由に、罰金や減給を課すことはできますか?
A. 欠勤した分の賃金を支払わない(欠勤控除)ことは認められますが、懲戒としての減給の制裁には上限があります。労働基準法第91条により、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。この上限を超える罰金の定めは無効となるおそれがあるため、就業規則の制裁規定を確認する必要があります。
Q. 病気で欠勤したときに、どんな給付金が使えますか?
A. 業務外の病気やケガで働けず給与が支払われない場合は、健康保険の被保険者に傷病手当金が支給されます。連続3日間の待期の後、4日目以降の休んだ日が対象で、支給期間は通算1年6か月です。業務上・通勤中のケガや病気であれば労災保険の休業補償給付が優先されます。障害が残る場合は障害年金の対象になる可能性があります。詳細は、全国健康保険協会、労働基準監督署、年金事務所などの公式案内で確認してください。
Q. 欠勤管理の事務作業をAIに任せても、社労士法上問題ありませんか?
A. 行政機関への提出手続きの代行や帳簿書類の作成(社労士法の1号・2号業務)は、社会保険労務士である先生方の専権業務であり、AIが代わりに行うことはできません。AI社員AIKATAが担うのは、給与計算・勤怠集計・書類の下準備・資料回収の一次対応など、提出や作成より前の事務作業に限られます。最終確認・承認と行政機関への提出は、必ず事務所の先生方が行う設計です。
Q. 今使っている給与ソフト・勤怠システムのままで、AIに事務作業を任せられますか?
A. 任せられます。AI社員AIKATAは特定のソフトに限定せず、事務所が現在使っている給与ソフト・勤怠システムをそのまま使い、画面操作を含めて自動化します。顧問先にソフトの乗り換えを依頼する必要はなく、顧問先ごとの締め日・手当などの個別ルールも仕組みに登録して処理するため、担当者が変わってもルールが引き継がれます。
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