【2026年11月最新】賞与の雇用保険料はいくら?計算方法・端数処理・かからないケースと、賞与の給与計算をAIで自動化する社労士事務所の方法
「賞与から雇用保険料は引くのか、引くならいくらか」「退職した人に後から賞与を払うときはどうするのか」——賞与の時期になると、社労士事務所の所長・職員の方に顧問先から必ず届く相談です。給与計算の代行や相談を受けている事務所ほど、顧問先ごとに微妙に違う賞与のルールを、毎回確かめながら処理しているのではないでしょうか。
結論から言うと、賞与にも雇用保険料はかかります。賞与は労働の対償として支払う賃金なので、雇用保険の保険料の計算対象になります。労働者負担の料率は、令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)の一般の事業で1000分の5です(出典:厚生労働省・令和8年度の雇用保険料率。2026年11月時点)。賞与の総支給額に料率を掛け、端数を処理して控除するのが基本の計算です。
この記事では、賞与にかかる雇用保険料の計算方法と端数の処理、かかる場合・かからない場合の見分け方、賞与支払届・賞与明細書・年度更新までの手続き、源泉所得税など他の控除を、事務所の目線で整理します。後半では、顧問先ごとに違う賞与の支給日・計算ルールを毎回確かめて処理する手作業を、AIで自動化する方法を、弊社の業務代行サービス「AI社員AIKATA」(運営: 株式会社GENAI)の仕組みとともに解説します。
01 RATES 賞与には雇用保険料がかかる|令和8年度の料率と、年度で切り替わる基準 まず「かかる」ことの根拠と、今年度の料率を公式の数字で押さえる
雇用保険の保険料は、労働者に支払った賃金の総額に保険料率を掛けて計算します。ここでいう賃金には、毎月の給与だけでなく賞与も含まれます。つまり賞与は、給与と同じく雇用保険料の計算対象です。事務所としては、顧問先の「賞与は特別なものだから別扱い」という思い込みを、最初に整理してあげる必要があります。
📚 用語解説
雇用保険料:雇用保険の費用をまかなうために、事業主と労働者が負担する保険料。賃金総額に保険料率を掛けて計算し、労働者負担分は事業主が賃金から控除して、事業主負担分と合わせて労働保険料として納める。雇用保険の対象となる労働者(被保険者)が計算の対象になる。
1-1. 令和8年度(2026年度)の雇用保険料率
令和8年度の雇用保険料率は、厚生労働省が公表しています(出典:厚生労働省・令和8年度の雇用保険料率について、2026年11月時点。適用期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日まで)。事業の種類によって料率が異なり、労働者負担の割合は次のとおりです。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 1000分の5 | 1000分の8.5 | 1000分の13.5 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 1000分の6 | 1000分の9.5 | 1000分の15.5 |
| 建設の事業 | 1000分の6 | 1000分の10.5 | 1000分の16.5 |
前年度の令和7年度は、一般の事業で合計1000分の14.5でした。令和8年度は労使とも0.5ポイント(1000分の0.5)ずつ下がっています。賞与の月が年度の前半か後半か、あるいは4月をまたぐかで、同じ賞与額でも控除額が変わる点は、顧問先に伝えておきたいところです。令和6年度の合計は1000分の15.5でしたが、過去年度の料率は厚生労働省の過去年度の資料で確かめてください。
1-2. 新しい料率に切り替わるのは「支給日」ではなく「賃金の締切日」
年度が替わるときに一番迷うのが、「4月支給の賞与は新料率か旧料率か」という点です。厚生労働省は、新しい料率の適用を支給日ではなく賃金の締切日で切り替える考え方を示しています。たとえば、3月20日締めの賞与を4月に支払う場合は、締切日が3月なので前年度の料率で計算する、という整理になります。賞与の締切日をどう取り扱うかは顧問先ごとに違うため、規程や過去の明細を確認して、事務所として統一した確認の型を持っておくと安心です。
3月締め・4月払いなど年度をまたぐ賞与は、料率の取り違えが起こりやすい代表例です。賞与の対象期間や締切日が規程にどう書かれているかを確かめ、判断した根拠を顧問先の記録に残しておいてください。判断に迷う場合は、所轄の労働局や公式の手引きで確認します。
1-3. 毎月の給与との違いは「賞与の月に控除額が一気に大きくなる」こと
賞与の雇用保険料は、金額そのものは毎月の給与より大きくなりがちですが、料率は給与と同じです。賞与の月は、社会保険料・源泉所得税・住民税の控除も同時に大きくなるため、従業員から「手取りがイメージと違う」という問い合わせが顧問先に入りやすくなります。事務所が控除の内訳を説明できる状態にしておくことが、顧問先の信頼につながります。
02 CALCULATION 賞与にかかる雇用保険料の計算方法と、端数(小数点)の処理 総支給額×料率の基本と、50銭の端数をどう扱うか
2-1. 基本の計算式
賞与にかかる雇用保険料のうち、従業員から控除する労働者負担分は、次の式で求めます。
賞与の総支給額 × 雇用保険料率(労働者負担分)= 控除する雇用保険料
ここでいう総支給額は、社会保険料や所得税を引く前の金額です。通勤手当のように所得税が非課税になる手当が賞与に含まれている場合でも、雇用保険料の計算の対象には含めて考えます。令和8年度の一般の事業で、賞与が30万円の場合は、30万円 × 5/1000 = 1,500円です。賞与が50万円なら2,500円になります。
| 賞与の総支給額 | 計算(令和8年度・一般の事業) | 控除する雇用保険料 |
|---|---|---|
| 100,000円 | 100,000 × 5/1000 | 500円 |
| 300,000円 | 300,000 × 5/1000 | 1,500円 |
| 500,000円 | 500,000 × 5/1000 | 2,500円 |
| 1,000,000円 | 1,000,000 × 5/1000 | 5,000円 |
建設の事業・農林水産の事業の顧問先は、料率が1000分の6になるため、同じ30万円の賞与でも1,800円です。顧問先の業種がどの区分に当たるかを、雇用保険の適用事業所の情報で確かめる習慣をつけておくと、料率の取り違えを防げます。
2-2. 端数(小数点)の計算方法
賞与額によっては、掛け算の結果に1円未満の端数が出ます。労働者負担分を賃金から控除する場合は、50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げとするのが一般的な取扱いです(事業主と労働者の間に特約があれば、その定めに従う場合があります)。たとえば賞与が123,456円なら、123,456 × 5/1000 = 617.28円で、617円を控除します。賞与が1,234,500円なら6,172.5円で、ちょうど50銭のため切り捨てて6,172円です。
📚 用語解説
端数処理(50銭の扱い):雇用保険料の労働者負担分を給与から控除するときの、1円未満の処理のこと。50銭以下は切り捨て、50銭1厘以上は切り上げて1円とするのが一般的で、顧問先の賃金規程や労使の取り決めで別の扱いをしている場合は、その内容を優先して確認する。
2-3. 事業主負担分は「年度更新」で精算する
労働者負担分は賞与の都度、賃金から控除しますが、事業主負担分と合わせた保険料は、労働保険の年度更新で申告・納付します。年度更新では、1年間に支払った賃金の総額(賞与を含む)を集計して確定保険料を算出するため、賞与の支払いが漏れて集計されると、申告額がずれてしまいます。毎年6月1日から7月10日の申告期間に慌てないよう、賞与を払うたびに記録を残す運用が前提になります。
📚 用語解説
年度更新:労働保険(労災保険・雇用保険)の保険料を、前年度分の確定と新年度分の概算で、年に1回まとめて申告・納付する手続き。毎年6月1日から7月10日が申告期間で、賃金の集計には賞与も含める。社労士事務所にとって算定基礎届と並ぶ繁忙期の代表的な業務。
賞与の支給日・総支給額・雇用保険料の控除額を、支給のたびに顧問先ごとの台帳に残しておくと、年度更新の集計が一気に楽になります。年度更新の時期にまとめて拾い直す運用は、集計漏れの典型的な原因です。
03 CASES 【ケース別】賞与の雇用保険料がかかる場合・かからない場合 入社・退職・異動、休業など、顧問先から聞かれやすい場面を整理
賞与の雇用保険料は、基本的には「雇用保険の被保険者に支払った賞与にかかる」と整理できますが、実務では判断に迷う場面がたくさんあります。ここでは、顧問先からよく聞かれる場面を事務所の目線で整理します。公式の手引きで取扱いが細かく定められている部分は、「要確認」と書いているので、実際の処理の前に確かめてください。
3-1. 入社・退職・異動のときの賞与
入社・退職・異動が賞与の時期と重なると、雇用保険の被保険者かどうか、いつの賃金に当たるかの判断が必要になります。次の表で、確認する観点を整理します。
| 場面 | 確認すること | 事務所の確認の型 |
|---|---|---|
| 賞与の算定期間の途中で入社した人 | 賞与の支給日時点で被保険者か | 資格取得日と支給日を照らし合わせる |
| 賞与支給前に退職した人 | 退職日までの在籍で賞与を支払うか | 規程の支給対象者の定めを確認する |
| グループ内の異動・出向 | どの事業所の被保険者として扱うか | 雇用保険の適用事業所と、賃金を支払う会社を確認する |
| 週所定労働時間が変わった人 | 被保険者の要件に当たるか | 資格取得・喪失の届出状況を確認する |
3-2. 退職後の賞与にも雇用保険料はかかる?
退職した人に、退職後に賞与を支払うケースがあります。在職中の労働の対償として支払う賞与は賃金に当たるため、保険料の算定対象になる扱いが一般に示されています。ただし、雇用保険の被保険者でなくなった後の控除や、年度更新での賃金総額への含め方は、個別の事情で取扱いが変わる部分です。実際に処理する前に、所轄の労働局・公共職業安定所、または公式の手引きで確認することをおすすめします。
退職後の賞与は、雇用保険料だけでなく社会保険料や源泉所得税の扱いも変わります。顧問先から「退職した人にも賞与を払うことになった」と相談された段階で、どの届出と控除が必要かを一覧にして確認することが、後から訂正する手間を減らします。
3-3. 亡くなった場合の賞与
従業員が亡くなった後に、未払いの賞与が遺族に支払われるケースがあります。この場合の雇用保険・社会保険・所得税の扱いは、通常の賞与と異なる部分があります。保険料の対象になるか、所得税の取扱いはどうなるかは、事案ごとに公式の手引きで確かめて処理します。顧問先は感情面でも対応に迷っていることが多いので、事務所が淡々と手順を示せることが大切です。
3-4. 産休中・育休中・介護休業中の場合
産前産後休業・育児休業・介護休業の期間中は、賃金が支払われていなければ雇用保険料は発生しません。一方、休業中に賞与を支払う場合は、その賞与を賃金として扱うかどうかで取扱いが分かれます。休業中の社会保険料は、条件を満たせば免除される制度がありますが、免除の可否は賞与の支給月と休業期間の関係で決まるため、雇用保険と社会保険を別々に確認する必要があります。
📚 用語解説
社会保険料の免除(産休・育休):産前産後休業・育児休業の期間中、事業主が申出をすることで、健康保険・厚生年金保険の保険料が本人負担分・事業主負担分とも免除される制度。賞与にかかる保険料の免除は、休業期間と賞与の支給月の関係で判断が変わるため、日本年金機構・協会けんぽの公式案内で確認する。
3-5. 64歳以上の従業員の賞与
以前は、64歳以上の被保険者は雇用保険料が免除されていましたが、この免除は令和2年(2020年)4月に廃止され、現在は年齢にかかわらず保険料の対象です。古い顧問先の運用が残っていると、高年齢の従業員の賞与だけ雇用保険料が引かれていないことがあります。賞与の月は、年齢の高い従業員の控除漏れがないかも確かめます。
04 PROCEDURES 賞与の支給時に注意したい手続き(賞与支払届・賞与明細書・年度更新) 雇用保険料の計算が終わっても、手続きと書類は別に残っている
賞与を支払うときは、雇用保険料の控除だけで作業が終わるわけではありません。社会保険の届出、従業員への明細交付、労働保険の申告まで、いくつもの手続きが連動します。事務所の手順として、全体の流れをつかんでおきましょう。
4-1. 賞与支払届を提出する
賞与から健康保険料・厚生年金保険料を控除する場合は、賞与支払届を日本年金機構(年金事務所)へ提出します。提出期限は賞与の支給日から5日以内です(出典:日本年金機構、2026年11月時点)。なお、賞与支払届は健康保険・厚生年金保険の届出であり、雇用保険料の控除そのものを届け出るものではありません。雇用保険料は、年度更新でまとめて申告します。
📚 用語解説
賞与支払届:賞与を支払った事業所が、健康保険・厚生年金保険の被保険者ごとの賞与額を日本年金機構に届け出る書類。届け出た賞与額をもとに「標準賞与額」が決まり、社会保険料が計算される。電子申請(e-Gov)でも提出でき、事務所が顧問先の分をまとめて提出するケースが多い。
4-2. 賞与明細書を渡す
賞与を支払うときは、従業員に賞与明細書を交付します。給与の支払者に明細の交付義務があることは所得税法に定められており、紙でも電子でも構いません。賞与明細には、総支給額と、控除した雇用保険料・社会保険料・源泉所得税などの内訳を、従業員が確かめられる形で書きます。雇用保険料の欄が空白だったり、金額が間違っていたりすると、従業員から顧問先への問い合わせにつながります。
4-3. 労働保険の年度更新と労災の取扱い
年度更新で労働保険の保険料を申告するときは、賞与を含めた賃金総額を集計します。労災保険の保険料は事業主が全額を負担し、従業員の賃金から控除するのは雇用保険の労働者負担分だけです。労災対応の実務(労災保険料率や労災の給付)は別の記事で整理していますが、賞与の月に労災と雇用保険の区別があいまいになる顧問先は少なくありません。
4-4. 入社・退職・異動の手続きとの接続
社会保険・労働保険の手続きは、入社・退職・異動の手続きと密接につながっています。資格取得の届出が遅れると、賞与の月に雇用保険料の控除対象かどうかがあいまいになります。事務所の実務としては、「賞与の前に、被保険者の資格情報を最新に直す」手順を毎回入れておくことが、ミスを減らす近道です。
4-5. 給与計算から明細発行まで——事務所の標準手順と、手引き・テンプレートの使い方
入社・退職・異動編、年度更新編など、社会保険・労働保険の手続きガイドは、厚生労働省や日本年金機構が公式の手引きを公開しています。年度更新の手続きガイドブックにあたる「申告書の書き方」の資料も、毎年度、厚生労働省から出ます。事務所としては、こうした公式の実務ガイドを、顧問先への説明の根拠として手元に置いておくと安心です。実務完全ガイドのように網羅的な資料を丸暗記する必要はありません。必要な場面で、決まった手引きを開く型を作っておけば十分です。
賞与の給与計算から明細発行までの流れは、賞与額の回収→料率と端数の確認→控除額の計算→給与ソフトへの入力→検算→明細発行、の順に整理できます。事務所で賞与明細のテンプレートを持っておくと、顧問先ごとに様式がばらばらになることを防げます。ただし、テンプレートは顧問先の賃金規程に合わせて項目を調整してください。明細の請求や再発行の依頼が従業員から来たときに、すぐ出せる形で保管しておくことも大切です。
4-6. 雇用保険を正しく理解して、顧問先に説明する
雇用保険を正しく理解してもらうために、顧問先の担当者へは次の3点を伝えると誤解が減ります。①賞与にも雇用保険料がかかること、②料率は年度で見直されること、③労働者負担分を引いて、事業主負担分と合わせて年度更新で納めること。この3点を、事務所からの案内文の定型として用意しておくと、毎回の説明が楽になります。
05 OTHER DEDUCTIONS 賞与にかかる他の税金・社会保険料との違いと、控除の順番 雇用保険料は賞与の控除の「一部」。全体像で説明できるようにする
賞与の控除は、雇用保険料だけではありません。社会保険料と源泉所得税の計算には、それぞれ別のルールがあり、控除の順番にも決まりがあります。顧問先に説明するときは、全体の構造をひと目で示せると伝わりやすくなります。
| 控除の種類 | 計算の基準 | 上限・端数など | 届出・手続き |
|---|---|---|---|
| 雇用保険料 | 賞与の総支給額 × 労働者負担の料率 | 上限なし。端数は50銭の扱い | 年度更新で申告 |
| 健康保険料・介護保険料 | 標準賞与額(千円未満切り捨て)× 保険料率 | 年度の累計額に上限あり(協会けんぽの公式で確認) | 賞与支払届 |
| 厚生年金保険料 | 標準賞与額(千円未満切り捨て)× 保険料率 | 1回の賞与に上限あり(日本年金機構の公式で確認) | 賞与支払届 |
| 源泉所得税 | 社会保険料等控除後の賞与額 × 算出率 | 前月の給与の額や扶養親族の数で変わる | 源泉徴収票・納付 |
📚 用語解説
標準賞与額:賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額のこと。健康保険料・厚生年金保険料はこの額をもとに計算される。上限額は、健康保険は年度(4月〜翌年3月)の累計額、厚生年金保険は1回の賞与ごとに設けられているため、賞与を何回払ったかや金額によって、控除額が頭打ちになることがある。
5-1. 社会保険料は「標準賞与額」で計算する
社会保険料は、雇用保険料と違い、賞与の総支給額そのものではなく標準賞与額に料率を掛けます。保険料率は都道府県や加入している健康保険組合によって異なるため、数字は協会けんぽ・日本年金機構・加入先の健保組合の公式ページで確かめます。事務所の経験則で料率をそらんじるのは避けてください。
5-2. 源泉所得税は「社会保険料等を引いた額」に算出率を掛ける
賞与の源泉所得税は、賞与の総支給額から社会保険料等(雇用保険料を含む)を引いた額に、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の率を掛けて求めます。算出率は、前月の給与の額と扶養親族の数で決まります。雇用保険料の控除額が変わると、源泉所得税の課税対象額も変わる点が、実務で見落とされやすいところです。賞与の源泉徴収の詳しい扱いは、あわせて読みたい記事でも整理しています。
5-3. 控除の順番を間違えると、全部の数字がずれる
雇用保険料→社会保険料→源泉所得税の順に計算する型を事務所で固定しておくと、職員が変わっても同じ手順で処理できます。順番を職員の感覚に任せると、担当者ごとに微妙に数字がずれる原因になります。
06 LIMITS OF MANUAL WORK 賞与の月に起きる、事務所の手作業の限界 顧問先が増えるほど、賞与の月は「確認の連続」になる
ここまで読んで、賞与の雇用保険料の計算そのものは難しくないと感じた方も多いと思います。実務が大変なのは、計算の難しさではなく、顧問先ごとにルールが違い、それを毎回確かめながら処理する点です。
こうした作業は、1件1件は軽くても、顧問先が20、30と増えると合計で大きな時間になります。しかも賞与の月は、締切が固定されているため、前倒しで片づけることができません。ソフトを替えても、顧問先ごとのルールの確認と転記という手間は消えません。
07 AUTOMATE WITH AI 【核心】AIで賞与の事務作業を「自動で回る仕組み」にする 効率化ではなく自動化。ソフトは今のまま、作業だけを任せる
📚 用語解説
Claude Code/Codex:Claude CodeはAnthropic社、CodexはOpenAI社が提供するAIエージェント。質問に答えるだけのAIと違い、指示を受けてパソコン上の画面操作・データ集計・書類の下準備などの作業そのものを実行できる。日本語の指示で業務の仕組みを組み立てられるため、事務所の事務作業の自動化に使われている。
7-1. 「AIに聞く」と「AIが毎回自動で回す」は別物
ChatGPTのようなAIに「賞与の雇用保険料の計算方法を教えて」と聞くのは効率化です。作業の主体は職員で、AIは調べ物を速くしてくれるだけです。一方、Claude Code/Codexのようなエージェントを使った自動化は、「賞与の月が来たら、顧問先から賞与額を回収し、規程に沿って雇用保険料を計算し、給与ソフトへ入力して、チェックして、承認待ちにする」という一連の流れを、決まったきっかけで自動的に回します。
ポイントは、今お使いの給与ソフトや勤怠システムを替えずに、そのまま画面操作を含めて自動化できることです。顧問先にソフトの乗り換えをお願いする必要はありません。
7-2. これまで職員がやっていた作業 vs AIに任せた後
| これまで職員がやっていた作業 | AIに任せた後 |
|---|---|
| 顧問先へ賞与額の連絡を依頼し、届くまで待つ | 資料の回収と一次対応をAIが行い、届いたものを整理 |
| 顧問先ごとの賞与の締切日・料率・端数の取り決めを都度確認 | 顧問先ごとのルールを仕組みに登録し、同じ基準で自動計算 |
| 賞与額を給与ソフトへ手入力し、別表で検算 | 画面操作を含めて入力し、計算結果の突き合わせまで自動 |
| 賞与明細・帳票の下書きを作成 | 作成済みの帳票を人が品質チェックし、事務所の承認待ちに |
| 年度更新に向けて賞与の記録を拾い直す | 賞与の都度、顧問先ごとの台帳に記録を残す |
7-3. 社労士法との線引き——提出と帳簿は先生方、事務作業はAI
行政機関への提出手続きの代行(1号業務)や、帳簿書類の作成(2号業務)は、社会保険労務士の独占業務です。賞与支払届の提出も、年度更新の申告も、最終確認と承認は事務所が行います。AI社員AIKATAが担うのは、その前の事務作業(給与計算・勤怠集計・書類の下準備・資料回収の一次対応)で、独占業務は引き受けません。
この線引きがあるので、事務所の日々の作業は、原則として「計算済みの給与データや作成済み帳票の承認」だけになります。AIの処理結果は人が品質チェックしたうえで事務所に届くため、事務所は確認と承認に集中できます。
08 OPTIONS 増員・外注・自作では、繁忙期の事務作業は片づかない 4つのうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけ
賞与の月の負荷を減らす方法として、事務所が思いつくのは、職員を増やす、従来型の外注・BPOを使う、事務所でAIを自作する、AI社員AIKATAに任せる、の4つです。4つのうち3つは、事務所の悩みを別の悩みに置き換えるだけです。
| 選択肢 | よくある期待 | 実際に行き詰まる所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| ①職員を増やす | 人が増えれば賞与の月も回る | 採用と教育が間に合わず、閑散期には人件費が残る。属人化がさらに増える | ✕ |
| ②従来型の外注・BPO | 事務作業を外へ出せば楽になる | 顧問先ごとのルールの説明と手直しが事務所に残る。繁忙期は外注先も混む | ✕ |
| ③事務所でAIを自作する | AIなら安く自動化できる | 顧問先ルールの言語化、検証の型、作った人しか直せない第二の属人化の壁 | ✕ |
| ④AI社員AIKATAに任せる | 作業そのものを手放したい | ——(今のソフトのまま、顧問先ごとのルールを仕組みに登録して処理) | ◎ |
8-1. 「増員」「外注」で片づかない理由
8-2. 「自作」の壁
09 AI SHAIN AIKATA AI社員AIKATAとは|残る道は「作業そのものを任せる」だけ 給与計算・勤怠・書類の下準備を、AIと人の二重体制で丸ごと受託
AI社員AIKATA(運営: 株式会社GENAI)は、給与計算・勤怠の集計・入退社手続きの書類の下準備・算定基礎届や労働保険の年度更新の下準備・帳票の作成・顧問先への資料回収や一次対応など、職員がパソコンで行っている事務作業を、AIと人の二重体制で丸ごと受託する業務代行サービスです。
AI社員AIKATAを使う社労士事務所では、顧問先から回収した資料の整理、ルールに沿った計算、今のソフトへの入力までをAIが進め、人が品質チェックをして、事務所には承認する状態で届く、という形で運用しています。NDAを結び、給与・人事のデータは、受け渡しと保管のルールを事務所の規程に合わせて決めます。
9-1. 手作業・ソフト乗り換え・AIKATAの比較
| 手作業のまま | ソフトの追加・乗り換え | AI社員AIKATAに任せる | |
|---|---|---|---|
| 繁忙期の負荷 | ✕ 職員に集中 | △ 計算は速くなるが入力・確認は残る | ◎ 作業そのものを任せる |
| 顧問先ごとのルール | △ 職員の頭の中 | △ ソフトごとに入れ直し | ◎ 仕組みに登録、担当が替わっても残る |
| 顧問先への負担 | ○ 変わらない | ✕ 乗り換えの依頼・移行が必要 | ◎ 今のソフトのまま |
| 職員の採用・教育 | ✕ 常に必要 | △ 新ソフトの習得が必要 | ◎ 増員不要 |
| 社労士法の線引き | ○ 先生方が実施 | ○ 先生方が実施 | ◎ 提出・帳簿は先生方、事務作業のみ任せる |
9-2. AI社員AIKATAが選ばれる5つの理由
増員・外注・自作・乗り換えは、どれも事務所が人か仕組みを抱え続けます。作業を手放せる道は、AI社員AIKATAに任せることだけです。
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よくある質問
Q. 賞与にも雇用保険料はかかりますか?
A. かかります。賞与は労働の対償として支払う賃金に当たり、雇用保険料の計算対象になります。令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の一般の事業では、労働者負担は賞与の総支給額の1000分の5です(出典:厚生労働省、2026年11月時点)。建設の事業・農林水産・清酒製造の事業は1000分の6です。
Q. 賞与の雇用保険料の計算方法と、端数の処理を教えてください。
A. 賞与の総支給額(社会保険料や税を引く前の金額)に、労働者負担分の料率を掛けます。令和8年度の一般の事業で30万円の賞与なら、30万円×5/1000=1,500円です。控除するときの1円未満の端数は、50銭以下を切り捨て、50銭1厘以上を切り上げるのが一般的な取扱いですが、顧問先の賃金規程や労使の取り決めがある場合はその内容を確認してください。
Q. 年度が替わる4月支給の賞与は、新しい料率と古い料率のどちらを使いますか?
A. 厚生労働省は、新しい料率の適用を支給日ではなく賃金の締切日で切り替える考え方を示しています。賞与の締切日が3月なら、4月に支払っても前年度の料率で計算する整理になります。顧問先の賞与の締切日の取扱いは、規程や過去の明細で確認します。
Q. 退職した後に支払う賞与や、休業中の従業員の賞与にも雇用保険料はかかりますか?
A. 在職中の労働の対償として支払う賞与は、賃金として保険料の算定対象になる扱いが一般に示されていますが、被保険者でなくなった後の控除や、休業期間中の賞与の扱いは個別の事情で変わります。処理する前に、所轄の労働局・公共職業安定所、または公式の手引きで確認し、判断の根拠を顧問先の記録に残してください。
Q. 賞与支払届は雇用保険料の届出ですか?
A. 賞与支払届は、健康保険・厚生年金保険の届出で、賞与の支給日から5日以内に日本年金機構(年金事務所)へ提出します(出典:日本年金機構、2026年11月時点)。雇用保険料は、労働保険の年度更新(毎年6月1日から7月10日)で、賞与を含めた賃金総額をもとに申告します。
Q. 賞与の給与計算の事務作業をAIに任せても、社労士法上問題ありませんか?
A. 行政機関への提出手続きの代行や帳簿書類の作成(社労士法の1号・2号業務)は、社会保険労務士である先生方の専権業務であり、AI社員AIKATAは引き受けません。AI社員AIKATAが担うのは、給与計算・勤怠集計・書類の下準備・資料回収の一次対応など、提出手続きより前の事務作業です。最終確認・承認と行政機関への提出は、必ず事務所の先生方が行う設計です。
Q. 今使っている給与ソフト・勤怠システムのままでAIに事務作業を任せられますか?
A. 任せられます。AI社員AIKATAは特定のソフトに限定せず、事務所が現在使っている給与ソフト・勤怠システムをそのまま使い、画面操作を含めて自動化します。顧問先にソフトの乗り換えを依頼する必要はなく、顧問先ごとの締め日・支給日・手当などの個別ルールも仕組みに登録して処理するため、担当者が変わってもルールが引き継がれます。
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